この記事の概要を簡単まとめ!
- スパチャの解放=スタートラインに到達するには苦労がある
- バーコード・QR決済や外部サービスに代替を務めさせるのも1つの手段
- 有名人も使っており、還元効率トップクラスをうたう「どねる」を検証する
- 配信者はYouTubeかTwitchの連携でのみ使用でき、リスナーはTwitterも連携できる
- 投げ銭=どね機能以外にも通知とチャットボックスも用意している
- 結果:「外部投げ銭」だけではない配信者向けサービスだった
全ての物事には道筋というものがある。だがその道筋通りに進むことは時間も手間もかかるということが多い。また人によってはそもそもその道を選択できないということもあり、その場合は全く別の経路を探す必要がある。もっとも、結果が全ての世界であるなら過程は無関係で、そのやり方はたとえ汚くとも「戦勝国の原理」で許されるのである。
それをVTuberの世界に適用するなら、「スタートライン」に立たずともスパチャできるよう外部の様々なサービスを利用するという手がある。そのことは以前に書いたが、その中から具体的なサービスを1つ選択して確認することで本当にそうなのかを判断できる。今回は還元効率トップクラスをうたう「どねる」を調査することにした。
ひとっ飛びできる目次
投げ銭以外に素材も提供している
配信者が外部サービスに頼ること
スタートライン到達の難易度と代替手段
以前の記事で、VTuberの活動資金源の1つにスパチャがあり、その取得方法に関する基本部分の概要と考察について書いた。中身を簡単にまとめれば、YouTubeやTwitchのプラットフォーム標準機能のスパチャはまず「スタートライン」に到達するまでが非常に長く、そして非常に高い壁になっている。人によっては永遠に超えられない壁であることはあり得る話で、ちょっとしたインチキでもしない限りはただいたずらに時間が過ぎていくというものだ。
そのちょっとしたインチキの1つにあると思われるのが、外部サービスの利用である。これはバーコード・QR決済を投げ銭の授受を目的として使用することと、YouTubeやTwitchと連携可能なサードパーティサービスで投げ銭システムを利用するものである。前者は相互に手数料のかからないサービスとしてPayPayが現状最も効率が良いものとして挙げた。後者については代表的なサービスとしてPatreonやPixiv FANBOX等を挙げたが、これらはあまり効率がいいものではない。
だが「スタートライン」に到達すること自体が難易度が高いことに比べ、外部サービスの利用は基本の利用条件は緩く、必要な情報はIDとパスワード、あるいは特定のプラットフォームとの連携を行うだけですぐ利用可能になる。その意味では外部サービスの方が「スタートライン」は低いものであると言える。もっとも、この部分に関しては行動する気力があるかどうかになるため、使わなければそもそも「スタートライン」にもならないことは留意しておくことである。
多数の代替手段の中から選択するサービス
さて、前記事や冒頭でも少し解説したが、外部サービスを利用するにしてもその展開数は多く、そしてそれぞれに特徴とメリット・デメリットを有する。決済サービス側ではPayPayを指定したが、完全に手数料無料にするには、PayPayと同じ会社が運営するインターネットバンキング「PayPay銀行」を開設した上で、それを連携しPayPayマネーの出金先に設定する。その際PayPay側で本人確認を済ませなければ、PayPayマネーを利用できない面倒な規約がある。その本人確認も面倒なものであると言われており、その苦労を考えると使いたがらない人も多いようだ。それを嫌って別の、手数料がかかってしまうが規約が少し緩いサービスを使用する人もいるはずだ。
サードパーティサービスの場合は、配信以外でも使用され、知名度がある程度存在し、使い方も十分整っているものを選択することが多いはずだ。これは前述のPatreonやPixiv FANBOX等のことになる。だがこれは配信特化ではないので、配信者が使用するには向いていない部分がある。これがVTuberであるなら多少は異なると思われるが、その場合はむしろ創作ができるタイプか人脈があるタイプでなければ運用が難しいと思われる。というのも、これらには往々にしてリターンを要求されるものであったりするからだ。そう考えると使いづらいものである。
投げ銭機能付きの配信者向けのサービスを使う
そこで検証として、投げ銭機能付きで配信者向けのサービスを使用することにした。サービスは多種多様に存在するが、その中で還元効率トップクラスをうたうサービスとして「どねる」が存在することを発見した。このサービスは配信者側はYouTube(Google)およびTwitchで連携を行うことで利用可能であり、視聴者側は前2つに加えてTwitter連携を行うことで利用可能である。
事前調査したところ、ZEROUM株式会社により2018年4⽉10⽇から運営されているサービスであるようで、投げ銭機能をつけているほかにSLOBSで使用することのできるコメント・通知・クラウドファンディング機能が存在する。つまり単純なスパチャだけの機能ではなく、配信画面を構築する機能もあるということだ。ただ元々はTwitch向けの機能の方を優先していたようで、YouTubeの機能は後々追加されたようである。なお、ZEROUM自体は他にもWeb系の事業を行っているようである。
この手のものは手軽さや還元効率をうたう場合、信憑性や実用性に欠けることが多く、実際は使い物にならないということが多い。運用実績を見る限りでは有名使用者も多いということが分かっている。しかしこれは氷山の一角、あるいは「いい面」だけを抜き出した結果でしかないという疑いも捨てきれない。そこで実際に「どねる」を使用して、本当に使えるかどうかを検証することにした。
「どねる」検証開始
検証するにあたり、この機能のメインの対象は配信者側である。そのため配信者側の解説を中心に行うこととする。
どねるとの連携開始
どねるとの連携は簡単で、GoogleまたはTwitchの連携を行うだけである。逆を返すと、この2つ以外ではどねるは利用できないようになっている。もっともこれらはYouTubeやTwitchで使用することを前提とするものだから当たり前のことであるが。ここではTwitchで連携する方法を解説する。と言っても、基本は指示通りに進めるだけである。
連携確認画面で連携を行った後は規約に同意し、その後に表示されるどねるの専用URLを決定するとマイページに自動遷移する。URLに関しては3ヶ月に1回変更可能となっているようである。
初期設定:精算情報登録
独自単位の設定はどのサービスでも存在するようだが、どねるにおいては単位は「どね」である。これを購入してどねに使用することで成り立っているらしく、100どね=120円が基本であるようだ。その価格を見るにまるでアプリ税価格のようだが、現状のTwitchのビッツレートよりは安い。
さて、どねを受け取るからには後々にそのどねを現金化することになるので、それを受け取るためには銀行口座の登録が必要である。どねるではこれは「精算情報」として管理しており、これの登録がまず先に行うことになる。精算管理に移動し、以下の情報について登録を行う。
- 精算情報のタイプ:日本居住者(個人)と法人または団体から選択する。通常は個人を選択して進める。
- 次の情報について登録する。
- お名前:漢字およびカタカナで姓・名で分けて入力する。この名前は登録する銀行口座のものと一致させる必要がある。
- 電話番号:日本国内のサービスのため、国コードは不要で入力できる。ハイフン不要で、固定電話も使用できる。
- メールアドレス:最も使用するメールアドレスを指定する。
- 銀行の情報:銀行名・支店番号・口座種類・銀行口座番号を正確に入力する。銀行名または銀行コード番号の両方に対応している。ただしSBI以外は手数料が高くなるようである。
これが登録できたら、次は実際に使うための設定に移る。
どね設定
このサービスの基幹となるどね設定を行う。設定の一部はどねる側で既に設定済みになっており、この設定に関しては特に変更する必要はないであろう。以下では、設定できる内容について確認していく。
どね機能の基本設定
- 禁止ワード
既に禁止ワードが設定されており、どねする際にこのワードが入力されているとどねできなくなるようになっている。もっともな話、そんなことをする馬鹿はいないと思うが。
- どねアドレス
先に設定したどねアドレスがここにセットされる。また、公式バナーのダウンロードリンクもあり、これは自由に使用できるようになっている。設定方法および素材はここに存在する。
- どねページ編集
テキストカラーと背景画像を設定する。背景画像は独自にアップロードするか、URL指定で設定できる。
- どね時の設定
どね関連の設定を変更する。最小金額・メッセージ最大文字数・ニックネーム・ランキング表示・おすすめ金額・チャットメッセージ・どねページのメッセージ・感謝メッセージについてそれぞれ設定ができる。基本的な設定はデフォルトのままで、チャットメッセージ・どねページのメッセージ・感謝メッセージを必要に応じて変更するくらいで丁度いい。
以上がどね設定についてとなる。
補足項目:動画・音声どねと画像どね
リスナーがどねする時に動画や音声を添付できるようにしたり、どね時の画像と音声のセットを選べるようにする機能がある。これはあくまでも補助機能の1つであり、設定は配信者側でON/OFFできるようになっている。とはいえこれらはあくまでも盛り上げの要素の1つでしかなく、設定が面倒なら考えなくてもいいはずだ。
どねの方法
もう1つ重要なのは、どねする側が操作方法を分からないと使えないということ。公式が解説しているので使い方はそれを見れば分かる。また、どねする場合に限りTwitter連携も可能になっている。もっとも、コメントするためにはどちらの場合もアカウントが必須のため、配信者側と同じようにYouTube(Google)またはTwitchログインすることが一般的になるはずだ。加えてイーロンのクソがTwitter大改悪を進めている以上Twitter連携では不安定になる可能性が否めないため、その方が安全である。
なお、どねチャージに関しては、通常購入ではアプリ税価格のように20%上乗せがかかっているが、一応ポイントサイトのような形式で無料どねを獲得できるようになっている。また、株式会社セレスとも提携しているため、同社が運営するモッピーからもポイントを交換してこれをどねに充てることができる。ただしチャージはどねるからアクセスしないと行えない。モッピーに関しては登録無料で簡単にできるようになっているうえ、この私の友達紹介リンクを経由すれば両方お得になるのでお勧めである。
「どねる」と画面構成
どねるを調査している時に気付いたのが、SLOBSのようなコメント欄や通知等を表示するウィジェットを提供していることである。SLOBSのものは原則そこでしか使えず、OBSに取り込む場合は少し手間がかかる。どねるにおいてはそれと同じ機能を提供し、ユーザー固有のブラウザソースとして取り込むことによって使用できるようである。私は通知はSLOBSのものを輸入しているが編集が面倒で、コメントはわんコメで表示しているので不要だが通知は制御と編集がしやすいため、ここではその内容と設定方法を見ていく。
アラートボックス配置と設定
アラートボックスはSLOBSでも実装されている、様々なアクションを通知するものである。どねるにおいてはどね時の通知でも使用する。これはオーバーレイとして個別の設定で作成・保存できるようになっており、複数作っておけば配信画面別で切り替えるということもできるようである。動作確認も別ウィンドウを表示してその場で行うことができ、管理がかなり楽に行えるようになっている。YouTubeとTwitchの設定を同時に行えるようになっており、それぞれの固有の機能についても個別に設定・動作するようになっている。以下は基本設定およびどねの設定についてのものとなる。
基本設定
まず、基本設定で設定可能な項目は次のようになっている。
基本設定では編集するオーバーレイを選択する。オーバーレイは任意に作成して名前を変更でき、設定もそのオーバーレイ別で保存されるようになっている。背景はデフォルトがGBであり、必要に応じて変えてソースに取り込む場合はクロマキーで色を抜くのが基本となるようだ。ここは原則として変える必要はあまりないが、カスタムCSS記述所があるので改造したい場合はここが頼りになるはずだ。
どね設定
どねるの基幹であり重要な部分であるどねについて細かく設定できる。概要は以下の通りである。
使い始めた頃は変更するにしても素材を作るのに苦労しているであろう、設定を変更することもあまりないはずだ。しばらくはデフォルトで使い、ある程度整ってきたり既存で満足できなくなったら変更すれば問題ないであろう。初期状態でやるとすれば、どねメッセージを日本語から英語にするくらいである。
他にもそれぞれの設定を個別に行うことができる。また通知自体を有効/無効を切り替えることもでき、不要な通知があればそれをそもそも無効化することでスマートに作れるのである。
チャットボックスを置く
チャットボックスは現在は画面構成要素の1つに数えられるものになった。OBSへはブラウザソースとして追加する形が多い。概要については以下である。
これもブラウザソースとしてURLを入力して表示する形となる。これであればSLOBSでなくともコメントを表示できるようになる。もっとも私はわんコメ経由なので不要だが、万が一のためにも使えるようにしておくのは悪くないことである。
実際に通知を配置した場合
実際に通知を配置した場合、それはどう映るのか。通知テストを用いて確認することにした。そのテスト動画が以下である。
この通知はデフォルト設定を変えていないもので、動画の通り大きさと場所さえ決めればすぐに使えるものとなる。設定変更や通知制御もしやすく、通知表示時間と優先順位の変更もしやすい。サイトにアクセスして連携しなければ設定変更が行えないのは少々面倒だが、それでもこれであればそのまま使えるので価値は高いものと言える。また、プラットフォームに依存しない「どね」の通知もこれでしか行えないので、それがメインの人はノーマルOBSに戻して導入した方がもっと多彩なことができるはずだ。SLOBSではプラグインを導入できないためである。
結果:「外部投げ銭」だけではない配信者向けサービスだった
メジャーな配信プラットフォームとして存在するYouTubeとTwitchだが、これの「スタートライン」に到達するまでが面倒であり、人によっては一生到達できない壁である。ならばということで外部の決済手段やサービスを使用するというのがある種の正解である。普通の努力ではどうにもならないことは、ちょっと違う方法を使えばいいのである。そのうちの1つとして探し当てたのが「どねる」である。
これは単純に投げ銭の機能だけを提供しているものかと考えていたが、調べると通知とチャットボックスも提供していることが分かった。使用にはYouTubeまたはTwitchと連携することが必須であるが、こうすることで通知とチャットボックスはそれぞれのプラットフォームに対応するものが使用できるようになる。これをブラウザソースとしてOBSなどに導入することで、簡単に通知とチャットボックスが表示できるというものである。
正直なところ、SLOBSからの輸入は整備が面倒であり、そろそろ変えてみたいと思っていたところである。本来は調査するだけで終わりにするものであったが、チャットボックスはともかく通知に関しては従来の通知をそのまま流用でき、加えて画像(GIF)もデフォルトで別のものが差し込まれており、自由に変更できることも考えればどね機能の有無にかかわらず使うことを検討してもいいものである。唯一の問題は対応するプラットフォームがYouTubeとTwitchのみというところであるが、それをメインとしている人なら迷わず利用できるはずだ。あとは実際に使ってから判断すれば問題ないはずだ。
以上、「どねる」評価~スパチャだけじゃないサービス~であった。単に外部投げ銭システムだけではないものを作っているところも多いようである。
KIBEKIN at 00:00 Oct. 22th, 2023
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