【データを守ろう】”EaseUS Todo Backup”使ってみた!~使用方法&レビュー~ | Raven's Articles

【データを守ろう】”EaseUS Todo Backup”使ってみた!~使用方法&レビュー~

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この記事の概要を簡単まとめ!

  • 様々なPCのバックアップ・クローンソフトウェアを開発している中国のEaseUS Software
  • 以前にEaseUS製PC間データ移行ソフトウェア”Todo PCTrans”をレビューした
  • ディスクのバックアップはOS標準で不可能ではないが面倒である
  • バックアップもクローンも簡単に行えるソフトウェア”EaseUS Todo Backup”
  • 永久版ライセンスでも8,000円以内の良心的設定価格
  • バックアップ」でファイル単位でフォルダやディスクごとバックアップできる
  • クローン」で別のディスクに使用中のディスクを複製できる
  • 総合評価:悪いところが見当たらないくらい使いやすい
  • “EaseUS Todo Backup”があれば、データの消失も怖くない

最近、安くてそれなりなPCというものに関心がある。その多くは中国製PCで、ロープライス・ロースペックを追求する方針である。ブラウジングや動画を見る、Officeを使うレベルの一般用途を想定して、3万円台で解像度FHDというものが多く出回っている。CPUはCeleronまたはAtomで2in1タブレットPCとして使用できるものが多く、バッテリーは2~3時間程度だがモバイルバッテリー対応型が多く、外に持ち出して使うには十分なものになっている。いざというときには使えそうである。私も1つ欲しくなってきた。

さて、PCを利用する上で気を付けなければならないことは何か。今頭に思い浮かんだことはおそらくどれも気を付けなければならないことだろうが、ストレージも気を付けなければならないこととして、優先度の高いものとなる。実は消耗品であるPCとそのパーツ類、ストレージは突然に壊れることがあるのも事実。稼働部品のあるHDDはもちろんのこと、SSDもNANDが書き込みとデータ削除を行うたびに摩耗し、例えメーカーの保証する耐久限度に至らなくとも突然に壊れてしまうリスクがある。したがって、いつ何時壊れてもいいよう、別のストレージに物理バックアップが必要になってくるのである。

しかし多くの人はバックアップを行うことを怠っている。それはバックアップを取るのが面倒だと思う人が多いからだ。確かに面倒だが、そんなバックアップを誰でも簡単にできるようにしてくれるソフトウェアがこの世界にはちゃんと存在した。中国国内はもちろん世界で活躍する企業、EaseUS Sowftware。ここが開発・販売している”Todo Backup”は、PCのバックアップはもちろんクローンも行える、バックアップ革命と言えるソフトウェアであった。今回はTodo Backupを、余すところなく詳しく見ていく。

ブンブンハローEaseUS製バックアップ&クローンソフトウェア、どうもKIBEKINです。

EaseUS SoftwareとPC

前提:EaseUS Softwareはどんな企業か

では早速、なんてせっかちなことはしない。詳細を見る前に、まずは企業についての情報を知っておく必要がある。

EaseUS Software、という名前を聞いたことは、おそらく1度はあるだろう。正式名称はEaseUS Software Co., Ltd. であり、日本語表記では有限会社イーザスソフトウェアとなる。以下、本記事ではEaseUSと呼称する。公式サイトが存在し、日本語にも対応しており、非常に綺麗に整っているものとなっている。



公式サイトにある会社概要沿革によれば、EaseUSは2004年8月、CEOの劉智苑1)読みはリィゥ・ヂー・ユェン。参照:中国語カタカナ変換 | どんと来い、中国語によって設立された。本社は中国四川省成都市高新区天益街38号理想センターの12階にある。資本金は日本円にして1600万円、従業員数は2021年3月時点で200人である。主な業務内容は『データ復旧、バックアップ、パーティション管理などに関連する製品および付帯サービスの企画・開発・販売。』となっている。日本国内に多数の取引先を持ち、同時に海外にも取引先を持つグローバル企業である。

ちなみに会社設立前にPTDDの開発チームを2003年10月に立ち上げており、その後Partition Table DoctorのDos版をリリースしている。これは後の2005年1月にWindows版もリリースしている。そしてEaseUSとしての最初の製品が発表されたのが2005年10月、EaseUS Data Recovery Wizardである。現在も更新が続けられており、データ復旧ソフトウェアとして強い人気とセールスを誇っている。その後の製品展開としては、2006年10月にパーティション管理ソフトのEaseUS Partition Masterを、そして2009年7月に今回解説するバックアップソフトウェアのEaseUS Todo Backupを公開した。さらに驚くべきなのは、PCだけでなくiOS系列のデータ復元が可能なソフトウェアである、EaseUS MobiSaver for iOSも2013年9月に公開、翌年3月にはそのAndroid版も公開するなど、もはやEaseUSに復元できないデータはないと言い切れるほどに手広く製品を展開している。今では復旧・バックアップ以外にもデータ同期(EaseUS EverySync)、動画編集(EaseUS Video Editor)、iPhone向けロック解除アプリ(MobiUnlock)等、データ以外にも幅広い分野に進出しており、EaseUSの技術力の高さを物語っている。

以前の話:2年ほど前にEaseUS製PC間データ移行ソフトウェア”Todo PCTrans”をレビューした

ところで2年ほど前、私がかつてリンクス岐部と名乗っていた頃、ある依頼が舞い込んできた。それがまさしくEaseUSからで、あるソフトウェアのレビュー記事を書いてほしい、とのことだった。それが”EaseUS Todo PCTrans“である。これは2014年5月に初公開された、PC間でソフトウェアやデータを移行することのできる非常に便利なソフトウェアだ。しかも従来の移行ソフトウェアには存在しなかった、同一ネットワークを利用したUSBストレージやクラウド不使用で出来るWi-Fi経由転送が唯一使用できるものである。これまで「ありそうでなかった」機能を実現して、中国国内に存在するライバル企業はもちろん世界中の企業も出し抜いた形となった。

さて、その当該記事についてであるが、執筆から2年以上経っている今、一部情報については既に古い物となっていて相違がある可能性がある。それでもよければ、丹精を込めて書いたそのレビュー記事に1度は目を通して欲しいものである。

問題:ディスクバックアップはOS標準で不可能ではないが面倒である

余談はここまでにして、本題に移る。果たしてこれを読んでいる人の中で、定期的にPCのディスクのバックアップを取っている人はいるのだろうか。その答えはおそらく「少ない」と出るだろう。多くはバックアップを取ることを面倒に思い、またはバックアップを取れるソフトウェアのことがよくわからないために、取っていない。そう答える人もきっと少なくはない。

実はWindows標準の機能においてバックアップを作成することは可能となっている。Windows7以降のOSに存在する「バックアップと復元」から「システム イメージの作成」で行えるのだが、その時は多くの人はSATA接続のディスクをUSBに変換し、外部ディスクにバックアップを行うことだろう。現在主流のディスクストレージはSSDであるが、未だにHDDをメインディスクとして使用している人もいる。ここ最近になってWindows11も登場したことで、Windows10をメインOSにするついでにSSD換装をしたいと思うことも多いはずだ。

だが実は1つ、制約がある。一般的な個人用PCで使用するSSDの容量は256GBであることが多い。HDDの場合は容量が500GBや1TB以上のものを使用している人が多い。ここでHDDからSSDへバックアップを行うと想定すると、必然的に容量の多い方から少ない方へバックアップを行うことになる。このときWindowsはディスク丸ごとをバックアップしようとするので、当然容量が不足する。それではとシステム部分、つまりCドライブだけバックアップしてください、そうお願いしてもWindowsはやってくれない。何が何でもディスク丸ごとバックアップしようとするので、残念ながらWindows標準の機能ではバックアップは不可能なのである。ある特定の作業を行えば無理矢理にでもバックアップは行える2)参照:【Windows10】OS標準機能だけでSSDクローン作製する方法。「バックアップと復元」を使えばソフトなしで引越し可能 | ARUTORA 面倒な手順を踏む必要があることを実証してくれている。ものの、そこまで苦労するなら尚更、バックアップなんて取りたくないと思ってしまうであろう。また、バックアップが出来たからといって換装して起動する保証もない。Windowsはどこか肝心なところが抜けているようだ。




バックアップもクローンも簡単に行えるソフトウェア”EaseUS Todo Backup”

バックアップを取るのはWindows標準の機能だけでは面倒であることは、先の項で分かってもらえたことと思う。だが、それではバックアップを取らない理由にはならない。ディスクはHDDもSSDも実際のところは消耗品であることには変わらないからだ。HDDは回転する部分や読み書きのためのヘッドが可動部分であり、これが動き続けると摩耗し、いずれは壊れる。SSDは可動部分は全くない代わりに記録媒体であるフラッシュメモリ(所謂NAND)には書き込み上限が存在し、記録方式(SLC/MLC/TLC/QLCなど)によって変動する。上限を超えるとエラーが発生するようになり、いずれは読み込みも書き込みもできなくなる。しかも壊れるときは音や予兆なしに壊れる場合があり、その時にバックアップを怠っていると泣きを見ることになる。

そんな中、EaseUSはバックアップの解決策を提示した。それが”EaseUS Todo Backup“だ。それについては先ほども概要と沿革の項で述べたが、今回解説するのは有料版となるHome Editionで、執筆時点でのバージョンは「バージョン2022」だ。Home Editionでは機能の殆どを利用でき、バックアップスピードも圧倒的に早い。無料でも使えるが、抜け目のないバックアップをするなら機能が揃っていて制約もない有料版を使った方がいいというものである。ということで、次項からはTodo Backupを詳しく見ていき、できることや使い勝手、その良い点と悪い点を公平に見ていくこととする。

Todo Backup, セットアップから実際に使用するまで

EaseUS Todo Backupのインストーラを公式サイトからダウンロードし、実際にインストールして使用方法とその結果を書いていく。なお前述の通り、ここでは有料版のHome Editionを前提として解説を行う。

前段階:ライセンス購入とインストール

まずは公式サイトをチェックし、インストーラのダウンロードと有料版のライセンス購入を行う。インストーラは先のリンクのページの[無料ダウンロード]からダウンロードし、ライセンスはそのページの左にある[製品版を購入]から任意の期間のものを購入する形である。ライセンスの期間とその価格は以下である。

  • 1ヶ月間:1,780円(税込1,958円)
  • 1年間:3,590円(税込3,949円) これのみ1TBのクラウドストレージが同封されている
  • 永久ライセンス:7,180円(税込7,898円) 無料アップグレードに対応
  • ※価格は2022年1月時点のもの
Todo Backup ホームページとライセンス価格
Todo Backupの製品ページとライセンス購入ページ。インストーラをまず無料ダウンロードからダウンロードし、ライセンスは任意のものを購入し、ライセンスキーを受け取ることである。

任意のライセンス期間を購入したら、まずはインストーラを起動してTodo Backupをインストール完了をさせる。と言っても何も難しいことはない。インストーラの指示する通りに進めていけばOKだ。インストールが完了すれば、次の初期画面になるはずである。

Todo Backup インストール手順と完了画面
Todo Backupのインストール手順とインストール完了後の初期画面。インストール後起動して一番右の画面が出れば完了である。

なお、インストール中に自動で最新のインストーラをダウンロードする関係から、インストール時はインターネット環境が必須である。オフラインでのインストールができない点に注意すること。

ライセンスの有効化

使用するにあたり、ライセンスキーを入力して製品版の有効化を事前に行う。有効化の手順は実に簡単である。なお、インストール後でもライセンスの購入は可能だが、手順の簡略化のために先に公式ページからライセンス購入を行った方がいい。

Todo Backup ライセンス認証
Todo Backupでライセンス認証を行い、製品版の有効化を行う手順。実に簡単でわかりやすい。

無事に認証されると、ホーム画面の右上にあった「ライセンス認証」のオレンジのアイコンは消えているはずだ。この状態になればTodo Backupを使用することができるようになる。

Todo Backupで出来ることについて

先にTodo Backupで出来ることについてまとめておく。今回のエディションでは以下のことができる。

  • バックアップ作成:任意のデータについてバックアップを作成する。メインの機能の1つ
  • クローン:ディスクのクローンを作成する。メインの機能の1つ
  • システムクローン:システムの部分をクローンする。メインの機能の1つ
  • システム移行:クラウドやLAN, NASを利用してシステムを移行する
  • イメージをチェック:バックアップイメージの内容を確認する
  • ブータブルディスクの作成:OSを外部ストレージから起動できるようにするディスクを任意の形式で作成する
  • PreOSを有効化:環境を以前のものに戻す。Microsoft WinPEツールが必要
  • マウント/アンマウント:ディスクの接続と切り離しを管理する
  • ログ:ログを確認する
  • ディスク リフレッシュ:接続されているディスクを再読み込みする。Todo Backup起動後に新たに外部ストレージを接続した場合に使用する



かなり幅広い部分をサポートしていることが分かる。シンプルながら多機能のようだ。とはいえ今回のメインテーマはバックアップとクローンであるため、本記事ではメインの機能となるバックアップ作成・クローン・システムクローンに絞って解説と実際に使用した結果を確認していく。

機能1:バックアップ作成

それでは、メイン機能のバックアップ作成から内容を見ていく。バックアップ作成はTodo Backupで最も得意とする作業で、ホーム画面で大きく表示されている。バックアップは元のファイルから圧縮され、独自の拡張子で作成されるようになっている。バックアップできる項目はファイル・ディスク・OS・メールの4項目である。ディスクバックアップはクローンで、システムバックアップはシステムクローンで同じことができるので、ここではファイルについてバックアップする方法を実際に行う。

手順1:バックアップしたいファイルを選択

まずはバックアップしたいファイルを選択する。これは左欄で場所を選択し、右欄でバックアップするファイルを選択するタイプである。バックアップ対象は1つのファイルからで、フォルダごとの選択も可能であり、もちろんディスクの選択も可能である。選択方法は以下の通りである。

Todo Backup バックアップ ファイルやフォルダ選択
Todo Backupでバックアップを取る手順1。バックアップを取りたいファイルのある場所を左で開き、右で対象を選択する形となる。

手順2:バックアップファイルを保存する場所を選択

バックアップ対象を選択したら、次はそれを保存する場所を選択する。Todo Backupではローカルドライブ・EaseUS クラウド・NASのうちのどれかを選択する。殆どの場合はローカルドライブを使用して保存するので、今回はローカルドライブを選択する。ローカルドライブの外部ストレージの任意の場所に新しいフォルダを作成し、そこを保存先とするパターンで設定を行う。設定方法は以下の通りである。

Todo Backup バックアップ 保存先の決定
Todo Backupでバックアップを取る手順2。保存先はローカルドライブの外部ストレージの任意の場所に新しいフォルダを作成し、そこを指定した。

手順3:バックアップを実行

ここまで設定できれば、後はバックアップを実行するだけだ。ここまでくれば後は[今すぐバックアップ]をクリックするだけなので迷いようがない。バックアップ時間はバックアップするファイルの数と形式に依存するが、そうそう長くはかからないはずだ。そしてバックアップが完了すると、バナー型通知によって完了したことを報告してくれる仕様になっている。実行から生成されたバックアップファイルの確認まで、以下の画像が参考となる。

Todo Backup バックアップ 完了と生成されたファイル
Todo Backupでバックアップを取る手順3。後はバックアップを実行するだけなので、あえて画像で説明することもないであろう。ちなみに生成されたバックアップファイルは独自の形式(.pbd)で、日付とバージョンが付与される。

この点についてはあえて解説することもないのだが、どのようなファイルが生成されるかは知っておいた方がいい。そのため、この画像を作った。また生成されるファイルには、日付とバージョンが付与されることが判明した。ここから、定期的なバックアップを行うことを想定すると、ある時点の日のデータに戻したい時にその日のデータを選択すれば、簡単にロールバックが可能だ。これは新しいソフトウェアを導入する際、不具合が発生する前のデータをバックアップしておき、不具合が発生したら削除してロールバックする、といった運用も可能になるであろう。

機能1+:バックアップから復元を行う

前項で、初心者でもわかりやすくバックアップを取れることが分かった。だが肝心なことは、バックアップが本当に機能するかどうかである。そこで一旦、バックアップを取った元のファイルを削除し、その上でバックアップから復元を行い、元通りになるかを確認した。いわば実証実験である。

復元手順は簡単で、ホーム画面の右上に新たに表示された[復元]のメニューをクリックするか、[参照して復元]から対象の参照元(ローカルドライブ・クラウド・NAS)を選択し、拡張子が”.pbd”のファイルを指定する。すると復元メニュー画面が出るので、復元先を任意の場所に変更するか元の場所にするかを選択する。このとき同名のファイルがあれば上書きする設定もオプションで存在する。トランザクションの際に使用できる。場所を選択したら後は[実行]をクリックして待つだけだ。

Todo Backup バックアップ 実際にバックアップを行う
Todo Backupでバックアップを行う。復元の時も難しい設定がなく、UIがわかりやすく構成されている。

復元も時間がかかるものではないので、ファイル容量が大きい場合以外はすぐに完了する。この時実際に復元されたファイルを確認してみたが、ファイルの名前・種類とその内容はもちろんのこと、フォルダの階層構造も完璧に復元されている。つまり、削除前と全く変わらない状態に戻すことができたのである。これなら安心して、今使用中のPCのデータをHDDバックアップとして保険をかけておくことができるのである。




機能2:クローン

次はクローンの機能を解説する。よくHDDクローンについて解説しているページでは当たり前のように出てくる「クローン」だが、たやすく言えばあるディスクの中身を全く同じに「複製」することだ。似た意味になる「コピー」とは違い、ファイルの順序もまるっきり同じにしてくれるので、中身を「コピー」してディスクを付け替えたら起動しなかった、ということが起きないのである3)これは往々にして「OSのブート領域」にあるファイルの位置や順序が異なっているために起きる問題である。ただコピーしただけでは順序がバラバラになってしまうために起きる問題だ。。もちろんTodo Backupでもクローンが行える。ということで、実際にディスクをクローンしてみる。

手順1:クローン元とクローン先のディスクを選択

まずはクローン元となるディスクとクローン先のディスクを選択する。クローン先は既に別のデータが入っていてもクローン可能だが、その場合はクローン先のデータは強制的に削除される。したがってクローン先のディスクで残したいデータがあるのなら、先にそのデータを別の場所にコピーしてからクローンを実行する必要がある。よってクローンを行うときはそれを理解した上でクローン先のディスクを選択することである。

Todo Backup クローン元とクローン先選択
Todo Backupでクローンを行う手順1。クローン元となるディスクとクローン先となるディスクをそれぞれ指定する。必要に応じてオプション選択も可能。

クローンの際、HDDからSSDへクローンするということもよくある話で、また使用しているPCによってはセクタレベルでデータが一致していなければ認識しないなどの面倒な仕様を抱えていることも少なくない。その際にオプションとしてSSDに最適化やセクタバイセクタクローンが選択できるようになっている。また、かなり特殊な例であるが、クローン先をUSBに指定した上で「ポータブルWindows USBドライブを作成」を選択すると、USBからWindows 10を起動できるディスクを作成することができる。Windows 10を他のOSがインストールされているデバイスでも使用したいとき、これが作れるのはなかなかに優秀である。

ちなみにクローン先のディスクを選択したとき、そのディスクに何らかのデータが存在している場合は本当にそのディスクでいいかを聞いてくる。これは誤選択回避の機能であり、間違えてストレージにしているディスクを選択してしまって大事なデータが消失してしまった、という失敗を未然に防ぐことができる。初心者がやりがちな確認ミスを無くす工夫が凝らされているので、もし間違えそうになっても安心して選択し直しができるのである。

手順2:クローン時にディスクを調整する方法の選択

容量が大きいディスクの時、パーティションを設けて1つのディスクに2つ以上のドライブが存在している状態で使用している人も少なくないはずだ。その状態で容量の小さいディスクにクローンを行うとき、そのままクローンすることはできない。それぞれのドライブの空き容量を調整して、きっちり収まるようにしなければならない。その際もTodo Backupのクローンではパーティション調整が可能である。参考画像が以下である。

Todo Backup ディスクパーティション編集
Todo Backupでクローンを行う手順2。ディスクのパーティションをどうするかを選択できる。基本的に自動調整で問題ない。

クローン先のディスクについてはプルダウンメニューから自動調整・ソースとしてコピー・レイアウト調整の3つから選択できる。自動調整の場合は特に何もしなくていい。ソースとしてコピーの場合はクローン元と全く同じ構成になり、これはクローン先のディスク容量がクローン元より大きい必要がある。レイアウト調整の場合は自分で空き容量や未使用領域の調整をすることができる。この機能は容量が非常に大きいHDDまたはSSD向けの機能であり、クローンする環境に応じて使用するといい。

手順3:クローンの実行と完了

調整が完了したら、後はクローンを実行するだけである。クローンに関しては時間のかかる作業であるため、完了までは別の作業をしながら待っている。その際、進行ログと進行状況および終了予定時間が表示され、どこまで進行しているかが分かるようになっている。クローンが完了すると自動でドライブレターを割り当てる。すると、標準のエクスプローラーで認識するようになる。これでクローンの全工程が完了である。

Todo Backup クローン実行と完了
Todo Backupでクローンを行う手順3。クローン実行後は完了まで時間がかかるので待機。その間は進行ログと経過時間・完了予定時間が表示される。完了するとエクスプローラーで認識できるようになっている。

今までクローンをしたことがない人でも、EaseUSのUIはシンプルでわかりやすく作られている。また、殆どを自動で設定してくれることもあり、面倒な作業をしなくてもスムーズに実行しクローン完了にまで至ることができる。途中で挫折する面倒な要素がないのも利点と言えるであろう。

ちなみにクローンが完了すれば、一旦シャットダウンしてからPCに接続する「メインディスク」をクローン先のディスクにそのまま付け替えることができる。付け替え方についてはそれぞれのPCの構造に依存するため割愛するが、クローンをマスターすればいつでもディスクの付け替えが可能になる。もし使用中にディスクが破損して起動できなくなっても、クローンをしておけば作業を中断することなくPCを使用し続けることができる。もう突然の故障に慌てなくて済む。




機能3:システムクローン

前述の「クローン」はディスク全体またはパーティション単位のクローンが可能なものである。そこでは例としてシステムが含まれたディスク全体を対象にクローンを行った。だがそれとは別に、システム部分だけクローンしたいと考える人もいる。その場合はシステムクローンを行う。基本的な内容は前項のクローンとほぼ同じだが、そのクイッククローン版であると考えると分かりやすいものになっている。

手順1:クローン先の選択とオプション選択

基本的な手順は「クローン」と変わらない。ただしこちらでは最初からシステム(=Cドライブ)が含まれたディスクがソースとして選択されており、これを変更することはできない。選択できるのはクローン先のみである。選択後にデータがある場合に警告が表示されることやディスク調整の方法については、先と同じである。

Todo Backup システムクローン選択と調整
Todo Backupでシステムクローンを行う手順1。システムクローンの場合、クローン先のみ選べる。調整部分については通常のクローンと同じである。

システムクローンの場合はクローン先のみ選択する関係から、通常のクローンの癖で「クローン元」を選ぶような感覚でやってしまうと、これもまた悲惨な結果が待っているので注意すること。とはいえデータが存在するディスクを選択するとちゃんと警告してくれるので、それでおかしいことに気付けるはずである。

クローンの際のレイアウト調整については通常のクローンと同じで、自動調整・ソースとしてコピー・レイアウト編集が行える。ここでは検証のために「ソースとしてコピー」を行っている。その結果はクローン完了後に判明する。

手順2:クローン実行と完了

調整が完了したら、先と同様にクローンを実行するだけである。まったく同じのため、特別解説することがない。

Todo Backup システムクローン実施と結果
Todo Backupでシステムクローンを行う手順2。通常のクローンと変わらない。

ちなみに「ソースとしてコピー」を行った結果であるが、画像右のエクスプローラーのA:とB:のドライブの合計容量がC:の容量に近い値となるので、確かにその通りにクローンされていることが分かる。したがって、手動でレイアウトを変更してもその通りに反映することができるはずだ。

以上で、メインの機能についての解説は完了である。機能1はバックアップ、機能2と機能3はクローンであり、データの保全及びディスク換装が簡単にできることがこれで分かったのである。それ以外の機能については、ここでは割愛しているので各自で確認してもらいたい。

実際に使用しての感想(レビュー)

EaseUS Todo Backup“ではメインとなる3種類のバックアップないしクローンを行い、そのやり方と結果について解説した。それでは、公平に良い点と悪い点の両面から評価することとする。

機能1:バックアップ作成

良い点

  • 1ファイル単位からバックアップする対象を自由に選択できる

バックアップに際し、ファイルAは重要なのでバックアップしたいがファイルBは重要ではないのでバックアップしない、という対応をしたいと仮定する。殆どのバックアップはファイル単位で細かく指定できないことが多いが、Todo Backupでは1ファイル単位でバックアップしたいファイルやフォルダを選択することができる。もちろんディスク単位でのバックアップも可能であり、多彩な使い分けの出来るバックアップである。

  • ファイルの階層構造を維持したまま圧縮バックアップできる

単純なコピーによるバックアップでは、USBやストレージ用ディスクのrootの下に任意のフォルダ名のフォルダを作り、そこにデータをコピーしてバックアップを行うことであろう。これが「データ」ならそれで問題ないが、PCにインストールされた「プログラム」ではそうはいかない。多くのプログラムは階層構造に依存した設定及び設計がなされているので、その階層構造を破壊することになるためだ。しかも面倒な事に、外部から同じフォルダ(多くはProgram FilesとProgram Files(x86)以下)に再コピーしたとしても、融通が利かないWindowsは認識不能というエラーを吐きがちで、利口なバックアップとは言えない。

だがTodo Backupによるバックアップなら、階層構造を破壊せずにバックアップを行える。しかもバックアップすると元のファイルよりも圧縮されるので、例えば容量の大きなプログラムをバックアップしたとしても保存容量を圧迫する可能性が低くなる。ただし圧縮率は元のファイルの形式に依存するため、例えば画像・動画系は圧縮率は低くなり、テキスト系のファイルは圧縮率が高くなる。とはいえ全く圧縮されないわけではないため、少しでも容量を抑えたい場合と階層構造を破壊したくない場合、このバックアップは積極的に使っていくといい。

悪い点

公平性を保つために悪い点についても指摘したかったのだが、どう頑張っても悪い点については見当たらない。無理矢理に探すのも難癖をつけるようで悪いので、ここでは悪い点については省略する。



機能2:クローン

良い点

  • システム以外の任意のディスク/パーティションについてもクローンが可能

バックアップソフトのクローンで想定されているのは、システムがインストールされたディスクのクローンである。その場合システムディスクやそのパーティション以外のクローンが行えないということであり、システム以外のディスク換装を想定した場合不便である。これは多数のディスクを接続できる自作のデスクトップで、ストレージ用のディスクのアップグレードを行う時に有効だ。特にゲームデータのストレージとして利用している人にとっては、苦労なしにデータ移行した上でディスク換装ができるわけで、嬉しい機能となるはずだ。

  • クローン初心者に優しい簡単な手順と自動調整

この記事を読んでいる人の中には、バックアップやクローンを行うソフトウェアを全く触ったことがないという人も珍しくないはずだ。その場合の気持ちとして、見やすいUIと数クリックで出来る簡単な設計、余計なオプション設定が必要ないものを求めるであろう。ではTodo Backupの場合はどうだったか、クローンの手順で振り返ると、オプションを一切変更しない場合、クローンは最低5クリックで開始されるようになっている。そこに面倒なものは存在せず、手順通りに行えば誰でもできるものだ。また、パーティションのレイアウト変更はクローン初心者にとっては触っていいかわからないものであるが、Todo Backupでは自動調整ができるうえこれがデフォルトであるので、迂闊に触らなくてもよい。その意味では、クローン初心者にとって優しいものであると言える。

悪い点

  • クローン時に別のディスクを間違えてクローン先にしないような保護設定を追加してほしい

これは悪い点というより要望に近いものであるが、クローン元もクローン先も、現在PCと接続されていて認識可能な全てのディスクがリストとして表示される。それは「クローン先にしたくない」ディスクでさえ例外なく表示されるわけである。その時にPC初心者を想定した場合、いくら気を付けても間違えて本来クローン先ではないディスクを選択してしまう可能性が0ではない。Todo Backupではデータが既に存在するディスクに対しては選択時に警告表示が出るが、中身を確認しない人がいないとは言い切れない。利用者の不注意と言えばそれまでで、これについてはEaseUS側の責任はないものだが、追加の対策は必要かもしれない。そこで、オプションメニューとしてデータが存在するディスクをクローン先の対象から除外するような設定を追加すると、クローン先間違いによるデータ消失を防ぐことができると考えられる。

機能3:システムクローン

良い点

  • システムをクローンするまでの手間が大幅に省略できる

システムクローンは通常のクローンからWindowsが入ったドライブが含まれたディスクを最初からクローン元として指定されている状態である。こちらがすべきことはクローン先のディスクを指定するだけである。時間がなかったり面倒な手順を省略して今すぐシステムをクローンしたいと思ったときには、システムクローンを実行すればたった3クリックで開始できる。これはバックアップ初心者はもちろん熟練者でも嬉しい機能である。手を煩わせないのはいいことである。

悪い点

システムクローンはクローン元が指定されている以外、通常のクローンと同じである。そのため悪い点は通常のクローンと共通で、保護設定の追加が欲しいということである。したがってこの点は割愛する。

総合評価:悪いところが見当たらないくらい使いやすい

さて、ここまで見てきた結果を総合した評価を出す。

  • 総合評価:5.0

正直、悪いところが見当たらない。そして面倒なこともなく、UIはシンプルで誰でも見やすいものである。無理矢理にでも悪いところを探そうという意地の悪いことをしようとしたものの、どう頑張ってもそれが無理だった。かろうじて見つけたのは悪い点ではなくむしろ要望だったが、それは悪い点であるとは言いきれない。したがって、Todo Backupは非常に完成度の高い、バックアップやクローンのパイオニアだからこそできたソフトウェアである、そう言えるであろう。




“EaseUS Todo Backup”があれば、データの消失も怖くない

EaseUS Todo Backup“, データの復元やバックアップを行うソフトウェアメーカーであるEaseUSが2009年7月に初めて公開して以来、多数の個人や企業に使用されてきた、EaseUSの看板ソフトウェアの1つである。そして現在も更新が続けられ、新しい機能が追加されたり、UIをシンプルで見やすいものに変更していった結果、これまで愛用してきた人はもちろん、これまでバックアップやクローンを行うソフトウェアを全く触ったことがない人でも安心して使えるものになっている。色々な人に使ってもらえるのは、その地道な更新の積み重ねがあったからこそなのであろう。

ところでTodo Backupの公式サイトの下の方には、「ユーザーの三行詩からプロダクトを知る」というミニコーナーがある。実際のユーザーから募ったものであるそれには、機能や内容を簡潔に表したものやTodo Backupのメリットを説明したものがある。ということで私もTodo Backupを三行詩で表してみることにした。

  • バックアップをするのは大事だけど面倒
  • 手間も時間かかる設定も制約も多い
  • だから私はTodo Backupでスマートに決める
  • KIBEKIN

私にとって”EaseUS Todo Backup“とは、この三行に集約される。ここまで解説とレビューはしてきたが、一番は実際に使ってその凄さを体感することである。さあ、迷っているなら実際に使ってみるといい。きっとTodo Backupがない生活は考えられなくなるはずだ。

 

以上、”EaseUS Todo Backup“使ってみた!~使用方法&レビュー~であった。それでは、次回の記事で会おう。ン、バァーイ!

 

KIBEKIN at 15:09 Jan. 10th, 2022


謝辞

本記事を書くにあたり、製品版の提供をしてくださいました、有限会社イーザスソフトウェア(EaseUS Software Co., Ltd.)様にはこの場を借りてお礼申し上げます。


 

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脚注

脚注
本文へ1 読みはリィゥ・ヂー・ユェン。参照:中国語カタカナ変換 | どんと来い、中国語
本文へ2 参照:【Windows10】OS標準機能だけでSSDクローン作製する方法。「バックアップと復元」を使えばソフトなしで引越し可能 | ARUTORA 面倒な手順を踏む必要があることを実証してくれている。
本文へ3 これは往々にして「OSのブート領域」にあるファイルの位置や順序が異なっているために起きる問題である。ただコピーしただけでは順序がバラバラになってしまうために起きる問題だ。
RA管理人
RA管理人。名前は時にない。かつてこのサイトを管理していた前任者はどこかへ消えてしまった。


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