【価格以上の出来】中国製ゲームパッド”EasySMX SL-9111″使ってみた! | Raven's Articles

【価格以上の出来】中国製ゲームパッド”EasySMX SL-9111″使ってみた!

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この記事の概要を簡単まとめ!

  • ゲームパッドの礎とも言える存在、Xboxコントローラー
  • Xbox360以降は持ちやすく扱いやすい、Windows OSならすぐ使える
  • Xboxコントローラーを真似したゲームパッドが製造される
  • ゲーム市場も広い中国でも製造されるゲームパッド
  • EasySMXから有線ゲームパッド”SL-9111″が販売されているので使ってみた!
  • PCへの接続に特別なドライバは必要なくそのまま挿せる
  • 輝度・振動の強さ変更、入力モード切替、背面のボタンで特別なボタン割り当てが可能
  • 初期状態ではトリガーやスティックの判定が微妙、キャリブレーションは必須
  • 総評:ただの互換ではない、純正にも負けないゲームパッド

ゲームをPCでやるとき、操作をどうするかというところでポイントになってくる。キーボード+マウスの操作か、コンシューマゲームのコントローラーかサードパーティ製のコントローラーを接続してプレイするかの2通りである。後者は所謂ゲームパッド、単にパッドと呼び、PCで使用する場合にはそう呼ばれることが多い。

PCと言えばOSはWindowsであることが一般的で、つまりMicrosoft製だ。同じMicrosoft製となるXbox(360以降)とそのコントローラーはWindows OSなら面倒な設定もなく接続することができるので、PCではよくXboxコントローラーが使われる。そのこともあってサードパーティ製のゲームパッドは多くがXboxコントローラーの形状を真似している。また、360からはワイヤレスも登場し、以降Xbox OneではUSB接続またはワイヤレスの両方が利用できるように設計され、プロゲーマー仕様とも言えるEliteが登場する。多くのサードパーティもこれに倣う形で対応していった。

しかしワイヤレスにはワイヤレス特有の問題点が存在する。それが入力遅延だ。所謂ディレイのことだが、ワイヤレスだとどうしても入力して「すぐ反応」してくれず遅れる感じがする。ならばと有線でプレイするが、これまで愛用していたXbox Oneはコネクタがダメになってしまい使い物にならなくなった。そこで目を付けたのが中国製ゲームパッドだ。

中国も今やゲーマー大国(チーターも多く「走っている」)である。当然ゲーム用デバイスは大きな市場になり、競争にもなる。買ってもらうには「安くて高品質」が必要である。そんな中でEasySMXという中国・深圳市にあるゲーミングデバイス製造企業が作ったコントローラーを、これもまたYHOC!で安く入手することができたのである。今回入手したモデルはSL-9111だ。有線固定のこのコントローラー、果たしてどんな実力を持っているのかを詳しく見ていく。

ブンブンハローサードパーティ製Xbox360コントローラー、どうもKIBEKINです。

Xboxコントローラーとゲームパッド

ゲームパッドの礎となる存在

Microsoftが生み出した、ゲーム専用の実質PC/ATがXboxである。コンシューマ第6世代となるこれはアメリカで2001年11月15日に発売され、日本では2が並んだ2002年2月22日に発売された。第6世代のライバルとしてSEGA=ドリームキャスト、ソニー=PlayStation 2、任天堂=ゲームキューブ、の3種が存在する。性能に関してはWindows OSを制作するMicrosoftであるので、2000~2001年当時のPCに使用されるパーツがほぼ流用されて構成されており、他3つのハードとは比較にならないレベルで高かった。ただ日本市場においては参入自体が遅かったオンラインゲームの普及が思ったより進まなかったことなどから、国内ハードと比較してあまり普及しなかったようだ。



そのXboxが特徴的なのはコントローラーにもある。初代Xboxは登場当初はクソデカコントローラーで不評であり、すぐに小型化されたコントローラーが作られることになった。初代のコントローラーは”Duke”と呼ばれていて、これはアメリカ・IGNの2006年の記事「最悪なゲームコントローラー TOP10」の2位に入るほどであった。小型化されたコントローラー(Xbox コントローラー S)はDukeより酷くはないが、ボタン配置については少々難があり、かつて使っていた私からすると正直使いづらいものになっている。

その頃のXboxコントローラーは中央にメモリーユニットを挿入できるようになっていて、これはドリームキャストのコントローラーを真似した形になっている。その結果、START/BACKは中央になく、LT/RTは現在のXbox360/Oneコントローラーの人差し指に来る配置ではない。START/BACKは左グリップに、LT/RTは白/黒ボタンとして右グリップに最も近い位置にある。そのため、お世辞にも使いやすいとは言い切れないものになっている。もっとも、XboxコントローラーはUSBではあるが形状が特殊なので(改造しなければ)Xbox以外では使用できないのと、次世代機となるXbox360からは馴染みのある配置になりUSB2.0の採用でPCで使いやすくなっているので、Xboxコントローラーはほぼ化石である1)参照:Xbox (ゲーム機)#周辺機器 – Wikipedia

初代Xboxコントローラー説明
初代Xboxコントローラー Sのボタン配置。ドリキャスを無理に真似たことが影響して面倒なボタン配置になっている。中央のXboxはただの飾りであり、そもそもボタンでも何でもない。

Xbox360以降は持ちやすく扱いやすい、ワイヤレスが標準のコントローラーへ

Xboxコントローラーは無理をしたのとコネクタが専用だったためにPCでは使えなかった反省からか、Xbox360ではUSB2.0 Type-Aを接続するコネクタとして採用した。また、本体の性能向上によってもはやメモリーユニットが不要になったことから、この部分をオミットすることができるようになった。よって基本となる形状を変えずに厚ぼったさを無くしてスリムにすることができたということである。特にXbox360はUSBモデルは非常にスリムであり、軽い。もちろんワイヤレスモデルも後に製造された。ボタン配置は中央にSTART/BACKが来て、白/黒ボタンはLB/RBとしてコントローラーを持ったとき、人差し指を置くところに配置されている。現在のXbon One, Series X/Sに至るまでこの配置が踏襲され、使われ続けているのである2)参照:Xbox 360#コントローラー関連 – Wikipedia

Xbox360の後継であるXbox Oneは、少し厚ぼったい感じになったが、逆に細すぎることがないのでしっかり持ってホールドすることができる感触になった。Xbox Oneは最初から単三電池2本をバッテリーとするワイヤレスコントローラーとして設計されている。初期型はBluetooth非対応のものであり、Wi-Fi Direct方式で接続していた。またPS3に倣ってか、本体とUSBケーブルで接続できるようにもなっている。なおPS3と違い、ちゃんとMicro-Bで接続できるようになっている。

その後の世代は、第二世代がイヤホンジャックが追加され、LB/RBの固い問題が修正された。次の第三世代はXbox One X/S標準搭載のコントローラーである。この世代からBluetooth対応になっている。また、商品名として「Xbox ワイヤレス コントローラー」となっていて、Xbox “One”ではなくなっている。Winodws USBケーブルがつくのもこの頃からだ。そして現行、第四世代はXbox Series S/Xと同時発売となった。旧モデルとなるXbox Oneとの互換性を持ち、上位モデルである「Xbox Elite ワイヤレス コントローラー シリーズ2」に似たものとなっている。USBはType-Cを採用、サイズを平均的な8歳の子供の手のサイズに最適化するなどといった改良が施されたものになった。これによって誰の手にも持ちやすいものになり、Bluetooth Low Energy(BTLE)、Dynamic Latency Inputをサポートする、利便性の高いものとなった3)参照:Xbox One#Xbox_ワイヤレスコントローラー – Wikipedia

Xbox360/Xbox Oneコントローラー
左:Xbox360コントローラー。USBモデル。非常にスリム。
右:Xbox One ワイヤレスコントローラー。モデルは1708。USB Micro-B対応のため、有線として使用できる。

Windows OSならすぐ使えるコントローラー

XboxコントローラーはXboxのゲーム機で使うのは当然のことである。そのXboxの開発元はあのMicrosoftであることは、ゲームをしている人なら殆どが知っていることである。その上、PCの事実上の標準OSはWindwosであり、これもMicrosoftの開発したものである。これが意味するところは、Windows OSでXboxコントローラーをPCでゲームする際のコントローラーとして使用することが簡単にできるということである。

Xbox360からはUSB Type-Aをコネクタとしたことで、PCに簡単に接続できるようになったXboxコントローラー。MicrosoftはあらかじめPCで使用することを想定して、ドライバを用意している。これはMicrosoftの公式ページからダウンロードすることができる。加えてXInputに対応しているのもポイントだ。後にWindows OSに標準で対応させた、”Microsoft Xbox 360 Controller for Windows“が発売され、接続するだけで使用できるものになっている。OSはXPから対応している。その後継の”Xbox One”ないし「Xbox ワイヤレス コントローラー」は、私の記憶ではドライバインストールせずに有線・無線問わず繋げるだけで使用することができた。PCで快適にゲームをするのが一般化した時代に合わせて、コントローラーも快適に使えるようにしたことが伺える。




Xboxコントローラーを真似したゲームパッドが製造される

Xbox360以降、PCで使うコントローラーはそれが主流となりつつあった。これを見た頭のいい人が、Xbox360やXbox Oneのコントローラーの形状とボタン配置を真似して、独自のゲームパッドを製造することを始めた。このゲームパッドは所謂サードパーティによる、コンシューマ機の純正コントローラーに特殊機能を加えたものに似ている。例えばハドソン製のジョイカードである。

それと同じ感覚で、大手メーカーは勿論、名前や存在感の薄い小さなメーカーでもゲームパッドを製造していった。基本はPC用のゲームパッドとして製造されるが、同時にコンシューマ機にも対応する、マルチプラットフォーム型のゲームパッドとして製造されることも多い。これはいずれのハードでも製造されていて、任天堂でもソニーでもMicrosoftでも何でも存在する。ただし任天堂については最近のハードの仕様からコントローラーは無線接続が基本となっている。だがサードパーティ製は、今や当たり前の存在となっているのである。

ゲーム市場も広い中国も製造するゲームパッド

最近は死のコロナウイルス情勢の影響か、ゲーム人口が割と増えたような印象がある。海外でもそれが直接的な影響を与えているかはわからないが、ゲーム人口が増えている傾向にあるようだ。それは世界一の人口を誇る中国でも同じである。最近はFPSを中心に中国人プレイヤーが増えているようで、PUBG, 荒野行動, APEX Legendsなどにおいてその姿を多く確認することができる。その中にはチーターが「走っている」こともあるが。

ゲーム人口が増えるということは、ゲームそのものとゲームをプレイするために必要な物、つまりゲーム機・PC本体や周辺機器の需要も増えるということである。需要のある所に市場は形成されるので、中国国内の企業もそれらのアイテムを製造するようになるのは当然のことである。一種の「バブル」状態に陥っていると思われる中国であるが、技術力に関しては昔の粗悪品や劣化コピーというイメージを完全に覆している中国共産党は相変わらず無能国家ジャップ政府と同等にクソだが、真面目な中国人は存在するとは前回に中華製マグネットUSBをレビューしたときにも書いている。

中国・EasySMXのゲームパッド、”SL-9111″

実はXbox One ワイヤレスコントローラーを使用していたのだが、有線接続が不安定になってやむなく無線接続でしようしていたが、ワイヤレス特有の入力遅延が気になってしまい、新しいゲームパッドを探していた。しかしXboxコントローラーは総じて高く、Xbox360も十字キーの違和感が気になるので避けていた。そんな中YHOC!で探していて見つけたのは、中国・EasySMXが製造している”SL-9111″というゲームパッドだった。

Amazonでも胡散臭い「最新版」の文字と共に定価¥2,380のこれを、YHOC!で送料込み+クーポン割引によって¥1,960で入手した。Xbox系コントローラー配列でありながらXbox系では使用できないという何とも頓珍漢なゲームパッド4)何故かPS3, PS4, Switch, Androidでは使用できる。であるが、USB Type-Aが接続コネクタであるので、PCで使用するには十分である。今回はこのゲームパッドについて、果たして「使える」のかどうか、使ってみて試すことにした。

EasySMX SL-9111使ってみた!

前提:EasySMXとSL-9111

SL-9111を製造したのは中国にある、EasySMXという企業である。まずは製造元について解説する。

EasySMXは、中国・深セン(深圳)市龍華区に本社を置く、ゲーミングデバイス開発・製造を行う企業である。創設日は不明であり、Wikipedia情報も全くないため推定も難しいが、EasySMXの目指すところは『高品質なゲーミングデバイスを手頃な価格で提供する』ことである。共同創設者の1人であるスティーブンが当時大学生だった頃、高額なヘッドセットを紛失し、だがそれと同じものを入手しようとすればまた高額な出費を強いられることが分かり、下位互換を使うしかなかった。そこで、ゲーミングデバイスでターゲットから外されやすい層である、低予算で済ませたい学生や一般ユーザー向けのブランドとして立ち上げたのである。市場としても未開拓な範囲となりがちなため、それを攻める意味ではかなり利巧な判断である5)参照:About Us | Brand Story Introduction | EasySMX。また、公式サイトを持っており、通販ページや問い合わせフォームも完備するなど、ちゃんと整備されている企業であることが判明している。

EasySMX公式サイトトップページ
EasySMXの公式サイトのトップページ。簡素ではないが派手でもない、落ち着いたページになっている。

そのEasySMXが開発・製造しているゲームパッドが、今回購入し、そして紹介するSL-9111である。明確な発表日は不明だが、KeepaによるAmazonでの販売開始時期を調べると2020年9月には既に存在していると判明した。なお、公式サイトでの販売価格は$25.99であり、$1.00=¥1106)2021年9月4日時点の過去の平均相場を見て決定している。として計算した場合、¥2,858.9=¥2,859となる。元々が高く、Amazonでも¥2,380であり安く入手できたのはYHOC!が個人で価格を設定することから相場や希望小売価格が合わないだけと思われる。ちなみに、イメージ画像は以下になる。

SL-9111イメージ
SL-9111のイメージ画像。ボタン配置はXbox360を意識していると分かる。それと違うのは、十字キーがXbox Oneのような形であり、中央にSTART/BACK以外のボタンやLEDがあることだ。

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SL-9111の外見調査

購入したSL-9111は出品者によれば、初期不良だったものを無償交換してもらったものであるようだ。その上で新しいゲームパッドを別途調達したかで、不要になったことで出品されたものである。そのため確認開封こそしているが未開封と同等の状態で使用されていないものである。よって箱ごと来た。外箱とコントローラー本体の外見は次のようになっている。

箱とコントローラー
SL-9111が梱包されている箱とその内容物。箱は至って普通である。内容物はコントローラー、多言語対応説明書、買ってくれてありがとう的な小さな台紙が付属する。コントローラーも至って普通だ。
SL-9111正面
SL-9111の正面を見た画像。このボタンの形状はXbox360を意識しているが、トリガーは深くない。LT/RTの形状からPS4っぽくも見える。

ゲーミングデバイスの中でもゲームパッド(コントローラー)は人に近いところにあって、最も手で動かすものである。つまりゲームをする上でまずなくてはならないものであり、それ故きっちりしたものが求められるのが現在の傾向だ。中国製ということもあり、おそらく一番気になるのは耐久性と操作性であろう。当然ながら使い始めたばかりであるので、耐久性について判定することは不可能だ。操作性については次項以降に記述する。とりあえずは外見に特に傷や破損個所は見られず、問題はない。流石、真面目な中国製は違う

PCへの接続:ドライバインストールは全て自動

大概この手のゲームパッドは、付属のディスクや公式サイトから提供されているドライバを先にインストールして、それから接続しなければならないことが多い。デスクトップPCはDVDマルチドライブまたはBlu-rayユニットを組み込むことで簡単にディスクメディア対応が可能だが、最近のラップトップはDVDマルチドライブなどは薄さの関係でオミットされるのが基本となっている。したがって外付けのDVDまたはBlu-rayドライブが存在し、USB接続によって給電とデータの読み込みないし書き込みを行うことが多くなっている。

しかしSL-9111にはディスクメディアはなく、公式サイトでドライバが提供されているといったこともない。ではどうするか、と言われれば、とりあえず接続するしかないのである。付属の多言語対応説明書によれば「とりあえず挿せ」(意訳)と書いてあるので、とりあえず挿した。すると、ドライバが自動でインストールされ、挿した後は放置するだけで対応が完了したのである。多言語対応説明書のPCとの接続が書かれているページとその時の通知欄が以下である。

SL-9111接続時の通知と説明書
SL-9111を接続したときの通知欄と説明書。説明書には最初に接続しろと書かれているので、ドライバはコントローラーに用意されていると考えられる。

このコントローラーははじめに独自のドライバである”THUNDEROBOT G30″というものをセットアップし、次に”ESM GAME FOR WINDOWS 1.15″をセットアップしている。EasySMXのゲームパッドはESMから始まるモデルが多く、そのモデル名を共通ドライバの名前として採用したものと考えられる。事実、SLから始まるモデルは公式サイト上でこのSL-9111のみである。そして少し経つとSL-9111は”Xbox360 Controller for Windows”として認識され、使用できるようになる。

SteamでもSL-9111はXbox360コントローラーとして扱われるため、Steamの設定の1つである「Xbox 設定サポート」によるSteamゲームプレイが可能である。つまりは、純正のXboxコントローラーを接続してプレイするのと全く変わらない状態でプレイできるようになるということだ。Xbox360の扱いになるものの、現時点ではXbox360コントローラーであることでSteamの動作に影響することは殆どないはずなので、この点についての問題はない。気にせず使うといい。

輝度・振動の強さ変更、入力モード切替が可能

ゲーミング用途に調整されたデバイスにありがちなことは、やたら光らせたがることだ。それも1677万色レインボーに光らせる。大手メーカーがそうしているように、中国メーカーでも同じことをする。SL-9111も、派手さはないが中央のLED指示灯、ABXYボタン、右スティックの外周が光るように設計されている。点灯している状態が以下である。

SL-9111接続・点灯
SL-9111を接続したときの点灯状態。中央のLEDは接続モードを示している。またABXYは無着色ボタンであり、点灯することでXboxと同じボタンの状態になる。

この状態がSL-9111の基本である。中央のLEDは接続モードを示しており、接続状況も示している。このLEDが消灯していると正常に接続できていないことを意味するので、もし消灯している場合は挿し直しを行うといい。大抵それでどうにかなる。そして中央下には左に電球マーク、右にコントローラーが振動しているマークのボタンがあり、これはそれぞれ輝度と振動強度を変更するボタンである。それぞれは5段階で調整可能で、4(最大)~0(なし)までを昇順で調整する。なしにすると、ABXYと右スティックのライトは消灯し振動はしなくなる(中央LEDは消灯しない)。ただしライトを消灯すると後述の特殊な操作を行う時に右スティックが光らずにわからないので、最低でも1にしておく必要がある。



背面にはボタンがあり、M1~M4まで存在する。これはボタンを登録することができ、1つのボタンだけでなく同時押しのコマンドにも対応する。設定方法は後述する。また、最近のゲームはXinputが主流となっているうえ、SL-9111がそもそもXbox360コントローラーとしてPCで使用できるため、特段意識することではないのだが、DirectInputにも対応している。DirectInputはPlayStation 4の”DUALSHOCK 4″, Switchの”Switch Pro Controller”が採用しているものである7)参照:DirectInput – Wikipedia。それらに対しては接続すれば自動的にDirectInputモードになるが、PCでXinputとDirectInputを切り替える場合、START下にあるMODEボタンを5秒押し続けることで変更できる。またモードがDirectInputの時、LEDは1番目と3番目が光ってそのモードであることを示してくれる。

SL-9111 DInputモード
SL-9111をDirectInputモードにしたところ。LEDが1番目と3番目が点灯し、DirectInputモードであることを示している。

実質ハードウェアチート、ターボ搭載

ゲームをプレイする時、コントローラーなどに搭載されている特殊機能を使用してプレイすることは果たしてフェアなのかどうかという問題がある。最もわかりやすい例え話をするなら、ゲームセンターCXで課長がジョイカードを使ってクリアすることである。これに関しては課長だから許されるところがあるが、一般ユーザーはまだしも大会ゲーマーであれば暗黙の了解として使用禁止ということが多い。

その是非はともかく、SL-9111はターボ(連射機能)が搭載されている。この機能は個別に、同時に複数のボタンに対して割り当てられる。割り当て方は簡単で、ターボを割り当てたいボタンを押しながら中央左のTURBOボタンを押すだけである。このとき先に割り当てたいボタンを押さなければターボは有効にならない。また、割り当てられるボタンはABXY, LB/RB, LT/RTの8ボタンに限定されており、背面ボタンとスティック押し込みには対応していない。

ターボが有効になると、右スティックの外周がオレンジになる。ターボが割り当てられたボタンを押していると、右スティックのオレンジが点滅する。離すと点滅が終了し点灯状態になる。そしてターボを解除したいときは、ターボを割り当てたボタンを押しながらもう一度TURBOボタンを押せば解除される。ターボを割り当てたボタンが全て解除されたとき、右スティックは青に戻る。設定も解除も簡単であるが、スイッチング方式ではないためゲーム中に切り替えるということは少々難しいところがある。しかしこれがあると、連射を要するゲームが少しは楽になる。

ターボを使用している参考動画を以下に掲載する。動画中ではAボタンにターボを設定している。

 

背面のボタン:ボタンやコマンドを割り当てられる

純正コントローラーは、無駄がなくボタンも多くない、使いやすいものであることが一般的である。だがゲームによっては複雑なコマンド入力を要求されることもある。そのコマンドは同時押しやディレイといったもので管理されている。特にアクションや格闘ゲームでは、とっさのコマンド入力が正確にできるようになるには時間と経験を要し、難しいものであるのが一般的だ。

SL-9111はそれを解決するであろう、背面に4つのボタンが搭載されている。これはM1~M4となっており、コントローラー内側がM1, M2、外側がM3, M4となっていて、M1とM3、M2とM4のボタンがバンパー式で繋がっている。これらのボタンは単体のボタンの代替は勿論だが、コマンド入力をそのまま登録できるものとなっている。登録方法は、登録したいM1~M4の任意のボタンを押しながらBACKを押し、入力受付状態(この時右スティックが紫に光る)にして、割り当てたいボタンを入力する。入力が完了したら、先ほど押したM1~M4の任意のボタンを押すことで登録が完了する。その後はそのボタンを押すことで、登録したボタンないしコマンドが1ボタンで入力される、という仕組みである。通常では難しい入力も、これで簡単に行えるというものだ。

SL-9111 Mキー登録受付
SL-9111のMキーの入力受付状態のときのトップの状態。右スティックの外周が紫に光ることでその状態であることが分かる。

ただし、登録できるボタンは十字キーとABXY, LB/RB, LT/RTのみで、スティックの状態や押し込みは登録されない。例を挙げるなら、デビルメイクライ4(SE)におけるネロのシャッフル、キャリバーのコマンド8)どちらもRB+左スティック下→上+△で出せる技であるが、素の状態から出すのが難しい技である。大抵はコンボに組み込まれる。を1ボタン入力で出すことができないということでもある。この点は少々残念である。スティック入力も反映してくれたら、もっと幅が広がったであろう。

ちなみに、M1~M4は登録した後でその登録を解除することもできる。その場合は登録を解除したいM1~M4の任意のボタンを押しながらBACKを押して入力受付状態にしてからもう一度押したボタンを押すことで解除できる。何度でもできるため、プレイするゲームによって登録し直すことも簡単にできる。いちいち登録する面倒さはあるが、快適なプレイは可能になるであろう。




問題点:トリガーやスティックの判定が微妙、キャリブレーションは必須

SL-9111は全体的によくできたコントローラーである。持ちやすくしっかりしているが、やはり純正コントローラーに負けるところがある。それはトリガーやスティックの判定が微妙ということだ。接続後何も調整を行っていない状態でいつものようにAPEX Legendsをやっていた私である。最初にSL-9111でプレイしたとき、コントローラーを持った時の感触に多少の違和感を覚えながらも、ボタン操作については問題なく行うことはできていた。

しかしそれより重要なのはスティック操作とLT/RTだ。これが完璧に扱えなければまともにプレイできないのだが、初期の頃はこれまで使用していたXbox One コントローラーと差異があり、スティックの反応具合が鈍いのにLT/RTは少し触れただけで反応してしまうというものだった。これではスティック操作に妙に力を入れなければならず、そのくせトリガー操作は繊細かつ指をかけることすら危ういので、そのままでは使いにくく、まともに戦えなかった。

よって、実際に運用する際はキャリブレーションを行うことが必須である。Xbox360コントローラーとして使用できるSL-9111は「Xbox 設定サポート」対応なので、SteamゲームはBig Pictureを起動し、そこからゲーム毎にコントローラー調整を行うことができる。そこからスティックとトリガーのデッドゾーン判定の閾値を変更することで、自分の使いやすいコントローラーにカスタマイズできる。こうすることで、一見使いにくいように思えるコントローラーでも十分使えるようになる。調整はゲーマーの必須作業である。

余談:PS3に接続して使う

たまたまセーブデータ管理でPS3を使う機会があったので、PS3に接続して動作するか試した。というのも、DUALSHOCK 3が当然のようにバッテリー切れになっているので、面倒なのでそのまま挿して使えるSL-9111で試してみたのである。

結論は、「普通に使える」である。PS3に接続した段階でSL-9111は自動的にDirectInputに設定され、特別な設定を行うことなく使用できる。PS3対応というだけあって、そこはちゃんとしているようだ。しかしPS3のコントローラーはXbox系コントローラーとボタンが異なっており、特に問題となるのがA=×, B=○の違いである。SL-9111はXboxコントローラーのボタン配置を参考としているため、実際に使おうとすると違和感を感じるはずだ。そのため、PS系でSL-9111をわざわざ使用する理由は薄いと思われる。ターボやMキーコマンドを使用するためには使いやすいかもしれないが。

総評:ただの互換ではない、純正にも負けないゲームパッド

ここまでSL-9111について、まだ数日であるが実際に使用してきた私がこのゲームパッド(コントローラー)の機能と使用感を書きあげた。ゲームパッドについていつも思うことは、大手有名メーカー製は信頼性や動作で確かだが、いずれの場合も高額でコネクタ接続部分が弱い(Xbox One コントローラー)といったこともあって、正直なところ割に合わないと思っていた。同時に、手で触って激しく操作するものであるから、いずれ何かしら壊れる部分が出てくるので、だったら純正にこだわる必要もないと考えた。そうするとサードパーティ製が候補となるのは想像に難くない。

中国とは、政府がクソだが一般市民は常に努力をしている、無能国家ジャップと同じ状態の国である。真面目に努力している人が蔑ろにされがちなのはどこでもいつでも起きることで、残念なものである。それはともかく、その一般市民の努力の結晶と言える製品群から、学生や一般ユーザーのための低価格・高品質ゲームパッドであるSL-9111とEasySMXが製造するその他のゲームパッドは、ただのXbox系コントローラーの互換と言うのは失礼にあたるだろう。使用してわかるが、純正にも負けないほどの品質になっており、その意味ではいいものを作った、と言える。

勿論私が実際に経験したように、使い勝手の悪い部分というものは存在し、だがそれは純正コントローラーでも同じことである。それについては調整可能事項であることが殆どなので、そうだったら調整して使ってやればいいだけのことだ。そうして使っていくうちに、そのゲームパッドは自分だけのものになるはずだ。臆せず、使っていくといい。

 

以上、中国製ゲームパッド”EasySMX SL-9111″使ってみた!であった。それでは、次回の記事で会おう。ン、バァーイ!

 

KIBEKIN at 00:00 Sept. 7th, 2021


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脚注

脚注
本文へ1 参照:Xbox (ゲーム機)#周辺機器 – Wikipedia
本文へ2 参照:Xbox 360#コントローラー関連 – Wikipedia
本文へ3 参照:Xbox One#Xbox_ワイヤレスコントローラー – Wikipedia
本文へ4 何故かPS3, PS4, Switch, Androidでは使用できる。
本文へ5 参照:About Us | Brand Story Introduction | EasySMX
本文へ6 2021年9月4日時点の過去の平均相場を見て決定している。
本文へ7 参照:DirectInput – Wikipedia
本文へ8 どちらもRB+左スティック下→上+△で出せる技であるが、素の状態から出すのが難しい技である。大抵はコンボに組み込まれる。
RA管理人
RA管理人。名前は時にない。かつてこのサイトを管理していた前任者はどこかへ消えてしまった。


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