この記事の概要を簡単まとめ!
- 現在の達成すべき目標「ゲーミングラップトップ」の入手
- ゲームではないがクリエイティブ作業にはGTX 1050-Ti(M)以上が理想
- 状態のいいものは競争になり、一部破損したジャンクでも3万超えで入手困難
- 日本ではほぼ無名の中国のPCメーカーに目を付けた
- 中古で状態は悪くない「神舟精盾 KINGBOOK T65」を入手、検証することに
- 外観は素朴だが中身はゲーミング要素を持つ
- 基本スペックが多くのエントリー向けゲーミングラップトップと同等
- ベンチマークは高成績ではないが並以上、十分な性能
- 主目的の配信・録画でも必須ソフト・ツールの同時使用に耐える
- ゲーミングラップトップを安く手に入れるならマイナーな中国製を狙え
安さへの挑戦は、身を削る努力とも言える。安くするためには何かを犠牲にしなければならないというのが常であり、できることをできる限り行った後でさらに身を削れと言われると、正直やりたくないことである。無理をすれば品質と価格の両方が維持できなくなることは容易に想像できる。それでもなお、補償の1つもなしにあらゆるところから安さへの挑戦を強要されるとなれば、辞めたくなるに違いない。
その苦しみとは無関係というべき状態で安さを極める国といえば、中国。中国共産党は相変わらずクソだが、IT・ゲーム関連の企業などはその狂気の独裁の縛りをうまくかわしながらものづくりを続けて、中国国内はもちろん一部製品は世界展開もしている。これまで私は有名・無名に関わらず中国製品レビューを行ってきているが、いずれもちゃんとした製品であることを自身の体験で実証している。もはや「中国だから」とは馬鹿にできないレベルの品質だった。
PCについてはどうか。巨大かつ有名なのはやはりLenovoだ。だがそこだけが絶対的覇権と言うわけでもない。世界展開していても目立たない企業は多く、中国名で神舟、英語名でHaseeもまた例外ではない。度々価格破壊で業界に衝撃を与えてきたここがゲーミングに手を出したときも、やはり価格破壊が起きていたようだ。そんな中で偶然入手できたのが、精盾 KINGBOOKシリーズから、i7-7700HQ+GTX 1050-Ti(M)を採用するT65。状態は良好であるので、どんなものかを見ていくこととする。
ひとっ飛びできる目次
知らない人は知らない、実力派中国PCメーカー
目標:ゲーミングラップトップの入手
PCの形態におけるパーツと性能
PCは1人1台以上を持つ時代である。それどころか、持っていないと仕事もプライベートも支障が出るほど、人々はそれに依存することになった。ただ、一口にPCといっても、形状・用途・採用しているパーツなど、様々な要素によって全く異なるものが出来上がる。それにより、同じ形をした全くの別物というのがよく現れるのである。
さて、日常生活で使用するのであれば軽量で安く、場合によってはタッチパネルディスプレイであることが求められるであろう。この時の使用想定は一般的なネットサーフィン、Officeを使用した事務作業等だ。この場合は必ずしもハイスペックである必要がなく、極論、Atom, Celeron, Pentuim, AMDなら現行でRyzen3やAthlonで事足りるというもの。殆どの場合、Intel製CPUを使用し、AMDのAPUはあまり使われないという印象である。安さで言えばAMDであるのだが、互換性を気にする人はIntelにこだわるようである。
その対極に位置するのが、ゲームや高度な3D・動画編集を行う場合である。この場合はスペックが非常に重要で、CPU, GPU, RAM, 場合によってはストレージも高性能なもので固めるのが一般的である。とはいえこれも多種多様にパーツが存在するので、何をしたいかによって構築は変わる。その際の基準となるパーツは一応存在していて、デスクトップの場合第8世代i5またはi7、GTX 1060-6GB, DDR4-2666であることが多い。これをもとに、どのくらいの設定でゲームをするか、3Dモデリング・動画編集等を行うかでそれぞれのパーツが決定する。ただし、高性能パーツでの構成は超高額であるがゆえ、その使用者は必然的に石油王に限定される。
デスクトップがあるならラップトップも考えることができる。ただしラップトップの場合はデスクトップと異なり、組み立てた後のパーツの更新がほぼ不可能である。使用するパーツもモバイル向けに調整が行われたものになるので、デスクトップの同型モデルと比較しても性能が20~30%落ちることは否めない。したがってモデルナンバーが同じでも、基本的には「弱い」ものであると考えた方がよく、デスクトップよりも画面の見辛さや排熱の悪さなどのラップトップ特有の問題で困ることはあり得る。そしてそれらは往々にして高く、やはりこれも石油王向けの製品となってしまうことが多い。妥協を許さないと考えて性能を求めると、一般的な社畜の手取りの1ヶ月分やそれ以上になるというのは、よくある話だ。
ゲーミングラップトップが必要な理由
一度考え出すと終わりがないPC関係の話題であるが、その中でもなぜ私がゲーミングラップトップを欲しがっているか。これを明確にしておく必要がある。私が行っている活動にはVTuberとVR関連の調査も含まれ、この活動の際、私自身が配信側に回るということも想定される。スペックの関係で単一のPCでの配信は行えないため実際に検証を行うときは分離配信を行っていたが、その配信側のPCで「やること」が増えている。それがCPUとGPUに負荷がかかるものが多いため、同時に使用するとまともにエンコードができなくなるほどに負荷が高くなっていたのである。前回記事であるVSeeFaceのLeap Motion検証も、負荷のかかるOBSとVSeeFaceを同時に使用し、さらに音声変換ソフト、ゆかNEOにわんコメも使用していたのでその負荷は計り知れないものだ。
普段愛用しているHP EliteBook 8570wはモバイルワークステーションとして、i7-3740QM(4C/8T, 270GHz, ~3.70GHz)とQuadro K2000M(DDR3, 2GB)を搭載する。3DCADなどの作業に適していて、通常作業でも不足はないこれ。しかし最近はその範囲を超えた使い方をすることが多いため、今後の活動には性能不足であると、どうしてもそう評価せざるを得なくなる。もっとも発表されたのは2012年10月のことなので、ほぼ10年前のこれが現在のソフトウェアやツールを動作させるのに最適かと言われれば、残念ながらNoである。そもそもQuadro自体、ゲーム(系)の用途には向いていない。
そうはいっても新しいPCを導入する余裕はないため、しばらくは支障がないレベルで品質を落とし、その上で検証のために幾度か実際に配信を行ったり、或いはその状況を可能な限り再現した状態の録画を作成していた。ただそれも前述のことがあるため、様々な「作業」の起点ともなるこのPCの寿命を縮めること、検証のために行っているのに録画すらまともにできないことは本末転倒である。そのこともあり、何か策を考えなければならなくなった。
複数の案が考え出された。新しい検証用のデスクトップPCの追加、ExpressCardを使用するeGPUの使用、ハードウェアエンコード可能な新しいキャプチャーボードの調達など。これらの案も候補ではあったが、最も簡単に解決できる方法が1つあった。それが、ゲーミングラップトップを使用することである。これならば、必要な物がそのPC1つで済むと気付いたためである。デスクトップは新たに様々なパーツが必要になるため資金が必要、eGPUは確実性がなく、ハードウェアエンコードも気休め程度でしかない。しかしゲーミングラップトップなら、ある程度の性能を確保しつつ、モニタも入力デバイスも存在し、うまくリソース配分すればGPUによるエンコードも使用可能であるからだ。ゲームをするにはやや不安のそれも、使い方を変えれば便利な配信向けの機材の1つに早変わりというわけである。そういうことで、ゲーミングラップトップが必要になったのである。
市場価値の高さ:ジャンクでさえ高値をつける入手困難な代物
私はかつて、ゲーミングラップトップを否定したことがある。しかしそれは3年ほど前の「古き考えに囚われた私」が書いたものであり、現在の考えは真逆である。適材適所の考え方からすれば、そう名前がついているからといって用途をゲームに限定しなくてもいい、これに気付いたとき、十分使い物になることが分かったのである。そうとなれば早速、探すことにする。対象は「ゲームをするわけではないが十分な性能が欲しい」を満たせる、第7世代i7(低電力・低電圧版を除く)+GTX 1050-Ti(M)を搭載したものとする。これ以上のスペックはゲームをするわけではないので私には過剰である。
捜索する場所は当然、中古市場だ。新品は石油王価格であるのと、条件を満たすそれは新規に生産していないためである。新品の場合、CPUもGPUも世代が上がっており、必然的に価格が上がってしまう。CPUは第9世代以降のi5/i7または第3世代以降のRyzen 5/7を採用し、GPUはGTX 1650以上である。AMD製はモバイル向けGPUの展開が少ないようで、採用されているものをほぼ確認できない。このような関係にあるので、必然的に中古品を探すことになる。
しかしそこで困ったことが発生する。ゲーミングラップトップは死のコロナウイルス情勢の影響を受けたのか、需要が非常に高くなっているようで、状態のいい「すぐ使える状態」はともかく、一部破損やほぼ全損の「ジャンク」でさえ高値をつける市場となっていたのである。それどころか、狙っているよりも古い規格(GTX 960M/970M)のゲーミングラップトップでも場合によっては高値をつけていることを確認した。なお、カタログスペック上は970M>1050-Ti(M)>960Mであるが、実際は1050-Ti(M)>970M>960Mであるはずだ。

日本ではほぼ無名の中国のPCメーカーに目を付けた
使用できる予算は3万円と決めている。その予算はあまりにも無謀と言える。GPUを1050-Ti(M)に固定した場合でも殆どが3万を超え、ジャンクでも競争になればあっという間に超す。最初から3万円台で開始しているものでさえ、タイトルか説明にGPU名が入っていればどこのメーカーかは不問で目をつける人は多い。そして勝負になれば、3万を超える。どう頑張っても3万以内に収めることはできず、苦戦していた。
そんな中見つけたのが、日本ではほぼ無名の中国のPCメーカーだった。例によってYHOC!で探していた時のこと、960Mや970Mを搭載したゲーミングラップトップの中に、全く聞いたことのないメーカーが現れた。そのメーカーはどうやら中国のメーカーであり、その名前を日本人に聞いても知らない人が殆どであろう。だが過去の情報を見る限りでは少なくとも2009年頃から「ガチ勢なら知っている」レベルで名前が通っていたことが明らかになっている。
その名は神舟、英名はHASEEである。中国のPCメーカーといえば頂点に立つ存在がLenovo, その後に続いてHUAWEI, シャミ子Xiaomi, TCL, Haier, Founder, TSINGHUAなどの大手が有名で、最近名前を聞くのがCHUWIやTeclastだ。TeclastについてはSSDも生産している。これらと比較すると、神舟(HASEE)の名を聞いたことのない人の方が多いはずだ。しかし調べるとゲーミングラップトップも製造しており、現在も最新CPU/GPUを採用したものを販売中である。
この事実から、神舟またはHASEEをキーワードにして複数のオークション・フリマサイトで根気よく探せば、いずれは誰かが出した「中古ゲーミングラップトップ」を発見することができる。そして多くは中国製であり、メーカー情報が全くないことで拒絶反応を示す人は少なくないはずだ。つまり必然的に競合が少なくなる。そうしてHASEEで検索していると、ついに現れた。それが今回解説するKINGBOOK T65で、中国では「精盾」シリーズとして展開されていたものである。i7-7700HQと、商品説明にはなかったがモデルネームからGTX 1050-Ti(M)を搭載していることが分かった。そうでありながら、前述の要素によって競合が全くいなかったのか、開始価格である25000でストレート落札することに成功した。問題はその後、これが本当に使い物になるかどうかである。実際にその中身を詳しく見ていくこととする。
神舟精盾 KINGBOOK T65 試験前調整
儀式:外見確認とスペック調査
新しい遊び道具機器を手に入れたらまずやることが外観確認とスペック調査である。これは一種の儀式でもある。公式サイトでは既に取り扱いを終了しているので情報がないが、”ZOL 中关村在线”という中国を中心に扱うIT技術関連のサイトでは販売終了こそしているがデータがしっかり残されている。そのデータと実際に入手したT65の調査したスペックを記載していく。
- 名称:神舟(HASEE) KINGBOOK T65
- 型番:QNL5S02
- インストールOS:Windows 10 Home 中国語版(原文: Windows 10 家庭中文版)1)Windows10にはすべての言語に対応するバージョンと単一の言語しか使用できないバージョンがある。中国の場合はグレートファイアウォールの関係で多くの海外製品がせき止められている。そのため中国向けに専用調整されたWindowsをMicrosoftは開発し、これを販売している。この関係で単一言語、つまり中国語しか使用できない制約が発生する。言語パックのインストールによるOS言語の変更機能が無効である、ということを意味する。
- CPU:CoreTM i7-7700HQ 4 Cores / 8 Threads 2.80GHz (up to 3.80GHz, Turbo Boost Technology 2.0), 6MB cache, TDP 45W
- GPU0:Intel HD Graphics 630 (350MHz, up to 1.10GHz, MAX VRAM 16GB)
- GPU1:NVIDIA GeForce GTX 1050-Ti Mobile (GP107) CUDA 768Cores, 48Tmus, 32Rops, 1,493MHz, up to 1,620MHz, GDDR5 4GB, 128bit memory bus
- SSD:M.2 256GB(NVMe)
- HDD:1TB HDD (入手品にはHDDはなく、接続部のFFC-SATA自体が存在せずオミットされている)
- RAM:8GB(DDR4-2400) 2,400MHz
- 画面:15.6型IPS方式液晶(FHD, 1,920×1,080, 16:9) LEDバックライト タッチパネルなし
- キーボード:101/102 英語キーボード バックライト点灯機能付き(3段階) ※日本語切替はalt+[~`], これは日本語キーボードの半角/全角の位置にある
- Webカメラ:一体型カメラ(詳細の記載なし)
- インタフェース:USB 3.0(Type-Aメス)x3, USB 3.1(Type-Cメス)x1, HDMI出力x1, MiniDisplayPort出力x1, SDHCカードスロットx1, φ3.5mmイヤホンジャック(4極) ※マイクとイヤホンで分離しておらず、1つのジャックのみ
- 消費電力:45W
- 外形寸法(突起物含まず、実測値):386.0(W)×255.5(D)×31.0(H)mm
- 質量(本体のみ):推定2kg前後
- リチウムイオンバッテリー駆動時間:(使用状況により異なる)
- 電源:入力 AC100-240V/2.0A, 出力 DC19.5V/7.89A 150W ※電源ケーブルはコンセントがO2型のため日本では変換が必要、ただしDell/HP製の3ピン型(D社型)電源ケーブルを流用できる

先に挙げたサイトからの情報と、実際に調査した結果をリスト化、画像は実物の撮影である。第7世代i7ということもあり、CPUに関しては殆どの人が満足できる性能を持っているのでこれは問題ない。GPUはプロゲーマーレベルでは確実に物足りないが、ゲームを手軽に楽しみたい人はこれで満足するであろう。なお、デスクトップ版1050-Tiと比較すると、クロックがモバイル版の方が高いことが分かっている。問題はRAMがデフォルトで8GBと少ない点であるが、このPCは当初の予定通り「配信用」と割り切って運用する予定であるので、ゲームをしないのなら増設はしなくても問題ないであろう。
最初の問題:言語変更不可能の壁を打ち破る
調査後、早速検証しようと思った矢先に引っかかった。言語変更ができないのである。通常は”設定/時刻と言語/言語/優先する言語”から任意の言語をダウンロードし、その上で”Windowsの表示言語”をその言語にすることで言語変更ができる。ただそれは、通常のWindowsの場合のみ。スペック調査の時、OSのところで注釈で書いたが、採用されているOSは「家庭中文版」であるので、中国語しか使用できないように制限されている。すぐに使えるとは思っていなかったが、この問題に当たるのは初めてである。
解決策は既に判明している。ライセンスはインターネットによるデジタル認証を使用するので使いまわしが可能である、ということを先駆者が発見している。つまりインターネットが使えるなら、「通常のWindows10」をクリーンインストールすれば日本語化できるということだ。残念ながらライセンスがHomeのためバージョンもHomeしか使えないが、このPCで特殊な作業を要求するようなことはしないので問題ないはずだ。つまり、最新版のWindows10のインストールディスクを作成し、それを使えば良くなる。ということで、インストールディスクは既に作成済みである。なお、執筆時点での最新バージョンは21H2である。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
前段階処理:ライセンスキーとドライバのバックアップ
ただしクリーンインストールを実行する前に確かめなければならないことがある。実行後のドライバの再適用と、万が一認証がうまくいかなかった場合のライセンスキーの確認である。ドライバは古いモデルのため、神舟旧公式サイトから検索してダウンロードして適用するか、現在のドライバを丸ごとバックアップして、クリーンインストール完了後に再適用する、2つの方法がある。確実性があるのは「現在問題なく動いているドライバ」を再適用するもので、バックアップはコマンドプロンプト(管理者権限)で2コマンド入れれば完了である。以下のコマンドを入力すればいい。
1 2 3 4 5 6 7 |
rem 現在使用中のドライバをバックアップする。バックアップできるドライバは普通にインストールされたもののみ rem 先にバックアップ先のディレクトリを作成しておく。実際に使用する場合は[]を任意に書き換える。 mkdir C:\[dir_name] rem dism.exeを利用し、認識可能範囲で全てのドライバを指定したディレクトリにコピーしバックアップする。 rem /online はこのコンピュータを対象とする、/export-driver は全てのドライバパッケージを指定パスへエクスポートする。 rem /destination: は保存先をしていするもので、この場合は先に作成したディレクトリを指定する。これは実行時に必要な指定である。 dism /online /export-driver /destination:"[dir_name]" |
この2つを入力すると、少しの時間を置いてデバイスマネージャーで認識されているもののうち、通常の手段でインストールされたドライバのファイルを指定したディレクトリへ自動でバックアップを行う。ドライバによっては容量が大きいものがあるので注意すること。途中経過は撮影したものの何故かエラーになってデータが消えてしまったので、バックアップ完了後のディレクトリの中身が以下である。重要なデータにつきモザイク処理を行っている。

次に確認するのはライセンスキーである。デジタル認証であるので確認しなくても問題ないが、それがうまくいかなかった場合の一応の保険として用意しておく。Windows10であればPowerShellを使用することで、インチキなウイルス付きフリーソフトを使用せずとも25桁のライセンスキーを確認することができる。PowerShellの呼び出し方は省略させてもらうとして、次のコマンドを打ち込むことで確認できる。
1 2 3 4 |
#ライセンスキーを確認するコマンド。一行で済む。記号の間違いに注意 (Get-WmiObject -query 'select * from SoftwareLicensingService').OA3xOriginalProductKey [5桁-1]-[5桁-2]-[5桁-3]-[5桁-4]-[5桁-5] #表示された合計25桁を写真などで記録しておく。 |
表示された結果について、これを何らかの形で記録しておく。当然ながら今からクリーンインストールしようとするPCに記録しても意味がないので、それ以外のものに記録すること。
Windwos10のクリーンインストール実行
必要な物は揃ったので、クリーンインストールを行う。手順は多いがほぼ一方通行であるので、順を追ってリスト形式で解説する。
- BIOSにアクセスし、”Boot/Boot Type Order”から最初に起動するのを”USB Device”にセットし、セーブしてBIOSを終了する。BIOSはF2で入ることができる。
- インストール画面になったらキーボードの種類を「英語キーボード(101/102キー)」にして次へ。ライセンス認証が求められるがデジタル認証のため「プロダクトキーがありません」を選択して先に進む。インストール対象は元のライセンスがHomeなのでHomeを選択する。その後の例の規約は同意する。
- インストールタイプはカスタムを選択。その後、任意のパーティションを選択して次へをクリック。今回は保険のため、元のOSは残した状態でインストールする。その後は待っていれば、自動で再起動する。
- 1つのストレージに複数OSがある場合、起動するOSを選択する画面が表示される。基本的にクリーンインストール進行中のものが一番上に来るが、迷った場合はパーティション番号で判断する。
- 再起動後は地域設定を日本、キーボードレイアウトはUSキーボードを追加、ネットワーク接続は一旦スルーして、ユーザー名を登録し、プライバシー設定を色々設定してCortanaは「今は実行しない」をクリックして進行する。
- 上記を完了させれば、いつものホーム画面に到達する。この状態でインターネットに接続すれば、後は自動でライセンス認証をしてくれる。これで言語変更を伴うクリーンインストールは完了である。

上記の通りに行えば、何の問題もなくクリーンインストールが完了する。今回は保険として家庭中文版を残す形でインストールしたが、インストールしたそれのライセンス認証が済めば、そのOSはもう不要だ。「ディスクの管理」を使用してその領域をフォーマットし、利用可能にするといいだろう。インストール作業は案外、他のPCと全く変わらなかったようだ。
なお、「ディスクの管理」では削除できないパーティションがどうしても発生する。その場合はcmdを管理者権限で起動し、diskpartを使用して、任意の削除したいパーティションをコマンド形式で削除する。このことは今回の解説の範囲外なので、このページで各自で確認してもらいたい。
ドライバの再割り当て
クリーンインストールすることによる弊害が、ドライバも初期化されてしまうということ。普通ならメーカー公式サイトでドライバが提供されているのでそれを適用すればいいが、最も安全な方法として現在のドライバを再適用する方法をとる。事前にドライバはバックアップ済みであるので、それが入ったUSBなどを接続し、コントロールパネル/ハードウェアとサウンド/デバイスマネージャー から、!マークがついているもの、汎用ドライバとなっているものを対象にプロパティを開き、ドライバの更新を行う。ドライバの検索方法は「コンピューターを参照してドライバーを検索(R)」で、バックアップ先ディレクトリをサブフォルダーも検索する(I)にチェックして指定し実行することで、自動で探して適用してくれる。例として、GTX 1050-Tiを対象に復元を行った様子が以下である。

この方法ではバックアップしたディレクトリから該当するものを自動で探して適用してくれるので、こちらがいちいち探して手動で当てはめる必要がなく、非常に楽である。また、ドライバを間違えることがないというのもこの方法の利点である。インストール型のドライバはどのドライバを示しているのかたまにわからないことがあり、既に入っているものを再適用するといった無駄なことをすることもあり得る。この方法はそれがないので、クリーンインストールを行う場合は中国製PCでなくとも推奨できる方法である。ドライバを全て再適用すれば、クリーンインストールは完了である。
神舟精盾 KINGBOOK T65 実物検証記録
これで普段のWindowsと同じように使えるようになった。次に試すはT65の性能を確かめることだ。これは一般的なベンチマークを使用するものである。それとは別に、配信環境を再現して、配信自体は行わないが録画を行った場合、エンコード飛びなく録画できるかどうかについても確認する。なお、実施時はフルパワーで行えるよう、ACは接続した状態で、ターボブーストは有効にして行う。
ベンチマーク1:Cinebench R23
CinebenchはドイツのMaxon Computerによって開発されている、多くの人が利用しているベンチマークソフトウェアである。定期的にアップデートが行われており、執筆時点でのバージョンはR23である。このベンチマークソフトはCPUのレンダリング速度を用いてベンチマークを行うことができる。無料で試すことができ、その結果は保存可能で、他のCPUとの比較も可能となっている。これを使用してベンチマークを行った結果が以下である。

ベンチマークにより、以上の結果が得られた。シングルコアはともかくマルチコアは4000台なので、性能は十分である。これより上はデスクトップ用CPU、これよりも上位のラップトップ用CPUが存在する。とはいえこれならば、少なくともゲームではない、クリエイティブな作業において動作が重くなるということはないはずである。
GPUについてのベンチマークは行っていない。というのも、かつてのCinebenchはGPU(OpenGL)を計測する機能も存在したのだが、R23は残念ながらそれが存在しない。したがってCinebenchではGPUについては計測不可能である。また、3DMarkが提供するベンチマークソフトはSteamに依存しているため、Steamを接続する予定がないT65では、それらによる検証は不可能である。このためGPUの評価については次のベンチマークソフトで代用する。
ベンチマーク2:FFXV Benchmark
ファイナルファンタジー、通称FFにもベンチマークソフトが用意されている。これも有名なベンチマークソフトであり、ゲーミングPCならデスクトップ・ラップトップ問わず大半がこれを使う。ただ、このベンチマークはインストールが必要で容量も非常に重いのが難点である。よって一度確認したら結果を記録してアンインストールしてしまうのが一番である。SSDを痛めつけるのは好きではないが。このベンチマーク結果が以下である。

ベンチマーク設定は1920×1080, 標準品質, フルスクリーンで実施した。CPUもGPUも現在の最新パーツから比較すれば古い世代のものになってしまうのでどうしても力不足であることは否めない。それが正直に現れた結果であると言える。もっともT65でFFXVをやる予定はなく、あくまでもCPUとGPUの性能を確認するためのベンチマークである。指標としてはわかりやすいので、GTX 1050-Ti(M)のゲーミングラップトップを検討している人には有益な情報となるであろう。
スポンサーリンク
スポンサーリンク
本題:配信環境を再現して録画する
一般的なベンチマークソフトの結果から、普通の設定でゲームをするに十分に足りる性能を持っていると分かった。ただそれはゲームや3DCGを扱う場合においての話。配信の場合は求められるものが異なるため、これらのベンチマークでは実証したとは言い切れない。それでは本題である。実際の配信環境を再現し、配信こそ難しいので行わないが、それと同等の録画を行い、テストする。テストに際し、ACは接続した状態で、任意のゲームをGV-USB3/HDで収録する、実際のゲーム配信等と全く同じ状態で行う。
OBSではGPUがNVIDIAである場合、指定されたGPUを除いてNVEncを利用できる。効率的にはTuring(第6世代)以降のNVIDIA GPUがいいが、GTX 1050-Ti(M)はGP107, Pascal(第5世代)であるので問題なく使用できる。これにより、CPUへの負荷を抑えることができる。この効果はQuadro K2000Mよりも高いと期待できる。また、CPU, GPU共に性能は8570wより上になる。実のところ、i7-3740QM(8570w)とi7-7700HQ(T65)ではクロックは若干の差しかないものの、バススピードが8GT/s, RAMがDDR4-2400まで対応しているため、数値ではわかりにくい部分の性能が向上している。GPUについては言うまでもない。つまり、これまでよりもCPUの負荷を下げられるはずだ。よって、OBSでは録画をNVEnc(H.264), プリセットを安全のためにPerformanceにし、VBRで映像904+音声96kbps, 30fpsで10分間実行し、テストした際の一定時間ごとのスクリーンショットを以下に掲載する。

録画の結果考察
クソフトバンクダメダーSoftbank Airという地雷設備のせいでアップロード速度が非常にお察しなので、そもそも高画質・高音質設定を行っていない。そのこともあると思われるが、左のタスクマネージャーを見れば、ほぼ同じ設定(8570wではNVEncがそもそも使用不可)で8570wで録画した場合よりも明らかにCPUに余裕があることが分かるはずだ。これはOBSでのエンコードをGPUに代行させていることが大きい。これにより、8570wではフレーム飛びが頻発していたのが、T65では全く発生しない、発生したとしても全体の1%程度だけだった。この時検証用にSource Recordを使用してタスクマネージャーを録画していたため2)OBSに、画面全体を録画するのとは別に任意のソースに対して個別に録画ができるプラグイン。フィルタとして適用する。これにはNVEncが使用できず、CPUエンコードのみ使用できる。詳しい使い方は検索してもらいたい。、本来ならもう少し負荷が低くなる。よって実際の負荷は25%~30%台に落ち着くものと見ている。これであれば、少なくともフレーム飛びや動作不良が起きることはないはずだ。
ここで、VSeeFaceはスペック向上に伴い、設定を変更している。検証時は以下のように設定した。
- カメラの設定:1280×720, 30fps(MJPEG, スロー)
- カメラのフレームレート:12fps
- トラッキング品質:かろうじて大丈夫な品質(中品質>当該>低品質)
- マイク:(任意)
- 設定からアンチエイリアシングを2×にする。SMAAはON
- Leap Motionを同時に使用し手もトラッキングする
この状態で動かしていたが、検証中のCPU使用率は終始20%台、GPUは15%台を維持していた。かなり余裕がある状態であった。これであればもう少し品質を上げても支障はないであろう。しかし品質を上げた場合CPU使用率が高くなる可能性が見込まれるので、迂闊に品質は上げにくい。この部分は実際に試しながらの調整となるであろう。ともかく、この設定であれば問題なく動作することを証明できた。
なお、ブラウザやゆかNEOなどはGPU0=iGPUを使用していることがタスクマネージャーから読み取れる。これらには高度な画像・映像処理は基本必要としないので、そのままでも問題なく、CPUに対する負荷も微々たるものでしかない。気にするべきはリソースを消費しやすいソフトウェアなので、CPUを使いすぎていると思ったら、GPUに代行できそうであれば設定を変え、少しでも「エラーのない」配信ないし録画ができるように構築するといいだろう。
これで、全ての検証が完了した。
ゲーミングラップトップを安く手に入れるならマイナーな中国製を狙え
VTuberはYouTuberと違い、ほぼ全てが自身の一意なモデルを持つ。そのモデルを専用のソフトウェアで動かしつつ、同時にOBS等でエンコードと配信を同時に行い、場合によってはそれをしているPCでゲームもする。このときそれぞれの品質設定にもよるが、どれも高品質でやろうものなら石油王スペックでなければ到底無理で、その結果品質を落として妥協するという調整が必要である。だがそのために片方の品質を極端に下げるというのなら本末転倒であり、配信する意味は失われる。とはいえ誰しもが石油王になれるわけではないので、PCスペックがミドルクラスが限界という人も少なくない。実際、私がそうである。
そのためにゲーム用と配信用でPCを分けて配信する、分離配信を行っていた。しかし配信用のPCは普段の作業用として使用しているHP EliteBook 8570wであり、11年前なら最前線のモバイルワークステーションだったこれは現代のパワーを要求されることには到底向いていなかった。そのPCで3Dモデルを動かし、字幕を出し、コメントを取得して表示し、声を変換して喋り、ゲーム用PCから映像をエンコードし、そして配信する。これを全部やろうとするには性能が足りず、一時は断念するほかなかったのである。
そんな中で思い出したゲーミングラップトップの存在。それでゲームをするわけではないので最新のものでなくてよく、最低ラインをこなせる第7世代i7+GTX 1050-Ti(M)を欲していた。しかし需要は大きく、中古市場は常に取り合いの状況。予算3万円以下と決めていた私には厳しい戦いを強いられていた。その苦しい戦いを終わらせたのが、またしても中国製であった。それがLenovoやHUAWEIではない、神舟(HASEE)という名前を全く聞いたことのないメーカーである。おそらく多くにとってマイナーな存在であり、実のところ私自身もその名はYHOC!で見つけるまで知らなかった。そして偶然なことに条件を満たすものがそこにあり、予算以内であったので目を付けた。競合がいるかと思えば殆どがスルー、ストレート落札という快挙を果たす。VKT12/SG-5の時のように、またしても運が良かった。入手後のセットアップには苦労したが、実に単純な事であったので簡単にクリアできた。
このことから言えるのが、もしゲーミングラップトップが欲しいなら、マイナーな中国製を狙え、ということだ。中国製は品質が最低で壊れやすいものと考える人は残念ながら未だに存在する。実際はその真逆、低コストでありながら諸外国と変わらないほどの高品質なものを打ち出せる国に変わったのである。その一方で無能国家ジャップはあらゆる点で退化の一途を辿っているがその事実に気付いているのなら、中国製を狙わない理由などない。そして中国は広い。広さの影響か企業・メーカーも多く、その中には「中国国内では有名だが国外だとマニアしか知らない」メーカーもいる。これが安く入手する助けになるであろう。自分が知らないものを避けるのが人間の基本性質、これを利用して名前や過去の実績を調査すれば、競合を少なくしつついいものを入手できるはずだ。私ができたのだから、試す価値は大いにある。
以上、中国製電子遊戯用PC「神舟精盾 KINGBOOK T65」実物検証!であった。次は何の記事で会おうかな?
KIBEKIN at 00:13 Aug. 31th, 2022
特別追記:マウスコンピューターとの意外な共通点
国内製造を強みとする、マウスコンピューターというPCメーカーがある。私はここがどうにも好きになれないのであまり候補に入れないようにしているが、先日いつものようにYHOC!を漁っていると、ある発見をしたのである。まったく同じ外見をしたゲーミングラップトップがマウスのネームで存在したのである。
マウスもゲーミングラップトップを製造しているのは多くの人が知っていて、G-TuneやNEXTGEAR-NOTEというシリーズが一般的である。そんな中、マウスのラインナップではあまり一般的ではない、m-Bookというシリーズがある。このシリーズは低価格帯のシリーズであるようだが、そのうちのモデルネームに’T’がトップにつくシリーズがあり、これが事実上のゲーミングモデルとなるようだ。この中の”T500″というネームのものに注目していく。これの外見がどうにも気になるので、マイナビニュースのレビュー記事から画像を借り、確認してみることにした。

これを見て、気付いた。外見がT65と全く同じである。このことから導き出される結論は、神舟とマウスコンピューターで何らかの関係があり、それによってパーツのOEM供給がされているのではないか、ということだ。おそらく、中国で生産されたパーツを日本国内に持ち込んで、日本向けの調整を施したのち組み立てて完成品(m-Book Tシリーズ)として販売していることになるであろう。該当のT500BN1はGPUが1060-6GBのため、この点で性能の単純比較はできないものの、このようにパーツの流通があることを考えれば、中国製品の凄さを改めて感じさせる。無論、「はずれ」も未だに存在するのが中国製だが、少なくとも他のメーカーが使用しているのなら、その中国製品はアホな日本製よりも信頼できるものとなるはずだ。したがって、もっと日本人は中国製品への認識を改めていく必要があるだろう。
追記情報
2022年10月23日 マウスのm-Book Tシリーズの外見が全く同じだったことを発見したため、それについて追記
スポンサーリンク
脚注
本文へ1 | Windows10にはすべての言語に対応するバージョンと単一の言語しか使用できないバージョンがある。中国の場合はグレートファイアウォールの関係で多くの海外製品がせき止められている。そのため中国向けに専用調整されたWindowsをMicrosoftは開発し、これを販売している。この関係で単一言語、つまり中国語しか使用できない制約が発生する。言語パックのインストールによるOS言語の変更機能が無効である、ということを意味する。 |
---|---|
本文へ2 | OBSに、画面全体を録画するのとは別に任意のソースに対して個別に録画ができるプラグイン。フィルタとして適用する。これにはNVEncが使用できず、CPUエンコードのみ使用できる。詳しい使い方は検索してもらいたい。 |