この記事の概要を簡単まとめ!
- Androidタブレットに存在する幾多の問題
- 本体は十分に使えるのにOSを上げられなくなることも多い
- 有名メーカー製からはLenovoがタブレットも多数出している
- ソフトバンクモデルのTAB6が大量に中古に流れていることを発見し、これを使ってみた!
- タブレットに求める最低限をクリアし、5G対応SoCを採用している
- データベースではAnTuTu30万点を越しており、ミドルクラス並みの性能を持つ
- ブラウザ・動画は当然のこと、ゲームプレイもだいぶ余裕がある
- 有線ミラーリングは本体スペックの向上で快適性向上
- 64GBしかないのに無駄なアプリが多いので削除は必須
- Lenovoが好まれる理由は確かにあった
自分の能力は、自分のためには役に立つが他人のためには役に立たない。そう思っている人は多いのではないだろうか。私も多くは役に立たないものであると自分で考えていた。しかし最近、私の能力の1つが役に立った出来事があった。中古品を漁るスキルは、元々自分がPCやスマートフォンをアップグレードするために使っていたスキルだ。それをあるものを欲していた人のために安く手に入れて、それを送るということのために応用した。初めて役に立った瞬間である。
その過程で、自分でも使いたいと思えるタブレットを探していた。自分でも使いたいと思えるなら、それは誰かに渡しても問題ないということになるからだ。探すにあたってこれまで中国製品中心であったが、これを変えて有名メーカー製でもあることを条件に変更した。依頼主はそのタブレットでゲームをしつつ、映像をPCに取り込んで配信するために使うことをしたいという要求であったからだ。その条件を満たすものは、中華タブレットではほぼ存在しない。
だがメーカー製であると、新品でも中古でも高額になりがちである。そんな中で発見したのがLenovo TAB6である。ソフトバンクから出ているタブレットであるが、三大キャリアの中でも害悪的存在であるためか、中古市場では一般的な他のタブレットに比べて安くなっている。SoCはSnapdragon 690 5Gであり、性能はAnTuTu平均30万点台、SoCベースではXperia 10 IIIと同じである。ミドルクラスのスマートフォンに匹敵する性能を持つタブレット、今回はその中身を見ていくこととする。
ひとっ飛びできる目次
皆、Lenovoを好む理由がよくわかる
Androidタブレットをとりまく問題
OSで分かれるAndroid
AndroidとiOS、両社ともアメリカ発のOSでありながら、宗教戦争並に対立が起きやすい。OS間で出来ることに差異があり、搭載可能な端末もそれぞれ異なることから、最初は1種類だけでよかったスマートフォンも、両方のOSで1つ以上持つことが前提になりつつある。場合によっては2つ以上になることもあり、昔は無駄な行為だと思われていたそれも、格安SIMを展開するMVNOが乱立したことによって複数回線を持つことが当たり前になり、1つの回線が死んだ場合のバックアップ運用をすることもできるようになっていった。
さて、その中でも世界規模でユーザーが存在し、メーカーによって性能も用途も形状も異なるのがAndroidスマートフォン・タブレットである。多くは性能を気にしているはずで、元々単純なブラウジングや動画視聴にのみ使うものだったそれは、今や写真や動画を高画質で撮ることができるものや、ゲームを高画質60FPSで快適にプレイできることが高性能の基準になってきている。とはいえ機種名でハイエンドなのかミドルなのかエントリーなのかを判断するのは少々難しい。そのため、機種名から性能を調査し、それからSoC, RAM, ストレージなどを比較するのが定番となっている。
だが性能が十分でも、対応するOSがどのバージョンまでかという問題も存在する。iOSでも同じことであるが、Androidではこれが顕著である。というのも、性能的には十分でありながら、発売から2年以上経ったモデルはAndroidの大型アップデート対象から外れることが多く、それ以上数字のバージョンが上がらないこともあるからだ。OSの数字はこれまではあまり問題にならなかったが、配信環境が整いつつあり、スマホゲームの配信も行うことが当たり前になった現代では9と10の差は非常に大きい。この問題で悩んでいる人もたまに見かけることがある。
Androidはなぜ9以前と10以降で問題となるのか
先でAndoridのOSバージョン問題を挙げたが、その対象は主にAndroid9″Pie”とAndroid10’Q’である。この2つの間には、明確にサポートされていることが異なっており、それが配信において使えるかどうかの判定ラインになる。その重要なことが次である。
- Androidを有線ミラーリングする際に最も使用されるツール”scrsndcpy”は、対応するAndroidのバージョンが10以降のものに限られる。Android9ではsndcpyのインストールが不可能なため、音声を伝達できない。
- Android9は画像自体はscrcpyあるいはscrsndcpyで可能であるが、音声に関しては前述の問題のためどうやっても不可能。
- Discordの画面共有による音声共有に関しても同様の制限があり、Android10以降は音声も共有可能だが、9以下では同じように共有不可能である。これは公式発表である1)参照:モバイル画面共有についてのFAQ – Discord。
- 本体の問題として、DisplayPort Alternate Modeに対応するスマートフォン・タブレットはハイエンドモデルになりがちである。その場合はそもそもOS問題が生じない。
上記が9と10で問題になる理由である。配信で使う場合、それがVTuberである前提で考えると、Live2D/3Dモデルを動作させるための機材一式はPCに置かれるので、配信元もPCであった方がいい。そうなれば必然的にAndroidの画面をPCに取り込む必要があると分かるはずだ。この場合は音声も取り込みたいので、音声が対応していない方法は利用しない。また配信においては遅延はなるべく避けたいものなので、その場合は有線で利用することになるはずだ。無線でも可能なものはあるが一部はWi-Fi Directではない、通常のWi-Fi回線を利用した形のミラーリングとなることがあり、それはアップロード速度にも大きく影響する関係上、推奨されない。また、映像・音声遅延も有線より大きくなることも想定されるので、その意味でも避けるべきだろう。
最も理想的なのは、DisplayPort Alt Modeを利用して、キャプチャーボードでゲーム機の映像をPCに取り込むのと同じ方法で取り込むことである。これであればPS4やXboxやSwitchの映像をキャプチャーボードで取り込むときの設定や配信画面を流用しやすく、構築に困ることが少なくなるためだ。しかしこの機能はハイエンド機のみの搭載であることが多く、それは中古でも高額なものになりがちである。またこの方法を利用する場合、キャプチャーボードはハードウェアエンコードでなければ直接取り込めない。これはAndroidに搭載されているHDCPが原因である。ソフトウェアエンコードで利用する場合、HDMIスプリッターを利用し、HDCPをカットした状態で取り込む必要がある。しかし最近は対策によってスプリッターも貫通できなくなっていることが多い。
DisplayPort Alt Modeを搭載していないモデルのユーザーは、USBデバッグモードで利用できる”scrsndcpy“を利用することで解決する。しかしここにOSバージョン問題が関わってくる。上記の条件によってAndroidのバージョンが9以下では音声は取り込めないので、配信で利用することが非常に困難になってしまうのである。強引な解決手段としてスピーカーをクソデカにしたうえで音声を取り込むという方法があるが、非効率的であり音質も圧倒的に悪くなってしまうので、全く勧められない方法である。それは例え本体がまだ使えるものであっても、である。Androidは9以下に人権はないようだ。
有名メーカー製を選択する決断
そんな中、私にある依頼が来た。それは「配信で使えるタブレットが欲しい」ということである。依頼者は元々タブレットは持っていたが、前述のOS問題に引っかかって配信では使えないものになっていた。モデルはHUAWEI MediaPad M5 lite 8で、おそらくRAM 4GB/ROM 64GBのモデルである。SoCはKirin 710を採用し、AnTuTuはRAM3GBが10~11万点、RAM4GBが15~17万点を記録する、単純な性能で考えるとまだそれなりに使えるモデルである。だが、あるゲームの配信を行いたいという要求に、MediaPad M5は答えることができなかった。また、HUAWEIはGoogleから村八分を食らっている以上、Android OSやGoogle Playが利用できない。それらのリスクを考慮しても使い続けるのは難しいものになる。
そこで私は依頼を受けることになったわけだが、私は中華製品ギャンブラーであるので「自分で使う」前提であればそれでよかった。しかし依頼者は私が最も信頼し応援している人物であり、それらの技術も知っていることには知っているが、高度な部分は流石に難しいというタイプである。高度な設定を前提とするようなものは流石に避けるべきだろう。また、いくらAndroidのバージョンが10以上であっても配信の用途と言えばゲームになるはずで、それを前提にすればスペックも重要になる。もっと言えばDisplayPort Alt Modeを搭載し、(ハードウェアエンコード型キャプチャーボードかスプリッターを経由する必要があるが)HDMIでPCに取り込めれば非常に楽なはずだ。scrsndcpyも不可能ではないのだが、画面の固定方法や解像度の設定が面倒であり、負荷も決して無視できないためである。その条件を満たすものは有名メーカー製にしかないと考えた私は、真面目にそれを調べることにした。
PCに強いLenovoがタブレットも出している
まずは有名メーカー製としてどこを挙げるか、ということになる。前述のHUAWEIはGoogle村八分問題から安定して使えないことを考えるとそれは確実に候補ではない。また、Android「タブレット」となった場合は、スマートフォンで強い有名メーカーでもタブレットは作っていないことが多いようである。現在確認できるのは、Google, Lenovo, Samsung, NEC, Xiaomiなどである。そもそもAndroidではないAmazon(Fireシリーズ)やMicrosoft Surfaceシリーズ(OSがWindows)は対象外である。そのため、これらの中から探すことにした。
前提条件はAndroid10以上であり、Snapdragon基準で660以上(AnTuTu平均20万点以上)で、タッチパネルの反応がほぼリアルタイムであることだ。依頼者は音ゲーをしたいということであったので、画面の遅延や微妙なタッチの遅れは即ち「死」である。中華タブレットの場合は内部性能は十分でも画面性能が疎かになっていることは少なくないことで、さらに有名メーカー製でもエントリーモデルはこれが疎かにされている可能性もあり、選ぶべきではない。そうすると必然的に選ぶべきものが限定されてくる。しかしどれも新品では当然高く、中古でも高値を付けるものが多いため、なかなか探しにくいものになる。
そこで目を付けたのがソフトバンクだ。ソフトバンクでもAndroidタブレットを販売しており、そのメーカーはLenovoである。Lenovoは中国系であるがアメリカの規制を受けていないというところがポイントであり、しかもキャリアモデルは通常のメーカー製と比較しても中古市場価格が下がりやすい傾向があるので、狙い目の1台である。そのモデル名はTAB6である。スペックを調査すると、MediaPad M5 lite 8に対してAnTuTu単純比で約2~3倍、10.3インチでフルHD(1920×1200)、ROMは64GBだがSDXCは2TBまで対応しているもので、ヤフオク価格では平均価格が¥15,000~20,000とそこそこ安値を付けている。私は以前にAlldocube iPlay 30 Proを入手して愛用していたが、調査の過程で自分でも欲しくなり、平均価格より下のものを2台確保し、うち1台を依頼者に送り、もう1台は自分で使うことにした。そうして気付いたことは多く、iPlay 30 Proよりもできることが多かった。キャリアモデルというマイナスポイントは実は自分でどうにでもできるもので、これを消せば非常にコスパが高く、誰でも満足するタブレットであることが分かった。よって今回はTAB6について詳しく見ていくこととする。
安定のLenovo製 TAB6 A101LV
基本:TAB6の調査
Lenovo自体の解説はもはや不要であろう。よってまずはTAB6の調査を行う。中古品での入手のため、箱は存在しない。公式サイトと価格.comから確認できるスペックデータ、SoCはQualcomm公式サイトとベンチマークサイト等の情報をまとめ、以下の通りになっている。
- 名称:Lenovo TAB6
- 型番:A101LV
- 全高×全長×幅:244×158×8.3[mm]
- 重量:498[g]
- インストールOS:Android 11
- CPU:Qualcomm Snapdragon 690 5G ( 2x 2.00GHz – Kryo 560 Gold (Cortex-A77) + 6x 1.70GHz – Kryo 560 Silver (Cortex-A55) )
- GPU:Qualcomm Adreno 619L 565MHz ( OpenGL ES 3.2, OpenCL 2.0 FP, DirectX 12, Vulkan 1.1 )
- RAM:LPDDR4X 1866MHz 4GB
- ROM:64GB
- 追加ストレージ:micro SDXC x1 (SIMトレイ手前側に設置) (最大2TBまでサポート)
- 画面:10.3インチ、1920×1200(WUXGA), TFT液晶
- タッチスクリーン:リフレッシュレート60Hz, タッチサンプリングレート不明、画面占有率84%, HDR: Dolby Vision、HDR10、HDR10+、HLG対応、10点マルチタッチ
- カメラ(フロント):800万画素、電子手振れ補正対応
- カメラ(リア):800万画素、フラッシュライト、電子手振れ補正対応
- ネットワーク:nanoSIM x1 (シングルスロット)
- 対応バンド:この公式配布資料を参照のこと。
- Wi-Fi:IEEE 802.11 a/b/g/n/ac (2.4GHz/5GHz両対応)
- Bluetooth:5.1, (プロファイル:A2DP、AVRCP、FTP、HDP、HFP、HOGP、HSP、MAP、OPP、PAN、PBAP、PXP、SAP) (コーデック:Decoder: AAC、AAC+、AIFF、ALAC、AMR、APE、eAAC+、FLAC、MP3、PCM、Vorbis
WMA Encoder: AAC、AMR、APTX、APTX HS、EVRC、LATM AAC、LDAC、QCELP、SBC) - 搭載センサ:近接センサ、照度センサ、加速度センサ、モーションセンサ、歩数計センサ
- GPS:GPS・GLONASS・A-GPS・BeiDou・Galileo・QZSS(みちびき)対応
- その他の搭載機能:顔認証機能(フロントカメラ使用)、ハイレゾ対応、防塵IP5X・防水IPX3、DisplayPort Alt Mode対応
- インタフェース:USB Type-C 3.1, φ3.5mmイヤホンジャック(4極)、デュアルスピーカー
- バッテリー:7500mAh, 有線、USB Power Delivery対応(推定18W)
- カラー:アビスブルー・ムーンホワイト
- 発売開始日:2021年10月22日
- 発売価格:¥36,720

外見はシンプルであり、余計なものは全くついていない。それでいて最低限必要な物は完備している。タブレット上側面にはφ3.5mmイヤホンジャックがあり、右側面に音量ボタンと電源ボタン、SIM/SDXCトレイがある。スピーカーは上下についているデュアルタイプである。何もない左側面を下にして横置きしたときに左右から聞こえる設計になっている。接続は現代の規格に合わせたUSB Type-Cであり、有志によれば転送速度は3.1の規格、USB Power Deliveryで推定18Wの充電が可能であるという。センサ類にジャイロが存在せず、SONY製でもないのでNFC・FeliCa非対応であるうえにワンセグも搭載していないが、タブレットなので外で振り回して使うのは稀であり、今やテレビも不要なものに扱われてきている。ソフトバンクから出ているのでソフトバンクのSIMが使えたとしても、このタブレットで通話はなかなかしにくいはずだ。そう考えたとき、オミットされた機能が存在するのも納得できることである。5G対応なので、5Gテザリングしたい場合には使い勝手はあるだろう。
TAB6の特徴と機能
TAB6の特徴を見ていく。まずはSoCとしてSnapdragon 690 5Gを搭載しているところがポイントである。最近のタブレットはWi-Fiモデルであることを明記しない限り、SIMを利用可能になっているものが多くなっている。それでも大抵の人は白ROMとして使うことが多いと思われるが。キャリアモデル(ソフトバンク)ゆえ、対応するバンドはソフトバンクのみであり、使い勝手は悪い。まともに5Gが提供されるエリアにいる場合はSIMを挿して5Gタブレットとして利用し、テザリングでも使うといいだろう。幸いにしてAndroidの場合テザリングはしやすいため、少なくともそれで困ることはないはずだ。このSoCはXperia 10 IIIでも採用されているもので、Xperiaとしてはミドルクラスのものにあたる。SoCのみで考えるとそれと同等の性能を持っていることがこのことからわかる。
ではSoC周りはどうか。この場合次に注目したいのはRAMである。これが低いとまともに動かせないことが定番だからである。搭載RAMはLPDDR4X 4GBであり、周波数はSoCデータから1866MHzとなっている。ROMは64GBと、一般的なスマートフォンの容量である。最低限4GBあれば操作時に重いと感じることはないはずで、流石に高画質のゲームを動かすなどではこれは流石に支障が出る可能性も高いが、そうでないのであれば軽いゲームもサクサク行けるレベルである。一方容量については、タブレットでありながら64GBと少ない印象を受ける。その分SDXCは2TBまで対応しており、外部ストレージで殴れば一応は何とかなるものになっている。ただし、キャリアモデルゆえに邪魔なプリインストールアプリが多すぎて、それに容量を食われすぎていることが問題点である。ただでさえ少ない容量を圧迫しているのは、キャリアモデルの悪い癖と言えよう。これはUSBデバッグとADBを用いた方法でいくらでも対処できるので問題はない。この方法は後述する。
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多くの人が気になることといえば、1回の充電でどれくらい持つかということである。搭載しているバッテリーは7500mAhであり、新品で3万円台のものならかなり大容量だ。ただし、バッテリー自体の損傷程度や使用するアプリによって激しく消費することは変わらないほか、SoCの基本性能が高いこともあって要求される電力が大きいことも想定されるため、外に持ち出して何かするのであればモバイルバッテリーとモバイルWi-FIは必須となるだろう。また、頻繁に充電と放電を繰り返していると劣化するため、そうなってしまうと長くはプレイできるものではない。それを考慮してか、「設定/電池」の項にバッテリー保護モードがある。電池残量を40~60%で充電を維持するモードとなり、屋内で使用する場合はこのモードでバッテリーを長持ちさせて使用すると安定するだろう。Type-Cを様々なものに変換するキットを利用すれば、充電と同時に様々なことができるはずである。
Lenovo TAB6 使ってみた!
TAB6をいくつかの用途で実際に使用し、どのような感じかを確認していく。
一般実験:cleaちゃんを1080pで再生
最も一般的な用途となる、ブラウザでの利用をまず検証する。Snapdragon 690 5Gという決して弱くなく、一般的なスマートフォンでも採用されているSoCである以上、ブラウザで動作が不安定になることはまずありえないものであることは確定している。ベンチマークそのものは既に検証している人がいるためベンチマークは行わない。SoC単体での情報はこのページ、TAB6としてのベンチマークはこのページから確認できる。
まずはブラウザを普通に利用して、問題がないかを確認する。文字入力、画像の表示等を行い問題がないかどうかを確認する。その様子をAndroid標準のスクリーンレコードで動画として収録したのが以下である。なお、解像度は容量の関係で落としている。
ここではcleaちゃんを検索した結果をベンチマークの代わりとしている。これを見る限り、動作に支障のあるようなことは起きていないことが分かる。そもそもの話、これくらいがさらっとできなければスクリーンレコードも同時に動かせないであろう。よってこの実験では問題ないことが分かった。
では次に、YouTubeで1080pの動画を再生したとき、果たしてスムーズに再生できるかを確認する。対象の動画はcleaちゃんの「なにやってもうまくいかない」である。録画については、スクリーンレコードでは内部音声も同時に録音できない関係で、scrsndcpy経由での録画としている。容量削減のため、解像度とFPS値は落としている。また録画時のミスで、音声が小さくなっている。
この動画だけでは判定しにくいとは思うが、実際のTAB6の画面では遅延やロスは発生したことを確認できなかったので、問題なく再生できていることになる。よって一般用途には問題なく使用できることが分かった。RAMが4GBというのは少々不安要素ではあるものの、よほどタブを開きまくるなどをしない限りは不具合は発生しないはずだ。
主な使用目的:SuperDisplayによるサブディスプレイ化の検証
前回のiPlay 30 Proの記事を見ている人なら分かるが、タブレットを入手した本当の目的は簡易なサブディスプレイの追加のためである。スペースの関係で大型のモニタを置けない環境にある中で、10~12インチのそれなりに反応速度がちゃんとしているディスプレイとして利用できるアプリが多数存在し、それによってその場でサブディスプレイを追加できるようになっている。今回も検証で使用するアプリは”SuperDisplay“である。
検証内容は前回とほぼ同様のことを行う。SoCがiPlay 30 Proよりも性能が高いものになっているので、描写画質、反応速度といったモニタ性能は以前のそれよりも高くなっていることが期待できる。実際の使用は拡張モードであるが、検証する場合はミラーリングで、タイマーやストップウォッチの機能を使い、同じ画面でどれくらい遅延するかによってその性能を判定することとする。当然のことながらスクリーンショットでは不可能なので、両方の画面の直撮りによってそれを判定する。その動画が以下である。
音声は前回と同様、編集でクリックする瞬間のみの音を再生している。また、接続はUSB2.0である。まずはストップウォッチ機能でどれくらい遅れが発生しているかを確認した。前回のiPlay 30 Proは平均遅延時間が300ms前後であるが、TAB6は平均遅延時間が50ms前後であることが確認できた。動画実験においても全く遅延しているように見えないので、反応速度が確実に高く、ほぼリアルタイムで映像が出力できていると分かる。無論、これをメインディスプレイとして使用するには無理があるが、モニタ用のサブディスプレイとして使用するには十分な性能である。また、このことからSoCの性能が画面描写に影響することも考えられる。かといって高性能なタブレットをサブディスプレイとして使用するのは勿体ない気もするが。
SuperDisplayの使用方法についてはここでは割愛するが、接続がUSB 2.0でも殆ど遅延なしで映像出力が可能であると分かった。TAB6は規格がUSB 3.1であるので、それに対応したType-Cケーブル(できれば両端がType-C)で接続すればより遅延を小さくできるものと考えられる。とはいえ2.0でも十分なくらいの低遅延なので、タッチして使うなどでない限りはこれでも十分である。
おまけベンチマーク:PUBG Mobileはどれくらい楽か
次にゲームにおけるベンチマークを実施する。Androidの場合はどうしても孕原神をベンチマークとしたがるのだが、その時代的傾向は一切考慮せずに、前回と同様に簡易ピネガキ製造スマホFPSことPUBG Mobileをベンチマークに使用する。このとき、初めてログインした状態での初期設定値はHD、フレームレート高、アンチエイリアスなし、シャドウ有効、自動調整無効である。残念ながらどう頑張ってもHDR以上にはなれないようだが、所詮スマホ向けなのだから気にすることはない。画面サイズ的にはiPlay 30 Proと同じだが、基本性能が上な分TAB6の方が楽にプレイできる。もっとも公式大会ではタブレットは使えないことは変わらず、ジャイロもないのでそれに比べると負けやすいが、少なくとも普通にプレイする分には問題ないものとわかった。以下はその際の一瞬を切り取ったものである。
iPlay 30 Proの時と比較した場合であるが、元々低負荷になるように設定を変更していることもあって見た目的にはそれほど変わらないようには見える。しかしSoC性能が高いためか、キャラクター移動や視点移動に伴う描写処理によって一時的にFPS値が落ちることが多いが、その現象はTAB6ではあまり見られなかった。RAMが4GBというのは重いゲームを前にすると少々不安定になってしまう可能性があるが、そもそも本格的にやりたいのであればiPad ProかASUS ROG PhoneやXperia1などを選択するので、タブレットにそこまでの性能を求めても仕方ないものになるであろう。よって現時点では、重いゲームをしないのであればSnapdragon 690 5Gは必要十分であると判定できる。
キャリアモデルのため専用アクセサリが複数存在する
一般的にタブレットは、専用アクセサリが少ない。それは多くのタブレットはメーカーから家電量販店などに輸送されて直接販売され、それを購入するパターンが多いからである。ミドルクラスからハイエンドになる場合は保護ケースや専用に調整された保護フィルムが同時に販売されていることもあるようだ。しかしいずれも、キャリアとは無関係なサードパーティ製であることが殆どである。販売場所はガバガバAmazonからYahoo・楽天・メルカリ・ヤフオクなど様々である。
TAB6の場合は、ソフトバンク公式からの販売というわけではないが、キャリアモデルのためTAB6用に調整された専用アクセサリが多数確認されている。TAB6用の各種目的に合わせたフィルムや、TAB6のカメラの位置が開いているケース兼スタンドが存在することを確認した。また、Lenovoが公式で販売しているスタイラスペン”Lenovo Precision Pen 2“にも対応している。TAB6にはプリインストールアプリとしてBamboo Peparがあり、それ以外のペイントアプリでも普通に使用できることが有志により確認されている。流石にiPadには負けるものの、十分に使えているようだ。純粋に絵を描く用途でも利用できることは確実である。
64GBしかないのに無駄なアプリが多いので削除は必須
キャリアモデルが嫌われる最大の理由が、無駄なアプリが多いことだ。それが簡単に削除できるものであるなら特に文句は言わないが、大抵の場合そのアプリは削除不可能であることが多い。本体容量が十分にあるというのならまだしも、64GB程度しかない場合でそれをやられると相当腹が立つ案件になるはずだ。Androidの場合は殆どがmicroSDXCカードをサポートしているのでそれで写真や動画、その他の容量は確保できるが、実のところRAMも非稼働アプリが微小ながら占有していることもあるので、削除することはタブレット全体の動作の安定性に直結する。
しかしプリインストールは削除できない、先にそう言ったが、Androidで開発者モードを有効後にUSBデバッグをONにし、Googleが提供するAndroidデバッグツールであるADB(Android Debug Bridge)を利用することでアンインストール可能である。ただ、ADBはWindowsの場合、標準機能であるコマンドプロンプト(cmd)経由で行わなければならず、アプリ名ではなくパッケージ名から探し当てて、それを完全名で指定しなくてはならないという手間が存在する。cmdである以上アプリアイコンがなく、文字だけで探すという、多くにとってきついことをしなければならない。また、誤って別のアプリを消してしまう危険性もあって、Androidに詳しくない人は触るべきではないことでもある。
それを解決するツールが既に存在し、有志によってGUI形式で簡単にアプリを管理できる”ADB AppControl“で不要なアプリを無効化、アンインストールすることができる。詳しい使用方法は他のサイトに預けるが、これを利用するとアプリのアイコンも表示して選択できるので、まず間違えることがなくなる。ユーザーのやることは開発者モードを解放してUSBデバッグモードをONにして接続するだけの簡単なお仕事である。しかもアンインストールと同時にバックアップを取ることも可能になっており、不具合対応しやすくなっている。cmdに慣れている人でもこちらの方が圧倒的に楽なので、使えるのならこっちを使って気楽にアプリをアンインストールしていくといいだろう。そうすることで快適にTAB6を使えるようになる。

Lenovoが好まれる理由は確かにあった
スマートフォンとは異なるものとして、OSはそのままに画面を大型化して、よりクリエイティブ系やゲーム向けに設計されることの多いタブレット。OS別でiOSはiPad, Androidは単にタブレットと呼ばれることが多く、クリエイティブ系特化はiPadの方が強く、一般用途には価格が抑えられるタブレットの方がいいと言われており、実際その傾向がある。かといってAndroidタブレットがクリエイティブ系に使えないわけではなく、iPadには流石に及ばないが十分な機能を持ったものも多数存在する。その結果、タブレットもエントリーからハイエンドまで様々存在することになった。
今回の依頼者のタブレットはHUAWEI MediaPad M5 lite 8であり、性能としてはまだ十分現役でも行けるものであったが、Android OSが9で止まってしまったこと、Google村八分問題によってGMSが利用できず、Google Playも利用できないことが問題点として挙げられる。また、Androidが有線・無線問わずPCに映像を伝達する際、音声も同時に伝達できるかという点でもOS問題が生じる。結論としては、Androidが9以下の場合音声は伝達できないので、現在人気の配信においてAndroidのコンテンツを配信することが実質不可能である。なのでスマホ配信者は総じてAndroidのバージョンが10以上であることの証明である。
私の場合は中華製品ギャンブラーであるので、自分で使うなら安いAndroid10以上のタブレットでも良かった。主な用途はサブディスプレイ化であるからだ。しかし依頼者はあるゲームを配信でやりたいという要求であったので、中華タブレットでは満たせるスペックのものがないと判断し、メーカー製で探すことを決定した。しかしメーカー製となると高くなりがちでなかなか探すのが難しいとなった中、キャリアモデルということで通常よりも安く出ているものを発見した。それがLenovo TAB6である。SoCと画面サイズは十分、RAM4GBというところに少々不安要素はあったものの、依頼者が実際にそれを使用し問題なく配信が出来ている所を確認できたので、私の選択はOKだったと判定できる。あとは使っていく過程で何らかのトラブルが発生することが予想されるが、私も同型のものを持って実際に使用しているため、アフターサービスにも対応できる。そして、皆Lenovoを好む理由がよくわかったというものである。キャリアモデルという難点は自分で何とでもできる以上、中古なら十分選択肢となり得る。安いが性能も捨てたくないなら、これを選んでいくといいだろう。
以上、Lenovo TAB A101LV:安いけど強いタブレットの実験、であった。次はどのタブレットを探そうかな?
KIBEKIN at 00:00 Apr. 5th, 2023
特別追記:購入14日目にして不具合に遭遇し手放した
購入後、自分のタブレットとして活用してきたTAB6だが、いつも通りαUでcleaちゃんと話をしている時に悲劇が発生した。いきなり、何もしていないのに液晶部分に謎の線が入り、ソフトウェアエラーを疑って対処を行ったものの、回復させることができなかった。つまり、ハードウェアエラーである。具体的な症状は以下の画像の通りとなった。

この問題が発生する前の使い方といえば、αU、ブラウザ、SuperDisplayによるサブディスプレイ化程度であり、αUを除いて極端に負荷がかかるものではない。落下などは一切せず、普通に使っていた時に発生したものであり、このタブレットがたまたま初期不良であったということになる。また、この状態になったことによって、常に特定の場所にタッチ判定が出るようになってしまったのでまともに使用することはできなくなった。サブディスプレイに使用するにしても、この状態ではまともに見ることができないであろう。
販売元では30日間の中古保証を行っており、この症状について連絡したところ、「通常使用による不良は保証の対象である」との連絡を受け、販売元に対して着払いで発送し、到着後に返金処理を行ってもらった。販売元としてもこのような初期不良は予測不可能なものであったと考えられる。つまり、たまたまはずれを引いてしまったということである。
このような経緯があり、既に手元にTAB6はない。そして古いタブレットであるiPlay 30 Proも売ってしまったので、サブディスプレイとして使えるタブレットはなくなってしまった。幸いにしてまだ生きているiPhone 6Sを上手く利用してサブディスプレイ化する方法を見つけたため、とりあえず活動は継続できる。とはいえ、あまりにも悲しい出来事であり、精神的なダメージは計り知れないものであった。その出来事にただ、枕を濡らすだけであった。
追記情報
2023年4月7日 TAB6が初期不良に見舞われ、返金対応をしてもらったことを追記。手元にTAB6はもうない。
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脚注