この記事の概要を簡単まとめ!
- お茶を濁すにはちょうどいい海外ドラマの概要レビュー
- 海外ドラマ人気作品もいずれは打ち切りになる運命
- 死のコロナウイルス情勢が打ち切りの原因であることも少なくない
- 第2回はシーズン5を最後に最近終了した”MACGYVER/マクガイバー“
- 主人公アンガス・”マック”・マクガイバーは銃を使わず科学とマルチツールで全てを解決する
- シーズン初回から途中まではCSI: 科学捜査班のレギュラーだったジョージ・イーズも出演
- 科学の基本知識を知っていると即興の内容に「驚きの連続」
- マルチツールはビクトリノックスのあらゆるモデルを意外な使い方をする
- 科学もマルチツールも好きなら楽しめる名作、完結しているので一気見OK
自分が好きだったものが終了すると、悲しいものである。終了の形には無期限休止のような、もしかしたら再開するかもしれないという意味合いを含ませたものも存在するが、それが本当に活動再開するのは稀である。大抵の場合は金がなくなったなどの、「普通に生きることに支障が発生する事態に遭遇した」ということが多い。再開の理由がそれだったとき、果たして素直に喜べるのかといわれると微妙である。
終了して残念に思った最近の出来事は、よく観ていた海外ドラマの続編打ち切りが確定し、最終話まで放送されたことでシリーズとしては完全に終わってしまったことである。その海外ドラマのシリーズは”MACGYVER/マクガイバー”。80年代に生きた人は知っているが、かつての「冒険野郎マクガイバー」を現代の科学事情に合わせてリブートしたドラマである。オリジナルの設定を踏襲しながら、80年代ではまだ一般的ではなかったインターネットの追加、世界情勢のドラマへの反映もあり、かつての同名ドラマとは大きく違ったものになっている。
話の内容が違えど、共通しているのがマクガイバーの設定である。銃を使わない、科学知識の宝庫、天才的閃き、即興であらゆるものを作る、マルチツールを常に持ち歩く。この中でマルチツールは両ドラマの象徴であった。今回は現代リブート版となる”MACGYVER/マクガイバー”について、シリーズを全部観てきた私がそれを知らない人に概要のプレゼンを行う。シリーズが完結しているので、興味がある人なら一気見してしまえるほどのドラマであることを、熱く語っていくこととする。
ひとっ飛びできる目次
ブンブンハローマルチツール大活躍ドラマ、どうもKIBEKINです。
海外ドラマレビュー 第2回
海外ドラマファンは意外にも多い
インターネットで特定のドラマの名を入力したり、SNSでその名で検索をかけると、何かしらの情報が必ず出てくる。それはどのタイプのドラマでもそうで、流石に放送前の最新ドラマとインターネットが一般化する前に放送されていたドラマについては情報が少ないが、現在放送中のドラマの過去のシリーズやストーリーについては、多くの情報を見ることができる。
このうち海外ドラマについては、その性質からインターネットの方が情報を収集しやすい。そのドラマの製作された国にもよるが、(情報統制されていなければ)まずその国の言語で書かれた情報が目に入り、次に日本語で書かれた情報が少しずつ現れることが一般的である。大抵の場合は放送権利が許可されるタイミングの関係からWOWOW契約者によるレビュー系の情報が最も早く日本語情報として流れることが多い。その数か月遅れでCSの海外ドラマを中心に扱うチャンネルを契約しているユーザーのレビューが流れることであろう。
そうして調べてみると分かることが、日本において海外ドラマファンは意外にも多いということだ。私はアメリカ系の海外ドラマをよく観ているのでその情報を調べているが、日本語名(日本版タイトル)で調べれば日本語の情報が出てきやすい。原題で検索すれば製作国の言語の情報が現れやすい。1シーズンしか製作されなかったなどのマイナーなドラマとなると情報量は少なくなるが、それでも観ている人でブログを持っている人などがそのことについて書いていることはあるようだ。
個人の情報がない場合で最も頼りになるのは、海外ドラマを放送するCS/BSのチャンネルのホームページである。現在放送中・放送予定・過去放送したドラマについての概要が書かれていることが多く、放送完了分は詳しく書くところは1話毎のあらすじまで書いてくれるところがある。スーパー!ドラマTVは放送完了分のあらすじをちゃんと書いてくれているので、大体どんな話なのかが分かるようにもなっている。ほか、ドラマにまつわる小話なども書いてくれたりするなど、サービスは割といい。
人気作品でもいずれは打ち切りになる運命
どんなものでも、元ネタとそのネタをドラマにするにあたって脚色を加えるためのスタッフが存在する。原則として1話完結型のドラマが多いので、綺麗に1話で完結するように話が作られる。その際にネタにするものは世間一般に知られているものからマイナーなことまで、何でも題材とする。ただ、題材は無限にあるように見えて有限である。作るにあたってなるべくネタが被らないようにしているとはいえ、どう頑張っても同じような話になることは避けられない。しかしシリーズのファンであれば、あまりその部分を気にしている様子はないようだが。
様々な工夫を凝らし、時には有名監督・製作ディレクターによる特別なストーリー、役者自身が脚本を書き、それに沿って製作されるということが(日本以外の)ドラマではよくある。これらは時々行われ、普段の製作陣とは違ったタイプのストーリーとして楽しむことができる。また、同シリーズのスピンオフ作品が作られる際、そのパイロットエピソードを実質的なクロスオーバーとして放送することも多い。或いはまったく別のドラマとのクロスオーバーも、たまに行われることがある。
ただ、そうはあっても始まりがあればいずれ終わりがあるのが全てのコンテンツの常。視聴率の低下、出演者ないしスタッフの不祥事、不可抗力の事情、世界情勢の影響、新しいドラマ製作のために終了、最初から特定のシーズンしか製作しない等、様々な理由によってドラマは打ち切りになることがある。打ち切りの発表に関しては言語国ですら唐突であることが多く、当然その情報が日本に来るまでのラグがあるため、その情報を聞くのもまた唐突であることが多い。
伝説的ドラマとも言える”CSI: 科学捜査班”や”クリミナル・マインド”も、かなり長い間放送されていたものであるが、これも全てのシリーズが完全に終了した。ただし情報によればCSIは”CSI: ベガス”として新作が製作されているようであるが。もっとも、クリミナル・マインドは主演であったトーマス・ギブソン(役:アーロン・ホッチナー)の不祥事によって強制離脱となり、主役の不在によって過去に出演していた人を戻して代役を立てて進めていたものの、最終的にどうにもならなくなったようである。また最近の場合は死のコロナウイルスによって撮影自体が進まず、その結果打ち切りになってしまったということもあるようだ。影響は様々なところに飛び火しているわけで、一般人が影響を受けるならドラマの現場も影響を受けていたというわけで、根深い問題である。
第2回はシーズン5を最後に最近終了した”MACGYVER/マクガイバー”
その死のコロナウイルス情勢の影響をもろに受けて、撮影が難航した結果、予定されていたシーズンが突然打ち切りとなった人気ドラマが存在する。それが、2016年9月23日から2021年4月30日まで放送されていたアメリカ発の痛快アクション超大作ドラマ”MACGYVER/マクガイバー“である。最新ドラマとしてはアメリカでもかなりの人気を誇っていたこれ。シーズン4も放送和数を22話台にする予定が、おおよそ10話くらいまで作ったタイミングで死のコロナウイルスに巻き込まれ、シーズン4で完結する予定だった話はシーズン5へと持ち越しとなり、シーズン4で主要人物を無理矢理退場させるような形で話を強引にまとめるように再構築された。そのため、シーズン4の終盤はとにかく人が死にまくり、話も急展開すぎることが多々あった。そして最終的にシーズン5を最後に打ち切りとなり、半ば無理矢理な形で完結させられることになった、悲しき事情の末に終了したドラマである。これも新型生物兵器コロナウイルスによる人為的災害の結果現在の状況を考えると、仕方ない話である。
そんな経緯があり、シーズン開始から終了までの5年間、マクガイバーを見続けてきた私である。このドラマを観ていた理由は2つある。1つが、CSI: 科学捜査班においてニック・ストークスとしてシーズン14まで出演していたジョージ・イーズがシーズン3まで主役の1人として出演したこと、もう1つはマクガイバーがとんでもないスケールのドラマであると聞いたためである。このドラマ自体は80年代の「冒険野郎マクガイバー」の基本設定を引き継ぎ、それを現代の科学事情と世間・世界情勢を反映してリブートされたドラマとなる。しかしそのリブート元よりも圧倒的にスケールが大きくなり、80年代当時ではまだ一般的ではなかったインターネットと電子機器も追加されて、物理化学に加えて情報・電子やディープウェブ・ダークウェブのネタもあるという、あらゆる現代技術のミックスで構成されたドラマとなったのである。
私は一応、高額部工学部の出身であり、電気電子に加えて情報も習得していた身である。つまり、それらの基礎知識は知っていることになる。そしてマクガイバーでは、それらの基礎知識を前提として、(非)実用的な使い方をして迫る難関・難題を突破していくというところで、ツッコミを入れながら観ることができる。そしてマクガイバーで特徴的なのが、それらのシーンで必ずビクトリノックスのマルチツールが使用されるということである。これらの点を考慮しても面白いドラマであるのだが、逆に知識がないとなかなか観る気が起きないようなものでもある。ということで、今回はマクガイバーについて、「概要」をレビューして興味を持ってもらえるように解説していく。
MACGYVER/マクガイバー 概要レビュー
マクガイバーを解説するにあたり、「冒険野郎マクガイバー」を旧マクガイバー、”MACGYVER/マクガイバー”を単にマクガイバーと呼称し、主人公のアンガス・マクガイバーについては愛称のマックとする。
マクガイバーのドラマ基本情報
まずはマクガイバードラマの基本情報を解説する。なお、以降の情報はマクガイバーに関するネタバレを含むため、閲覧には十分注意すること。
- MACGYVER/マクガイバー(原題:MacGyver)
- 放送開始~放送終了:2016年9月23日~2021年4月30日(アメリカ・CBSでの放送時期) スーパー!ドラマTVではシーズン1が2017年6月14日から放送開始
- シーズン数及び話数:5シーズン、全94話
- 主な出演者(シーズン順)
- ルーカス・ティル:アンガス・マクガイバー
- ジョージ・イーズ:ジャック・ダルトン(シーズン3途中まで、シーズン5で死亡扱い)
- トリスティン・メイズ:ライリー・デイヴィス
- ジャスティン・ハイアーズ:ウィルト・ボーザー
- サンドリーヌ・ホルト:パトリシア・ソーントン(シーズン1終盤まで)
- メレディス・イートン:マチルダ・”マティ”・ウェバー(シーズン1終盤から)
- イザベル・ルーカス:サマンサ・ケイジ(シーズン2から)
- レヴィ・トラン:デジレー・”デジィ”・グエン(シーズン3途中から、ジャックと交代する形)
- ヘンリー・イアン・キュージック:ラス・テイラー(シーズン4から)
- ※デヴィッド・ダストマルチャン:マードック(不定期出演、マックと何かと因縁がある)
- ※テイト・ドノヴァン:ジェームズ・マクガイバー(シーズン2#23から不定期で出演、シーズン4#8で死亡、マックの父)
- 製作総指揮
- ピーター・M・レンコフ
- リー・デヴィッド・ズロトフ
- ヘンリー・ウィンクラー
- 製作:CBS Television Studios
おおよそ、これくらいの情報があれば基本的な部分については問題ないはずだ。ちなみに主演であるルーカス・ティル自身も、全体的なシーズン後半からはディレクターとしても参加するようになる。自分が主演を務めているので自分で話を構築していきたいという欲求と、今後は俳優だけでなくディレクター陣としてドラマに携わることを考えての、練習を兼ねた参加であるとも考えられる。今は俳優だけやっていても成り立たない時代であるので、そうなるのは必然的と言える。
元ネタ「冒険野郎マクガイバー」との関係
マクガイバーを語る上で必要なことの1つとして存在するのが、リブート元となった「冒険野郎マクガイバー」である。ここでは旧マクガイバーと呼称するが、基本設定はこれを踏襲している。ただリブートするにあたって一部は構成が変更されている。マクガイバーで初期から相棒としてレギュラーメンバーで活躍するジャック・ダルトンは旧マクガイバーではどちらかといえばお邪魔キャラ的な存在であり、セミレギュラーで時々登場する程度であったようだ。また、財団の成り立ちも違っており、旧マクガイバーは製作された時期から終結間際の冷戦を題材としており、DXSの諜報員として東側諸国での諜報活動を行うのが主であった。このとき財団は存在しない。シーズン2からは冷戦の終結に伴って、フェニックス財団のエージェントとして主にアメリカ国内の犯罪組織と戦う、という流れになっていた。
当時を知る人(=親世代)からの話では、口は悪いが「どうにもしょぼくてちゃちい」ものだったようである。話を聞いただけで観ていないのでそれが本当かどうかは不明だが、80年代当時のCGやSFXを考えても、それは当然のことである。同時に80年代のインターネット事情を考えても、黎明期であったそれはまだ小規模なネットワークの構築段階だったわけで、映画やドラマで使われるのは珍しいものであったことも推測できる。当然、スマホは存在しないし携帯電話だって大型過ぎたわけで、それらが使われることもあまりなかったものと考えられる。
しかし、両方で共通することがいくつかある。マクガイバーが困難を解決する方法に原則銃は使わない(弾や火薬は使用することがある)で科学知識を利用することはどちらも同じである。そして最も重要な部分が、スイス・アーミーナイフ、今でいうマルチツールを、全ての話で1回以上使用するということである。ここではマルチツールと統一する。旧マクガイバーの放送時期はアメリカ時間を基準に1985年9月から1992年5月なので、その頃に存在したマルチツールはそう多くはなく、当時は競合となるウェンガーも存在するので、どのモデルを使用していたかということは定かではない。
対してマクガイバーは2016年放送開始であり、この時点でマルチツールはビクトリノックスが主流となっていて、ウェンガーは既にビクトリノックスに併合されているため、撮影で使用されるのはビクトリノックスのものになっている。また、使用するモデルは1話毎に微妙に異なっており、この理由はシーズン5の最後の方で明かされる。どちらにせよ、マクガイバー=マルチツールの図式は共通事項である。
ディープに突っ込むマクガイバー
メインシーンでは科学知識大放出
ところで、科学知識についてはどれくらい習得しているであろうか。一般的には学校で分類される物理・化学・生物の3つを主な分野として、科学とすることが多い。或いは「科学」と名のつくものであれば、社会科学、人文科学、形式科学もまた「科学」である。しかし今日においてはどちらかといえば理系的なものが科学とされることが多いはずだ。
その知識は通常、それ単体で生活の役に立つことに使えて、仕事のレベルではそれを利用して生活の質を向上させるための新しい道具を開発するために利用することであろう。だがマクガイバーにおいてはそれらの知識を複合して、即席の道具を作ったり何かしらの現象を発生させて危機や困難を脱出する、というのがこのドラマのメインシーンで行われる。この科学の応用の応用は、サウスイースタン・ルイジアナ大学の物理学教授であるレット・アランがテクニカル・アドバイザーとして脚本のサポートを行っている。その「スーパープレイ」が現実に則しており、非科学的でなく、説得力があるように話がちゃんと作られているのもポイントである。
その科学知識ですごいことをした例としては、シーズン2#6「ジェットエンジン+トラック」のオープニング前の冒頭シーンで、追われているマックとジャックが家から脱出するために懐中電灯と、DVDドライブを解体してそこからレーザーを取り出し、それを組み合わせて物体を切断できるほどの出力を持ったレーザーユニットを作り出した。これは電気回路及び電子回路の応用であるが、手軽に作れると危険すぎるので流石にこの部分は脚色が加えられているものと考えられる。だが身近にあるものを組み合わせて道具を作るので、観ている側としては単純に「驚き」である。このときマックによる原理解説が入るときがあるので、その演出に関連する科学知識を知っていればより楽しめるものになっている。ちなみにこの時にジャックは「ライトセーバーを作った」と興奮する演出がある。設定が見事に反映されている。
劇中はビクトリノックスのマルチツールを使用する
マクガイバーで最も魅力的であると個人的に思うのが、ビクトリノックスのマルチツールだ。2022年現在、マルチツールの数はビクトリノックス公式サイトでは、劇中で使用するタイプのマルチツールのみに限定すると、ミディアム・マルチツール79種類、スモール・マルチツール32種類、ラージ・マルチツール34種類となっている1)2022年6月20日確認時点での数。。ただしマルチツールは生産終了となったものもあるため、現在は存在せず、過去に存在したものも多い。
マルチツールについては過去記事では実際に保有し使用しているフィールドマスターを解説したことがある。しかしそれはあくまでも実用範囲内での話。マクガイバーにおけるマルチツールは、普通ではあり得ない使い方が多々ある。その1つの例がある。シーズン1#21「シガーカッター」で使用したモデルはシーン毎に異なっているようだが、シガー 79とプラスドライバーのついた任意のモデルを使用していたようである。その回では財団が保冷庫で保管していたウイルス兵器を冷却するチューブを、あろうことかそのマルチツールのシガーカッターで切り裂くという演出があり、さらにその保冷庫を締め切る防弾ガラスの扉を、別のマルチツールのプラスドライバーの先端をぶつけて割るという、かなり無茶な演出で使用されている。どう考えても、本来の使い方を外れているのである。もっともドラマなので、そういう風に使うことが普通であるが。
実際のマルチツールは原材料にステンレス鋼(inox)を採用し、非常に頑丈に作られている。そのためちょっと乱暴な使い方をしても壊れることが殆どない。一応ビクトリノックスとしてはマルチツールの材質と製造工程で生じた故障については永久保証、電気部品については2年保証としている。それ以外の通常使用ないし本来の用途ではない方法での使用によって生じた傷などの場合は保証の対象外で有償修理になるようだ。よってマクガイバーの使い方ではビクトリノックスの保証は受けられないであろう。それはともかくとして、ドラマで実際に行われているような使い方をしても壊れることがないということが、ある意味証明されているのである。もっとも、そんな使い方を強要される場面に遭遇することがないが。
マルチツールを複数持っていると考える理由
ところでマクガイバーを観ていると不思議に思うことがあった。それは、「マルチツールを複数持っているのではないか」ということ。ドラマ全編を通して観ている私でも、あらゆる場面でマルチツールをポケットから取り出すときはそれが「1つだけしかない」ように見える。ただ先述のシーズン1#21「シガーカッター」では、シガーカッターとプラスドライバーが同時についているモデルは現時点で存在せず、過去に販売されていたモデルを調査したものの、やはり存在しなかった。また、ビクトリノックスではカスタムマルチツール製作は受け付けていないため、それらの点を考慮すればマルチツールを複数持っていると考えた方が納得がいくのである。いくらビクトリノックスでも、撮影のために作ることはしないはずだ。
マクガイバーで使用されているモデルは、いちいち確認している暇がなかったので明確にはわからないが、他の視聴者からの情報では撮影で最も使用されているのはティンカーであるとされている。ただしティンカーは日常でよく使うはさみが搭載されていないので、個人的にはあまり使う機会がない。が、マルチツールの中では手ごろな価格であり、撮影で使うには手軽ということもあって使われているものと考えられる。プラスドライバーも付属している。
なお、シーズン5の終盤の話で、マックの自宅のセーフルームが映るシーンがある。そのシーンでは大量のマルチツールが置かれていて、マックが何故マルチツールを複数持っているかという理由が明確になるのである。その割には、猿にマルチツールを渡した回があり、その間はマルチツールなしで任務を行った。その回の最後で新しいマルチツールをジャックから貰うシーンがあるが、そのタイミングではセーフルームの設定が明確ではなかったので貰う話にしたものとも考えられる。だが、どちらにせよ1話1話が面白いので問題ではないはずだ。
余談:場所を説明する時に余計な情報を載せる面白要素
マクガイバーで個人的に好きな見どころがもう1つある。全世界を舞台とするこのドラマでは、場所が変わる場合にその場所がどこであるかという字幕説明が入る。シーズン1では単に説明だけだったが、何を思ったのか製作陣のノリが良くなり、場所の説明の後に余計な情報を入れるようになったのである。その場合はその場所にまつわる小ネタやギャグなどを書いている。
ドラマは娯楽である、と言うと色々弊害があるが、娯楽については面白いものを見てストレス発散したいと考える人が多いであろう。その場合、笑えるものがある方がいいというもの。そこで製作陣が考え付いた1つの笑わせポイントが、そんな一瞬しかない場所を説明する際の字幕ということなのであろう。さて、肝心の内容であるが、大抵は本編に全く無関係な情報が多い。どう考えても今要らない情報を同時に表示するので、それを見れば笑うことはほぼ確実である。何故今その情報なのかというタイミングが笑いに繋がっているので、ある意味人間心理をうまく突いている演出である。
このドラマのターゲット層
さて、このドラマのターゲット層を考える。まずリブート元となる「冒険野郎マクガイバー」を観ていた層は、1985年から考えて約30年の時を経ているので、その頃10~20代だった人は40~50代である。そのあたりの層は旧マクガイバーを知っているので見ることは確実だ。中身はそれよりも圧倒的にスケールアップしているので、過去に観ていた人はその違いに楽しめることが推測される。
もちろん時期的な関係から旧マクガイバーを観ていないという人は多いはずで、今でこそいくらでも旧作ドラマを観る機会はあるが、旧作よりも現在進行中のドラマの方がいいとそっちを観ている人も少なくない。そのため観ていない前提ではどの層がヒットするかと考えると、20~30代のアウトドアが好きな人や工作が好きな人であろう。または科学知識を一定以上習得している人も、これはお勧めである。少々「脚色」こそされているが、科学知識の「応用の応用」はその知識がある人なら楽しめるはずだからだ。この部分は前述の通り、実際に私がそうである。後は単にマルチツールが好きな人もおすすめだ。
逆に言えばその知識がなかったり、アウトドアやマルチツールに興味が無かったりする場合は観ても面白いとは思えないことがあり得る。少なくとも家族で観るようなドラマとは言い切れない。観る人を選ぶドラマであることは念頭に置いてもらいたい。が、ハマる人にはハマるドラマであることも、マクガイバーでは言えるのである。
科学もマルチツールも好きなら楽しめる名作、完結しているので一気見OK
以上がマクガイバーの概要レビューである。マクガイバーに関しては毎週楽しみにしていたドラマの1つであるが、それも死のコロナウイルスによって予定されていた内容がカットされてしまい、最終的に打ち切りとなってしまった。文化を破壊するという意味では許しがたいことであるが、もう仕方ない。マクガイバーはシーズン6が予定されていただけに残念である。
無理矢理に完結させているような感じになってしまっているので、シーズン5の終盤は急展開が多く追い付けない人もいるかもしれないが、それでも完結しているので最初の話から一気に最後まで観ることのできるドラマとなっている。実際に専門家の協力・監修のもとに作られた科学の応用とビクトリノックスのマルチツールを使った演出には目を見張るものがあり、他のドラマにある銃撃戦を伴うような展開が少なめではあるが、それ以上の派手さを持ったドラマである。意外な展開には、いつも驚かされる。
放送終了後、CSのドラマ系チャンネルでは不定期にいずれかのシーズンを放送、及びサブスク型動画見放題サービスにマクガイバーのシーズン4までが確実に観れるようになっている。シーズン5の配信情報はまだ流れてきていないという情報が多いようだ。ただ、シーズン5のDVD-BOXが7月6日に発売する予定で、一番安定して観れるのはおそらくそれであろう。そうして全部観終えたとき、マクガイバーの魂が宿るはずだ。そして次にこう言うはずだ。
「俺に考えがある」
以上、この海外ドラマを観る:”MACGYVER/マクガイバー”概要レビュー、であった。それでは、次回の記事で会おう。ン、バァーイ!
KIBEKIN at 00:00 June 22th, 2022
スポンサーリンク
脚注
本文へ1 | 2022年6月20日確認時点での数。 |
---|