【新作登場】OBSレイアウトサポートツール「まるっとれいな」β版レポート&仮ドキュメント | Raven's Articles

【新作登場】OBSレイアウトサポートツール「まるっとれいな」β版レポート&仮ドキュメント

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この記事の概要を簡単まとめ!

  • Nao氏、新作ツールのテスト予告をDiscordで流す
  • OBSと接続し、わんコメ連携を前提に制作されたのが「まるっとれいな」
  • テンプレートをOBSに取り込んだり、OBSからテンプレートを作成したりできる
  • わんコメと接続することで任意のタグをOBSに流し込むことができる
  • v27以降はUIを変更して見やすくなり、タグも大幅に増えた
  • れいなで楽にレイアウトを作っていく

Nao氏から新作ツールの話があった。そのツイートはもうないが、どうやら開発者特有の閃きがあったようである。それがどんなものかはNao氏自身にしかわからないが、そうして誕生したのが「まるっとれいな」である。OBSとWSで接続し、OBSにレイアウトを流し込むことや、逆にテンプレートとして保存すること。わんコメとも接続することでわんコメで取得した値をOBSに流し込めるというもので、そのβ版レポートと仮ドキュメントとしてこれを試して書くことにした。

配信画面構成だって楽したい

※注意事項

本記事はβ版れいなをベースに検証し執筆したものになります。したがって機能とUIで本リリースとの差異が発生していますが、機能面については変更がない限り画像は差し替えていません。支障がある場合は画像の差し替えを行います。

新作「まるっとれいな」

新作ツールのテスト予告

Nao氏=ゆかコネであることは、ゆかコネを使っている人が全員知っていることである。もっともゆかコネに限らず、トランスルー、TwiChaDashといったものもNao氏制作のツールの1つであり、ゆかコネ以外でも様々なものを作っている。また、「ユーザーのやりたいことを可能な限り実現する」という方針でもあり、これによりゆかコネには様々なプラグインが追加されて「やりたいこと」ができるようになっている。

本業である大学講師の合間にそれらのツールの調整を行っているうえに、Nao氏自身もVRとゲームをやっているので休む暇が果たしてあるのか心配になる。おそらくゆかコネだけでも相当な時間、整備につぎ込んでいるはずであるが、そこにさらに新作ツールを制作したという。この予兆は、既に消えているがTwitterでその旨をツイートしていた。

新作ツールの名前は「まるっとれいな」という。省略名はれいなである。これはOBSと連動してレイアウトを設定するためのツールということで、”LAYout Novice Assistant”の頭文字をそれぞれ取ってのれいなである。これのテストをDiscord内で希望者に先行でテストしてもらうということである。前提条件として、WSを標準機能として搭載しているOBS28以上であることで、他にゆかコネとわんコメを両方使用していることが条件でもある。このことを聞き、気になった私はテストに参加した。



れいなの基本画面

れいなの基本画面は、ゆかコネとほぼ相違ないシンプルな構成である。執筆時点での最新バージョン(v19)では以下のようになっている。

れいなv19のメニュー一覧
v19時点でのれいなの全メニューの一覧。シンプルなUIはゆかコネ由来である。現在はこれだけであるが、後に機能が追加されることもあるはずだ。

れいなにはOBSとの接続にWebSocketを利用し、わんコメとはHTTPポート番号を指定して接続する形式である。経路がそれぞれ異なるので、同時に接続してもポートの干渉が起きないようになっている。デフォルトでWSはlocalhost, 4455、わんコメは127.0.0.1(localhost), 11180で接続する。この値は任意に変更可能である。OBSのWSのデフォルトポートは4444にセットされており、どちらを変更するかは自由である。

OBS・わんコメとの接続

れいなはOBSとの接続が前提となる。したがって、まずはOBSと接続する。先にOBSを起動後、ツールからWebSocketサーバー設定を開き、ポートとパスワードを設定し、そのパスワードをれいなの方にコピペした上で接続をクリックすることで接続される。また、OBSとの接続の際はWebSocketサーバー設定は開いたままでなければならない。これはOBSのWebSocketの仕様である。わんコメはテンプレートサーバを11180に指定し、これは固定されているので特別な設定は必要なく、わんコメが起動している状態で接続をクリックすればすぐ接続される。

OBSと接続することでテンプレートの操作ができるようになり、わんコメと接続することで、わんコメで取得した値をOBSに流すことができるようになる。次項からは、それぞれができることについて解説していく。

れいなを使ってみよう!

テンプレートをOBSに送信

まずは練習として、テンプレートをOBSに送信する。Nao氏は動作確認も兼ねてテスト用のテンプレートを用意してくれているので、それを利用する。ファイル選択ダイアログから拡張子が”.layouts”のファイルを選択し、OBSと接続後に転送(GO!)をクリックすることで、自動で内容を解析して送信を実行する。その様子が以下である。

れいな OBSへのテンプレート転送
れいなからOBSテンプレートを読み込み、転送を行う。問題がなければシーンが1つ追加され、それに自動で切り替わるようになっている。

テンプレートやOBSに問題がない場合、転送後にそのテンプレートのシーンに自動に切り替わる。中には背景となる画像データとそれに合わせたOBS側のテキストの設定が含まれており、設定が調整済み・ロック状態でセットされた。またこの時、”C:\Users\[username]\AppData\Roaming\OBS_Layna\Layout\“下にそのデータが置かれるようになっている。その場合は拡張子の前にある名前でフォルダが作成されるというシステムであるようだ。画像については不都合があれば移動しておくと安全である。




OBSからテンプレートを作成する

これはあまり使う人がいないと思われるが、OBSで現在使用中のシーンをれいなのテンプレートとして作成することもできるようになっている。これは「配る」から実行することができる。作成テンプレートの例として、Nao氏のテンプレートをベースとして、これをACVI向けに改造したものを作成する。作成手順は以下である。

  1. (OBS)テンプレートとして出力したいシーンを選択する。
  2. (れいな)次の項目について入力または選択する。
    • レイアウトの名前:レイアウト名を入力する。空欄の場合はOBSのシーン名で出力される。
    • レイアウトのスクリーンショット(PNG):レイアウトのスクリーンショットを割り当てる。空欄可。
    • 製作者の名前:製作者の名前を入力。
    • 配布・詳細URL:配布先や規約についての詳細URLを入力する。空欄可。
    • 製作者アイコン(48×48, PNG):製作者アイコンを選択する。空欄可。
    • ファイルと共に表示される簡単な説明文:説明文を入力する。
    • ファイル書き出しフォルダ名:ファイルを書き出す先のフォルダを選択する。
    • チェックボックス項目:「ゆかコネNEOの設定も同梱する」「わんコメレイアウトも同梱する(同梱可能かつ使用中のみ)」「「まるっとれいな」の設定も同梱する」は必要に応じてON/OFFする。
  3. OBS側の準備とれいな側の設定が完了後に、下の”GO!”をクリックで実行する。完了すると、[レイアウト名].layoutsが生成され、生成先フォルダを自動で開く。
OBSかられいなでレイアウトテンプレートを生成
レイアウトテンプレートを生成する様子。テンプレート化したいシーンをOBSで選択状態にしてから実施することで、れいな専用の共有可能なテンプレートデータとして利用することができるようになる。

この機能はVTuber自身より、VTuber向けの素材を制作している人向けの機能であると言える。もっともその場合は背景画像の場合が多いので、OBSを実際に使用して制作するということは少ないであろう。ただ、コミュニティ内で画面構成を共有したり、特定のゲームや配信題材において、構成を考えるのが難しいという人でもこれを与えてすぐ始められるようにするといった効果が期待できるはずである。準備に取られる時間をユーザー同士で短縮しようという試みもできるはずだ。

注意事項として、グループ化には対応していないことが既に判明している。他には、まれにOBSの設定値(配置や大きさの変更)が出力したテンプレートの中に反映されておらず、インポートした際に文字や画像がずれるという現象を、自分で作ったテンプレートの取り込み実験時に発生した。このあたりの発生原理は不明である。設定定義ファイルは”C:\Users\[username]\AppData\Roaming\OBS_Layna\Layout\“に置かれるので、そのファイルを一旦削除してから再度取り込みを行ってみると直る場合がある。それでも直らない場合は手動調整するしかない。

わんコメと連携して使う

ゆかコネはわんコメと連携することを前提とした運用も多くなった。このことも影響し、れいなは最初からわんコメと連携することを前提に設計された。わんコメと連携する方法は前述の通りで、連携することによってれいなでもわんコメの値を取得することができ、これをOBSに流すことができるようになる。取得できる内容はそれぞれのプラットフォームで異なり、私がメインとするTwitchの場合は次の内容を取得できた。

れいなが取得したわんコメのデータ
連携によってれいなが取得したわんコメのデータ。これらのデータはOBSに流すことができるようになっている。

左列は取得タグ名とその説明、右列はその値となっている。OBSへはテキストソースとして、そのタグの名前と同じにすることによってそのテキストソースに値を自動で流す。このときわんコメ側でその値が変動すればれいなは即時にその値を更新し、その更新はOBSにも当然反映されるのである。したがって、これまでPV数やコメント数といったものはStreamlabs等でしか取得・表示できなかったのが、わざわざ使わずとも画面内に表示することが可能になったということである。しかもそれはリアルタイム変動である。

なお、使用可能な値はそれぞれのプラットフォームで異なるほか、実際に配信を開始しないと表示されない値もあるため、それらは各自で確認してもらいたい。




各種のタグとカスタム可能項目

v27以降のバージョンから、れいなにはわんコメから取得できるタグ以外に各種のタグを持っている。項目は非常に多いため、その一部を紹介する。なお、v27からはUIが変更されており、タグ一覧が見やすくなっている。

  • カウントダウン設定:カウントダウンのための設定を行える。日付と時刻を指定することで簡単にカウントダウンを生成できる。タグは”live.time.countdown”である。
  • 文字カウント:指定した文字をカウントする。タグは独自に指定可能、文字列を条件に入れることも可能で、正規表現も指定できる。項目も複数追加できる
  • OBSカスタム転送:ソースに文章を送ることができる。転送先ソースは全てから選べるが、そのソースタイプはテキストでなければならない。タグ名を{[tag_name]}の形式で転送内容に記述することで、そのタグを利用することができる。これも複数項目を追加できる。
  • OBSカスタムアクション:条件成立時にアクションを実施する。判定条件には条件式を記述する。条件を満たした場合に行う動作を設定できる。v27よりわんコメのWordPartyに対しても作用させることができる
  • 設定の保存:設定を保存、または復元する。内容は”.laynaConfig”の独自拡張子で保存される。ただ、v29時点では何故かテキストファイルとして保存されてしまうので、現在は手動で拡張子削除の対応が必要である。独自拡張子だが中身はJSON形式である模様。復元時は対象のファイルを選択すればよい。
  • (右側)タグ一覧:タグ一覧が表示されている。この値をOBSのテキストソースにそのまま入力すれば自動で転送される。タグはクリックすることでその名前をコピーすることができる。
れいなのタグとカスタムアクション一覧
れいなのタグ一覧とカスタムアクションの設定画面。カスタムアクションについてはタグを利用することもできるので、これを利用して好きなものを作ることができる。

これらの使い方については、後々Nao氏がドキュメントを整備して公開するはずである。だがそれまではこれが暫定的な代わりの資料となる。詳細な使い方に関しては、実際に配信で使用後にそれをレポートする。

最終的なUIについて

この記事の制作中もNao氏は継続して更新を行ったため、最初の画像と異なるUIに仕上がっている。ここで今一度、最終確定となるであろうUIについてチェックする。

v29時点のれいなのUI
暫定最終版とされるれいなのv29のUI。縦型だったものを横にも広げたことで、見やすいものになった。また、制作にあたって新キャラを割り当てた。

れいなについては見やすさを重視して、縦長だけのUIから右に同じだけ拡張した。これにより説明やパラメータ類が右に移動するのでそれらが見やすくなり、左側はユーザーが操作するものが中心となり、使いやすくなる。Googleが提唱するデザインとは一体何だったのだろうか。また、OBSとわんコメの接続を簡易にするため、上部メニューにそれぞれの接続ボタンが追加されている。基本的にポート番号やパスワードは変更しないものなので、該当する2つが起動済みならこれをクリックすることで即接続できる。

れいなについても今後長くにわたってサポートを行うためであろう、これ用に新キャラが割り当てられた。これはちなあなご氏によるものである。この部分の差し替え機能については、制作者こそNao氏だがゆかコネとは異なるものであり、おそらく実装はされないものと考えられる。

追加事項がある場合はこの記事に追加する形で記載していく。

れいなで楽にレイアウトを作っていく

これまではゆかコネを中心にツールを展開していたNao氏だが、ある日の閃きで新作ツールを作り始めた。普段の何気ない行動が新作のヒントとなることは大いにあり、おそらくNao氏もそれに従ったものであろう。そうして出来上がったのがOBSレイアウト作成サポートツールに分類されるであろう、OBS LAYout Novice Assistantで「れいな」だ。既にゆかコネやわんコメと連携して使うことがほぼ前提であり、まだゆかコネ自体は連携しないが、わんコメとは開発開始からしばらくして連携できるようになっていた

ゆかコネの提供開始から4年以上が経過し、今では字幕・翻訳システムの有名どころに入ってくるレベルまで成長した。だがゆかコネは単にそれに限らず、プラグインを経由する様々な外部ツールとの連携によって多種多様な使い方を実現でき、マルチエンタメツールとしてのゆかコネという立ち位置になっている。その時点で他の同様なシステムとは明確な差異を出せているとも言え、ユーザーが増えたこと、Discordのコミュニティの参加者が増えたことで、ほぼ安定したという状態になるであろう。そうなれば、他のツールも作ってみようというのはごく自然な流れだ。

れいなの機能もやろうと思えばゆかコネ内に組み込めるもので、しかしそれではやりたいことが実現しない、あるいは使いづらくなると思い、単体のツールとして分離したと考えられる。ユーザーによっては全てを1つのソフトやツールで済ませたいと考える、面倒が嫌いな人は多々存在する。それも分からなくないが、それが使いづらく、結局使わないのなら本末転倒である。ならば最初から分離していた方が使いやすい。そういうことで、OBSの配信画面を楽に作っていくなら、れいなはきっと助けになるはずだ。

 

以上、OBSレイアウトサポートツール「まるっとれいな」β版レポート&仮ドキュメント、であった。コミュニティの結束は、レイアウトの共有という形でも強化できるようだ。

 

KIBEKIN at 00:00 Sept. 5th, 2023


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