この記事の概要を簡単まとめ!
- れいなのテストはβ版一般公開によりDiscordも全体公開になった
- ver50から支援専用機能が付与され、できることも増える
- 9月24日からver1.01で正式リリース開始となった
- 前2回から追加された機能を中心にチェックする
- カスタムアクションが動画再生にも最適である
- れいなからわんコメにコメントを送付できる機能も搭載
- れいなでこうして配信画面は変わっていく
れいなのその後の反響としては、Discordではテストが全体公開になったことであらゆる方面で使われるようになり、それと同時に要望も入るようになってきた。これによりできることも増えてきており、またゆかコネとの兼ね合いも兼ねた「支援機能」についても追加され、9月24日には1.01として正式リリースとなり、本格始動した。それを踏まえ、リリース編としてれいなについて書き直すことにした。
ひとっ飛びできる目次
こうして配信画面は変わっていく
れいなのプロジェクト進行中
β版一般公開、Discordのテストも全体公開へ
「まるっとれいな」、通称れいなはNao氏新作のツールであり、予定通りゆかコネ並みのマルチなツールとなった。Discordでの小規模なテストを経て、β版としてver30で一般公開し、ver50からはDiscordでのテストを全体公開に上げた。これによりれいなは一般に普及することとなり、Discordにおいては参加者が増えたことで多くのレポート(不具合報告とその対応)と機能追加要望が出されるようになり、いっそう開発が進むようになった状態である。
れいなが出たばかりの頃はまだ十分にドキュメントが整備されていなかったため、仮ドキュメントとして最初にれいなを使った記事を書いた。その後は幾度と行われる更新とそれに伴い追加された機能についての解説を行った「実践編」を続きとして書いた。現在はNao氏が書いているドキュメントが完成しつつあり、他にはユーザーによる解説も行われており、それらを参照することによって使うことができるようになっているはずだ。
ver50以降に支援専用機能が追加
Nao氏のメイン開発であるゆかコネは支援により機能が拡張されるようになっている。れいなでもver50以降に支援専用機能が付属し、これはゆかコネで使用している支援コードがそのまま利用できる。万年金欠野郎の私は当然支援コードを持っていないが、Discord内ではテスト用にコードが用意されているのでそれを利用することで中身を見ることができる。実際に確認すると次のようになっていた。
- 拡張通信ポート:れいなで使用できる新しいポートが解放される。デフォルトは21000にセットされている。
- タグの永続化:れいなを終了してもタグの中身(=値)を保持する。期日までにフォロワーを獲得するといった継続的なカウントアップ/ダウン系のタグと相性がいいであろう。
- アプリの自動連携:わんコメ、ゆかコネ、OBS、VTube Studioの起動が確認できた場合、接続を自動で行うようにする。
- ファイル書き出し:OBS以外でも使用できるようにタグの書き出しを行うことができる。書き出し先はフォルダ指定で行う。
- 自動バックアップ:フォルダ指定でバックアップを自動作成する。
- (メニュー欄)連携先の追加:NeosVR, VTube Studioとの連携が可能になる。
これらの機能が支援専用機能となる。機能詳細については、そもそも支援機能を使えない人であるのでここでは省略する。
連携先の追加と設定の追加
れいなの前提はOBSとわんコメであったが、後にゆかコネに対応したのは当然の流れとも言える。その後はゆかコネでも対応しているNesoVRについても対応するようになった。ゆかコネと同様WSでの接続で、通常は50210を使用する。Neosでも音声認識などをトリガとして動かせるものは多数存在するであろう、またNesoユーザーも増えている傾向であり、実験タイミングは多い。この方面については主に\おらんげさん/に任せておけば問題ないであろう。最近VR恐怖症なので検証したくない。
また、設定項目についても追加が確認された。主に連携の部分で使用できる方での追加であり、以下の項目がある。
- カウント設定:これまで日付を設定し、タグはカウントダウンのみが存在した。これに最大23時間59分まで指定できるクイックタイム設定が追加され、手軽にセットできるようになった。また、タグにカウントアップも追加された。
- カスタム転送:転送内容について、計算式の結果を転送することが可能になった。「転送内容は計算式である」のチェックボックスをONにすることで有効になる。この状態では四則演算はその結果を、条件式の場合はbool型の結果を返しそれを転送する。式自体が成立しない場合は入力されたものをそのまま転送する。
- OBSカスタムアクション:条件に一致したときにできることが増えている。まずOBSとわんコメでそれぞれ内容を設定可能になっている。OBSに関してはスクリーンショットも可能になっている。支援専用機能にはOSC, Neos, XSOverlayにそれぞれ文章を送信することができる機能が付与される。
- カスタム辞書:カスタム転送で使う文字を置き換える機能を追加している。音声認識結果やコメントをカスタム転送に利用する時、特定の文字を置き換える際に役に立つ。
- わんコメ設定:れいなからわんコメへコメントを転送する際に設定する項目を変更できる。これまでは接続先を”Layna”としたうえで、わんコメでその枠を作って接続する形式であったが、これを任意の接続先と任意の表示名にセットできるようになった。
- 文字カウント、カスタム転送、カスタムアクションはそれぞれ有効・無効をトグルスイッチで切り替えられるようになった。これまではソース指定を削除したりするなどで対応していたので、これでより操作しやすくなった。
- 手動実行:カスタムアクションでv1.0.2より追加された機能。カスタムアクションの手動実行が可能になる。
- ソースサイズ変更対応・フィルタ適用:カスタムアクションでv1.0.3より追加された機能。条件によって表示する大きさを変えられるようになり、フィルタを適用して半透明化で表示するなどもできるようになった。
これらの機能追加によって、できることも増えている。そこでこれらを含めて解説していくこととする。ただし基本方針として、Nao氏のドキュメントの補足を中心とするサブドキュメントしての解説を中心とするものであることをご了承いただきたい。
れいなを面白く使ってみよう!
追加機能の確認
まずは追加機能を確認する。主に前述の項目についてであるが、これを確認可能な範囲で見ていく。
カスタム転送をよりカスタムする
これまで転送できる内容は文字列に限定されていたものが、それ以外の内容も転送可能になっている。数式を利用すれば、特定のコメントに含まれる文字列の合計を簡単に計算することができる。もちろんこれ単体を表示することも可能であるが、設定タグ名をセットすることで関数のように使うことができる。また各タグはドラッグ&ドロップで{[tag_name]}
の状態でコピペできるので、カスタム転送の設定がより簡単になっている。以下はその検証である。
計算式に関してはそのまま使うのは難しく、タグ化して別のカスタム転送ないしカスタムアクションで使用することが目的になる。四則演算は文字カウントの合計、条件式は複雑な条件を作成するために使用できる。もちろん1つのカスタム転送で複雑な四則演算や条件式は作成できるが、れいなの設定枠は狭く、何か変えるにしても管理が面倒になることは確実である。一応Nao氏が右枠の計算式サンプルに複数条件の場合の例を置いているが、これを関数ないしサブルーチン的に置き換えると管理しやすいであろう。
カスタムアクションの強化:WordPartyより楽な動画表示
わんコメはWordPartyがあり、これの固定表示を利用することでコメントに応じて動画も表示できる。しかしこれの問題点は、WordPartyの設定画面で位置を数値で決定する必要があり、数値設定で行うのと大きさを変更するのが難しいため、使いこなすには少しコツがいる。これがれいなの場合、条件に一致したときにOBS側で指定位置に表示し、再生完了後は非表示にするということが可能になる。設定方法は次のように行う。
- (OBS)使用したい動画を「メディアソース」で指定し、分かりやすい任意の名前にソース名を設定し、大きさと場所を任意に変更して配置する。初期状態は非表示にする。
- (れいな)カスタムアクションで任意の設定名で有効化し、任意の条件判定を設定する。条件判定および成立時の設定を次のように行う。
- アクションは1度だけ実行:実行させたい回数が1回のみか2回以上かで選択する
- 条件変化時のみ判断する:条件に一致する限り連続動作するので、条件変化時のみにするとその瞬間に1回だけ行うようになる
- シーン切替:空欄
- ソース:先に設定したメディアソースを選択する
- 表示・非表示:表示を選択する。また、再生後に非表示に戻す動作にしたい場合は「再生後に非表示」にチェックする。
- スクショ:未チェックにする
- その条件で実際に動作するかチェックを行う。
この例として、いつも使用している乱入ペナルティの動画を使用する。最終コメントを参照し、「乱入」を含むコメントを取得した場合に動作するように設定している。その検証をしたのが以下の動画である。
この方法での強みは、狙った位置に動画を出すことが簡単に行えるところにある。それも設定を配信画面単位で変更でき、対象のシーンのソースを選択し直すことで流用も可能である。面倒な個別の設定はもう必要なくなるので、動画を多用して配信を行っている人には嬉しい機能であると言える。
れいな専用のカスタム辞書
ゆかコネには辞書プラグインがあり、これで音声認識結果を調整することができる。これを同じ機能をデフォルトで有しており、れいな専用のカスタム辞書として使用する。使い方はシンプルで、置換元と置換先を設定するだけのものになっている。この辞書はカスタム転送にのみ対応しており、カスタムアクションのわんコメ送付などには対応してない。また、有効にする場合は各カスタム転送の転送内容の下にある「辞書で置換」にチェックを入れることで辞書が適用される。
次の例は、ACVIで人気となったオーネスト・ブルートゥの代表的な台詞から、S=スロー、Q=クイックに置換するルールを設定し、取得コメントを転送内容として置換したものを表示することにした。このとき上からスロー、クイックの順に設定している。その動画が以下である。
テストの結果、辞書はどうやら上から参照して最初にヒットした1つしか置き換えないようである。私の設定ではスローを上にしているので、Sが出てくればスローに置換して後はスルーしてしまう。逆にクイックを上にすればQが出てきたタイミングでクイックに置換して後はスルーしてしまうことになり、完璧な置換には至らないようである。もっともこれはれいな側の処理の問題であろう。今後のアップデートでこの処理が変更されることはあると思われる。
わんコメに任意の表示名でコメントを送付する
わんコメからのコメントを取得できるれいなは、逆にれいなからわんコメへコメントを送信する機能を持っている。以前は接続名”Layna”,表示名「まるっとれいな」で固定であったが、これを変更することができるようになっている。その際は作成されているわんコメの枠名を指定する形になる。また、コメントを送付するにあたってわんコメ側でURLは不要で接続する必要もなく、枠を指定すれば送付してくれるようになる。ちなみにわんコメWordPartyの起動もれいなで行えるが、今回は省略する。
コメントの送付はカスタムアクションで設定できる。まずは次の条件と内容で送付準備をする。
- わんコメ設定:接続先”Layna”,表示名「れいな(反応・返答)」
カスタム転送:内容を計算式として扱うオプションを有効にし、中身は想定通りの動作にならなかったため使えなかった。('{CommentTester.last.comment}'like'*おはよう*')OR('{CommentTester.last.comment}'like'*こんにちは*')OR('{CommentTester.last.comment}'like'*こんばんは*')
である。これで「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」のいずれかを含むコメントが取得されたときにTrueを返し、それ以外はFalseを返すようになる。- カスタムアクション:判定式を
('{CommentTester.last.comment}'like'*おはよう*')OR('{CommentTester.last.comment}'like'*こんにちは*')OR('{CommentTester.last.comment}'like'*こんばんは*'){customTransfer.わんコメ送付テスト判定用.text}
とする。判定タイミングは変化時にし、繰り返し可とする。=True - わんコメ送付内容:
{CommentTester.last.userName}さん、いらっしゃい!
とする。
この条件で作成し、それを実行した結果が以下である。
ここではコメントに「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」が含まれる場合、れいながそのコメントをしたユーザーを歓迎するという簡単なものである。一種の自動返答システムに似たものを作ることができるほか、他のコメントに合わせて別のコメントを返し、WordPartyを起動することもできるようになる。自動返答システムは音声読み上げと相性が良く、れいな用に別の音声読み上げを適用すればそれだけで会話しているようになり、楽しませる演出ができるようになるはずだ。
なお、カスタム転送で計算式扱いとしたうえでそれをカスタムアクションの判定式に利用する方法は、判定タイミングを変化時としていたがこれでは連続で挨拶が続いた場合にTrueのままで発火しないことが判明した。したがってbool型判定は使えず、なくなく直接判定式をセットする形で対応することになった。使用時はこの点に注意する必要がある。
れいなでこうして配信画面は変わっていく
ゆかコネに続くNao氏の代表ツールとしてれいなは進化を続けている。思い付きから誕生したとは思えないほどの開発成長を遂げているこれは、ユーザーも次第に多くなり、れいなに対応するテンプレートが作られるほどにもなった。他にも様々なユーザーから使用例が届いており、Nao氏の思っていた通りの展開になっていると言える。
実のところ、れいなに関しては研究してもなかなか、どうやって使ったらいいかが分からないものがある。それはNao氏でも説明するのが難しいと思われるほどである。その際に役に立つのがやはりゆかコネDiscordであり、ここでも様々な情報が交わされており、そこで得られる情報はかなり役に立つものになるはずだ。そのためゆかコネ目的以外でもゆかコネDiscordに参加してもいいのである。れいなの情報が最も早く得られる場所でもあるからだ。
当然ゆかコネやわんコメもこれまで通り使って、配信画面を構成していくことには変わらない。ここにれいなが加わったことで、これまで以上に配信画面の構成は変わっていくはずだ。それはできることが増えたという意味と、もっと「自分らしい」配信画面が作れるようになるという意味でもある。全てを完璧に使いこなすことは難しいが、だがまずはれいなを使ってみることが重要だ。使っていくうちに得られる「一瞬の閃き」は、新しい見せ方に繋がることであろう。
以上、「まるっとれいな」正式リリース編~こうして「変わる」配信画面~であった。迷っているのなら、まずは使ってみる。使い続ければ、きっといい使い方が見えてくる。
KIBEKIN at 00:00 Oct. 2nd, 2023
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