この記事の概要を簡単まとめ!
- 現実に最も近い世界、VR(=Virtual Reality)
- 体験には専用のVRデバイスが必須で、多くのデバイスは高額である
- 2019年、Facebookがスタンドアロン型VRデバイス”Oculus Quest”を開発
- 2020年にQuest 2が登場し、販売終了・型落ちにより中古品は安くなった
- 状態が良好なものを2万円以内で入手、中身を調査することに
- 最初の設定はスマートフォンを経由して行う現代的設定方法
- Facebookアカウントが必須、作成してからセットアップになる
- 現行Quest 2よりややスペックが低く一部ゲーム非対応以外は何ら問題のない性能
- 実際にVR専用のゲームやアプリを使ってみた感想は次回以降の解説
ゲームの進化はすさまじい。少し待てばすぐ新しいものが出てくる。そして1秒前まで「最新」とされていたものはあっという間に型落ちになる。そのスパンは既に行き着くくらいに短くなっており、1年感覚で新しいゲーム、デバイス、ハードウェアそのものが登場するような状態になっている。正直あまりにも早すぎるような気もするが、それだけ技術的進歩が進んでいる証拠でもある。製品のライフサイクルを考えると微妙なところもあるが。
昨今のVR事情は果たしてどうだろうか。私が見た中では、急激な盛り上がりこそないが着実に成長を遂げている分野であると認識している。これはclea氏がオノゴロ物語のアンバサダーとして体験版を見たとき、VRデバイスの特徴を十分に活かしたものとなっていたからである。VRデバイス自体は進化しているが、コンテンツがまだ追いつかないことが多かった中、そのVRゲームはVRの今後の可能性を与えた。
ではVRデバイスそのものはどうなのかと言われると、メーカー不問で総じて10万を超していた。残念ながら最先端技術の塊とも言えるVR、どうしても高額になるのは避けられないものである。そんな中、それを打ち破るVRデバイスがFacebook(現Meta)から登場し、性能は決して悪くないがうまい具合の価格になったことで、VR市場に新たな活気を与え、多くの人がVRを楽しむことができるようになった。その名は”Oculus Quest”。現在は”Meta Quest”と呼ばれるそれ、中古品で状態良好なものを安く手に入れたので、今更ながらこれをレビューしていく。
VRの世界とデバイス
現実に最も近い世界、VR(=Virtual Reality)
現実世界とは非情なもので、多くにとって生きにくい世界となった。ただ生きているだけでもペナルティを課せられ、現在のジャップは積極的な弱者切り捨てを行っている。血も涙もない世界に嫌気がさすのもわかることで、非現実世界に逃げてしまうというのは一種の逃避行として納得いくものである。
その逃げる先の1つであり、同時に現代における新しい文化の起点ともなる場所がバーチャルリアリティ(Virtual Reality)、通称VRである。日本語に直せば仮想現実という言葉になる。公式定義は以下のようになっている。
VR(Virtual Reality)とは、コンピューターによって創り出された仮想的な空間などを現実であるかのように疑似体験できる仕組みであり、日本語では仮想現実などと呼ばれます。
VRの実現形態はさまざまなものがありますが、その一例としてヘッドマウントディスプレイを利用したものがあります。ヘッドマウントディスプレイは顔に装着して利用するディスプレイであり、これを利用して立体的な映像を出力します。さらに顔の向きや傾き、さらにはユーザーの位置に合わせて映像を制御することにより、あたかも自分が仮想空間の中に入り込んだかのような感覚を得ることができます。
VRという言葉は現代は当たり前に使われるが、その言葉が明確となる以前から考え方として昔から存在していた。それは映画や小説のSF作品に見られるもので、コンピュータの登場で実際にVRへの取り組みも始まっていった。映画ではシュワルツェネッガー映画の1つで有名なトータル・リコールがそれである。もっともその部分は冒頭数分であるが。その後はゲーム機の登場で、ファミコンではVRの試みとしてばーちゃんボーイバーチャルボーイが1995年に登場するなどしたが、当時の技術力と処理能力の限界によって普及には至らず、結局夢物語で終わっているところが多かった1)参照:バーチャル・リアリティ – Wikipedia VRに関する概略年表もここに書かれている。。
またVR自体、必要とされる技術が非常に多い。いずれにおいても専門的知識を必要とするものばかりで、1つのコンテンツを完成させるための労力はかなり多い。今でこそVR関連のライブラリが存在するであろう、制作自体は簡単だが、VR向けに「内容」を考える、企画力についても問われる時代となっている。というのも、今までの「ラジコン操作」とは全く異なるわけで、VRの特徴をどう活かすか、という部分が重要になるためだ。もはや単純に新しいものであればいい、というわけではなくなっているのである。
体験には専用のVRデバイスが必須で、多くのデバイスは高額である
1990年代からは、VRに関しては一旦息を潜める存在となるが、一部企業はVRの開発を進めていた。Googleは自社サービスの1つであるGoogle Mapにおいて3Dモデルを2010年に導入した。その後2012年9月にOculus VRが設立され、この頃にプロトタイプのOculus Riftが登場したことでVRへの投資が加速することになった。そして2016年、様々な企業からVRデバイスが登場し、この年がVR元年となる。その際、以下のデバイスが登場した。
- 2015年11月27日(日本:2015年12月18日) サムスン電子よりSamsung Gear VRが発売。同社のGalaxyにしか対応しないVRデバイスである。Oculus VRも開発に携わっている。2015年登場だが時期的に2016年とみなす。発売価格14,900円(本体のみ)
- この際、これに対応するMinecraftも2016年に発売されている。
- 2016年3月 Oculus VRよりRiftが発売。正式名称がRiftであるがOculus Riftと呼ばれることが多い。後継にRift Sがある。後述のOculus Quest 2の発売に伴い、2021年7月にRift本体とアクセサリーの生産を終了した。発売価格$399(2016年の平均レート110円として、43,890円)
- 2016年4月5日 HTC・Valve Corporationの共同開発でHTC Viveが発売。HTCは台湾のスマートフォンメーカーとして有名で、Valve Corporationはカウンターストライクで有名である。発売価格$799(2016年の平均レート110円として、87,890円)
- 2016年10月13日 ソニー・インタラクティブ・エンタテインメント(SIE)よりPlayStation VRが発売。PS4及びPS5専用のVRデバイス。発売価格44,980円(通常盤)/49,980円(PlayStation Camera同梱盤)
これらは全てHMD(Head Mounted Display)になる。これ以前にも2014年にGoogleから簡易VRデバイスとして段ボール製折り畳み式のGoogle Cardboardが登場したが、それとは明らかに比較にならないものとなる。しかしここで登場したものはいずれもPC(Gear VRはGalaxy, PSVRはPS4やPS5)に接続することが前提のものである。さらに、PSVRを除き要求されるスペックはいずれも高いものとなっていた。Gear VRはGalaxyさえあればスタンドアロンではあるが、対応しているのがスマートフォンのみでしかも同社製の一部モデルに限定されているため、2016年時点のPC事情も考えれば、限定された人しかVRを楽しめなかったようである。
また、それらのVRデバイスは高額であった。リストに挙げたものを見ても分かるように、いずれも5万円台が下限で、PC接続を前提とするものは10万円を超すことも普通である。以降の後継機となるものも、総じて発売価格が10万円以上という、石油王スペックのGPUが1つ買えるくらいに高額だ。同時にPCもハイエンドでなければまともにそれらのVRデバイスを動かせない。本気でVRをハイスペックで楽しむなら、石油王でなければ実現不可能と言っても過言ではないくらいである。なお、現行機の価格に関しては、このページでそれぞれについてがまとめられており、簡単に比較ができる。
2019年、Facebookがスタンドアロン型VRデバイス”Oculus Quest”を開発
膠着状態となっていたVRデバイスに一筋の光を与えたのは、Facebookであった。2014年2月にOculus VRを23億ドルで買収し、Facebookの一部門となったOculus VR。FacebookはVR部門を、Oculus VRは贅沢な資金を得て新たなVRデバイスの開発が開始された。その際2016年のOculus Connect 3でマーク・ザッカーバーグからスタンドアロン型VRヘッドセットの開発中と明かし、2018年のOculus Connect 5で、名称が”Oculus Quest”, 価格が49,800円とすることが発表され、2019年のF8で、Questの出荷予定日が2019年5月21日となることが発表された。そして発売された実物が以下である。
見た目は今まで登場したVRデバイスと然程変わりがないように見える。ディスプレイ部分はOculus GOに似ており、コントローラー部分はRift Sと同型のOculus Touch(第二世代)を使用する。だが大きく違うのは、これ単体でVRコンテンツを楽しめるというところだ。そこでOculus Quest(以下Quest)の基本情報を以下に掲載する。
- 名称:Oculus Quest(現在はMeta Quest)
- 発売日:2019年5月21日
- 価格:¥49,800(64GB)/¥59,800(128GB)
- OS:Androidベース、Oculus Questシステムソフトウェア
- SoC:Snapdragon 835(CPU:4 Kryo 280 Gold (ARM Cortex-A73 based) @ 2.45 GHz + 4 Kryo 280 Silver (ARM Cortex-A73 based) @ 1.9 GHz GPU:Adreno 540)
- ディスプレイ:ペンタイル OLED 1440 × 1600(片目あたり) @ 72 Hz
- RAM:4GB
- ストレージ:64GB/128GB
- サウンド:Integrated stereo speakers / 2×3.5mmヘッドフォンジャック
- 外部接続:USB-C(充電兼), Bluetooth, Wi-Fi
- ステータス:2020年9月 販売終了
- 後継:Oculus Quest 2
これだけの性能を持ちながら発売価格は64GBで5万円を切るという、「VRデバイスは高価なもの」という常識を打ち破る価格で強気で出してきた。スタンドアロンということはヘッドセットにバッテリーを搭載し、充電も行えるようになっていることを意味するが、ヘッドセット自体の重さは571g、バッテリー持続時間は2~3時間程度である。黒を基調としたデザインのそれは見た目ほど然程重くなく、そして現段階ではVRは長時間プレイに向かないものであるので、この持続時間もちょうどいいと言える。
2020年にQuest 2が登場し、販売終了・型落ちにより中古品は安くなった
そんなQuestをVR市場に打ち出したFacebookは、それだけで満足しなかった。その18ヶ月後の2020年10月13日にQuestをさらに強化した後継モデルの”Oculus Quest 2“を発売する。それはQuestよりも基本性能を上げつつも、Questよりも発売価格を下げた状態で販売する2)公式サイトからの購入は、128GBで33,800円、256GBで44,800円である。128GBで単純比較すれば16,000円も下がった計算になる。という、Facebookはまたも強気攻勢で打ち出したものである。おかげでVR参入の敷居は大きく下がることとなり、普及に大きく貢献したと言える。
同時にQuest 2が発売されることで既存のQuestは販売終了となった。つまり型落ちになる。発売から18ヶ月も経たないうちに型落ちになってしまったQuestは少々可哀想なものであるが、余裕のある人は手持ちのQuestを売ってQuest 2を購入する流れになるであろう。これが発生すると、「Questの中古品」が市場に流れるようになるのである。この手の中古品は当たり外れが大きいので慎重に選ぶ必要があるが、うまくいけばかなり安くそれを手に入れることができる。中古品で、最新版でなくとも構わない人からすれば嬉しい話だ。
私もその1人である。そして最近はclea氏と関わるようになってから、VRコンテンツを目にする機会が増えるようになった。こうなってくると、私も実際にVRの世界に飛び込んで体験することが必要だと思うようになった。それにVRは私からすればまだ未知の領域。その領域に飛び込めば、さらに多くの「記事の種」を見つけることができると感じたのである。そして偶然にも私は、2万円以内で状態良好な中古のQuestを入手することができた。まずはVRに飛び込む手始めとして、このQuestについて見ていき、自分の一部とするまでを書いていくこととする。
Oculus Quest, 真の「VR元年」
ここからは実際にOculus Questについて、実物の画像と共に詳しく見ていく。また、使うにあたって最初の必須設定についても解説を行う。
Oculus Questの外見調査
まずはQuestの外見調査からである。外見上からどのような特徴を持っているかについて確認する。
前任者は大事にしていたであろう、箱とキャリングケースも完備していた。中古品のため試用電池は付属していないものの、電池に関しては単三電池一本で動作するため、電池確保は全く難しくない。当然のことながらコネクタ部分はむき出しであるが、黒を基調とした本体、コネクタの配置場所が良いので絵になる。装着した人を外から見てもスマートなデバイスに見えるあたり、Oculusのセンスはかなり良い。
最も重要な部分となるヘッドセットは、マジックテープと伸縮するストラップによって頭の大きさを気にせず調整して装着できるようになっている。イヤホンジャックは左右両方に1つずつ存在し、下側には音量調整と自身の目の間隔に合わせてレンズの位置を調整できるバーが存在する。「使用者を選ばない」設計がされているところもまた、Oculusが好まれる理由であろう。コントローラーもストラップが標準で付き、手を放しても落下しないようにできるうえ、ちょっと手を放して水を飲んだりするにも困らない設計で、見た目から既に便利の塊なのがよくわかる。
ちなみにヘッドセットを装着した際によくあるのが、周囲の状況が分からなくなることである。それで設置物にぶつかって事故を起こすことはVRのよくある話だ。それを解決するために正面の4角にそれぞれカメラが存在する。これはQuestの安全装置「パススルー機能」のためにつけられたもので、このカメラで現実世界を映し出して「ぶつからない」ようにする機能に使用される。この点についてはここでは解説しないため、実際に調べるとその内容が分かる。
セットアップ:最初はスマートフォンを使って進めていく
Questを使うにあたり、初回はセットアップが必ず必要になる。スタンドアロン型であるがスマートフォンを利用してセットアップを行う必要があるが、逆にスマートフォンさえあればPCに接続しなくても完了させることができる。無論セットアップはQuestの電源が入っている状態でないとできないので、あらかじめ充電をしておくこと。
手順0:Oculusアプリのインストールとアカウント作成
前提として、iOS/Androidの両方でFacebookから提供されている”Oculus”アプリをインストールしておく。また、インストールした後はアカウントを有効化しておくと、セットアップ時にスムーズに行うことができる。Facebook提供なのでFacebookアカウントを保有している場合はそのままそれが使えるが、多くにとってFacebookは「ビジネス向け」SNSと感じているであろう、Twitter派なら持っていない人もいる。その場合はアカウントを新規で作成すれば問題ない。私は当然ながら持っていないので、アカウントの新規作成から行う。手順は以下になる。最初にやることだが、それが多いので注意。
- App Store/Play Storaより”Oculus”と検索し、Oculusアプリをインストールする。ビジネス向けも出てくるがここでは個人向けとなる無印のものをインストールする
- Facebookのアカウントがない場合、新規作成で必要事項を記入する。実名必須なんて古臭い(小声)
- 必要事項の記入完了後、送信される認証コードを入力して有効化する
- 完了すると”Oculusへようこそ”の画面となる。ここで「新しいOculusユーザーとして続行」を選択する
- なんか適当にアイコンとユーザーネームを設定する
- プライバシー設定を確認する。実名表示回避はこの時代には必須なので忘れずに「自分のみ」にする
- カード情報またはPayPalの設定を行う。スキップもできるが後々必要になるので設定しておくのが楽
実名必須というところに古臭さを感じ、それがTwitterと違って嫌われる要素にも思えるのがFacebookの悪いところに思える。それゆえにTwitterの方がYouTuberやVTuberが多く存在しているのもかなりわかる話である。また、Facebookは作ったとしても使う予定がないのならプライバシー設定を変更して、全て非公開にしてしまえばいい。ゲームをするために本来の機能を使わないのはGREEでゲームをするときに似ている。
Facebookのアカウントが認証されればようやくOculusを設定する「前段階」に入れる。VR用のプロフィールについては、アイコンは後から変更可能なものになるはずだ。ユーザーネームはIDに相当するものであろう、この感じからするに後から変更できるように思えるが、この点については後々判明した場合に追記する。その後でプライバシー設定の変更(Oculusで実名を表示しない)、支払い方法の設定を完了させれば、前段階の準備は完了。いよいよ実機Questを動かす時が来た。
手順1:本体とのペアリング
いよいよ本体とのペアリングを行う。ペアリングにはBluetoothを使用する。これが便利なもので、Bluetoothさえオンになっていれば自動でペアリングが進むようになっている。また一部設定はスマートフォンから行えるようになっている。その際のセットアップ手順が以下である。
- 一覧からセットアップするVRデバイスを選択する。ここでは”Quest”(2行目)を選択する
- なんかいい感じに画面が動いて解説が入った後、電源を入れるよう指示が入る。電源を入れると自動でペアリングが開始され、認識する。あっという間にペアリングが完了する。早すぎてSSが撮れないほどだった
- Wi-Fiに接続する。ここではスマートフォンからSSIDとキーを入力して接続することが可能である。任意の接続先を選択してキーを入力し、正しければ次に進むことができる。必須作業のためスルーはできない
発売当初のペアリングはQuestの画面を見ながらであったが、アプリのアップデートの影響か、Bluetoothを使って簡単にペアリングができるようになっているのは素晴らしい進化である。
さて、私が入手したQuestは中古品であるので、本体アップデートは何回か行われたはずだ。だが販売されていた時点では長らく動かしていなかったと考えられるため、OSやソフトウェアが最新版ではないことはあり得る。同時にQuestシリーズはスタンドアロンのVRデバイスが最大の特徴なわけで、それを実現するには無線技術の積極利用が大事だ。接続するなら5GHz帯が理想である。
手順2:アップデートを完了させる
本体のペアリングが完了したら、コントローラーを有効にしてアップデートを完了させるまでを行う。スマートフォン側では安全に使用するための説明のCG動画が流れる。これを全て見た後、アップデートが開始される。アップデートはそこまで時間はかからないが、その間はQuestで操作することはできない。そのためアップデート中はQuestを外し、Oculusアプリでストアやコンテンツを見ながら待つ。アップデート完了までの手順は以下である。
- コントローラーに電池を入れる。必要な電池は単三電池。万が一に備えて予備電池も用意しておくといい
- 言語を選択する。デフォルトは使用しているスマートフォンの言語になっている。もちろんここでは日本語を選択する
- “Oculus Questを安全に利用するために”という解説事項が出る。5つの項目について確認したら「同意する」を押して先に進む
- 本体アップデートが開始される。アップデート中はヘッドセットを外しておく
- アップデートの進行度はアプリ側にも表示される。その間はアプリで気になるものを探しているといい。アップデートが完了すると、自動で再起動する
アップデートに関しては何もしなくても最新版になるよう自動で行われるため、特にすることはない。強いて言えば充電がない場合は充電しながら行い、電源が切れないようにするくらいだ。Quest 2が主流となっている今、Quest自体は新品での入手は不可能だが、ユーザーは未だ多いはずだ。そのためサポートはしばらく継続することは確実だ。次にMetaがQuest 3を出すくらいにはサポートが切れることであろうが、その頃には価格も十分安くなって性能も上がっているはずだ。
アップデート中にストアを覗いてみると、Quest登場当初から存在するゲームの他、最新ゲームも続々入荷している。そこには以前にclea氏がアンバサダーとして配信していた『オノゴロ物語 ~The Tale of Onogoro~』も存在し、これはQuestでもプレイできる。中には”Resident Evil 4 VR“のようにQuest2でしかプレイできないものがあるので、そこは注意する必要がある。後々の更新でプレイ可能になるよう調整される可能性は、おそらくないであろう。
アップデートが完了するとQuestは再起動する。その際本体からそれっぽい音が鳴ったり、Oculusアプリからアップデートが完了した旨が通知されるであろう。そうしたら、もう一度ヘッドセットを被って設定を再開する。
手順3:ガーディアン境界線の設定
VRヘッドセットを被ると、基本的に現実世界とは隔離される。周りが見えなくなるということだが、通常はこれを気にする必要はない。しかしゲームまたはアプリによっては立った状態で「自身の移動を伴う」ものがいくつか存在する。この時に起きがちなのが現実世界の設置物にぶつかってしまうことだ。これはVRデバイスと設置物の両方を破損する危険性があり、移動を伴うゲームであれば何かを踏む・ぶつかる・転ぶといった怪我をすることもあり得る。そうなってしまえば本末転倒である。
それを見越してQuestはしっかりした安全装置を設計した。その1つが「ガーディアン境界線」である。この境界線をユーザー自らが部屋に合わせる形で設定し、その外に出た場合に警告を表示し、境界線の内側に戻るように促すシステムである。よく「プレイエリアの外です」的な表示をVRのゲーム動画で見ることがあるが、Oculusの場合はガーディアン境界線によって実現されている。イメージが以下である。
ガーディアン境界線は2種類のタイプがあり、自分で描いて設定するのが移動ゲーム向け、自分の立っている地点を中心に円状に自動で設定されるのが静止ゲーム向けである。その境界線を描く際は現実世界を白黒の映像として見ながら、設置物を避けるように描いていく。移動ゲーム向けの境界線はルームスケールと呼ばれる、2×2m以上のスペースを確保することが推奨されており、そのために「配置換え」する必要があることも多い。まずは現状で線を引き、スペースが足りないと言われた場合に配置換えを行って対応するといいだろう。例として、人気VR音ゲーである”Beat Saber”は動きが非常に激しいものとなるので、2×2m以上のスペースに加えて周囲に一切の障害物や床に何もない状態が理想である。もしプレイするのであれば、「部屋を変える」というのも手の1つだ。何もない部屋は、VRのための部屋に早変わりするであろう。
この設定が終われば、最後にOculus公式のVRチュートリアルが行われる。これを終了することで、以降は自由にVRを楽しむことができるようになる。よってこれでセットアップ手順は完了となる。
QuestとQuest 2:ややスペックが低く一部ゲーム非対応以外は何ら問題ない
前述の通り、Oculusの現行VRデバイスはQuest 2である。これはQuestよりも性能を上げつつ価格も抑えたVRデバイスの革命機であり、「高額なデバイス」「複雑なシステム」「高スペックPCが必要」のイメージを大きく覆す存在となっている。それが登場した結果、Questは必然的に旧世代機扱いされることになる。Quest 2と比較すると、SoCが一般的なスマートフォンでも使用されるSnapdragon 835、RAMは古い世代のPCの一般容量である4GB、ストレージも最大128GBで、解像度も(片目単位で)1440×1600と、どうしても性能は低くなる。とはいえ、多くのVRゲームは、Questが登場した当初はそれを基準に開発されたことは確かなはずだ。
Quest 2が登場している以上、それに合わせたゲームが作られるのは仕方ないことである。だが「できない」わけではない。一部ゲームはQuestでは非対応ということはあるものの、私個人としては普通にプレイするのであれば問題はない性能であると考えている。といっても現段階ではまだVRゲームやアプリを試したわけではないので、そのあたりは今後に試せる時に記事として仕上げることとする。よって、自分の財布と相談して、あえてQuestを中古で買うか、或いは最新ゲームをやるためにQuest 2を買うか。それを決めていくといいだろう。
実際にVR専用のゲームやアプリを使ってみた感想は次回以降の解説
これまで私はVRについてはあまり触れることがなかった。それはVRをやっている人が周りにいなかったということがある。そのため、あまり興味が持てなかったのである。いちやちゃんや伝説の男=トロオドンも定義上のVTuberでこそあるがVRコンテンツはやっておらず、いちやちゃんについては将来的にVRデバイスを入手する予定ではあるが、それはまだ先のことになるであろう。
そんな中で偶然で出会ったclea氏は、ゆかりねっとコネクターNEOを使用して、ゆかコネそのものの解説・字幕を利用したリージョンフリーな配信・VRゲームやVRの世界の探索をしていた。それが今まで未知の領域であったVRに、私が足を踏み入れるきっかけにもなった。ゆかコネ3周年記念のcluster会場の生中継をはじめとした、札幌雪まつりのVR版となるバーチャル雪まつりの様子、VRゲームのプレイする様子。死のコロナウイルス情勢が偶然にもVRコンテンツの発展に貢献した今、これらは実際にVRデバイスを用いて、同じ条件で体験してこそ意味のあるものとなるはずだ。そう考えたとき、私の手は既に動いていた。安く出ていた、状態も良好な中古のOculus Quest (2019)、それを手元に引き寄せ、自分のものとした。デバイスタイプをスタンドアロンとしたのは、それが最も「使いやすい」と思ったためである。
今回はセットアップの解説で終わったため、実際に使用した感想は次回以降となる。私としてもやることが徐々に増えてきたため、果たしてどれくらいVRに関する記事をかけるかというところがある。だが足を踏み入れた以上は、その世界を徹底的に調べ尽くしていきたい。そうしていくことで、私にとって今まで未知の領域だったそれは、1つの「ネタの題材」のベースとなるからである。そして私の周りもまた、VRの世界に足を踏み入れるきっかけになるであろう。そうなることを願い、今回はこれで終わりとする。
以上、初代Oculus Quest使ってみた!:設定から使えるようになるまで、であった。それでは、次回の記事で会おう。ン、バァーイ!
KIBEKIN at 00:13 Apr. 13th, 2022
スポンサーリンク
脚注
本文へ1 | 参照:バーチャル・リアリティ – Wikipedia VRに関する概略年表もここに書かれている。 |
---|---|
本文へ2 | 公式サイトからの購入は、128GBで33,800円、256GBで44,800円である。128GBで単純比較すれば16,000円も下がった計算になる。 |