この記事の概要を簡単まとめ!
- 字幕と翻訳のゆかNEOとコメントツールのわんコメ
- 双方での連携が強化され、連携に至る設定機能も簡易化が目指されている
- 連携することで使える特別な機能が存在する
- 連携による目玉機能がわんコメテンプレートをゆかNEOで使用できること
- 以前はテンプレートを正式にサポートしていないため使用が難しかった
- バージョン更新によってテンプレートを簡単にゆかNEOに導入可能になった
- テンプレートを使用した場合は認識結果が残るタイプとなる
- Wordpartyも連携することでゆかNEOの音声認識経由で動作させられる
- 編集はわんコメから行うが、直接参照のためリロードだけで反映
- 折角連携するのなら、機能を知ってフル活用していく
あるソフトウェアないしツールがある。それは決してメジャーではないが、必要とする人にとっては重宝されるもので、更新があれば必ず更新を行って最新版にして使用することが多いものである。だが更新情報を見て、今まで存在していた便利機能が削除されてしまうが、最新版にしなければ使えないと分かっているとき。人は「進化」を止めてしまうのだろうか。或いは妥協や代替案で乗り切るのか。このあたりは実に悩ましいところである。
気になったので書いてみたら意外に反響が多いシリーズが、配信者向けの補助ツール解説である。メインで書いているのはゆかコネ/ゆかNEOとわんコメで、それに関連するツール、さらにはVTuberがよく使うであろうツールについても解説をするようになった。また、ゆかNEOとわんコメについては、ゆかコネ公式ガイドclea氏とアンバサダーの卯塚ウウ(うーちゃん, わんコメアンバサダー兼任)から情報を貰って調査に役立てている。特にうーちゃんは最新の情報をよく収集しているため、そこから最新情報を知ることができる。
そこから得たゆかNEOとわんコメの最新情報で、最新版において連携機能がさらに強化された結果、わんコメのテンプレートをゆかNEOで利用しやすくなったのである。それまで非公式ながらサポートしていた機能であるが、どうしても設定と導入が面倒であった。その苦労を一気に解消し、より使いやすく、わかりやすくなったゆかNEOとわんコメ。でも一体何がどうなっているかがよくわからないという人も多いはずなので、記事ベース解説によって、これを読んだらもう使えるようになっている、を目指すのが今回の趣旨である。
ゆかNEOでわんコメのテンプレが使えるっていうのは、進化だ。
ゆかりねっとコネクターとわんコメ
字幕のゆかコネ、コメントのわんコメ
ゆかりねっとコネクター、ゆかりねっとコネクターNEO、わんコメ。このツールはVTuberなら一度はその情報を目にしていることだろう。或いは、もう既に使用中という人もいるはずだ。ゆかりねっとコネクター及びゆかりねっとコネクターNEOはNao氏が制作するコミュニケーションツールで、わんコメはWeb犬アスティ氏によって制作されるコメントアプリである。
ゆかコネは音声認識による結果の字幕表示とそれの翻訳機能を搭載し、他の多数のソフトウェア・ツールとの連携が可能なよう、多数のプラグインが標準装備されているもので、ゆかNEOはその軽量版の位置づけである。現在はゆかNEOが開発の主流となっている。わんコメは元々は異なるプラットフォームのコメントを1つにまとめることを目的に個人で開発されたものである。それがコミュニティで好評だったため、公開状態で更新が続けられている。ゆかコネもわんコメも、ツールとして完成したのは最近のことであり、実は誕生してからそれほど経っていないものである。
誕生当初は、これらのものにはやはりというべきか、懐疑的態度であったようだ。ゆかコネについては特に、誰が使うのかという感じでいた。周りのその態度から普及は難しいと思われていたが、ゆかコネに可能性を感じた1人のVTuber, clea氏がNao氏と積極的に連絡を取って、2022年3月25日まではゆかりねっとコネクター公式アンバサダーとして活動していた。その日以降は新たに8人を第一期アンバサダーに迎え、clea氏は公式ガイドとして活動している。わんコメについても同様に、わんバサダーを制定して普及と宣伝を行っている。それらの地道な努力によって知名度向上と利用者増加の成果が現れ、そのおかげで現在も開発が継続されている。今では卯塚ウウ氏(うーちゃん)のように、両方使用する人も多くなっている。
なお、ゆかNEOないしわんコメの過去記事については、その「最初」となるもののリンクを以下に掲載する。それぞれの基本部分について知りたい場合には、これを参照するといい。
双方での連携が強化され、連携に至る設定機能も簡易化が目指されている
その2つのツールの開発者はそれぞれ異なり、当然のことながら更新リリース頻度も異なる。つまり両者は利用者個人で同時に使うことがあっても、ツール同士で何かを行うということはない。したがって今まではそれぞれは独立したツールであり、特に連携は考えられていなかった。この沈黙を破るのが前述の3月25日で、この日を境にゆかNEOとわんコメの連携を考えた開発が正式にスタートする。
ゆかNEOはv.1933、わんコメは2.1.0からそれぞれ連携するための機能が搭載されている。ただ、この時点ではまだ不安定で、連携してもうまく動作しなかったことがある。その度に積極的に使用しているユーザーから不具合報告をNao氏やアスティ氏に送ることで、細かい部分の不具合を含めて修正がなされていき、ついでに新しい機能も追加されて更新されるというパターンになっている。ゆかNEOについては開発版のマイナーアップデートを中心に頻繁に更新されて、わんコメは原則としてサイトにアップロードされるのはメジャーアップデートのみで、おそらくDiscordに参加すると開発版が検証できるものと考えられる。この辺のことはうーちゃんが詳しい。
連携が開始されて約3ヶ月が経過し、連携の方法についてもユーザーがやりやすいように変更が加えられている。主にチェックボックス形式で連携を行う、または連携を解除するを任意に切り替えることができ、接続ルートもws(Websocket), http, httpsから選択できるようになっている。なおwsのみ、読み上げ連携も可能になっている。また、最初から両方を同時に使用することを前提として、ゆかNEOにもわんコメにも「片方を起動したらもう片方を自動で起動する」機能も付与されている。これは一度設定しておけば、起動対象のソフトウェアのインストールディレクトリを変更しない限り自動で起動してくれるわけで、連携を前提とした運用の際の手間の削減に一役買っているのである。
なお、両者の連携方法については、基本部分が変更されていないので、わんコメ第3回記事のこの部分を見てもらえればわかる。
連携することで使える特別な機能が存在する
ではなぜ連携するのか、というところが重要である。単に連携しただけでは何の意味もない。連携するからにはそれだけでしか使えない機能が用意されているということである。その機能は、わんコメ側に翻訳機能を提供し、ゆかNEO側にわんコメのテンプレートを利用可能にすることである。このうちわんコメで翻訳機能を使用することに関する解説は、第3回記事で解説済みである。それについての詳細はそちらで確認してもらいたい。
実は第3回記事では解説しきれなかったことが1つ存在する。それが、わんコメのテンプレートを使用して字幕表示を行うことである。このことについては記事執筆中はその存在にこそ気付いてはいたものの、導入方法が明確ではなかったためにそれについて調査する余裕がなかった。またそのときはわんコメをメインに書き進めていたため、ゆかNEOの機能となるそれはスルーしていたのもあった。
そうして最後に書いてしばらく経ってから、ゆかNEO×わんコメの記事のシリーズを書こうと思ったわけである。ゆかNEOもわんコメもiOS以上に更新が早いもので、今日にあった不具合は明日には改善されていて、一週間後にはバージョンが上がっている。わんコメテンプレートを使った字幕表示もまた、例外ではない。この機能はうーちゃんが積極的に使用していたため、更新が行われる前の仕様情報についても入手できた。次項より、わんコメテンプレートのゆかNEOへの導入方法から旧システムからの改善点を含め、この機能に初めて触れる人が今すぐ使えるようになるまでを解説していく。
わんコメの力をゆかNEOに
わんコメテンプレートをゆかNEOに適用し、そのテンプレートで字幕ないし翻訳を表示するまでを解説する。なお、解説にあたってそれまでの設定方法がどのようなものであったかについても解説する。なお、解説時点でのバージョンは、ゆかNEOがv1.9549, わんコメが3.2.1である。
前提:以前の方法と仕様
両者の連携自体は、サポートが開始された時点では細かい部分までは手探りで構築していった段階である。その頃の字幕表示への反映は、少々面倒なやり方であったという。というのもゆかNEOとわんコメは連携している状態でもわんコメのテンプレートが格納されているディレクトリ1)インストール先を変更していない場合C:\Users\[username]\AppData\Roaming\live-comment-viewer\templates
にあるを直接参照することができず、使用したいテンプレートをそのディレクトリからゆかNEOのテンプレートを格納するディレクトリ2)これも変更していない場合C:\Users\[username]\Documents\YukarinetteConnector\Plugin_OCTemplateGen\Data\Templates
にあるにコピーした上で、そこから参照して使用する形式だった。とはいえこれだけならまだ手間は少ないわけで、単にコピーすればいいだけである。
だがこれが面倒になるのは、わんコメのもう1つの特徴である”Wordparty”系のテンプレートを使用する場合にある。Wordpartyの内容の編集はその性質上わんコメから編集することになるのだが、直接参照できないことによって、一度内容編集したらそれを反映させるために、わざわざそのテンプレートを再度ゆかNEOの所定の場所にコピーしなければならなかったのである。これはちょっとの位置調整などの変更を加えても反映するにはわざわざ丸ごとコピーしなくてはならないわけで、その手間は地味に面倒なものである。また、わんコメで500円以上の支援を行っている場合はPro版テンプレートも使用できるわけだが、そのテンプレートは仕様上、ゆかNEOのディレクトリへコピーしても使用できなかった。このこともあって、更新が入るまでは少々使いにくいものであったことが、うーちゃんから聞くことができた。

本題:連携してテンプレートを呼び出す
上記の問題を抱えながらも、うーちゃんは積極的に使用していた。そのおかげである程度の事前情報は入手出来ている。それでは改めて、「現在のバージョンで」テンプレートを使用する方法を解説する。再度の確認として、各バージョンはゆかNEOがv1.9549, わんコメが3.2.1である。
手順1:ゆかNEOの接続情報を確認
連携するにあたり、まずはそれぞれの設定を見直す。今回は接続にws(Websocket)を利用するため、その場合の接続方法を改めて記述する。まずはゆかNEOのプラグイン一覧から「翻訳/発話連携サーバ v1.3e」を見つけ出し、これの右にある「設定」をクリックする。するとダイアログが表示され、接続に必要な情報が以下の形式で書かれている。
- [Access Port]
- http://127.0.0.1:[number-x]
- ws://127.0.0.1:[number-y]
- [number-x]は8080番台、[number-y]は52000番台
このような感じで表示されるので、このうちwsの情報についてどこかにメモしておく。ゆかNEOのバージョンが上がったためか、以前に確認したときには55500番台だったのが、今回は52000番台となっていたようだ。そのため、ゆかNEOだけ更新して連携がうまくされないと感じたときには、再度接続設定を見直すといい。もっとも連携を前提とする以上、わんコメもアップデートしているとは思うが。
手順2:わんコメの設定を行う
wsの情報をメモしたら、わんコメに移る。わんコメの右上のメニューから「連携」を選択し、「ゆかりねっとコネクターNEO/Trans-through」にチェックを入れる。自動起動や自動終了については任意で設定する。重要なのは中央にある行で、初期状態ではhttp, localhost, 8080、と各枠に入力されている。ここで、localhostは127.0.0.1と同じ意味であるので、これは変えなくていい。このうちhttpの部分はプルダウン選択式でhttp, ws, httpsの3つから選択できる。http及びhttpsは8080, wsは52000がデフォルトでセットされているようである。これはゆかNEOに合わせているもので、現時点ではゆかNEO側でその値(ポート)を変更する術はないため、ここを変更する必要はない。
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wsでゆかNEOが指定するポートに数値を合わせたら、接続が出来ているかを確認する。確認方法は翻訳タイプの下にある「接続テスト」をクリックすることで、自動でテストしてくれる。このテストで「おはようございます => good morning」の表示が上の方に表示されれば、接続が出来ていることを証明している。これで保存をクリックすることで、準備は完了だ。

手順3:カスタムレイアウトを有効にし、テンプレート一覧を呼び出す
接続ができたら連携設定画面を閉じてゆかNEOに戻り、プラグイン一覧を確認する。次に確認するのは「カスタムレイアウト(わんコメ仕様テンプレ) v1.4e」である。これにまずチェックを入れ、設定画面を開く。これは別ウィンドウで開き、その設定画面を開いた段階では特に何も表示されていないはずである。その設定画面の下側には、「わんコメのテンプレートを直接使う(わんコメ v3.2~)」のチェックボックスがあるのでそれをチェックした上でリロード(2番目のボタン)をクリックすると、上の空欄にわんコメのテンプレート一覧が表示される。その表示形式はわんコメでテンプレートを呼び出したときと同じ形式になる。ただしWordpartyの編集はゆかNEOからは行えないようになっている。

上の画像で、表示させたい結果については中央のプルダウンメニューから選択する。わんコメテンプレートを使用した字幕表示は現時点で多言語表示には対応しておらず、任意の1つの翻訳のみ同時に表示することができる。そのため、1つの言語のみで対応できる場合はわんコメテンプレを使用し、それ以外の大規模イベント等でかなり広い範囲の視聴者・ユーザーが見込める場合はゆかNEOのものを使用した方がいいということになる。プルダウンメニュー選択後はOKをクリックすることで反映される。選択してそのままだったりOKをクリックせずにウィンドウを閉じてしまうと反映されないので注意。
これでテンプレートは使用可能な状態になった。次はこのテンプレートをどのようにすれば字幕に適用可能かを解説していく。
テンプレートを字幕に反映させる
さて、これでテンプレートを呼び出せることが分かったので、実際にテンプレートを反映させる。反映方法には3つあり、ゆかNEOから見れるテンプレート一覧からブラウザソース(HTMLソース)を取り込んでからプロパティでカスタムCSSを適用する(2列目→4列目)、URLを直接放り込む(3列目)、ブラウザで表示してそれを直接ウィンドウキャプチャによって表示する(5列目)、のいずれかで行う。このうち最も楽な方法はURLを直接OBSにドラッグ&ドロップするもので、これもブラウザソースの扱いとなる。
OBSに突っ込んだら、適当に発話したりゆかNEOのテキスト入力ができるところでテストしてみる。設定が正しく、OBSに問題がなければ、任意のテンプレートでコメントを取得したときと同じ形式で翻訳が表示されるようになる。例として、テンプレートの1つであるcool-popで表示した場合が次である。

上の画像で分かるように、コメントと同じように表示される。わんコメのテンプレートを使用して表示する場合、多くが字幕がそのまま表示され続ける仕様となっている。これが当てはまらないテンプレートは現時点では”filpboard”と”newsticker”が該当し、この2つは一定時間経過すると消える。これはそのテンプレートの元々の仕様のため、字幕だから消えるということではない。newstickerのみ、少々調整が必要なため、実際にOBSで表示させながら調整していく方が使いやすいものとなる。
テンプレートをOBSに入れた時点では字幕表示の大きさは、OBSの画面サイズそのものの大きさになる。プロパティでソース自体の大きさを変更して、変換や画面上で枠を掴んで伸縮させて見やすい位置と大きさに変更していくことで、見やすい字幕になる。或いはわんコメがブラウザ上で提供するテンプレートジェネレータを使って、自分の配信画面のカラーに合う色に変更するといった改造をしていくと、望みの画面になるであろう。
もう少し攻めるゆかNEO×わんコメ
わんコメのテンプレートで字幕を表示する方法、そして表示したい内容についての解説は上記で完了となる。しかし忘れてはならないのが、わんコメテンプレートでも特殊で、特定のワードによってエフェクトを発生させる”Wordparty”だ。これはわんコメだけの機能と思えば実はそうではなく、ゆかNEOで使用することで、自分で喋って認識された際のワードを起動フラグとして、能動的にエフェクトを発生させることができるのである。折角連携したのだから、Wordpartyについても触れておく。
使い方:ゆかNEOからOBSに追加、登録ワードと同じものがあると動く
まずは前段階の準備として、ゆかNEOとしてのWordpartyをOBSに追加する。これは先で解説したゆかNEOから見れるわんコメのテンプレート一覧から、デフォルトのままであれば”word-party-preset”が存在するのでそれの”URL”のところにあるものをOBSにドラック&ドロップで導入する。ソース名はWordpartyであると分かるようにしておく。大きさはいつもの通り自分の配信画面に合わせて調整すること。
使い方は簡単で、わんコメ側からのみ見れるWordpartyの設定でセットしている動作とそのキーワードに一致するものが音声認識の結果に現れた場合(=字幕で表示された場合)、コメントでそのキーワードに一致するものがあった場合に動作するのと同じように設定したエフェクトが発生する仕組みとなっているのである。よってうまくやれば自分から能動的に、しかも手を使わずに起動させることができるということである。
今回は検証のためテスト用の手入力を使用している。そのため望み通りの「完全一致」をゆかNEOを介してわんコメ(Wordparty)に送信し、特定のエフェクトを発生させている。ただ通常は音声認識からの入力で起動することがこの機能の想定しているところであるので、その場合は音声認識の結果によって求めているものと違った結果が返ってくることがある。そのため、自分で起動させるにはある程度の音声認識への調教を行うか、特定の記号で反応させる場合には手入力を使用する必要がある。このあたりは実際に使わないと何とも言えないものである。
編集はわんコメから行うが、直接参照のためリロードだけで反映
ところでWordpartyの編集については、その性質上わんコメからしか行えない。よって内容を編集したい場合はわんコメのメニューから「テンプレート/word-party-preset(ペンマーク)」(デフォルトの場合)の順に選択してエディターを開き、そこから設定したいものを編集するというものになる。編集の保存は全て自動であり、編集ウィンドウを閉じずとも反映される。以前は編集完了後はこれをゆかNEOのテンプレートの中にコピーして使っていたわけで、現在は直接参照を行っているのでコピーの必要はない。
ただし、わんコメで設定してもゆかNEOの方のWordpartyにはすぐには反映されない。と言っても反映にはゆかNEOのWordpartyのソースをリロードするだけでいい。これだけで即時反映となる。また、クリックによる動作を設定している場合、OBSの対話機能(インタラクション)を使用することでも動作させられる。とはいえ原則としてWordpartyは特定ワード反応型であるので、クリック反応を設定することは少ないはずだ。
WordpartyはゆかNEO用とわんコメ用と分離すべきか
ところで検証中に1つ気になったことがある。わんコメではWordpartyは現時点では1つのみ、標準でセットされている。おそらく殆どの人はデフォルトの1つを編集することになるであろう。ただ、ゆかNEO用に設定したそれもわんコメと共通して使用されるものとなるわけで、わんコメ側でもリスナーのコメントで起動キーワードを含むコメントを取得した場合、それでも起動してしまうことを意味する。ゆかNEO用に設定したWordpartyは自分で起動させることを想定しているはずなので、リスナーからのコメントで起動することは想定していないことが多いはずである。
そう考えたとき、Wordpartyはわんコメ用(=デフォルト)とゆかNEO用で分けた方がいいのではないか、というようにも考えることができる。そのためにはまず複製を作らなければならない。わんコメではWordpartyの複製は考えられていないものと思われ、その方法は公式サイトのマニュアルに記載もない。だがヒントとしてこのページには『テンプレート名をword-party-にすると「エディタで開く」が表示されます』とある。その名称はディレクトリに適用されており、単純にそれに沿ったディレクトリを作成すれば完了、というわけではなかった。動作に必要なファイルが足りないと怒られたのである。具体的にはindex.html, style.css(ブラウザソースとして表示させる)、config.js(設定を保存するための本体)の3つで、これを新規作成したディレクトリに投入してやればいいということである。

これでWordpartyを1つ複製することができたわけだが、この行為はわんコメサイド(特にアスティ氏)からすればあまり想定されていないことであると思われる。たまたま私は初歩レベルではあるがコードやファイルの関係を読み取る能力があったので複製が出来たが、通常はこのような使い方はしない方がいいだろう。私のように「できる人」ばかりではないからだ。それはともかく、Wordpartyを分離することで、自分用とリスナー用にそれぞれ違うエフェクトを仕込めるということになるので、やる価値はある。
ちょっと実験:分離したらどうなるか
ここからは分離前提で話を進める。ゆかNEO用のWordpartyを作成したら、それを新規のブラウザソースとしてOBSに取り込む。そして任意の表示させたいエフェクトを使用する。今回実験で使用するのは、遊戯王アークソファイブで度々登場した「乱入ペナルティ」のエフェクトである。観ていた人ならわかるあれである。
これを、音声認識で「乱入」をキーとしてメイン画面(ゲーム画面)の左下に小さく表示するように設定し、これをゆかNEO用のエフェクトとしている。そしてデフォルトのWordpartyには乱入ペナルティのそれは入れずにそのままにしておく。この状態で、わんコメとゆかNEOでそれぞれ「乱入」を含むコメント・字幕を表示したらどうなるかを検証し、それを動画化した。
乱入ペナルティの動画は、本来はmp4のところを無理矢理わんコメが対応するwebmに変更している。現時点ではわんコメは一般的形式であるmp4には非対応3)Wordpartyの固定表示は、3.2.1時点で画像(一般的形式のもの)、WebM, MP3, WAVのみ対応。のため、動画型の演出はWordpartyではまだ難しいものであると考えていい。後に正式に対応することにはなると思われるが。それはともかく、上の動画においては乱入ペナルティはゆかNEO用にのみ設定したので、わんコメで「乱入」を含むコメントを送信しても動画は流れないようになっている。こうすることで、自分用のエフェクトとコメント(リスナー)用のエフェクトを分離することができたことが分かる。
エフェクトを分離することで期待される効果は、配信者自身が音声認識を介して任意にエフェクトを起動させることができる、リスナーによって意図しないエフェクトの起動を防止することができるといった点にある。Wordpartyについてはまだ使い方をマスターしていない人の方が多いため、使い方の1つとして参考となれば幸いだ。
余談:Nao氏の遊び心
検証の際、ゆかNEOの基本設定を確認していると、妙に変わった項目があった。設定項目の一番上にあるのは、「アンバサダー(推し)の選択」で、プルダウンメニューとなっている。デフォルトはなしになっているが、その中身は公式ガイド・イラストレーター・第1期アンバサダーの名前が連なっている。試しにclea氏にセットしてみると、ゆかNEOのメイン画面にちょっとした変化があった。一番上にあったイラストがclea氏に変わっているのである。

基本的にはその部分が変わるというだけで、本体デザインが変わるというわけではない。それが10人分用意されているわけで、ゆかNEOを使用している人でclea氏、あすまくん、8人のアンバサダーを観ている人は、使ってみると雰囲気的にも面白い。おそらくその10人も「自分のイラスト」に設定していることであろう。イラストはおそらくあすまくん作であると思われる。ここに開発者Nao氏本人単体絵もあったらいいのだが。
これだけなら特に1つの解説事項にはしなかった。だが、この変更はゆかNEO起動時にも適用されるもので、そのために1つの解説事項とした。以下に、起動時のパターンを(デフォルトを除き)全て撮影した。このためにわざわざ10回も再起動を繰り返したが、その価値は「あった」というものである。

折角連携するのなら、機能を知ってフル活用していく
ゆかNEOとわんコメは、連携機能については前々から存在し、これを使ってわんコメ側に翻訳を提供する方法は以前解説した。今回はその逆で、ゆかNEOにわんコメのテンプレートとWordpartyを使用して、字幕や音声認識でも使えるようにする方法を解説したのである。これで、ゆかNEOが得意とすること、わんコメが得意とすることをそれぞれ相手のツールに与えることになり、それぞれの機能に新しい機能を付与することができるようになる。
ただ、その機能が何なのかということが分からなければ使えない。それ以前に、どこにその機能が追加されたのかを知らないと、何も変更が無いように思って、普段通りの使い方をするだろう。そういう時はちゃんとリリースノートを見ろと言いたくなるのだが、どういうわけか見ない人も一定数存在する。そして開発者も忙しいので、細かい部分についての解説も時間が取れずに作れないことも多い。そういうわけで、私が実際に使用して、機能を解説するということに至ったわけである。
これらの機能は当然、使用しなくてもいい。これらの機能を使う自由はこのツールを使うユーザー全てにある。そして使いやすいか使いづらいかを決めるのも、これを使用したユーザーが各々に決めればいい。もし使うと決めたのなら、積極的に使っていくといいだろう。フル活用してくれるのは、Nao氏やアスティ氏の望んだことでもあるからだ。
以上、ゆかNEO×わんコメ指南書:字幕表示をテンプレートでカスタマイズ、であった。次は何の記事で会おうかな?
KIBEKIN at 00:16 July 13th, 2022
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