【割と認識できない】ゲームプレイの謎:マップが読めない人達を考察する | Raven's Articles

【割と認識できない】ゲームプレイの謎:マップが読めない人達を考察する

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この記事の概要を簡単まとめ!

  • ゲームの進化で3Dはもはや現実と相違ないレベルになっている
  • 3D化の傾向により「マップ」も立体的になる
  • ここ最近の配信(見る側)で観測した「マップの読めない人達
  • 現実でマップの読めない人達については研究がなされている
  • ゲームでも現実と同様なことで読めないと考えられる
  • 現実での解決策やゲームならではの方法で解決できる可能性
  • マップが読めないのならマップが読めるように手を加えればいい

配信の内容はどうしてもゲームになりがちだ。というのも、それが最も手軽であり、最も一般的であるからであろう。これは何もYouTuberでもVTuberでも変わることではない。そして時代の変化(進化)に応じてゲームも進化しているわけで、3D作品はもはや当たり前であり、やらない理由はない。ただその中で1つ気になることがある。

どうにも「マップの読めない人達」が多いのである。この違和感は単にゲームの上手い・下手で表されるものではないものと考えている。単にそれを嘲笑することは簡単だが、しかし何故マップが読めないかという部分について考える。これを明らかにすることで、なぜそうなってしまうのかと、改善方法を考案することができるはずだ。

空間認識能力はゲームにも受け継がれる可能性

ゲームの3D化と現実に近い世界

現実と相違ないゲームの世界

人がゲームを作るとき、殆どは3D作品を主として制作することが多い。それは技術進歩によって3D描写の精度とそれを再現するためのユニット、一般にGPUが高性能化したことが大きい。最近では一種の原点回帰的傾向や3D作品への苦手意識のある人向けに2D作品もインディーゲーム中心で盛んであるが、それでも割とGPUを使う作品は多い。時代の流れに逆らってあえてのドット絵を採用するところもあるが、それはまた別の話である。

3D作品においてはその再現度はもはや現実と相違ないレベルにまで来ている。一時期は不気味の谷で議論されることはあったが、それは遠い昔の話になった。そして現実と相違ないを最も体現するのが、私の知る限りでVRであると断言する。現在はメタバースと言うことの方が多いかもしれないが、その場合はむしろ理想空間の生成という意味合いの方に感じる。メタバース空間であれば現実では不可能なことが殆ど可能だからである。それではなく、現実世界の再現をした空間の方が現実と相違ないものと言える。



3D化の傾向により「マップ」も立体的になる

これは必然というものだが、3D化したことによってマップも立体的になる。空を飛べるなどの特殊能力のない人間が主役の場合は基本的に地面を歩くスタイルになるので、マップは立体的だが移動は平面方向XY軸が中心で、縦方向Z軸への移動タイミングは生身1つで行うことは少ない。せいぜい足場に乗っかって少し上下するか、階段・はしご・エレベータ等の縦移動可能なオブジェクトを利用するくらいである。この場合のマップは上から見下ろした見取り図的なものになる。

三次元運動が可能な3D作品の場合は、XYZ軸のすべての方向に自由に動けるものが殆どである。ただし地上の概念が存在する作品では空中に浮遊できる時間が限定されていることが殆どである。舞台がそもそも空中である(航空機が主役)、あるいは宇宙である場合は三次元運動の制限は全くないものと考えていい。この場合のマップは地形情報を含んで立体的に見れるものになっていることが多い。

いずれの場合もマップは殆どのゲームで実装されているものであり、マップへのアクセスは容易なものである。ゲームタイプによってはマップを自分で作らなければならないものから特定の場所にあるマップそのものを拾うことで全体が記録される、最初からマップが用意されているといった様々なパターンがある。また、自分の周囲を拡大表示したミニマップも画面上に常時表示されることも一般的で、任意にON/OFFできることも多い。また、Energy Airforce等のリアル系シミュレータにおいては、実物と同様なミニマップ1)Energy Airforceシリーズでは、搭乗機体に応じてコックピットを機体別に忠実に再現している。そのためレーダーをはじめとする機器類全てが実機と同様のものになっている。最新鋭機ほど各種機器類は電子化されており、見やすいものになっている。が存在することも多く、ゲームによってマップにも個性が出ているのが面白いものである。

配信において:「マップの読めない人達」の存在

そんな個性あふれるマップだが、最近同業者絡みで色々な人の配信を見て気付いたことがある。見ている配信の半数はどうにも、マップが読めていないような気がしてならないのである。これは私がそれなりにそつなくゲームが出来るとか、そのことによる上手い・下手ではなく、単純にマップの見方を間違えて、本来行くべき方向に行けていないということが多々見受けられたためである。

見ている限りでは、マップを見て何がどこにあるかというのは把握できているようだが、その目的の場所に行こうとすると真逆の方向に行ってしまったり、ドアがない方向に進んでいってしまったりと、マップをちゃんと読めているとは思えない行動をしてしまっている。加えて、探索時は部屋の隅々まで調査することが基本でありながら、マップの読み違いか、あるいは気が回らなかったのか。突き当りや道中にある重要なポイントをスルーしている人が多かったのである。



これらを見て、マップが読めない人にはそれぞれ何か理由があるのではないか、そしてそれを改善する方法があるのではないかと考えた。この手のものは単に嘲笑するだけなら簡単だがそれはあまりにも可哀想である。改善する方法があるならそれを考察し教えた方がいいというもの。これについて詳しく見ていくこととする。

マップの読めない人達と改善策

現実のマップが読めない人の考察

まずは現実世界においてマップが読めない人について考察する。現実世界でマップが読めない人に関しては既に研究対象として世界中で研究されているものである。東洋経済オンラインの《「地図が読めないの私だ!」道に迷う人の嘆き 予習をすればたどり着ける?》とWIREDの《「地図が読めない人」の脳はどうなっているのか》の2つから考えていく。

考察1:地図が単に読めないこと、予習が足りないという考え方

方向音痴=地図を回す人、というイメージがあるらしい。私はそういう人に遭遇したことがないのでわからないが、東洋経済オンラインの記事2ページにおいてこれは「整置(せいち)」という地図を読むための重要なスキルのひとつであるという。元々は登山においてコンパスと地図を使って地図上の方向と実際の方向を一致させる技術で、これを使うことで迷わずに進むことができるということになる。そもそも人間は頭の中で物の見え方を回転させる操作が苦手でこのような技術が必要になる。だが地図が読めない人は東西南北の方角ではなく、自分を軸に「右・左」で捉えがちである。さらに頭の中で右や左のつながりを回転させて整理するというのが苦手ゆえに更なるハンディを背負うという分析があるようだ。

もう1つの考えとしては、目的地に到達するまでの道筋の「予習」が足りないというものである。まず前提として簡略化された地図は精度に欠けるものであるとして、所謂街中にあるような案内図では不十分とするものである。その上で迷わないためにはまず地図を読んで予習が必要であるという。出発点や基点をもとにどの方角へ進むか、目印は何かといった目的地までの周辺情報をあらかじめインプットしておくということ。これが足りないということで地図が読めないことに繋がるようである。

これらが本当にマップが読めない人の説明となるかは怪しいが、仮に真とすればまず地図上の方向と現実の方向の不一致が原因とすることができる。次に予習は、一応地図こそ見たが地図上の目印と現実の目印をリンクすることができず、これにより方向も一致させることができず、それによって迷ってしまうということになる。これらが結果的に「マップが読めない」ということになるであろう。

考察2:地図が読める人と読めない人の脳の違い

オレゴン大学の地理学者エイミー・ロッベンによる研究がある。彼は路上の視点から地図の鳥瞰視点に見方を切り替える能力のテストと、メンタルローテーション2)頭の中で二次元ないし三次元の物体を回転させる能力のこと。整置の頭版と考えると分かりやすい。の個人差について取り上げた。

まずテストでは、地図と地図上の一地点を写した路上写真を被験者に見せ、それと2つの向きの固定された矢印を用意し、地図上ではそのどちらが写真撮影者の向いていた方向に一致するか(あるいはどちらも一致しないか)を答えさせることを行った(画像は本項末尾掲載)。これは実際の地図読解能力の予測に役立つもので、それを検証するテストとして数百人の被験者を知らない場所で下ろし、現在位置を地図で示して、そこから地図上の別の地点までたどり着くよう指示した。この時先のテストで好成績を上げた人は目的地へ直行し、成績が悪かった人は頻繁に立ち止まってより複雑なルートを選択するという傾向があるとの結果が出た。

メンタルローテーションについては、この能力が高い人は地図は常に北を上にして、低い人は地図を回転させ、常に自分の進行方向を上にするという結果になった。ただこの違いがあっても地図読解能力に優劣があるわけではなく、自分の能力を補うための戦略の1つということになるようだ。さらにfMRIで脳の違いについても調べたところ、海馬傍回場所領域(PPA)が航空写真には反応しないが一部の地図には反応を示す傾向を明らかにした。脳が風景を場所として認識する仕組みの手がかりとして活用できそうだという。




この研究自体は古いもので、WIREDの記事データも2013年12月5日付のものだ。しかしその頃からマップが読めない人について研究されていたわけで、これがスマートフォン等におけるナビゲーションシステムの設計の材料となる。簡単な認知テストにより、その人が目的地に辿り着くために必要なものを選定し、それに応じてナビゲーションシステムの個別化を図るというのが研究の目的でもあった。その10年後の今、Googleマップで言えば自由に回転でき、GPSとジャイロによって現在の方角が示されるので、個別化の成功に至っていると思われる。

WIRED記事の画像部分の切り抜き
WIREDの記事の画像部分について切り抜いたもの。左はその地点でどの方角の写真を撮ったかの矢印を選択するもので、右は2つのマップが同一かを判定するものである。答えは該当記事を参照のこと。

現実の拡張:ゲームにおける「マップが読めない」を紐解く

これらをふまえて話をゲームにおけるマップの読めない人達に戻す。ゲーム中のマップにおいて目印となるものは主にドアや階段や梯子であろう。あるいは仕掛けのポイントが大きく示されていることも多く、自分の位置を確認した後にそこに向かって進むことになるはずだ。マップ上でそれらを確認し、そこに向かうと決めたまでは問題はなかったであろう。だが実際に操作するとなると、そのゲームの視点にもよるが、マップ上の目印と実際にプレイしている時の目印が一致しないということがまず考えられる。

これが起きることで方向の不一致が発生することは想像に難くないことだ。目印を発見できないことでパニックとなり、とにかく目印を見つけるためにあてずっぽうに探し始めマップを再確認せず実行してしまう結果、自分がもはやどこにいるかわからなくなることで迷ってしまうということに繋がるであろう。実際は行動の失敗であるが、その前にマップを読んでいたことを加味しての「マップが読めない」ということになる。またマップを出している間は行動できないことが多いので、行動中はマップを一時的に頭の中に入れ込むことになる。この場合はメンタルローテーションができないと難しいものになり、やはりマップが読めないことに繋がると考えられる。

マップが読めないことへの改善案

それではマップが読めないことについて、果たしてどうすれば改善し「読むことができる」ようになるかを考える。

改善案1:同じマップを手元に用意する

メンタルローテーションが苦手な人が取る方法で、地図を常に自分の向いている方向に回転させるというものがある。これを現実で適用するのであれば、そのゲームと同じマップを手元に用意することでこの手法を取ることができる。次の方法でマップを用意できるはずだ。

  • マップ画面を直撮りする:出力元がコンシューマ機ならスマホ等で直撮りし、PCであればスクリーンショット機能を利用して画像を用意する。スマホの場合はスマホ自体を回転させ、PCのスクリーンショットからの場合はビューアソフトから回転機能を利用すると
  • 紙媒体を利用する:一昔前であれば攻略本にはマップが載っていることが一般的である。現在は攻略本は紙媒体自体が減っている傾向にあるので、取った画像をプリンターなどで出力して用意するといい。
  • 攻略サイトのマップを拝借する:クソ広告だらけであまり使いたくはないが、最近の蔓延する攻略サイトでは一応とばかりにマップが置いてあることが多い。用意されているマップより高精度なものもあるが、それはレアケースである。

この中で最も手軽で使いやすいのがスクリーンショットであろう。この時操作しやすいのはスマホでの直撮りである。PCの場合は操作中に画像を回転させるというのは難しいもので、スマホの場合は画像を直撮りする時の距離と位置、モニターの画質に注意すれば撮影した画像はそのまま利用できる。PCのスクリーンショットについては画像をスマホに転送できれば使いやすくなるが、転送する暇はそうそうないので直撮りの方が使いやすいであろう。攻略サイトなどのマップ画像はダウンロードして写真として利用するのが最適である。

改善案2:マップを細かく確認する

そうは言っても画像を用意する手間が面倒で、画像を用意する時間もないということの方が多いはずだ。そこでゲームとしての特性を生かす。通常マップは通常行動可能な状態ではいつでも呼び出し可能なものになるはずで、その場合はボタン1つで呼び出せるようになっていることが一般的である。そのため、もう迷いそうであるとか、もう忘れてしまったという場合には都度マップを呼び出し、自分の位置を確認するとともに、現在の自分の周囲にあるものを再確認して向かっている先が正しいかを確認していくといい。初めてやるものであるなら尚更であり、確認しすぎることにマイナスはないはずだ。

具体的な改善策としては以上である。他にも方法があるとは思われるが、今回挙げた2つが理想的であると考えている。

マップが読めないのならマップが読めるように手を加えればいい

1億総配信者時代に検証を兼ねて配信をしていたが、4月中旬から本格的に(広義の)VTuberとして活動を始めた。その結果としてcleaちゃん以外に様々な人を見るようになったが、広範囲探索型のアクション系のゲームではマップは必ずついてくるものである。そのマップを見てから行動するというのが一般的であるのだが、そのマップを見ているにもかかわらず迷ってしまうことや見当違いの方向に進んでしまうということが多く観測された。

これを見て単に嘲笑することは可能だが、だがそれよりも読めるようになる方法を考えた方がいい。そう思って考察と改善案を出したわけである。もっとも、これを読んだからと言ってすぐ改善するかと言われれば、難しい話である。だが何もしないよりはマシであり、実際にやってみれば何らかの効果があると思われる。そしてここから他にも方法があれば、それに発展させるのもありだ。どんなやり方であろうが、マップが読めるようになればそれでいいのである。

 

以上、ゲームプレイの謎:マップが読めない人達を考察する、であった。苦手なことはそれをサポートする方法を使って補えばいい。

 

KIBEKIN at 00:00 Sept. 25th, 2023


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脚注

脚注
本文へ1 Energy Airforceシリーズでは、搭乗機体に応じてコックピットを機体別に忠実に再現している。そのためレーダーをはじめとする機器類全てが実機と同様のものになっている。最新鋭機ほど各種機器類は電子化されており、見やすいものになっている。
本文へ2 頭の中で二次元ないし三次元の物体を回転させる能力のこと。整置の頭版と考えると分かりやすい。
RA管理人
RA管理人。名前は時にない。かつてこのサイトを管理していた前任者はどこかへ消えてしまった。


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