この記事の概要を簡単まとめ!
- 肉丼は牛と豚の2大勢力が中心
- 羊を丼で食べたらおいしいのではないかという考察
- 参考になるものはない全て一からの構築
- 苦戦しながらも完成した「オリジナル」
- 羊の特色を生かしながらも牛とも豚とも鶏とも違う味
- 食材を変えればまた違う味になる
- 肉丼の常識を壊す存在、そして羊を食べるきっかけとなる
家にいることが多くなってからというもの、時間が余るので料理をすることがより増えたのである。大抵はデリバリーサービス(主にUber Eats)を利用するようだが、外食やデリバリーを利用しない私からすれば、料理した方が早いのでいつも通りとなる。
その料理スタイルが大きく変わったのは自家製のマー油を作ってからで、作ったマー油を生かす料理を考えるようになった。その後はマー油以外に通常の料理も様々なアレンジを加えるようになり、普通の料理自体もできるようになったのである。その前から料理自体はしていたのだが、実質的軟禁生活開始である4月から急加速するように料理の腕が上がって行ったのである。
そして現在は、同じ料理で入れる野菜をその時に在庫があるもので変更したり、別の味付けを試して、「メニューは同じでも少しずつ違う」料理を楽しんでいる。そんな中での1つの方針が、羊肉を使用した料理を多く作ることである。この方針により、本来豚肉を使用していた料理に羊にすることで、一品料理として仕上がっている。
そして、少し前に羊を使った新しい料理として、「羊丼」という、シンプルでありながら丼を提供する店では存在しない料理の開発を行い、これに成功したのである。羊料理に新しいものを与えると共に、料理の常識を壊す新スタイルとして、今回これを公開していく。
ひとっ飛びできる目次
肉丼革命「羊丼」
現在の肉丼の状況
現在の肉丼の状況といえば、3大肉丼チェーン店(実際には定食屋)である吉野家・松屋・すき屋が提供する、牛丼ないし豚丼がメジャーである。松屋の場合牛丼は牛めしであり、豚丼にあたるものは存在せず何かしらの味や盛り付けがついている状態である。これら以外の外食店舗でも牛丼や豚丼は存在し、コンビニ弁当でも牛丼は一般的である。豚は丼タイプは少なく、味付きの平らな弁当スタイルが多く見られる。
また鶏肉も丼で食べることがあり、鶏肉の照り焼き丼や親子丼といった料理が存在する。チキンカツ丼といったがっつりなタイプもあり、こちらもメニューの幅が広い。鶏肉の場合は、他の食材や調味料を加えて多彩な味付けで食べることが多く、牛丼や豚丼のようなやり方で食べることは少ないようだ。外食でもメニューには存在するが、頼む人が少ない印象である。
対して、羊に関しては、丼はまず存在しない。外食でも上記定食屋ではまず見ることはない。個人経営の食堂やレストラン、高級料亭では使用されていることがある。なお、インド料理系ではカレーの具材として、キリンシティではグランドメニューで提供している。またコンビニ弁当や冷凍食品でも見ることがない。大型スーパーで生肉かジンギスカン用として存在する程度で、惣菜の羊も全く存在しない。
このことからわかるように、羊肉は牛・豚・鶏に比較して食べる人が少ないためか、提供している場所が少なく、惣菜なども少ない。スーパーで生肉やジンギスカン用を買い、それを自分で調理することが一般的なようだ。また、羊肉はビールとの相性が良いためか、ビアホールなどでは提供されるようである。
考察:羊を丼で食べたらおいしいのでは
私は羊をご飯でもおつまみでも料理して食べているのだが、あるとき、大量に余っている納豆のたれを調味料として、さつまいもと共に炒めたものを食べた。その味は羊肉特有の甘みがしっかり広がり、さらにさつまいもや納豆のたれが甘みと香りを引き立て、おつまみとして丁度いい仕上がりとなった。
これだけでも十分な一品になる。だが同時に、さつまいもを抜けばご飯のおかずとして最適ではないかという考えが生まれたのである。おつまみの味付けがご飯でも合うということは良くあるが、この場合は特別、ご飯がほしいと思うほどの出来であった。
そこで考えたのが、このやり方の羊を丼にして羊丼としたら、おいしい羊丼ができるのではないかということである。そして現在に至るまで、羊丼の情報は殆ど見かけない。あったとしても情報の山に埋もれてしまっている可能性も高い。今回書くこれが、実質的に初の羊丼の可能性がある。次項からは実際に羊丼を作ったレポートを書いていく。
完全オリジナルの羊丼
参考資料なしからのスタート
当然ながら、羊丼に関する情報は製作時点では全くない。そのため参考レシピなし、外食やコンビニの商品からのヒントなしの状態で試作品を製作することとなった。唯一のヒントはおつまみとして作った納豆のたれ式羊+さつまいもである。納豆のたれを使用することでうまくいく可能性はあるものの、丼で使用する場合の使用量や他の食材や調味料については、経験と勘で作っていくしかなかったのである。
準備するもの
試作時点での食材や必要な道具は以下の通りである。また、食材は3人前を想定している。
- フライパン(テフロン加工推奨)
- 羊(ジンギスカン用などの薄切りのもの) 300g
- 玉葱 1/2個
- 納豆のたれ 10個(50g) おそらく殆どの場合1個5gが多い
- 七味唐辛子 適量
- 小麦粉(羊にまぶす用)
- 油 適量
製作時は3人前を想定しているので、1人前ずつ変更する場合はこれの1/3を基準に構成するといい。納豆のたれに関してはない場合、別のもので代用する。詳細は後述する。
手順1:玉葱を切る
まずは玉葱を切る。普通の玉葱の大きさで1/2個を使用する。新玉葱で大きすぎたり小さすぎる場合は個数や使用する量を調整する。これを細い櫛切りにする。細さの目安は2mm程度にする。
手順2:納豆のたれを準備
納豆のたれを準備する。これを料理用の計量カップなどにあけて、すぐ投入できるようにしておく。このとき、お好みで七味唐辛子を入れても良い。ただし、入れすぎの場合の保障はしない。
手順3:羊肉に小麦粉をまぶす
他の手順を済ませたら、羊肉に小麦粉をまぶす。肉をしっかり伸ばして、表面に全体的に小麦粉がつくようにする。ここで、必ずしも全体に粉がつかなくても良い。粉がある程度ついていれば問題ない。参考画像は以下のようになる。
ただし小麦粉をまぶす際は、羊の水分によって小麦粉が固まらないように注意する。また時間が経つと羊自体の水分と小麦粉が混ざって固まってしまうため、これを手早く行う必要がある。最初に他の手順を済ませてから行うようにしたのはこのためである。これが終わったら、すぐに次の手順に移る。
手順4:フライパンで炒める
フライパンに油を適量入れ、先にこれを強火で加熱する。ある程度温まったら弱火にして、先程の羊肉と玉葱を入れる。ここで、羊肉が相互でくっついている場合があるので、分離できる場合はこのタイミングでなるべく分離する。分離したら蓋をして蒸す。蓋はフライパン全体を覆うことができれば問題ない。
弱火のため、15~20分蒸す必要がある。また、適度に蓋をあけ、肉に火が通っていない部分がなくなるように菜箸で調整しながら蒸していくこと。弱火だからといって、放置するような手抜きは厳禁である。
20分程度、弱火で蒸したら肉の大半に火が通っている。このタイミングで準備した納豆のたれを投入し、今度は中火で炒める。そしてその汁が殆どなくなったら火を止め、ご飯の上に盛り付けて完成である。お好みで七味などを追加するといい。
味と構成、完成イメージ。考え出すのに苦戦しながらも、最初の羊丼「試作品」が完成したのである。
試作品の味
さて、作ったからには試食しなければ何もわからないというものである。試作1号の羊丼を試食し、その出来栄えと味を確かめた。
まず見た目だが、牛丼・豚丼と比較すると小麦粉を使用したこともあり、かなり艶があるのがわかる。また、比較的明るい色となっている。その意味では十分見栄えがいい。
次に肉である。羊肉に関してはその独特な匂いを嫌う人がいるとされている。そのためこの匂いを消すように味付けする人もいるが、今回は納豆のたれと七味のみで匂いを消していない。それは、この方法では消す必要がないからである。もっとも、羊でなくても牛でも豚でも独特な匂いは存在するわけで、それもまた味を引き立たせる1つの要素であり、無理に消す必要はないと考えている。また、最初は敬遠するかもしれないが、食べていればそのうち慣れるだろう。最初が肝心である。
牛とも豚とも鶏とも違う味
そして味のほうだが、小麦粉をまぶしたため肉がしっとりしたままで、納豆のたれの甘さと出汁が羊の甘さをより引き立てている。その甘さはご飯に丁度良く、牛とも豚とも、まして鶏とも違う、独特な味となったのである。
さらに七味を加えると甘みがより引き立つ。玉葱はアクセントである。このあたりは牛丼・豚丼に似ていると言えよう。もっとも、味を文章で表現するには限界があり、実際に作ってみなければその全てを感じ取ることは不可能であるので、実際に食べた方がその意味を窺い知ることができる。是非試すといい。
また、肉丼の観点から考えれば、完全新作、どこにもない味であり、一品料理であることは確かである。そしてレシピとしては非常に簡単なものである。そのため、気になった人は近場でジンギスカン用の羊肉と玉葱と小麦粉(薄力粉)と、余っていれば納豆のたれを使って作ってみるといい。
なお、納豆のたれがない場合、醤油と鰹だしを使って調整する。普通に醤油を使うとしょっぱくなるので、水も入れて薄める必要があるので注意する。
食材はありあわせで:食材が違えば味も変わる
試作品では、初めて作ったこともあって、牛丼・豚丼でお馴染みの玉葱のみを入れて実際に作ってみた。その後も羊丼を改良を重ねて作っている。その際は、牛丼・豚丼で入れることはありえないであろう野菜を入れて、同じメニューでありながら違った味になるようにしている。
とは言うものの、実際には作るときに余っている野菜を入れているだけである。そのため、もやし、えのき、小松菜などを入れている。これらは到底、考えつくものではないだろう。余っている野菜で作る理由は簡単で、「たまたまそこに野菜があったから」に他ならない。したがって、羊肉と納豆のたれを使う以外、レシピは固定ではないのである。
だが、この羊丼に関してはこれがある種の正解であり、同時に完璧なレシピはない。そもそも、完成レシピの情報が全くない中で製作したので、完成かどうかすらも怪しいものである。正直なところ、これで完成として情報を固定するのは惜しいところがある。そのため私としては、まだ改良を続けるつもりである。
改良版では画像にもあるが、小松菜を先に茹でて最後に上に盛り付けることで、彩りと食感を増すことができる。もやしを一緒に炒めれば食感と栄養面でもプラスである。えのきもヌメヌメ感の追加になり、とろみを増すことができる。他にもジンギスカンで入れる野菜である、茄子、ピーマン、椎茸、人参などを入れても面白い。その時はまた違った味になるであろう。
これらの野菜を入れることに関しては、相性問題から入れるのを避け、成功例の繰り返しをしてしまうことが多いであろう。しかし同じレシピばかりで飽きてしまう問題がここ最近取り沙汰されるようになった。それなら、余っている食材も入れて、同じ料理の違った味を楽しむ方が、肉体的にも精神的にも健康になるというものである。ただ栄養のために食べるよりもストレスがなく、最適である。
肉丼の常識を壊す存在・羊を食べるきっかけとして
これまで肉丼と言えば、牛丼・豚丼と、鶏丼(ただし親子丼のような名称)で、羊丼は存在しなかった。そもそも羊丼という名称すら怪しいが。また、外食の店舗及びコンビニの惣菜や弁当を見ても、羊料理を提供しているところは非常に少なく、ここからあまり人は羊を食べないことがわかる。
そのこともあって、羊料理を食べる機会は意外にも少ない。これがもたらすのは、羊の味を知る機会が少ないということである。羊の味を知らなければ、スーパーに売っている生の羊肉やジンギスカン用の肉に手を出すことがないので、必然と需要が減り、g単位価格が高くなってしまうのである。これは私のような羊を食べる人からすれば死活問題である。
私が開発した「羊丼」は、羊を食べたことがない人、羊に対して苦手意識を持っている人に対する「導入」としての料理であり、同時に肉丼の常識を壊す存在であるとも考えている。これは定食チェーン店が考えつかなかったメニューであり、新たな肉丼の発展の礎になるはずである。
私としてはこの羊丼は開発に成功しながらも全体としては未完成であり、依然として改良の余地はあ。というより改良したところで完成せず、永遠に未完成と考えている。何故なら、レシピは作る人の数だけあるからだ。
ここに書いた作り方は私の場合であり、このレシピを元に同じものを他の人が作っても同じものこそできるが、その人が満足する味にはならない。その人独自の味付けないし野菜の投入によって初めてその人が満足するものである。つまり、その人次第となるレシピがあるのに、「完成型」を決定することは愚行であると考えた。だから、完成ではなく永遠に未完成なのである。
さて、羊丼の基本的な情報はここまでである。これを読んでいる画面の目の前の人で、もし自炊できるのであれば、これを元に羊丼を作り、それぞれオリジナルの羊丼を作って食べるといいだろう。やってみると、案外面白くて美味しいかもしれない。
以上、肉丼革命「羊丼」開発記録であった。それでは、次回の記事で会おう。
リンクス岐部(LINKS-KIBE) at 10:45 June 7th, 2020
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