【混線防止と安定化】配信回線分離論~2回線持つことは無駄じゃない~ | Raven's Articles

【混線防止と安定化】配信回線分離論~2回線持つことは無駄じゃない~

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この記事の概要を簡単まとめ!

  • 配信に必要な物は多く、「光回線」は人によっては難しい
  • 負荷分散の概念はインターネット回線でも通用する
  • 回線を一般利用とアップロードで分離すれば弱くても配信できる
  • 前提としてNICが2つ以上、デスクトップPCならWi-Fiを増設する
  • 2回線以上接続中、通信はメトリック値が小さい方が優先される
  • cmdを管理者権限でrouteコマンドを使うと通信するNICを設定できる
  • 設定には宛先のIPアドレスとサブネットマスクの情報が必要
  • 別々の回線で別々のNICに繋ぐのでDHCPカットは不要
  • 実際にYouTubeとTwitchで試している、結果も良好
  • 回線を分離して、快適な配信環境を目指せ

アメリカでは、面白い結果が出た。電気通信業界における顧客満足度指数(ACSI)をAmerican Customer satisfaction Indexが調査して6月7日に発表したデータでは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)に対する顧客満足度は68点で、その下はガソリンスタンドの65点以外いないというものである。光回線部門でも最大手のAT&Tさえ80点しか出せず、光回線以外ではT-モバイルが73点、通信全体は66点だった。考察によれば、ISPのサービスの価格、カスタマーサービス、障害発生頻度が原因であるという。クソ回線に怒っているのはジャップに限ったことではないようだ。

私も散々クソフトバンクに怒っているが、そのクソさ加減に比較して、最近乗換したNUROモバイルは優秀の極みである。真の5Gが使えて、NEOプラン特典でアップロードは通信量非加算、それでいてクソフトバンク利用時より基本料金は大幅下落。MVNOは価格だけいいと言われていたのはもはや過去の時代。通信もサービスも三大キャリアとほぼ相違ないので、それらの肩にうまく乗っているMVNOは商売上手と言える。

現在はテザリングを利用して配信を行っているが、そこで気付いたのが回線を分離することである。通常1つのPCが異なる2回線以上に接続すると、デフォルトゲートウェイが複数存在するために正常に外部と通信できないとされるが、これは別々のNICで別々の回線に接続するので発生しない。また、管理者権限のcmdによる設定を行うことで、特定の送信先は特定の回線から送れるようになる。今回は配信回線分離論として、通常通信と配信用アップロードで分離することのメリットとその方法について解説する。

これでアップロードに帯域を取られることもない

配信のリアルな問題

配信に必要な物

世界が死のコロナウイルスに包まれたとき、殆ど外に出ず消費できるコンテンツとして人気になったのが動画と配信である。これはもはや説明するまでもない。だが配信を行う上で重要なものが環境であり、揃っていなければスタートすらできないのが現実である。ここでは一旦VTuberとして配信することを想定し、その上で必要な物を考えると以下である。

  • デスクトップPC:主にゲーム用として自力でパーツを集めて構築したもの、あるいはBTOでゲーム用にチューニングしたモデル。パーツ単位で考える場合はさらに以下の通りとなる。
    • CPU: i7-9700(F)またはRyzen 7 5800X以上のCPU・APU(物理コアが8以上、1コアあたりのベースクロックが3.00GHz以上。ターボブーストは考慮しない)
    • GPU: 単体配信ではGTX 1080 TiまたはRX 6700-XT以上、エンコード分離配信ではゲーム用にGTX 1060-6GBまたはRX 6500-XT以上で、エンコード用にGTX 1050(Ti)またはRX 550以上。エンコードにおいて性能は最低限で問題ない。
    • RAM: DDR4-2666以上で、1枚の最低容量は8GB以上、合計32GB以上。デュアルチャネル構成を推奨。
    • SSD/HDD: システムドライブは256GB以上のSSDであればSATA, M.2を問わない。データ用HDDは1TB以上で、状況に応じて増設またはアップグレードする。
    • 電源: 電源が最も安定する負荷は[最大容量]×[電源のグレード]×50~60%であり、使用するパーツすべての消費電力を計算し、それの2倍が最適な電源となる。大抵は650W以上で、PCIe用補助電源が8ピン×4以上であることが前提。
    • 任意の外付けのWebカメラ。1080pである方がいい。
    • ゲーミングラップトップの場合は、RTX 2080くらいのやつを買っておけ。そもそも配信向きでなく、デスクトップと同じようにはできない。配信専用で分離配信を行う場合は使用できる。
  • いい感じのインターネット回線。特にアップロードを3~6Mbpsで行ってもダウンロードに支障がないレベルである必要がある。
  • VRoidや何かで3Dモデルを作る(実はLive2Dより難易度が低い)、これを動かすソフトウェアも必要。
  • ゆかコネわんコメVOICEVOXはセットで用意する。
  • やる気と根気とコネクションを維持し、周囲の理解を得て、媚びることへの羞恥心を捨てる。

実のところ、これらが揃えばVTuberに関しては案外簡単に始めることができる。だが続けることに関しては難しい。これは結局、大型事務所に所属して「道化」を演じ続けるか、10万以上の「ファン」を作って貢がせるか以外にそれだけで食っていく方法はなく、通常は他に仕事をしながらVTuberをやっている。そして大抵は金になる前のボーダーラインを突破できないことで辞めてしまう人が多いので、1000人いたら1人か2人、生き残ればいい方だと言えるくらいに難しいのである。



物を揃えることに関しては、世界的半導体不足事情によって各種パーツが入手しづらいとはいえ、金に物を言わせればそれは何とかなる。だがそれがあったとしても、結局のところ配信は「人」に依存するコンテンツだ。見る人がいて初めて成り立つ以上、見る人がいないのならそれはただ苦行しているだけに過ぎないのである。最近はこの傾向が非常に強く、その関係で限界以上に飽和市場である。もはやリスナーの取り合いのレベルにまで発展するほどであり、その意味ではあらゆるものが減少傾向のジャップリスナーは獲得を期待できるものではない。世界を見据えて動かなければ、配信する気力すら湧かなくなるであろう。なお、世界を見据えるという意味では、ゆかコネは重要な意味を持つ。

光回線は万人ができるわけではない無茶な注文

現在の回線技術レベルは、docomoを主導に真の5G(主に4.5GHz, 3.7GHzのn77, n78, n79)が展開され始めている状態である。auとクソフトバンクは数字ばかり気にして4G転用型のエセ5Gを展開しているので信用ならない。楽天は整備中の段階で、半分はauをパートナー回線として利用中で、整備が完了次第、楽天単独の回線として運用することになるようだ。しかし現状では明らかに真の5Gはdocomo以外は期待できるものではないだろう。

それとは別の経路として、光回線は無線技術の発達する前から存在するものである。光の性質を利用して高速通信を可能にするものであり、その性質上利用には専用の設備が必要である。その設備は往々にして専門業者による工事が必要で、利用を停止する際にも撤去工事を行わなければならないので、導入が非常に面倒である。その分ダウンロード・アップロード共に安定性は非常に高いが、実は業者によってはパケットロス率が以上に高いということがあるようで、回線業者を選ばなければならないのである。NURO光はパケットロス率の異常な高さによって集団訴訟を起こされることがあった。

実際問題、配信初心者向けに色々レクチャーしているような胡散臭いサイトでは、必ずと言っていい程光回線を推奨してくる。確かに言いたいことは分かるのだが、かといって全員が全員、光回線を導入できるかと言われればそれは不可能だ。回線選択権がその人に無いこと、そもそも光回線を導入できない居住形態や地域である、維持費が高い、光回線に対応する機材が存在しないなどの様々な理由によって光回線が使えない理由は異なり、それを無視して押し付けることは愚行の極みだからだ。実際これは私がそうで、建物の構造と地域的に光回線を導入できるような場所ではないのと、導入したところで光回線に対応する機材が存在せず、その効果を十分に活かすことができないためである。そして私と同じようなことを思っている人は、決して少なくないはずである。

アップロードで回線が壊れる貧弱なルーター

私のブログではおそらく何度も書いていることであるが、ゴミの極みとも言えるルーター、クソフトバンクダメダーことSoftbank Airに相変わらず縛られている。以前はこれがピーク時間帯となる夕方~夜にかけて、8.0Mbps=1MB/sすら出ないほどに劣悪なクソゴミルーターであり、流石に我慢ならなかった私は消費者庁に向けて、クソフトバンクダメダーの公式ページの記載内容とGoogleスピードテストの結果があまりにも乖離しているものをスクリーンショットで添付し、それを証拠として景品表示法および電気通信事業者法に違反する事項があるという文面を送った。数日してそれが効いたのか定かではないが、今まで8Mbpsも出なかったそれが急に50Mbps台が出るようになった消費者庁はクレーマーより怖いと感じているのであろうか。

クソフトバンクダメダー結果(旧)
2022年10月頃のクソフトバンクダメダーの状態。流石にユーザーが損正義の極みである。これを消費者庁に送り付けたところ、1週間後に50Mbps台に改善した。

だがそれでもクソフトバンクダメダーは私を満足させなかった。アップロードが貧弱すぎるのである。そもそもの話、クソフトバンクダメダーに関してはホームページを確認してもらうと分かるが、何故かアップロード速度に関する記載が一切ないのである。他のホームルーターはアップロード速度も含めてスペックを公開しているのにも関わらず、クソフトバンクはやましいことでもあるのか、何故か非公表である。この時点で既に信頼性に欠ける。家庭用だからダウンロード速度だけ重視すればいいという古臭い考えは、私には到底理解できるものではない。

そしてやましいことがあるのを示すように、実際にアップロード速度は貧弱の極みであった。具体的には、アップロード速度の上限は良くて3Mbpsであり、低いときは1Mbpsも出ないという、馬鹿にしすぎな速度である。しかもアップロードでクソフトバンクダメダーを使用中はダウンロード速度にすら影響を及ぼし、まともに通信ができなくなるという最大級のユーザーが損正義案件がある。Yahoo!かんたんバックアップというバックアップクラウドサービスを展開し、その容量はクソフトバンクユーザー特典でYahoo!プレミアムが無料になり、無制限で利用できる。そんなサービスの存在を考えればアップロード速度を考慮しないことはまさに愚行なのだが、知ってか知らずか、アップロード速度は一向に弱いままである。ユーザーアンフレンドリーな運用をいつまで続けるつもりなのだろうか。

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一応、クソフトバンクダメダーの最新モデルは5G対応としている。しかしもう1つの罠が、エセ5Gだ。これのせいで真の5Gにかかっていないユーザーは結局4Gと全く変わらない速度での利用を強いられ何1つとして改善しないゴミルーターを使わされるという末路を辿る。はっきり言って優良誤認も甚だしく、回線事業者としてあるまじき行為であると憤りしかない。とっとと三大キャリアから降り、その座を楽天モバイルに明け渡し、肩身を狭くして反省してほしいものである。私念が過ぎたが、この制約が酷くて今までまともに配信すら出来なかったわけで、だがその問題はNUROモバイルという明確な解決策によって改善することができたのである。

2回線持って通常通信と配信を分離すれば理論上可能なはず

一般にホームルーター、光回線を含むネットワーク回線は、1人または1世帯につき1つのみである。2つ以上を同時に契約し利用することは少ない。殆どはそれがちゃんとしたネットワーク回線を提供しているからであり、クソフトバンクダメダーのようなゴミを引かなければ、それで十分である。こう書くからには当然、ゴミルーターを掴まされて怒っている人を想像できるからであり、そのような人は果たしてどうしたらいいか路頭に迷っていることであろう。

答えは単純で、2回線持てばいい。光回線を導入できないのなら、そうするしか実際方法はない。もっともな話、光回線を導入できるのならそういうことはする必要が全く無いが、頻繁に引っ越しをしたり賃貸ベースで生活している人はそうもいかず、マンションなら備え付けのインターネット回線が貧弱で、集中時間帯はまともに使えないといった問題も想定される。そのためにサブ回線という形で代用することになるのである。

NUROモバイル

かつてのPCは、NICを複数持っていてもそれは外部通信とローカルネットワークでそれぞれ構築するために使われるのが一般的で、全てを外部通信のために使用できなかった。それは1つのPCのそれぞれのNICにおいて、デフォルトゲートウェイを複数認識することによってどちらを経由すべきかわからなくなり、混乱することによって外部と正常な通信を行えないことが発生するためである。ただこれは、最近のWindowsでは解消されている。ネットワークの中級者レベルの知識が必要になるが、現在はNICに割り当てられるメトリック値によって、その値が小さい方を優先して経由することによって前述の問題は殆ど発生しないためである。またこれを利用し、通常通信はメトリック値の小さい方、特定通信はメトリック値の大きい方にrouteコマンドを使用して設定することによって、簡単に分離可能である。最近のWindowsはマシになったようだ。

今回は私が普段から利用している方法である、NUROモバイル(docomo)のSIMが入っているスマートフォンを利用したテザリング経由を例として、2回線利用による配信回線分離論を展開していく。使用するデバイスが異なるが基本部分は同じはずであるので、2つ目の回線タイプがホームルーターでもモバイルルーターでもテザリングでも変わらないであろう。光回線を導入できない人、配信にかかる運用コストをなるべく抑えたい人、クソ回線に怒っている人をターゲットとして、本記事が一種の救済措置として機能すれば幸いである。

配信回線分離論 本編

これより、配信回線分離論の講義を始める。

前提条件:必要最低限の配信環境について

まずは始めるにあたって、必要最低限の配信環境について、以下の条件で行うものとする。

  • PC: i5-9400(F)以上、GPU他のパーツは冒頭のリストを参照。NICは2つ以上存在し、有線LANとWi-Fiが最低1つずつ存在する。このとき、外付けのドングルではなく内蔵のWi-Fiカード(M.2 key E)を使用すること。
  • ディスプレイが2つ以上存在する
  • OBSに関する基礎知識
  • cmdを扱えること、扱うことへの恐怖心の克服
  • エラーに冷静に対処できる心と態度

これらの条件を揃えて挑む必要がある。PCに関しては準備が少々要るが、それ以外は調べることによって手に入る情報と、何度も経験することによって、時間と引き換えに殆ど無料で手に入るものである。なお、私のPCはアップグレードを重ねた結果、次のようになった。

  • CPU: i7-9700(8コア/8スレッド ベース3.00GHz, ターボブースト4.70GHz, TDP65W)
  • GPU: Palit GeForce GTX 1080 Ti 11GB GameRock Premium(NEB108TH15LC-1020G)
  • RAM: 1・3スロット PANRAM W4U2666PS-8GC19(DDR4-2666 2x8GB シングルチャネル) + 2・4スロット CORSAIR CMK16GX4M2A2666C16(DDR4-2666 2x8GB デュアルチャネル ヒートスプレッダ搭載)
  • Mainboard: ASRock H370 Pro4
  • LAN: Intel Gigabit Ethernet I219-V(1.0Gbps)
  • Wi-Fi: Intel Wireless-AC 9260 (160MHz, 最大1.73Gbps, 802.11ac, Bluetooth 5.1対応)
  • SSD, HDD, 電源は今回の回線分離には影響が少ないためここでは省略。

これらの条件のもと、まずは設定から行っていく。

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設定0:route printによるインタフェース確認

まず行うのは、cmdからroute printを実行し、これによって得られる情報からまずはインタフェースについて確認することである。このコマンド自体は管理者権限でなくても実行可能だが、後のコマンドは管理者権限でなければ実行できないので、先にcmdは管理者権限で実行しておく。まずはこれを実行してみると、次の情報が得られるはずだ。

route print 最初の結果
route printを実行した結果。これは起動した後の状態である。ここでインタフェース名とそのNo.を確認する。

最初にインタフェース一覧が記載され、その下にIPv4ルートテーブルが表示される。IPv6も表示されるがここでは使用しない。まず見るべきはインタフェース一覧で、ここには1行単位でインタフェースNo., ID(16進数)、インタフェース名が記載される。重要情報としてインタフェースNo.とインタフェース名を確認しておく。次にIPv4ルートテーブルから、一番上に来るオール0のテーブルを確認する。その中のインタフェースはIPv4アドレスで表示されており、そのアドレスがインタフェース名に一致する。IPアドレスの確認方法はcmdでipconfig /allを実行することで表示でき、そのIPアドレスと一致するものがそのインタフェース名になるということである。

そして最右列にはメトリック値がある。一般にメトリック値の小さい方が通信で優先される。これとIPアドレスからインタフェース名を明らかにすることにより、どのインタフェースが通信で優先されるかが分かるようになっている。これにより、どのインタフェースに対してrouteコマンドによる設定をすればいいかが分かるようになる。なお、メトリック値は変更することもできるが、変更してもLANとWi-Fiの優先度を操作することがあまりできないようである。基本的にインタフェースNo.とインタフェース名さえ覚えておけば大丈夫であるので、ここはあまり考えなくても問題ない。

設定1:メトリック値の大きい方にアップロード専用回線を接続する

基本的な部分を抑えることができたら、今度は実際に設定していく。ここでは私が実際に使用している方法である、テザリング経由の接続を行う。現在はiOS, Androidのどれにも関わらず、追加の設定や契約なし、サードパーティアプリなしでテザリングが利用できる。この方法はホームルーター、モバイルルーターとの接続とはやり方は異なるが、Wi-Fiテザリングの場合はスマートフォン自身がアクセスポイントとなるので、PCからは普通のアクセスポイントとして認識される。つまり普段接続するのと同じ感覚で接続すればテザリングは簡単に行える。

まず設定するにあたって、route addを実行する際に必要な情報の1つであるデフォルトゲートウェイを取得するために、新たにアップロード専用回線を接続した状態でroute printを実行する。回線が変わればデフォルトゲートウェイも変更されるのが普通であり、その場合は次のように変化しているはずである。

アップロード専用回線に接続した後のroute print
メトリック値の大きいNIC(Wi-Fi)をアップロード専用回線に接続し、その上で再度route printを実行したもの。デフォルトゲートウェイが変わるはずので、この情報を記録しておく。

デフォルトゲートウェイが変わっていることは確認できるはずだ。当然インタフェースのIPは変更されるが、これはインタフェースNo.を覚えておけば問題ない。この後設定するroute addでは必要な情報にデフォルトゲートウェイがあり、加えて手動で目的とする宛先のIPアドレスとサブネットマスクが必要になるためだ。これは次項で解説する。

設定2:必要情報を入力してroute addを実行

デフォルトゲートウェイの情報を入手したら、この情報と宛先アドレスのIPアドレス(ネットワークアドレス)とサブネットマスクを利用し、route addでルーティングテーブルの追加を行う。ここで使用するコマンドの解説は以下である。

今回はこの形式のコマンドのみ使用する。このうち、[-options]metricは書式として記載したが、テザリングの場合はスマートフォンの再起動でデフォルトゲートウェイが変更されるので、それに対応するために[-options]は省略し、metricは記事前の実験でメトリック値の大きい方に対して1や2の値を割り当てても経路の優先度が変更されなかったのでこれも省略した。よって記述形式はroute add [network address] mask [netmask] [gateway] if [if no.]となる。



ネットワークアドレスとサブネットマスクについては、アップロード先のURLを”ドメイン/IPアドレス サーチ 【whois情報検索】“で入力して確認することや、cmdからpingコマンドで取得できるIPアドレスから、同じサイトで確認してネットワークアドレスとサブネットマスクを取得する方法がある。ちなみに、Twitchの場合、日本鯖系全般でネットワークアドレスとサブネットマスクの組み合わせが2つ存在することが分かった。状況に応じて自動で選択される関係で、2つ分追加しておく必要がある。その上で実際に追加し、そして再度route printをした結果が以下である。

route add後route printして追加されているのを確認
route add実行後、再度route printで追加したルーティングテーブルが正常に反映されているかを確認する。該当アドレスはTwitchで配信する際の映像のアップロード先である。

上記においてインタフェースが192.168.105.46であるものがWi-Fiから送受信される宛先となる。ここでは52.223.192.0/18, 99.181.64.0/18へはゲートウェイを192.168.105.139に指定し、その宛先への送受信に使用するNICはWi-Fiであるというルールを追加したことになる。メトリック値は指定していないので51となる。これが表示されれば、設定は完了である。

設定2補足:設定を間違えた場合はroute delete

手入力におけるミスと言えば、入力ミスや数字の桁を間違えるといったものである。このうち、書式に沿わないものである場合はエラーによってあらかじめ弾かれるのだが、書式になんとなく沿っている場合は通過してしまうので、間違った場合は修正しなければならない。修正する場合はroute changeで行えるが、実際のところは先に削除してから履歴から修正すれば早いのである。その際のコマンドはroute deleteであり、次のように使用する。

これを実際に行った後でroute printを実行すると、削除されていることが確認できるはずである。

route delete後のroute print
route deleteでTwitchの2つのルーティングテーブルを削除後に再度route printした結果。間違えた場合はこうして消すことができる。

これができるようになれば他のプラットフォームに対して設定する場合でも、[IP address]の部分を変更することで実現できる。route addでは-pコマンドによる恒久化は行っていないため再起動後は同じ設定を行う必要があるが、ものによってはデフォルトゲートウェイが変わることがある。それに対応することとうまくいっていない時に「観測しにくい間違い」である恒久化した設定が原因で、解決できずに悩んで無駄な時間を浪費することを避けるためにある。これも含めると、-pの省略は決して設定ミスではなく、発生し得るエラー対策のためである。

補足情報:メトリック値とルーティングテーブルの優先度

これは実験によって判明したことであるが、Wi-Fi(NIC)にテザリングしたXperia 10 IV(Wi-Fi APモード)を接続し、上記の方法でルーティングテーブルを設定後にTwitchで配信を行うと、Wi-FiからTwitchにアップロードされていることがタスクマネージャーから確認できた。このときメトリック値を気にすると、ルーティングテーブルを設定しても本来ならメトリック値の小さいLANから送信されるはずではないかと考える人もいるはずだ。だが実際の挙動は異なるようである。

上の画像の場合はLANは25、Wi-Fiは50のメトリック値を与えられている。さらにroute addで52.223.192.0/18, 99.181.64.0/18へはWi-Fiを経由するようにとのルーティングテーブルを追加した。その場合のメトリック値は51が与えられている。これだけを見れば明らかにメトリック値が離れており、先の考えに至るのは納得できることである。だが、ルーティングテーブルに設定した場合は設定したNICを優先する挙動になり、メトリック値は見ないで動作しているようである。




これは推測であるが、メトリック値に関してはあくまでもルーティングテーブルで設定されていない宛先に送る場合の優先度であって、ルーティングテーブルにその宛先に関する設定が存在するのであればそちらを優先するように処理される結果であると考えられる。また実験で、通常はLANがメトリック値が小さいのを大きな値に割り当て、Wi-FiはLANより小さい値を割り当ててみるとどうかというのを実験したことがあるが、設定が悪かったのか、何度設定してもWi-Fiを優先せずLANを優先して通信するようにしていた。もう少し調整すればうまくいくのであろうがあえて不安定な通信を取る必要はないのでそれは突き詰めていない。そしてメトリック値を調整せずとも上手く指定NICから通信できている以上、下手に動かすこともない。

別々の回線で別々のNICに繋ぐのでDHCPカットは不要

PCをネットワークに接続する時、殆どの人はそのアクセスポイントに接続した後はそのまま使っているはずだ。一般にルーター(テザリング中はそのスマートフォン)がDHCPサーバ機能を持つためで、これによりユーザー側でインターネット接続に係る各種設定を手動で行うことなく、全てが自動で設定される。そのため、特別な事情によって静的にIPアドレスを指定する必要がある場合以外は、全く弄る必要のないものである。使用する機会があるとすれば、DNSサーバーを任意のものに変更したい場合くらいである。

また、よく言われることとして複数DHCPが存在するとインターネット接続に影響を及ぼすということであるが、これはLANの場合に起きやすいことである。1つのNICに対して複数のDHCPが認識できる場合、それの干渉によって不正なIPアドレスが割り当てられることで通信できなくなるからである。しかし今回の方法は、1つのNICに対して1つのルーターを割り当てている。また、LANはクソフトバンクダメダーに直結であり、Wi-FiはXperia 10 IVに接続していて、その間に他のルーターやDHCPサーバーが入り込む余地はないのである。よってDHCPカットは不要であり、静的なIPアドレスの割り当ても不要である。寧ろそれをしてしまうと正常通信ができなくなるので、触らないでおくべきである。

設定はこれで完了である。

配信回線分離実験結果

実際に配信を行い、果たして本当に分離出来ているのかを確認する。普段の配信においてはCPUの温度管理のためCore Tempを画面に表示しながら運用していたが、特定回だけはタスクマネージャーを表示して運用していた。その頃は荒れていたこともあって普段より憎しみを込めた状態になっていたが、参考資料としては十分のはずである。そのアーカイブはYouTubeにある。これをもとに評価を行う。

Twitch配信での評価

Twitchにおける配信設定としては、CBRで3000kbps(映像2808+音声192)としている。Twitchの推奨設定としては、1080pは最低3000kbps(おそらく映像のみ)を起点に、最大値を6000kbpsとしている。私の回線もいくら5Gとはいえ、以前の実験結果からアップロードの最低値が4Mbps台であり、最低値見積もりでアップロード時にドロップフレームが発生しないよう、3000kbpsの範囲に収まるようにしている。少なくともクソフトバンクダメダーのような、アップロード中はダウンロード速度が0になるということはなく、アップロード中にXperia 10 IVで普通に検索などをしても問題ないことを確認している。とはいえ配信中に長々と使っている余裕は基本的にないが。

今のところ、多くにとっての高画質の最低ラインである1080pは満たすことができており、3000kbps設定ではドロップは発生していないことを確認している。フルスクリーンの画面から別の画面にアクティブを切り替えた場合に一時的にレンダリングの遅れが発生してFPS値が落ちることがあるが、本体の問題であって仕様上改善が難しく、これは妥協点である。性能的に十分と言える1080Tiでも起きるので、これはGPUがどれほどに強くても起きうるものであると考えられる。したがってこの部分を除外しても、十分に使えているものと判断していいだろう。

配信画面(タスクマネージャー表示)
タスクマネージャーで回線速度の部分だけ表示しながらの状態。平均値3.0Mbps(表示上は2.5~3.5Mbpsの間で瞬間的に上昇・下落することがある)を維持しているので、実験は成功している。なお、Twitchのコメント取得などで少々ダウンロードが生じる。

YouTubeへのアップロード

Twitchへの配信が主である以上、YouTubeへは殆ど配信を行わない。だが面倒な事にTwitchはアーカイブ期限があるので、そのアーカイブを実質無限化するためにYouTubeへ後でアップロードしている。その際も回線は分離している。こちらはストリーミングではないので帯域を最大限使用しても問題ない。アップロード速度に関しては時間帯によって異なり、8Mbps~50Mbpsでまばらである。また、8Mbps台だったのが急に40Mbpsになるなどの変化があるが、単純にアップロードするだけなので速度変化の影響はアップロード完了時間以外になく、途中で映像が乱れるといったことはない。録画時に何か起きた場合はまた別の話であるが。



高画質での配信ができるようになっている以上は、録画も配信と同じ画質になるようにしている。元々はクソフトバンクダメダーで無理矢理配信していたのでアップロードの画質は落とさざるを得なかったので、その代わりとして録画だけは高画質にして、YouTubeではかろうじて高画質になるようにしていた。現在は高画質で配信できるので今は無理に録画することもないが、万が一に回線が原因でドロップしても、綺麗なアーカイブとして残せるためである。また、Twitchからダウンロードする手間を省くのもある。

その上での結果であるが、クソフトバンクダメダーでは何時間もかかり、アップロード中はインターネットを使った他の作業は事実上一切行えず、それ故に真夜中のミッドナイトにアップロードを開始して、PCをつけたまま寝るしかなかったのが今までだ。それが、日中でも最低1時間の猶予を見ておけば、アップロードにさほど時間をかけずに済ませることが可能になる。また2回線運用であれば、アップロード専用回線を繋げたNICに対してroute addYouTube Studioに合わせた設定1)YouTube Studioにはネットワークアドレスとサブネットマスクの組み合わせが2つ存在する。よってこれも2つ追加する必要がある。調べた限りでは、142.250.0.0/15と172.217.0.0/16である。にしてやれば、アップロードによる帯域占有の影響を受けずに一般のインターネットに接続することが前提の作業などを行えるようになる。これはTwitchで配信する場合と同じである。なお、参考画像はNUROモバイルに切り替えたときの記事使用したものがある。

メリット・デメリット両面考察

実験が完了したらすることと言えば考察である。公平性を保つためにメリットとデメリットの両面で考える。

メリット

まずメリットだが、これは2回線存在することによる安定性だ。これは言うまでもない。元々それを目的に2回線用意しているのだから、そうでなければ困るというものである。もっともこの場合、回線が両方とも「弱いもの」であると救いようはないが。そのためうち1つの回線はアップロード速度が強いものを用意する必要があるということだ。その場合は必然的に5G対応のものを選ぶことになる。2回線保有はアップロード用途で使用しなくとも、1つの回線が不具合などで使い物にならなくなっても、もう1つの回線で難なくインターネットが使えるということでもある。冗長性の確保という意味にもなる。

また使用容量が無限である、NUROモバイル限定でアップロードは使用容量に含まないといった、上位プランや特定のプランに付属するオプションサービスによってスマートフォンのモバイル通信の制限が事実上存在しない場合は、テザリングによっても同じことが実現できる。この場合は5Gサービスが受けられることが前提であるが、真の5Gを手にしたスマートフォンは、下手なホームルーターよりも強いのは私自身、体験し、証明し、そしてその事実を記した。使用容量が無限である場合はホームルーターすら兼ねることができるので、ある意味1つの回線だけで十分ということはあり得てしまう。だが実際はテザリングの限界を考慮して、ホームルーターはあった方がいい。

デメリット

当然のことだが、2回線持つことは運用コストも高くなるということだ。1ルーターあたりの月額がどれくらいであるのか、その平均値は私は良く知らないので推定値で¥3,500前後であると仮定する。これを単純に×2すると¥7,000が回線代金に消費されることになる。これは三大キャリアの最上位プラン相当の価格である。また、いくら2回線を持っていたとしても、それをフル活用する機会は配信以外になく、配信頻度が低いなら無駄も多くなる。現在のジャップは上級國民集団を除いて貧困強制社会となっているので、そんな無駄金を払う余裕などないという人の方が多いはずだ。少しでも節約をしたいと考えて、かつ配信頻度も低いとなると、2回線は生活的に苦しくなるので、まず持つことを選択しない人は多いと考えられる。

もう1つ挙げると、通信分離設定の煩雑さにある。これはPCの基礎部分はもちろんのこと、ネットワーク関係の知識を少し要求されるものであり、これらは往々にしてPCに慣れていない人からは、そのことすら難易度の高いことになる。したがってこれは上級者向け設定の1つとなる。なお、設定方法自体は本記事で解説済みであるのでこれに従えば理論上は可能であるが、最近は文章の読めない馬鹿が非常に多く、馬鹿でもインターネットができる弊害が大きくなっている。そのことも考えれば、できない馬鹿の方が多いと考えるべきだ。当然できないことで文句を言われる筋合いなどないが。よって面倒が嫌いであったり自信がないのであれば、素直に光回線を導入しろとアドバイスするであろう。しかし前提が非光回線環境を想定しているので、これを勧めてしまうと前提崩壊でこの記事の意味がなくなってしまうが。

ただし、2回線保有による資金的なデメリットは、メリットで挙げたモバイル回線が容量関係で無制限になる場合には、従来通り1回線のみ保有し、テザリングによって2回線目とする方法で解消できる。MVNOで安く済ませたい場合はやはりNUROモバイルでNEOプラン(Lite除く)系一択であり、余裕があれば楽天モバイルを利用するのが正解となるであろう。楽天モバイルはクソフトバンクと地位を交代して三大キャリアに登り詰めてほしいものである。

回線を分離して、快適な配信環境を目指せ

以上で、配信回線分離論の講義を終了する。元々のプロジェクトは2月時点で始まっており、準備期間を経て4月からスタートしたものである。偶然にもNICは2つあり、設定方法についても調べれば、少ないなりに確かな情報を入手することができたのである。FF14でACTとかいう私にはよくわからないものを使うために、FF14オンリーとFF14以外の通信にそれぞれNICを分離させるために実験した記録であり、その記録者はネットワークに詳しい人間だったようだ。そのために詳しい内容が書かれており、構築の参考になった。

参考文献は1回線に対して複数NICの形となるのでDHCPはカットされ、静的設定となっている。そのため設定方法は参考にはなる。しかしもう少し詳しい情報が欲しい。そこでもう1つが、2回線導入した人が使い分けをするための考案をしている記録があり、これも参考とした。そこではローカルサーバとしての回線と、一般のインターネット利用の回線というパターンではあったが、これも同じような設定であり、これでやり方に確信が持てた。そこで手持ちのXperia 10 IV(NUROモバイルdocomo回線)でテザリングを利用して試すことにしたわけである。

実際に構築した際は、静的設定の部分で問題が生じた。スマートフォンを再起動することでデフォルトゲートウェイが変更されるので、静的IPでは構築の手間がかかりすぎてしまう。DHCPの心配はあったが、そもそもNICも回線も違うので干渉は起きないと分かり、静的設定を行わないでDHCPでIPアドレスの割り当てを任せることにした。次にデフォルトゲートウェイを無効にするかどうかだが、無効にするとまともに動かなかったので、これも有効にした。もっとも、Wi-Fi(NIC)のIPv4の設定を自動にしているのでデフォルトゲートウェイも自動でセットされる。その状態でrouteコマンドを使って設定するとうまくいった。

なので私の正解は、NICが異なるなら静的設定は要らず、デフォルトゲートウェイもカットしなくていい。その代わりにroute addを行うための情報を正確に取得することと、メトリック値を確認すること。この2つさえ守れば、配信回線分離はうまくいく。光回線を導入できなくて泣いている人、クソフトバンクダメダーのようなクソ回線に怒っている人、容量無制限のスマホプランを持て余してしまう人、そしてNUROモバイルのNEOプラン/NEOプランWのユーザー。ここに書いたことを生かして、配信回線を快適にするといい。アップロードすることによってダウンロード速度が0になるといった不具合はなくなり、オンライン前提のゲームもできるようになるはずだ。

 

以上、配信回線分離論~2回線持つことは無駄じゃない~であった。こうして考えれば、NUROモバイルのNEOプランも悪くないものと感じるはずだ。

 

KIBEKIN at 00:00 Jul. 13th, 2023


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脚注

脚注
本文へ1 YouTube Studioにはネットワークアドレスとサブネットマスクの組み合わせが2つ存在する。よってこれも2つ追加する必要がある。調べた限りでは、142.250.0.0/15と172.217.0.0/16である。
RA管理人
RA管理人。名前は時にない。かつてこのサイトを管理していた前任者はどこかへ消えてしまった。


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