この記事の概要を簡単まとめ!
- マストドン、Misskey以外にもいた分散型SNS”Pleroma”
- 他2つと比較してWikipediaや公式Wiki等が存在しない
- フロントエンドとバックエンドが分離されている
- 手探りでリンクス岐部が使ってみる
- メールは「ダミー」でもOKの登録
- Misskeyに似た機能が実装されている
- TLは手動更新が原則、自動更新は推奨されていない
- 設定項目は自分流にカスタマイズする
- 少人数運用であれば最適な分散型SNS
予定を狂わされると、代替の予定を建てなければならないとは非常に面倒である。Misskeyを書いている間にParlerは復帰するであろうと考えていたのに、未だ戻らない。書けなくなって2週間も経っているが、予定の延長は正直これ以上はきつい。次に書き終わるまで戻らなければ、欠番にしたうえで書くのを無期限休止にしなくてはならない。
ここ最近はずっと分散型SNS(いささか問題のあるSNSも含む)について、レポートという形で「使ってみた!」シリーズになっている。商品ではなく、インターネットサービスというところがキモだろうか。金がないという現実は非常につらいものである。さて、そんな「使ってみた!」シリーズであるが、ここまでマストドン、Misskeyを挙げてきた。残っているのはPleromaだ。これはマストドン、Misskeyと同じActivityPubを採用し、分散型SNSとして稼働するようになっている。これの採用はMisskeyとほぼ同じ時期であるようだ。
しかし、日本ではマストドンがメジャーとなったためか、Misskeyと同様、あまり表に出てくることがないSNSとなっている。Misskeyはここ最近の流れとして新規が増えているが、Pleromaに新規が流入しているかどうかという情報をあまり見ず、またユーザー数が少ないためなのか、WikipediaはおろかPleroma公式Wikiすら存在しない状況である。事前知識を仕入れるのは非常に難しいようだ。
そこで今回も私リンクス岐部が、Misskeyを使ったときと同様手探りでPleromaを使って、そのレポートを書いていく。当然ながら使用言語が異なっており、しかも軽量であると噂されるPleroma、果たして一体どのようなものであるのか、それがわかるはずである。
分散型SNS”Pleroma”
Pleromaの概要
早速引用といきたいところであったが、残念ながらWikipediaも公式Wikiも存在しないという有様である。英語版WikipediaでもFediverseとしてまとめられてしまっている1)後述だがフランス語版は存在した模様。。唯一存在するのがマストドン日本語ウィキにおける説明であり、これによれば以下の通りである。
lainにより開発されている分散SNS。OStatusプロトコルとActivityPubプロトコルにより、マストドンを含む他の分散SNSのインスタンスと連合を形成することができる。また、MastodonのAPIとある程度の互換性があるため、マストドン用のクライアント (スマートフォンアプリなど) を使用できる場合がある。
GNU/Linuxで動作する。インストールガイドはCentOS向け[1]とDebian向け[2]に書かれている。使用しているプログラミング言語はElixirである。マストドンと比較すると、低コストな計算機資源で動作することを標榜しており、512 MBのRAMでの運用[3]が報告されている。ライセンスはAGPLである。
開発当初の連合プロトコルはOStatusのみであったが、2018年3月8日[4]にActivityPubに対応した[5]。
簡単に言えばそういうことであるが、まあこれではわからない。ということで、ITmedia NEWSが開発者lainにインタビューした記事から少し言葉を借りると、Pleromaを開発した経緯はGNU socialを使用して(2015年に自鯖建てをして)2016年は積極的に活動していたが、それは古く遅いソフトウェアでソースコードもやや難読であった。当時lainは前職でSNS関連の仕事をしていたようで、ActivityPubを実装したGNU social互換を自分で作ろうと始めたものであるようだ。
何故lainはPloremaにElixirを選んだのかという話については、Elixirは高速なバーチャルマシンと関数型プログラミングができる、ということから個人的に学習していたようだ。それがPloremaのバックエンドをElixirで書くきっかけになったようである。ちなみに、lainはベルリン在住のドイツ人で、京都には半年住んでいた。使用する言語はRubyとJavaScriptである。趣味は女装であるという2)参照:lain – マストドン日本語ウィキ この情報要る?。鯖缶や開発者に女装趣味が多いのはなぜなのか、永遠の謎である。
フロントエンドとバックエンドが分離されている
Ploremaの特徴は、フロントエンドとバックエンドが分離していることである。lainによれば、まずフロントエンド(Plorema-FE)を開発して、その後バックエンドを開発したという。バックエンドはElixirで開発したようだ3)参照:Mastodonに続く新たな連合型SNS「Pleroma」作者に聞く 開発の背景、特徴、ロードマップ – ITmedia NEWS 該当箇所の日本語が若干おかしいので時系列が読み取れない。。フロントエンドに関しては、フランス語版Wikipediaにおいて、Vue.jsを使用したJavaScriptで記述されていると書かれている4)参照:Pleroma — Wikipédia フランス語版。技術的な面は全くもって詳しくないので何とも言えないのだが、両方とも軽量になるように設計したという。マストドンより軽量となることを目指したようだ。
フロントエンドとバックエンドが分離しているとはいえ、当然ながらPloremaのデフォルトはPlorema-FEとの組み合わせである。だが同時に、それぞれが別のフロントエンドまたはバックエンドと組み合わせることも可能になっている。その例がGNU socialバックエンド+Plorema-FEであり、GNU/SmugとFreezePeachで試みられている。また、問題となったGabフロントエンドを基にしたSoapboxというPleromaフロントエンドも存在する5)参照:Pleroma – マストドン日本語ウィキ#バックエンドとフロントエンドの組み合わせ。分離できる関係からか、マストドンフロントエンドとの組み合わせも利用できるようになっている。
「貧弱な構成でも動く」という事実
lainの目指したものは、『高速でリソースをあまり消費しない、高品質のコードで書かれたサーバ』である。それを作る際に最適だったのが、Elixirであったという。詳細はよくわからないが、Elixirの公式ページにある解説から考えると、スケーラビリティと関数型プログラミングが軽量化の要因であると思われる。その結果、一部のPloremaで鯖建てした人からの情報によれば、さくらのVPSでRAM 512MBで動作した、という報告がされている(ただし情報提供した人のサイトは閉鎖されている)。
この理由は、Elixirのことを詳しく説明している人のサイトがあるのでそちらを参照してもらうとして、貧弱な構成でも動くということは、マストドンよりも建てやすいということを意味する。ただし、実際の手順がどのようになっているかについては、ここでは触れない。もし、PleromaをPleroma-FEと共に使用すれば、それこそごくわずかなリソースだけでSNSを運営できることになるため、その意味では優れていると言えるであろう。ただ、フロントエンドとバックエンドが分離できるPleroma, フロントエンドは変えても大丈夫なのかは不明である。バックエンドに関しては変えたら無理であろう。
Pleroma使ってみた!
技術的な話についてはここまでにして、実際にPleromaを使用してみることとする。ただ、公式Wikiは存在しない。そしてPleromaについての一般のサイトは、殆どが「鯖建てする人」の情報である。いちユーザー視点から書かれた利用方法については、1つも出てこなかったのである。つまり、何もかもを自分で調査し、そして自分で解決方法を見出すしかない、ということである。そのため今回ばかりは「実験」が多くなるであろう。
スタート:Pleromaに登録する
直近でMisskeyで語ったので、もはや説明するまでもないのだが、まずは利用するためには登録が必要である。登録に際し、まずは登録先を見つける必要がある。Plorema公式のサイトから選択するのもいいが、多くが海外系の鯖を利用するため、規約の点で非常に不自由さを感じるものが多い。その鯖が置かれている法律(=多くがオランダ)に従わなければならないためである。だが検証のためである、これらについては少し我慢することとして、実際にPleromaに参加することとする。
とりあえずは原則として無改造のPloremaを利用している鯖を対象に選択する。今回は(UI以外は)無改造であるCD-ROM TOKYO(cdrom.tokyo)で検証を行う。まず登録であるが、メールの記入欄がある。この点で、一般的なSNSの登録方法と殆ど変わらない。ただし登録時点でプロフィールが書けるようになっている。これは省略できるようだ。後はIDとスクリーンネーム(表示名)、パスワードを決定し、旧式のCAPTCHAをクリアすれば登録できる。登録が完了すると、すぐにグローバル(接続済み)TLになる。そこまでの登録手順を以下に示す。画像はその下に掲載する。
- 任意のPleromaで稼働する鯖のURLにアクセスする
- 今回の検証ではCD-ROMのPlorema鯖を使用する
- 初めてアクセスした、または未ログイン状態であると、左側にログインのセクションがある。左下の[登録]をクリックする
- 必須項目(であると思われる)ユーザー名(ID)・スクリーンネーム(HN)・Eメール・パスワード(再入力含む)と任意のプロフィール、CAPTCHAをクリアして、直下の[送信]をクリックすれば登録完了
- メールは要求された割に何も送られてこなかったので、ダミーアドレスでも問題ない。
sage進行
- メールは要求された割に何も送られてこなかったので、ダミーアドレスでも問題ない。
- 登録完了後は、グローバルTLですぐ開始する

登録そのものは問題なく行えた。ただしこれはCD-ROMの場合であって、他の場合については不明である。場合によっては別の認証手段が必要な場合があり、これは一概には言えない。CD-ROMの場合は、標準から改造していないためにこのようになっていると思われる。なお、メールアドレスを要求するわりにはメール認証をするようなことはなく、メールそのものが送られてこなかったため、メール要求はダミーパラメータである可能性が高い。何のためなのだろうか。
登録完了後、少しすると垢が有効になりグローバルTLが開いた状態でスタートする。初期画面は画像右側のようになる。画面構成としては、右にTL、左に投稿フォームとメニューの構成である。なんとなくLinux的配置である。人間工学などを考えると、やはり左側にUIがある方がいいのだろう。
基本設定:プロフィールはどこでも同じやり方で
当然ながら、プロフィールが設定できなければ何のためのSNSなのかはわからなくなる。Pleromaは、設定画面は(無改造鯖であれば)WebUIで右上の歯車マークのクリックで、ウィンドウ形式で呼び出せる。その2番目の項目である[プロフィール]から、詳細に変更できる。変更できる内容については多いようだ。その内容を画像で示す。

変更および設定できる項目は他のSNSと然程変わったところはない。ただ、自分のプロフィールページに対し、バックグラウンドを設定できるのが特徴である。これはヘッダーとは違うものである。昔のブログ(2000年代)であったようなループ画像の背景を思い浮かべるとわかりやすい。あれみたいなことができるということである。ただし、Pleromaにおいて画像はループせず、一枚絵となる。だからどうということはないが。
ステータス:Pleromaにおける投稿
最もメインとなる部分である投稿は、その名称はステータスとなっている。投稿形式は固定された投稿フォームから投稿するか、モバイルや狭いウィンドウの場合右下の鉛筆マークでフォームを呼び出して入力する。ここで、画像で各機能についてさくっとまとめたものを下記に掲載する。

Pleromaは、ステータスについては基本部分がマストドンやMisskeyと共通するが、やはり異なるものがある。まず上限文字数は5000で、Misskeyや小田急丼より多い。またポイントとなるのが投稿のプレビューが可能なことである。これは主にカスタム絵文字を使用する場合に便利で、また後述の各種マークアップ言語で記述したときの確認もできることになり、その意味では「投稿後の訂正」を行う回数が減ることになるであろう。
ステータスも同様に、CWと同等の機能として説明(原名:Subject)がある。デフォルトではこの説明は格納しないようになっている。また、NSFWと画像(動画)のキャプション設定も同じように存在する。これらの設定変更については後に解説する。投票は時間制限式であるが、単位は分・時間・日で最短1分、最長365日(1年)まで、細かく時間を設定できるようだ。選択肢については11個以上行けたが、それ以上まだまだいけるような雰囲気があった。よって上限数は不明である。
ステータスの内容:各種マークアップ言語を選択し記述可能
このあたりはMisskeyにやや似るところであるが、ステータスは内容を記述する際、プレーンテキストか各種マークアップ言語で記述するかを選択できるようになっている。使用できるマークアップ言語はHTML, Markdown, BBCode6)Bulletin Board Codeのこと。電子掲示板やブログなどで使用される軽量マークアップ言語である。[]内にキーワードを入れたものをタグとして、これを構文解析してHTML(XHTML)に変換される。参照:BBコード – Wikipediaの3種類である。Misskeyと明確に違うのは、MisskeyはMFMであり独自のものとなっているのに対し、Pleromaの場合はマークアップ言語そのもので記述するということである。つまり、Web開発しているような感覚でステータスを書けるということである。もっとも私はそこまで詳しくないが。
ただし、全てのマークアップ言語のタグが使用できるというわけではない。色変更や表作成はタグを挿入しても何も起こらず、チェックリストやLaTeXも使用できなかった。また、管理人からの情報で、htmlにおいてstyle=""
タグは使用できないとも教えてもらった。使用できるタグは制限されているので、それほど自由に書けるわけではないようだ。もっとも、がっつり使っている人はあまりいないようで、気にすることはない。たまに強調程度に使用する人がいる程度である。
ステータスへの反応:Misskeyに似る
他の人(自分でも可)のステータスに対して行えることは、他のSNSにあるようなものとほぼ同じである。お気に入りはそのままお気に入りで、拡散はリピートという名称になっている。また、標準で#InstanceTickerのような機能が搭載されている。また、PleromaではMisskeyを意識したのか、リアクションとほぼ同じことができる。これはお気に入りとは別に用意されていて、お気に入りの右の笑顔マークで絵文字で反応を送ることができる。ただし、完全な互換ではないため、Misskeyの一部絵文字を表示することができない。以下は比較画像である。

なお、PleromaからMisskeyに対しリアクションを送ってどうなるかについては検証していない。何度も言っているが、検証する相手がいないためである。
ステータスに対する追加操作解説
ステータスに対する追加操作は、自分に対するものと他の人のステータスに対するものと分かれる。操作できる内容については次の通りである。なおそれを1つの画像で説明したものをリストの下に掲載する。
- 自分のステータスのみ行えること:ピン留め・ステータスの削除
- 他者のステータスのみ行えること:External source(リモートで表示)
- これは対象のステータス(投稿)が自分の鯖以外の場合にできる
- 共通操作:スレッドをミュート・ブックマーク・ステータスのリンクをコピー。スレッドは右上の公開レベルの右にある[+]ボタンをクリックすることで展開する。

ステータスの操作において、Pleromaには通報的なものが存在しないことが確認できる。そのため、物議を醸すようなステータスを発見したときにおいて果たしてどうするのか、という問題がある。モデレーターがいないわけがないので何らか対処することになるとは思うが、問題のあるステータスの発見が遅れ、対処する前に悪化してしまうなどが発生した場合にどうなるかが不安要素となる。Pleromaで大規模な鯖として運営する場合には、何らかの手段を用意しなければならないであろう。
インタラクション:通知はここに集まる
何か反応を受けたら通知を受け取る、それはどこに行っても当たり前である。Pleromaでは通知はインタラクションという名称になっている。インタラクションで受け取れるのは、通知(=メンション/リプライ)、リピートとお気に入り、新しいフォロワーの3つである。それぞれはタブ分けされている。画像イメージは以下の通りである。

ここについては別に解説することはない。ただ、インタラクションを受けるとブラウザタイトルに通知数(n)とファビコンに赤点がついて、未読のインタラクションがあることが通知される。また、左側の一番下の項目に通知欄があり、これは全通知表示となっている。新着通知がある状態だと、通知欄のタイトルの右側に「読んだ!」(原文:おそらく”Read!”)ボタンが現れ、これを押すまで新着通知は解除されない。押すことで初めて新着通知が解除される仕組みになっている。
TL:単一の表示欄で5種類のタイプを使い分ける
タイムライン、通称TLは、Pleroma(FE)では1つだけの表示欄で構成されている。これを適宜切り替えていくスタイルである。残念ながらデッキは確認できなかった。Pleromaで選択できるTLは5種類のタイプである。
- タイムライン:ホームTLのこと
- Bookmarks:ブックマーク登録したステータスを表示
- ダイレクトメッセージ:DMはここで見れる
- パブリックタイムライン:ローカルTLのこと
- 接続しているすべてのネットワーク:連合TLのこと
この5つのタイプ(うち2つはTLではない)を1つの表示欄で切り替えながら使っていく。切り替えるには、タイトル名をクリックすることでプルダウンメニューが表示されるので、そこから任意のタイプを選択する。表示欄が1つしかないので、いちいち切り替えるのが面倒という人は同じページをタイプ別に設定した状態で複数開いておくといいだろう。
TLの注意:手動更新が原則、自動更新は推奨されない
殆どの分散型SNSにおいて、TLの更新は自動で行われる設定となっていることが多い。これは設定から手動と自動を変更できるようになっている。Pleromaは、TLは自動更新されず、手動で更新を行う必要がある。これは全てのタイプで共通していることである。

なお、設定>全般>タイムラインに、次の文面がある。
- [ ]Receive posts and notifications real-time
- (Not recommended, experimental, known to skip posts)
上記を簡単に訳すと、『投稿と通知をリアルタイムで受け取る(非推奨、実験的機能、投稿が飛ばされることで有名)』と書かれている。投稿の取得が不完全であると明記されている。そのため、システムとして自動更新(ストリーミングAPI)は存在しているものの実験段階または問題のある機能のために、現在も手動更新が原則になっているものと思われる。もっとも、それはPleromaを使用する上では些細な問題にしかならないであろう。
チャット(検証不可能)
Pleromaにはチャットがある。これはDMとは別に存在するものである。開始するには、ユーザー名またはIDで検索し、結果からチャットしたいユーザーをクリックする。Pleromaでは1対1のチャットのみの対応であると思われる。検証できる相手がいないため、残念ながら検証不可能である。
その他Pleromaの機能の概説
他にあるPleromaの機能については、軽く説明しておくこととする。
- このインスタンスについて
原文:About 鯖の詳細についてを読むことができる。ここに鯖缶についてやルールが記述されており、有効な機能についても書かれている。これを登録前に読み、どこに登録するかの目安とするといい。
- Shoutbox
右下に常にある小さな、ボタンかウィジェットかはよくわからないやつ。これを開くと次のようになっている。

鯖内の他のユーザーと発言内容、そしてテキストボックスだけの単純な構成である。おそらく、Enter送信式であろう。そして取り消しは効かないものであると思われる。これはPleroma標準機能であるようで、特に変更を加えていなければ使用できるものである。これを見て思ったのは、かつてマストドンの特異鯖としてあふん(花騎士)を紹介したのだが、そこにあるなます!と組み合わせれば、完璧におーぷんの再現ができるということだ。その前に、動画のストリーミング配信をPleromaで可能かどうか、それを検証する必要はあるが。
- CW/NSFWの仕様
PleromaにおけるCW/NSFWの仕様は、CWが説明(Subject)という名前である以外は同じものである。ただし、Pleromaのデフォルトでは説明は格納しない設定になっている。初期状態ではCWの役目を果たしてくれないので、これは変更しておく必要がある。変更方法は設定>全般>タイムラインの、”説明のある投稿をたたむ (デフォルト: いいえ)”のチェックボックスにチェックすれば有効になる。
また、NSFWは少々独特で、モザイクやぼかしで警告するのではなく、完全に隠す方式である。それも、ビデオ屋の18禁コーナーの入口のカーテンの感じで警告するという、なぜそれを選んだのかと言いたくなる方法で隠す。露骨過ぎて逆にそれを見せたくないくらいである。しかし原則としてCW/NSFWはONにすることが望ましいので、ONにすべきである。最後に、CW/NSFWの例を画像で示す。

Pleromaの設定全集(画像)
Pleromaの設定については、項目毎のものを画像で示す。
設定:全般

基本的にミュートユーザーを隠す、説明をたたむは有効にしておくといい。自動更新はやめておくこと。最後のミームについては、怖くて有効にしていない。
設定:プロフィール

プロフィールについては設定がマストドンと似ている。フォロー関係の隠す機能はマストドンのそれと同じである。また、Add Fieldの部分はラベル-内容形式の追加情報を10個まで書くことができる。ここは他の分散型SNSに勝っている。
設定:セキュリティ

セキュリティはメール(本当に必要なのか?)とパスワードを変更することがメインとなる。トークンの状態確認や2段階認証の設定もここから行える。そして垢削除はここにある。本当はこれが書き終わったら削除する予定だったが、ここの管理人が面白い人だったので削除する気がなくなってしまった。
設定:フィルタリング

表示する通知についてはここで管理する。TLのリプライ表示に関しては、全てのリプライか自分宛とフォローしている人からのリプライ、自分宛のリプライの3つから1つを選択する。統計を隠すオプションは意味はあまりないであろう。ワードミュートについては、1行単位で区切る形式となっている。その下の隠すオプションは、おそらく除外オプションであると思われる。
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設定:テーマ

Pleromaでは、多彩で詳細なテーマ設定が行える。プリセットが既に数種類用意されており、そこから任意のテーマを選択して変更できるほか、自分で細かく変更することもできる。この時、鯖独自のテーマも存在する場合がある。変更した際は一番下の[適用]をクリックして反映させる。なお、自分で作成したテーマについては、一番上の[保存]ボタンを押すことで、現在の設定をpleroma_theme.json
として保存することができる。また、自作したテーマを読み込ませたい場合は、[ロード]ボタンをクリックしてウィザードを呼び出し、読み込ませたい任意のjsonファイルを選択することで変更することができる。暇な時にカスタマイズしてみるといいだろう。
設定:通知

通知(インタラクション)については、フォローしていない垢の通知をブロック(通知しない)ことと、プッシュ通知の送信者(誰から来たか)と内容を非表示にするものである。Botや一方的発信を行う垢の場合には、この設定を有効にすることがあるかもしれない。
設定:インポートとエクスポート

インポートとエクスポートは、全て.csv
で行う。フォロー・ブロック・ミュートの3つについてそれぞれインポートとエクスポートが行える。.csv
なら他の分散型SNSからのデータを簡単に移行できるので便利である。ただ、インポート先は間違えないように注意すること。過去にブロックとフォローのインポートを間違えた人がいるためである。
設定:ミュートとブロック+バージョン

スペースが小さいので1つにまとめた。ミュートとブロックは、設定からは直接検索して指定する形式となっている。解除もここで管理する。ドメインについてはミュートのみ指定できる。
Pleromaはかなり先の方でも述べたが、フロントエンドとバックエンドが分離された構造になっている。そのため、バージョンはフロントエンドとバックエンド両方がどのバージョンかが明記されている。リンクはGitHubのソースコードである。なお、CD-ROMはPlorema-FEとMastodon-FEをサポートしており、どちらも使用できる。が、Plorema-FEに慣れたので、変える気は正直ないが。自動更新ができないとマストドンUIである意味はないと考えている。
設定についてはこれで全てである。同時に、Pleromaで取り上げるべき内容の全てについて完了した。ここまで、かなり長かったとは思うが、読んでもらえたら感謝の限りである。
少人数運用であれば最適な分散型SNS
事前知識(Wiki等の解説)なしでPleromaの1つの鯖に登録し、そしてPleromaとはいったいどんなものか、1つ1つ手探りで使っていきながら、それぞれ自分なりの分析をして解説をしてきた。一部はどうしても検証できなかったために、詳細を書くことはできなかったものの、おそらくPleromaとは何であるか、それを理解するには十分であろう内容の記事が書くことができたと考えている。それが今回書いた「Pleroma使ってみた!」である。
これは私の感想に過ぎないのだが、Pleromaは自動更新機能が不十分であるが、Misskeyとマストドンを足して2で割ったような感じであり、しかし軽量でありながらできることは多い、なかなか侮れないものである。そこで思ったのは、これは単独または少人数のユーザーで利用するのであれば、最適な分散型SNSであるということだ。おそらくElixirもちゃんと勉強していけば決して難しくない言語であろう。そして何より、非常に小さなリソースでも十分稼働するという事実、ネットワークの勉強にもってこいではないだろうか。これなら自宅鯖としてRaspberry Piで気軽に建てられる。実際にしている人もいる7)北朝鮮を研究しているマロヌ氏がtoyoko.inという名称で建てている。ほぼ無改造Pleromaである。おそらく他の人が利用することはできない。。
現在、私のメインはプライベート用でMisskeyで、マストドンは宣伝用のJ鯖以外は実質停止である。今回登録したCD-ROMは、100%RYF認定8)参照:Respects Your Freedom Certification | RYF Free Software Foundationが行っている認定プログラム。簡単に言えば「変な細工が何もされていないハードウェア」のことである。のハードウェアのみで建てた鯖で、管理人は比較にならないPCガチ勢であった。登録している人は殆どが英語圏であるため、文化圏の違いもあって楽しいものである。もちろん日本鯖もあるが、Pleromaは海外Fediverse勢が多い印象である。
これを一通り読めばPleromaを使いこなすことができるはずだ、だからちょっと違う世界に飛び込んでみるといい。そこには新しい発見があることだろう。
以上、Pleroma使ってみた!であった。それでは、次回の記事で会おう。
リンクス岐部(LINKS-KIBE) at 13:40 Jan. 30th, 2021
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脚注
本文へ1 | 後述だがフランス語版は存在した模様。 |
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本文へ2 | 参照:lain – マストドン日本語ウィキ この情報要る? |
本文へ3 | 参照:Mastodonに続く新たな連合型SNS「Pleroma」作者に聞く 開発の背景、特徴、ロードマップ – ITmedia NEWS 該当箇所の日本語が若干おかしいので時系列が読み取れない。 |
本文へ4 | 参照:Pleroma — Wikipédia フランス語版 |
本文へ5 | 参照:Pleroma – マストドン日本語ウィキ#バックエンドとフロントエンドの組み合わせ |
本文へ6 | Bulletin Board Codeのこと。電子掲示板やブログなどで使用される軽量マークアップ言語である。[]内にキーワードを入れたものをタグとして、これを構文解析してHTML(XHTML)に変換される。参照:BBコード – Wikipedia |
本文へ7 | 北朝鮮を研究しているマロヌ氏がtoyoko.inという名称で建てている。ほぼ無改造Pleromaである。おそらく他の人が利用することはできない。 |
本文へ8 | 参照:Respects Your Freedom Certification | RYF Free Software Foundationが行っている認定プログラム。簡単に言えば「変な細工が何もされていないハードウェア」のことである。 |