【遊ぶ3線直通の歴史】Train Simulator 京成・都営浅草・京急線を語る

この記事の概要を簡単まとめ!

  • 株式会社音楽館が発売していたゲームシリーズ「Train Simulator」
  • PS2からTrain Simulator(初期2作品はTrain Simulator Real)として展開され、本作は第5作目
  • 私鉄2社と都営が直通し空港から空港を走る
  • 2004年10月30日ダイヤ改正時のダイヤと当時の風景を切り取った歴史資料である
  • 今回はゲーム内容を要約して解説する
  • 運転で難しい「停車」を練習できるモードも搭載
  • ブレーキナビゲーションシステムで基本制動を練習できる
  • 標識と信号についてもおさらいできる
  • プレミア価格だが是非持っておきたいTS
  • 具体的な攻略の話は次回以降(不定)

人に自分の趣味を語るとき、それを「何も知らない人」に対して語る場合には気を遣う。語るだけ語って、相手には何も理解されずただ不快で無駄な時間を浪費させるわけにはいかないためである。それは私が何か(何でも)ネタにするとき、専門的な話を含むときも同じである。なるべく初心者を想定して冗長な説明を加えることが多い。そのため、専門家が満足する話を書くことは難しいであろう。

さて、HIKAKINを見倣って何でもネタにするとした以上、果たして需要があるかどうか不明なことでも書くことにしている。もっとも、これまで書いてきたものも需要不明なものが多いが。そんな中で今回書くのは、電車運転ゲームの中でもリアリティにこだわった「Train Simulator」シリーズで第5作目となる「京成・都営浅草・京急線」である。ただし内容は攻略法等ではなく、このゲームの特徴や意味などを語っていくものとして書く。このゲームについては明確な攻略法というものは、事実上存在しないためである。とはいえ、後日いくつかのダイヤについては書こうと考えている。

株式会社音楽館、向谷実が代表取締役社長を務める、元は音楽制作のために建てられた会社であるここがいつの間にか向谷の趣味の頒布を行う企業となり、後にそれが大手鉄道事業者をクライアントとするビジネスとなった。彼の情熱が込められたTrain Simulatorシリーズ、私鉄大手2社及び東京都交通局全面協力の下で制作された第5弾。これは一体どんなものであるのか見ていこう。

ブンブンハロースカイライナー、どうもKIBEKINです。

Train Simulatorとは

Train Simulator(以下TS)とは、株式会社音楽館より発売された鉄道運転シミュレーションゲームのシリーズである。第1作目は『Train Simulator 中央線』で、Macintosh用として1995年に発売された。Windwos版は1996年となっている。これはPC専用のソフトとして開発され、インストールディスク形式で販売された。以降はCD-ROM形式となっている。

初期のTSは他社撮影の映像を提供される形で制作していたが、相模鉄道(相鉄)から製作依頼を受けて以降は撮影専用列車で実際に撮影して制作されている。2000年からはTS Plusとして映像が拡大され、Macintosh対応終了となった。PS2が登場すると、2001年10月4日の山手線からPS2に移行し、ここでは6作品が制作された。このうち2作品(東急と京成・都営浅草・京急)はPSP版も存在する。PS3が登場するとRailfanとして2作品出すも、コンシューマ向けのTSはここで完全に終了している1)参照:Train Simulator (音楽館) – Wikipedia



「ゲーム」としてのTSは現時点では音楽館から新規の計画は全く存在しないが、これまでのTSの経験がきっかけとなり現在は乗務員訓練で使用するための業務用シミュレータを各鉄道会社や海外鉄道事業者に納入しているほか、鉄道博物館等に設置する展示用運転シミュレータの納入も行っている。業務用シミュレータについては実際の映像を使用し、訓練についても路線を高精度再現かつあらゆる事態を想定した多種多様な訓練が可能となっている2)参照:導入実績 | 株式会社音楽館 業務用シミュレータと博物館向けシミュレータの導入実績が掲載されている。

解説:株式会社音楽館について

ところで、開発元である音楽館とは一体何なのか。これを軽く解説する。

株式会社音楽館(ONGAKUKAN Co.,Ltd.)は、東京都品川区西五反田のTOCビル(ABCマートアウトレットのあるところ)6Fに本社を置く、音楽制作ならびに業務用シミュレータの企画・開発・制作を主とする企業である。業種分類は情報・通信業となっている。本社は2013年1月中旬まで東京都世田谷区上馬まであり、1月21日に東五反田へ移転した後、2017年に現在の場所に移転している。

代表取締役社長は向谷実で、2012年までカシオペアのキーボード奏者であった。音楽館は元々、プロ用レコーディングスタジオ向けの録音機材賃貸を行う会社として1985年に設立した。PCソフト分野へは1993年のCD-ROMゲーム“Touch the Music by Casiopea”3)1993年にMacintosh用ソフトとして発売された、カシオペアに関する情報を盛り込んだゲームのようなもの。メンバーに関する秘蔵データなどを収録したものであるらしい。マーケットの規模が小さすぎて商業的に失敗だったものの、これがPCソフト分野進出のきっかけとなる。参照:Train Simulator誕生秘話 向谷実「音楽家の僕が鉄道ゲームを作ったワケ」 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット) を発売したことを契機に進出、1995年に初めてのTSが発売されるきっかけとなった。結果、PCソフト分野に事業をシフトするようになった。TSのシリーズはPC・コンシューマ通算で31作品リリースという結果になっている。

その後はTSの経験と実績から、2006年から業務用シミュレータについても着手し、同年東急テクノシステム共同制作で乗務員養成シミュレータを開発しこれを納入した。人身事故を想定した訓練も可能になっている高レベルなシミュレータとなっている。これが起点となり、数々の業務用シミュレータと博物館等向けの展示用シミュレータを制作し、これを納入している。これが現在のメイン事業となる。

また、シミュレータ以外でも鉄道事業において貢献している。向谷自身がミュージシャンとしての経歴があることを生かし、各鉄道会社で使用される発車メロディ、特急車両の車内BGMまたはチャイム、ミュージックホーンを制作している。また向谷のアイデアによる軽量型ホームドアを2017年、日本信号と共同開発し、JR九州筑肥線九大学研都市駅で試験導入された。後に本格採用され、同線での追加導入と2021年に京急本線汐入駅での導入が予定されている。音楽館はその企業名に反して、鉄道事業になくてはならない存在として非常に重宝されていることがうかがえるものとなっている。

本題:Train Simulator第5作目「京成・都営浅草・京急線」

音楽館についての概要をさらっとおさらいしたところで、本題に移る。その音楽館がコンシューマ向けTSをPS2で販売していた頃、題材となる路線は向谷の趣味と売上優先の葛藤の中で選ばれている。そんな中第5作目となったのが、私鉄大手2社と東京都交通局全面協力の下で制作された「京成・都営浅草・京急線」。京急は羽田空港、京成は成田空港へのアクセスを持ち、東京都交通局=都営浅草線(以下都営)は京急と泉岳寺-品川、京成に押上-曳舟でそれぞれ直通している。この運用形態であるため、空港から空港を結ぶ、3線直通の作品が実現することとなった。

運転可能区間は、京急が空港線の羽田空港-蒲田、本線の蒲田-泉岳寺、都営が泉岳寺-押上、京成が押上線の押上-青砥、本線の上野-成田空港である。なお、発売日は2005年8月25日であり、その関係から2004年10月30日のダイヤ改正時のダイヤで撮影されている。そのため、年代的な関係もあって既知の範囲で現在とは以下が異なる。

  • 京急:羽田空港-天空橋間に国際線ターミナル(現:羽田空港第3ターミナル)は存在せず、糀谷-蒲田-大森町が地上線。エアポート快特は蒲田に停車する。旧1000形が運転可能。
  • 都営:(ゲーム中では運転できない)京成から直通する西馬込行の6両編成が存在する。
  • 京成:海神-船橋競馬場が地上線。駒井野信号場-空港第2ビルが単線。成田スカイアクセス線が存在しないため、スカイライナーは全て本線経由。快速特急が存在しないため、特急は佐倉-成田をノンストップで運行する。3300形が運転可能。
  • 全線共通:保安装置が全線1号型ATS。

そのため、現在の3線と風景や位置(多くは高架)が全く違う中で運転することになる。また、これを制作するにあたり撮影専用列車(回送)を用意して実際に撮影した映像を使用するわけであるが、ゲーム中の運転可能なダイヤは全て同じ映像を使用して運転する。この関係から実際は優等列車と普通で発着番線が分けられているがゲーム中では本来使用しない発着番線を普通(または優等列車)が使用するなど、日常的に3線を利用するユーザーが違和感を覚えるものとなっている。ただしそれに対する発着番線変更フォロー放送が実装されているなど、「リアリティ」にこだわるTSだからこその対応がなされている。




TSは1つの歴史資料である

通常、実写を使用するゲームはゲームとして発売した時点で既に数カ月が経過しているため、ある意味で「情報の古い」ゲームとなり得る。また、現在はフリーのPCゲームであり有志により路線情報が更新されるものとしてBVE Trainsimがあり、アーケードゲームに再度力を入れるようになったタイトーが『電車でGO!』の最新アーケード版を展開しているなど、競合や代替が存在する4)ただし電車でGO!はゲーム性・エンターテインメント性を追求している方であるため、音楽館とは競合ではなく協力関係にある。その結果として、TS第4作目の東京急行編はタイトーとコラボしている。これにより、電車でGO!モードでは、お馴染みの電車でGO!のシステムでありながらCGではなく実写で運転することができた。。それらを考えたとき、TSは「何か違う」という、説明のしにくいものを感じることであろう。

しかし私はこう考えている。TSはその路線及び沿線について撮影された当時の実写映像であり、運転できる車両についてもその挙動と計器を忠実に再現している。このことから、TSとはその時代における1つの「歴史資料」であると、私は考えている。もちろん、収録される情報についてはその路線の線路が敷設されているところとその沿線に限られるため、一般的な歴史資料と考えるには限定的なものである。しかし鉄道の歴史においては資料として有用であることは間違いない。それを考えたとき、TSは単なるゲームとは言えないほどの価値がある、鉄道ファンにとって必須のものとなる。

ゲームとしての「京成・都営浅草・京急線」

TS全体の概説はこのくらいにして、ゲームとしての「京成・都営浅草・京急線」(以下KTK)を解説していく。この記事では詳細ではなく、全体を要約して解説することとしている。そのため攻略情報等はほぼないものとなる。なお、基本的なこと(データ作成など)については原則省略している。

KTKでは以下5つの項目が存在する。

  1. 運転:自由に運転することができる。運転モードでのみ運転できるダイヤが隠し要素として存在する
  2. 試験:規定に従い運転し、その運転について評価・採点を受ける。試験の得点がポイントとなる
  3. 管理:車両管理を行う。車両データ・路線情報についても見ることができる
  4. 教習所:運転に必要な基礎と技術について学べる。ブレーキ練習が行えるほか、各路線の標識・信号の解説もある
  5. オプション:諸設定変更とオープニング・エンディングが観れる

以上の5項目について、解説していく。なお、解説するにあたり、私は隠し要素も含めて全て攻略済みであり、全試験のSクリアもしているため、一部についてはネタバレ防止対策を行ったうえで解説する。また、PS2版に準拠した解説となり、PSP版についての解説は省略する。

KTKメインメニュー
KTKの最初のメニュー画面。5つの項目が存在する。

解説0番線:このゲームの始め方と進め方

その前に、このゲームの始め方と進め方を解説する。

このゲームはゲーム内でライセンス制を採用している。その関係から、開始するとまずは「運転する路線のライセンス」を選択することになる。つまり、京急・都営・京成のどこから始めるか、ということである。これについてはどこから始めても問題ない。その後は選択した路線の全ての試験をC以上で合格することで、隣接する路線のライセンスを取得できる。都営が最初のライセンスの場合、京急か京成を任意で選択できる。最終的に全てのライセンスを取得することで、「直通運転」ダイヤで全線を運転することができるようになる。

ライセンスを取得すると、京急は600形・都営は5300形・京成は3000形(2代)を運転可能になる。それ以外の車両についてはポイントを貯めて管理から車両を購入することで運転可能になる。京成以外はライセンス取得時に運転可能になる車両で全てのダイヤを運転できる。京成はスカイライナーがあり、これはAE100形(2004年10月時点)でのみの運用なので、AE100形は絶対購入する必要がある。

ゲームとしての目的は、全試験のSクリアである。これを目指して「模範的な運転」をしていくことが重要である。

解説1番線:運転

基本のモードとも言える「運転」。気軽に、あるいは自由に運転したい場合はこのモードである。このモードでは評価はされないうえ、好きな駅から開始できる。苦手な駅でのブレーキ練習、または駅間の速度制限に合わせた運転の練習にも使える。また、評価点は入らないが基本制動(後述)が成功した場合、その旨が表示される。練習のためのモードでもある。ここで運転可能な全ダイヤについて、以下のようになっている。

運転モード全ダイヤ
運転モードで選択できる全ダイヤと運転可能な車両の一覧。車両については試験を全Sクリアすることで制限がなくなる。また、このモード専用の隠しダイヤが存在する。

全Sクリアしているため、運転では保有する全ての車両で運転できることになっているが、そうでない場合は運用上正しい車両でのみ運転できる。例えば、一般路線でAE100形は選択できず、スカイライナーでAE100形以外は選択できない、といったものである。また、一部ダイヤについてはダイヤ選択が可能である。基本的には同じダイヤだが、先行列車による信号変化や退避などの微妙な変化がある。また京成の[特急]上野→成田空港では編成が8両(8A09)と6両(7A31)とそれぞれ分けられているなどの差異もある。



なお、運転モードのみ選択できるダイヤが2つある。これについてはネタバレ防止としてモザイク処理を行った。出現条件は、全ての試験をクリアすることである。これは必ずしもSでなくていい。しかし、前提である全ての試験が選択可能となる状態に行くまでが難しく、直通試験についてはいずれも難易度が高いため、試験クリア自体までの道のりはたとえエアポート快特でも非常に時間のかかるものとなっている。

ちなみに、PS2版は全てのダイヤの全ての区間について模範運転のデータが存在する。このデータはコンピュータによる自動運転ではなく、開発スタッフが実際に運転し制作されたデータ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)である。つまり、これを見るだけでも運転の仕方がわかるようになっている。

解説2番線:試験

このゲームのメインとなるモードである。このモードでは運転が評価・採点される。その採点項目については、選択するダイヤの難易度によって異なり、優等列車や直通試験になるほど採点項目(主に減点項目)が増えて難しくなる。運転する区間は基本的に運転モードとほぼ変わらないが、一部区間が省略されている場合がある。また、試験では運用上正しい車両でのみ運転することができる。以下がそのダイヤ一覧である。

試験全ダイヤ
試験で受けられる全ダイヤ。運転モードとは異なり、全Sクリアでも運用上正しい車両でのみ試験が行える。3線直通は全ライセンス取得後に解放される。

始めたてであれば最初にライセンスを取得した路線のみだが、全ライセンスを取得すると直通試験が可能となる。直通試験は[急行]羽田空港→成田が最長5)都営ダイヤ: 707T 京成ダイヤ: 1081K の、TS史上運転時間と停車駅が最も長いダイヤ。走行距離82.5km, 停車駅45, 運転時間119分である。PS2版は途中セーブ機能がないため、これを通しでやらなくてはならない。で、[普通]品川→押上が最難関6)ダイヤ: 775H 実はTSR京浜急行の[特急]高砂(775H)の直接的な続編。金沢文庫で前4両を増結し、12両編成で品川まで運転、品川で前4両を切り離して押上へ向かうダイヤ。品川の停止位置(スタート位置)が信号から遠いのは12両編成だったため。ただしダイヤ改正に伴い高砂行が押上行に変更になったため、KTKでも押上行に変更されている。このダイヤは泉岳寺からの先行列車遅れによる遅延回復運転をしなければならないため、非常に難易度が高いものとなっている。運転車両は新1000形推奨。である。本来は京成1本で完結するはずの[特急]上野→成田空港も直接試験に入っている。

ちなみに、直通試験をクリアすることで、KTKのエンディングを見ることができる。つまり直通試験をクリアできれば、ゲームとしては制覇したことになる。なお、エンディングはもう1つあり、これは条件を忘れてしまったが、おそらく(ある隠し車両以外の)全車両を購入することだと思われる。

解説3番線:管理

現実において電車は通常、検査や点検を必ず行う。KTKでも簡易的であるが、乗務する車両を路線毎に管理する。それが管理メニューである。管理メニューについて1つの画像で分かるようにしたのが以下である。

管理メニューの1枚説明
管理メニューでできることを1枚の画像に集約したもの。車両の購入と検車にポイントを消費する。また、各車両のスペックや解説、路線そのものの解説も存在する。なお、5300形の最終増備車5327だけは120km/h対応のためにスペックが上げられている。これを踏まえて、ちゃんと別車両扱いとなっている。

新しい車両の購入と検車についてもここから行う。未購入の車両については車体が灰色であり、購入することで本来の色(=使用可能)となる。また、車両ごとに検車までの走行距離が定められている。つまり、後どれだけ走行できるかを示している。これは試験で走行した距離分検車までの距離が縮まっていき、検車までの距離が試験を受ける路線の距離より下回っていると、その車両は検車するまで試験で使用できない、というルールになっている。簡単な話、検車までの距離が84km以上でないと[急行]羽田空港→成田(82.5km)の試験を受けられない、ということである。そのため、ポイントがなくならないように試験で模範的な運転をする必要がある。

また、これまでのシリーズと同様、車両スペックや解説を見ることができるほか、車両を選択していない状態(=一覧状態)で△ボタンを押せば選択中の路線についての解説も見ることができる。この点は、歴史資料として価値があるものとなる。また、2021年3月16日時点で既に引退した車両についても、KTKで扱うことができる。引退した車両で当時を振り返りながら、ノスタルジックに浸るのもいいだろう。

解説3番線場内注意:隠し車両の存在について

なお、一部は隠し車両として、初期状態では管理メニューから確認できない。これらは以下の条件で出現する。

  • 京急旧1000形 条件:京急の直通試験[急行]羽田空港→成田をSクリアする。
  • 都営5300形5327 条件:浅草線の直通試験[普通]品川→押上をSクリアする。
  • 京成3300形 条件:京成の直通試験[特急]上野→成田空港をSクリアする。※厳密には直通試験ではない。

いずれのダイヤもSクリアが非常に難しいものであるが、これらの車両を扱うには必ず通る道である。ただし、出現難易度に対して車両スペックは5327以外はかなり低い。が、低スペックの車両で試験を行うとボーナスポイントを多く獲得できるので、出す意味はある。しかしいずれも癖が強いため、扱うにはある程度の練習や癖の把握が必要である。




なお、これら以外にもう1つ、真の隠し車両が存在する。上の画像を見た人は気付いているが、京成の車両一覧で1つだけモザイク処理を行ったものがある。これについては個人的にネタバレ防止のために教えることはできないが、KTK発売時点でも引退済みの車両7)ただし引退時、足回りは綺麗だったので使いまわしている。その車両は京成の主力車両として直通運転でも使用されている。であり、詳細は京成の歴史を調べると分かるものである。ちなみに、車両性能はお察しである。

解説4番線:教習所

3線直通が特徴であるKTK、京急・都営・京成の3社(正確には都営は公務員のため2社と1公営、ただし省略のため3社とする)がそれぞれを運営している関係から、各路線の信号や標識は会社によって意味が異なったり、他にはない独自の標識などが存在する。また、運転で最も難しいとされる「停車」は、これは何度も練習するしかないのが現実である。

そんな3社の細かな違いや、停車について練習用のダイヤを使って身に付けていくのが教習所である。教習所では、3つのメニューが存在する。

  • 1時限目「教習 Experience」 練習用ダイヤで信号・標識・基本制動を学べる
  • 2時限目「ブレーキ練習 Training」平坦・上り勾配・下り勾配ある駅でブレーキ練習を行える
  • 3時限目「標識説明 Signal Data」 各鉄道会社が使用する信号および標識についての解説を見ることができる
教習所全メニュー
教習所で選択できる全メニュー。ブレーキ練習ができるようになったのがKTKの特徴である。

解説4番線第1場内進行:教習

「教習」各鉄道会社ごとの項目
「教習」の各鉄道会社ごとの項目。会社ごとに違う基本をここで学ぶことができる。

「教習」では、各鉄道会社における信号とATS・連続速度制限または特別な速度制限・基本制動の3項目について、練習用ダイヤを使用してその違いを実際に体験しながら学ぶことができる。1時限目の信号に関しては言うまでもないが、2時限目の速度制限については、都営は地下区間でカーブが多いことから連続速度制限について、京急は1号型ATS時代に使用されていた速度照査であるB点標とスピードチェック30km/h(蒲田駅構内)について、京成はもう少し踏み込んだ信号の速度制限である。

注目すべきは3時限目の基本制動である。基本制動とは、各鉄道会社が推奨する「安全かつ効率的なブレーキ操作」のことである。KTKでは全て異なり、次のように制動することが推奨されている。

  • 京急:3段制動2段緩め 3段階にブレーキを分けて強め、2段階に分けてブレーキを弱める
    • 制動例:B1-B3-B5 ⇒ B5-B3-B1
  • 都営:一段制動階段緩め 一段でブレーキを任意の段数に入れ、その後一段ずつブレーキを弱める
    • 制動例:B5 ⇒ B5-B4-B3-B2-B1
    • 補足:通常は一度入れたらそれ以上強めてはいけないが、一度だけブレーキを強めることが認められている。
  • 京成:階段制動階段緩め 一段ずつブレーキを強め、その後一段ずつブレーキを弱める
    • 制動例:B1-B2-B3-B4-B5 ⇒ B5-B4-B3-B2-B1

これについては、見ただけでは実際わかりにくい。しかし教習でも模範運転のデータが存在し、練習用ダイヤが用意されているので、何度でも練習することができる。まずは見て動作を覚え、次に実践して身体が自然と基本制動できるようにしておくといい。基本制動は試験では+500pt8)一段制動階段緩めで一段強めてから階段緩めした場合は+300ptの高得点操作であるので、習得しておくと試験での高得点も十分見込めるようになる。つまり、Sクリアしやすくなるということである。

ちなみに、教習でも試験と同じように採点され、得点はそのままポイントになる。ポイントがなくなってしまい、全車検車待ちで試験を受けられなくなってしまったら、ここでポイントを稼ぐといい。

解説4番線運転停車:ブレーキナビゲーションシステム

しかしそうは言っても、「どのタイミングでブレーキをかけたらいいか」がわからないのが殆どの人の悩みである。そんな人のために「ブレーキの目安を図表で示す」システムがある。それがブレーキナビゲーションシステムだ。見本は以下の画像で示す。

ブレーキナビゲーションシステムの見本
ブレーキナビゲーションシステムの見本。黒線が現在の距離、白線がそのブレーキをかけた場合に0cmで停まれる最適位置(タイミング)を示している。

ナビゲーションシステムを表示するには、一度ポーズした上でR1を押す。これで運転台の代わりに表示される。表示を終了する場合も同じ手順である。ナビゲーション画面では縦軸を速度、横軸を0cmまでの距離として、現在位置(残り距離)が黒線で示され、白線はその強さのブレーキで0cmに近い停車ができる目安となる。この白線より内側でブレーキを開始しても遅く、逆に外側過ぎると早いのである。理想は黒線が白線と重なるタイミングで、ここでブレーキを開始することで限りなく0cmに近い停車ができるのである。慣れないうちはこれを見ながら基本制動を練習するといい。

ただし、このナビゲーションシステムはあくまでも「目安」である。そのためナビゲーション通りにブレーキングしても若干のずれが生じることがある。また、勾配によってナビゲーション通りにはならない場合があるのと、車両によってブレーキを入力してから実際に効き始めるまでの反応速度やブレーキの強さが違うため、これらについても考慮した上でブレーキ練習を行う必要がある。



なお、ナビゲーションシステムが使用できるのは運転モードか教習所のみで、試験では使用できない。もっとも、当然といえば当然の話であるので、自分の感覚だけでしっかり基本制動できるようになるまでは存分に活用するといい。

※PSP版では試験でも使用できるため、実質チートである。

解説4番線第2場内進行:ブレーキ練習

KTKの特徴として挙げられるのが、ブレーキだけを練習できるモードが存在することである。それが「ブレーキ練習」だ。そのモードのメニュー画面を以下に掲載する。

ブレーキ練習設定画面
ブレーキ練習の設定画面。任意の車両、任意の駅で任意の距離・速度設定でブレーキ練習を何度でも行える。このモードも教習と同じで採点されるため、ここでもポイントを稼ぐことができる。ただし、獲得できるポイントは少ない。

このモードでは、京急600形・都営5300形・京成3000形の3つから任意の車両で、京急は天空橋(平坦)、都営は浅草(下り勾配)、京成は勝田台(上り勾配)の3つから任意の駅で、任意の距離と速度を設定して走行している状態からスタートし、いつも通りブレーキして停車するものである。このモードも教習と同じで採点され、ブレーキナビゲーションシステムも使用できるので、ここでもポイントを稼ぐことができる。ただし、獲得できるポイントは試験・教習よりも少ないため、あくまで練習のおまけ程度に思った方がいい。また、京成3000形はブレーキ力が最も強いため、ボーナスポイント(車両ボーナス)がつかない。

ただ、練習できる3つの車両はスカイライナーを除くほぼ全ての試験で使用できる車両であるので、これらの車両でブレーキングが上手くなれば、殆どのダイヤを攻略できるであろう。ここで、実際に私が京急600形で天空橋をブレーキ練習した動画を貼っておく。実際のブレーキ練習の映像を見ることで、どのようになっているかのイメージも掴みやすいであろう。なお、容量圧縮のため動画は4回分を1つにまとめ、それを同時再生している。下側はブレーキナビゲーションシステムの動画版の見本と思って観ると分かりやすい。

[動画リンク(別画面推奨・0cm停車あり)]

解説4番線第3場内進行:標識説明

ここに至るまで何度か解説したが、各鉄道会社によって信号と標識の意味は異なる。標識説明では、それらの違いを含めて、信号と標識について解説付きで見ることができる。概要の画像は以下の通りである。

標識説明画面
標識説明の画面。各鉄道会社ごとに見ることができる。各鉄道会社ごとにちゃんと信号や標識のデザインが異なっている。

信号は現示が例え同じであってもそれぞれで速度制限が異なるため、ここであらかじめ速度制限に関する情報をおさらいしておくといい。また、注意以下の信号に連動する標識(正確には信号の一種)および特定の駅でのみ見ることができる特殊な標識についてもここで情報を見ることができる。京急のB点標・スピードチェック30km/h、都営のT形速度照査標とループ始端表示板(15km/h)、京成は空港第2ビル分岐手前に存在する速度確認票(100km/hから10km/h刻みの70km/hまで)とループ始端表示板(通常は15km/h, 成田空港のみ25km/h)が存在するので、これらについてその意味を理解しておけば、下手な力行/制動もなくスムーズに運転できるようになる。

解説5番線:オプション

オプション全メニュー
オプションで選択できる全メニュー。環境設定以外は解説するまでもない。

オプションは主に環境設定を変更するか、セーブする時に使うものである。これまでのTSと同様、手動セーブ式であるため、試験終了または教習でポイントを獲得した後は必ずセーブしておくこと。というのもKTKは2層ディスクであるが、PS2は所謂30000番台(SCPH-30000)が2層ディスクの読み込み不良でしょっちゅうフリーズする可能性が高いためである。ソニーがクソニーな瞬間である。

環境設定は表示設定とサウンド設定がある。画像を以下に示す。

環境設定全項目
環境設定で設定できる項目の全集。基本はデフォルトのままで変えるものは殆どない。

表示設定は運転中の画面表示について1個ずつ変更する項目と、特殊な操作を自動/手動に切り替える項目がある。特殊な操作とは、レバースハンドルATS確認ボタンのことで、デフォルトは自動である。特に用がなければそのままでいい。運転台表示は拡大と縮小であり、拡大は速度・ブレーキ圧等の計器を中心に表示し、縮小は運転台全体を表示する設定である。ここはお好みであるが、電車でGO!で言う「鉄人モード」再現の場合には拡大の方がいい。ちなみにこれらは運転中でも特殊な操作以外は常に変更可能である。また、運転中にSELECTボタンで全ての表示をON/OFFできる。

サウンド設定は車両音が中心となる。デフォルトは全てMAXである。一応個別設定は可能だが、リアルをONにすると全てMAXになるので設定する意味はない。もっともTrain Simulatorはリアリティにこだわった作品であるので、ONにした方がいいのはある。また喚呼は実際の運転では必ず行っているので、OFFにしてはリアリティが減少してしまうのでOFFは薦められない。




解説5番線終点:オープニングとエンディングの余談

最後に、オープニングとエンディングであるが、これは向谷の元々の活動の成果が生かされている。オープニングはいつでも観ることができ、エンディングはそれぞれのエンディングを観た後に追加される。このオープニングは、映像はさることながら音楽が秀逸である。オープニングもエンディングも文明の利器とは優秀なもので、検索すればすぐ出てくる。しかしこれからKTKをやるのであれば、エンディングだけは取っておくべきだ。

ちなみに、オープニングのBGMは後にフルバージョン化およびpop’n music13の収録楽曲となった。フルバージョン化は『鉄道ゼミナール音楽編』にタイトル”The Liner”として収録されており、pop’n music13ではTRAIN SIM “Railroad Force”として、向谷実名義で収録されている。両バージョンともSUPER BELL”Z 野月貴弘が車掌DJとして曲中で喚呼している。前者は車掌DJ多め、後者は京成車両音多めで構成されている。それぞれアレンジが違うため、原曲とフル、pop’n版と聞き比べればより楽しめるものになるであろう。

以上で、全ての解説を終了する。この記事での解説乗務は完了である。

プレミア価格だが是非持っておきたいTS

ゲーム内容を要約してはみたものの、解説することが多かったため結局普通並に解説することになってしまったが、今回紹介したTrain Simulator第5作目。概要部分について余すところなく私KIBEKINが語ってきたが、果たしてこれで魅力は伝わったであろうか。可能な限りの画像と少しのプレイ動画を入れたので、おそらく雰囲気についてはかなり掴めていることと思う。

ただ、それ以上に自分の手で、(執筆時点から考えて)かつて存在した車両を走らせ、そして線路と沿線の歴史を感じながら運転するというのは、実際にやらないと味わえないものでもある。だが問題は、既に(約)16年前に発売されたゲームであり、当然ながら生産終了品である。中古品を探して購入するしかないのだが、音楽館制作のシリーズは絶対数が一般のゲームよりも圧倒的に少ないため、今でもプレミア価格で販売されているのである。状態が良ければ、1万円はくだらない。それほどまでに貴重なものとなっている。

しかし。鉄道ファン、特に京急・都営・京成ファンであれば、これは是非持っておきたいTSである。これにはそれだけの価値があると言い切れるからだ。ただし、30000番台以外のPS2または初期型のPS3を持っていることが条件となるので、その意味ではプレイハードルは高いものになってしまっている。逆にそのハードルさえどうにかなれば、KTKを遊ぶことができるということだ。少し奮発してみてはどうだろうか。

なお、本記事では攻略情報については書かなかったが、次回以降に、不定期に攻略について書く予定だ。それは最難関とされる775H([普通]品川→押上)と、最長ダイヤである707T, 1081K([急行]羽田空港→成田)である。これらは1記事ずつ分けることにしている。おそらく需要はないが、ネタ探しのための延命今でも探している人がいる可能性を考えてのことである。動画の方がいいとか言うな。何とかしてみるが。

 

以上、Train Simulator 京成・都営浅草・京急線を語る、であった。到着、定時。それでは、次回の記事で会おう。ン、バァーイ!

 

KIBEKIN at 18:50 Mar. 17th, 2021


スポンサーリンク




脚注

脚注
本文へ1 参照:Train Simulator (音楽館) – Wikipedia
本文へ2 参照:導入実績 | 株式会社音楽館 業務用シミュレータと博物館向けシミュレータの導入実績が掲載されている。
本文へ3 1993年にMacintosh用ソフトとして発売された、カシオペアに関する情報を盛り込んだゲームのようなもの。メンバーに関する秘蔵データなどを収録したものであるらしい。マーケットの規模が小さすぎて商業的に失敗だったものの、これがPCソフト分野進出のきっかけとなる。参照:Train Simulator誕生秘話 向谷実「音楽家の僕が鉄道ゲームを作ったワケ」 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)
本文へ4 ただし電車でGO!はゲーム性・エンターテインメント性を追求している方であるため、音楽館とは競合ではなく協力関係にある。その結果として、TS第4作目の東京急行編はタイトーとコラボしている。これにより、電車でGO!モードでは、お馴染みの電車でGO!のシステムでありながらCGではなく実写で運転することができた。
本文へ5 都営ダイヤ: 707T 京成ダイヤ: 1081K の、TS史上運転時間と停車駅が最も長いダイヤ。走行距離82.5km, 停車駅45, 運転時間119分である。PS2版は途中セーブ機能がないため、これを通しでやらなくてはならない。
本文へ6 ダイヤ: 775H 実はTSR京浜急行の[特急]高砂(775H)の直接的な続編。金沢文庫で前4両を増結し、12両編成で品川まで運転、品川で前4両を切り離して押上へ向かうダイヤ。品川の停止位置(スタート位置)が信号から遠いのは12両編成だったため。ただしダイヤ改正に伴い高砂行が押上行に変更になったため、KTKでも押上行に変更されている。このダイヤは泉岳寺からの先行列車遅れによる遅延回復運転をしなければならないため、非常に難易度が高いものとなっている。運転車両は新1000形推奨。
本文へ7 ただし引退時、足回りは綺麗だったので使いまわしている。その車両は京成の主力車両として直通運転でも使用されている。
本文へ8 一段制動階段緩めで一段強めてから階段緩めした場合は+300pt
KIBEKIN
会社員という働き方が合わないのに会社員になってしまってから、半ば自分からリタイア後ブログクリエイターとなり活動してきた社会不適合者。今後の活躍の約束とHIKAKINリスペクトの意味を込め、リンクス岐部からKIBEKINに改名した。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
名前は必須項目となります。記入をお願いいたします。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)