この記事の概要を簡単まとめ!
- VR-SNSの完成形、VRChat
- 運営母体がアメリカにあるため、英語中心になりがちのイメージ
- 規約が面倒であるため避けていたが、今後の活動で「使わない」が難しくなった
- 開始から脱・初心者までをここで記録することにした
- 初期は「自分のモデル」は使えない、用意されたモデルで活動する
- トラストレベル”New User”は条件が非公開、地道に進めていく
- “New User”になってもUnity関連で面倒があるので先駆者の知恵を借りる
- 手順に従えば基本的には問題ない
- 自分のモデルが使えるようになれば脱・初心者だ
VTuber・VRに関するあらゆることは、とにかく「何でもある」ので、その意味ではネタに困らない。だが同時に、それらのネタは誰かしら・何かしらにおいて先駆者が存在する。VTuber・VRはその特性上、YouTubeで解説動画があがっていることが多く、一部余力のある人は文字と画像ベースのブログで解説している人もいる。もっとも最近はVTuberだから動画しかしない、ということはなく、媒体的な意味でのマルチプラットフォーム展開は既に一般的である。媒体別に話題とその伝えやすさも異なるためだ。
VR関連調査開始以来、1つだけ避けていたことがある。それがVR-SNSの始祖とも言える存在、VRChatだ。制作及び運営母体がアメリカにあること、登場当初は対応する機器とPCを持っていなかったこと、登場時期から情報がほぼ出揃っていること、他にもVR-SNSが存在しそっちの方を優先したこともあって、あまり触れようとは思っていなかった。また、規約の面倒さについてもある程度耳にしたので無理をすることもないと思っていたが、このまま活動するにあたってVRCは避けて通れないものであると気付き、やむなくやることにした。
VRCについては入れてこそいるが、1度もつけたことがない。つまり何もかもが初めからである。ではなぜやる気になったかといえば、VRCでも多くのイベントが開催され、そこには私がよく観ているVTuberもイベントの関係で企画または演者としてかかわるためである。そうなると、VRCをやっていないとお話にならないのである。そこで今回は少々長いスパンで、自分のモデルが使えるようになるまで=スタートラインへの到達までを1つとした、脱・初心者記録を書いていく。
最初の一歩が、全ての世界への鍵。
VR-SNSの完成形、VRChat
VRChatを触るきっかけ
VRChat、あるいはVRCで表されるそれは、誰もが一度は聞いたことのあるVR-SNSである。Graham GaylorとJesse Joudreyによって開発され、アメリカの企業であるVRChat Inc. が管理・運営している。現在対応するプラットフォームはWindows PC及びOculus/Meta Questで、しかしVRCの特性から基本的には第8世代以降のi5とGTX 1060-6GB以上のGPUと16GB以上のRAM(DDR4-2133以上)を搭載したPCでやることが望ましい。なおQuestの場合はQuest向けに軽量化がなされている。
まず最初にWindowsとOculus向けに2014年1月16日に発売され、Steamは早期アクセスの形で2017年2月1日に配信となっている。Questは初代Quest対応で、2019年5月22日に配信となっている。手頃なVRデバイスであるQuestにも対応しているという点ではユーザー数が多いこれであるが、元々はゲーミングデスクトップでの使用を想定したものでもあるので、Quest単体でVRCをやると様々な制約が発生するのであまりお勧めはしない。前提はやはりPCとなる1)参照:VRChat – Wikipedia。
VRC自体はVRの名を冠しているが、プレイには必ずしもVRデバイスは必須ではない。よって大学生時代に既にゲーミングデスクトップを作り上げていた私は、やろうと思えばできたわけである。しかし当時は暗殺以外何でもできる男でお馴染みHITMAN(2019)やNiuR: Automataなどをやっていたので、VRについては見向きもしていなかったわけである。それに加えて当時は当然ながらVRユニットがないので、「ないならやる意味がない」と感じてスルーしていたのもある。ちなみに大学生だったのは2019年までで、その頃はまだOculus Questも出ていなかった。VRコンテンツ自体もまだ不十分だったのもやらなかった原因になる。
そんな私が3年経った今になって、VRCに触れようとしている。実のところ、VR-SNSについてはVRC以外にもcluster, VirtualCastといったものが登場してきているわけで、これらは開発・運営が日本国内で行われているというところでやりやすさというのがある。なので当初はこれだけでもOKだろうと考えていたわけだが、VRCはかなり早い段階で登場したVR-SNSであり、技術的な成熟もある。それもあってVRイベントのいくつかはVRCでも行われることがあり、当然VTuber, VR方面で最も尊敬する人物であるclea氏もVRCを使う。なので、このまま手をこまねいているわけにもいかない。ということで、いずれはやらなければならないVRCをやることに決めた。
VRChatの先行イメージ
だが、手をこまねいていた理由もある。私個人、VRCに対する先行イメージがあまり良くないものだった。まずVRCは前述の通り、アメリカの企業が開発・運営しているもので、それ故英語圏ユーザーが多く、日本人ユーザーないしアジア圏ユーザーは少ないであろうということである。つまり英語力がある程度なければ、まともにVRCをやることはできないのではないかということ。これについては、通常のゲームならまだしも、VRCはリアルタイムコミュニケーションが要求されるものでもあるので、じっくり解読している暇はない。それにリアルタイムでインターネットで検索して「日本語訳を探す」ということも実質的にできないので、この点で多くの人がつまずきを感じるポイントにも思える。
また、VRCを使うユーザーに対するイメージも、正直いい感じはしなかった。うまく言い表すことはできないが、「なんか嫌」という非常に曖昧な感覚を持っていた。おそらくそれは一部の害悪ユーザーのやらかしが原因で、無論それは一般ユーザーと比較すれば1%にも満たないであろう。だがいつの時代も、その情報が外に出るときは非常に大きなマイナスのバイアスがかかるもの。それによって「全体の民度の低さ」というものを誤解していた可能性もある。実際にはそうではないことはやってみればわかるのだが、そうでもない限り誤解するのは仕方ないことのようにも思える。
VRChatの規約は面倒?
VRC自体は開始から現在まで、良好なサービスを維持し続けている。それは需要があるからに他ならないが、同時に長く続くサービスには、綺麗に整備された規約が存在することも意味する。規約の存在は、人間として常識で考えてやってはいけないことを明記すると同時に、コンテンツを阻害する危険人物の排除を行えるようにしている。多くの人間は規約に従うため、それに従わない危険人物は必然的に目立ち、そして運営によって処置され淘汰される。これによりトラブル発生を限りなく0にして、良好なVRC生活ができるようにしているということである。
ただ、私は「何も知らない」が故に考えていたのが、どこでも見るような一般的な規約に加えて「アメリカルール」が存在するのではないか、ということだった。日本で制作されたサービスを使う場合は日本の法律に従うが、VRCはアメリカで制作され全世界に提供されるサービスである。よって法律としては日本の法律はもちろん、アメリカの法律「にも」従うことになるのではないか、と考えていたわけである。実際それはただの杞憂に過ぎないが、海外のサービスを使う時にいつもこのようなことを考えてしまうので、手を出しにくいわけだ。もっとも、TwitterもFacebookもGoogleもAmazonも「アメリカ」なので、よくよく考えれば今更なのである。
VRCの目標:自分のモデルをアップロードできるようにする
だがこれらの疑問や問題を解決する方法は、意を決して飛び込むしかない。別にVRCをやったから死ぬというわけでもなく、合わなければイベント事があるとき以外は使わなければいいだけの話。とりあえず使えるようにしておいて、その後どうするかはまた別の時にじっくり考えればいい。そして困ったときには、VRの大先輩が近くにいるので、暇な時を見つけて話を聞いてみるなどすればいいわけだ。
ところで、せっかくVR空間で活動するからには、それに合わせて作った自分のモデルも使いたいわけである。しかしVRCの仕様上、最初からそうすることができないことが分かっている。これは後述するが「トラストランク」によるもので、これが一定以上にならない場合、用意されたものでしか活動できないのである。これはVRCのプレイ状況で変化する要素である。よってある程度VRCをやらなければいけないことが確定する。普段の活動もあるので、VRCに割ける時間は少なく、同時並行でネタのために記録しなければならないことも多いので忙しくなる。
そのため、本記事での目標及び解説は自分のモデルをアップロードできるようにトラストランクを上げた後、私が一度も触れたことのないUnityを使ってそれをアップロードし、実際に動かすまでとする。個人的にはそこまでできれば脱・初心者となるはずだ。もっとも、そこまでしないと今後のVRCをやる意味が薄れる。自分が自分でない他人の姿ほど、宣伝効果がないからである。
VRChatやってみた!~To be “New User”~
ここからは実際にVRCを、私が0から進める形で解説していく。なお、使用するプラットフォームは基本となるPC版で、Steamを使用する。デバイスはOculus/Meta Quest(2019)をOculus LinkによりPCVRとして使用する。なお、速度を求めず、純粋に接続するのみであれば専用のリンクケーブルは不要であることは強調しておく。
前準備:VRChatに登録する
まずはVRCに登録することから始める。これはブラウザから行う。以下の手順に従い、登録を完了させる。
- 未登録の状態でSteamからVRCを起動した場合、アカウント選択(VRChat/Steam)の下にある”Create Account”をクリックする。これにより標準設定されているブラウザで登録画面を自動で呼び出す。このときVRデバイスを装備している場合、VRデバイスは外すこと。
- 必要事項を入力する。ユーザーネーム(半角英数字と一部の記号)、Eメール、パスワード(それぞれ2回入力)、生年月日、チェック事項2つへのチェック、
クッソうざいhCaptchaの突破を完了し、登録するボタンをクリックする。 - 登録完了後の画面。入力したアドレスに認証メールが届くのでそれを認証しろというものである。ここで届いていない場合は再送信または正しいアドレスの再入力が行える。よくあるキャリアメールの自動分別問題から、キャリアメール以外が推奨される。
- “from: VRChat”の届いたメールを確認する。タイトルは”Please verify your e-mail for VRChat, [username]”で、これの2行目のリンクをクリックすることで認証が完了する。認証が完了したら、2.のブラウザは閉じても問題ない。
- 認証が完了すると、ホーム画面が表示される。この状態になれば登録の全工程が完了となる。
この手順は、無数に存在する他のサービスの登録方法と殆ど差異はない。画面の指示通りに行っていけば完了する。もっとも、hCaptchaが多くの人にとってうざいものであることは確実で、ここで1度は台バン案件をする可能性はあるだろう。それはともかく、この時に使用したIDとパスワードは後で何度でも使用することになるので、それをどこかに記録しておくと楽である。
VRCにログインし、チュートリアルをこなす
これで入る準備は整ったので、実際にVRCにログインする。起動時の選択でVRとして起動するか、デスクトップとして起動するかを選択できるが、以降はVRで起動するものとする。先のログインアカウント選択画面でVRChatを選択した後、先に設定したIDとパスワードでログインする。正常にログインできれば、初回のチュートリアルワールドが開始される。そのワールドでは、最初にアバターの選択、移動方法と視点移動の方法、後は実践で慣れろという形である。雰囲気としては以下のような感じである。
アバターは写真から選択するか、”Randomize My Avater”で変更する。写真の変更は”Shuffle Photes”で変更できる。用意されるデフォルトアバターについては、おそらく気に入るものはなかなかないはず。なので適当に決めたら、”Ready to GO!”で軽いチュートリアルが開始される。移動方法は2つの方法から1つを選ぶ形となっており、ワープ移動と主観移動から好きな方を選択する。一般的にVRはゲームも含めて主観移動が基本なので慣れておいた方がいい。選択後は視点移動についての設定となるが、設定は1つしかない。デフォルトで”Comfort Turning”がONになっており、30°程度ずつ視点を移動する形である。これをOFFにすると滑らかに視点移動するようになる。これについてはお好みである。
設定が問題なければとりあえず矢印の地点まで進め、と出るわけなので進んでみると、なんか歓迎される。操作チュートリアルにしても簡単すぎてわけがわからないが、次に行く場所として正面のポータルが起動し、5個の場所が提示される。いきなりワールドに行くのは酷なので、中央のホームに飛ぶのが理想的である。そのホームは初期設定では自分以外は入れない設定であるので、そこで一旦落ち着けてから色々と進めていくといいだろう。
最初に行くべきところ”[JP] Tutorial world”
実はチュートリアル終了後は、他にそれらしいチュートリアルはVRC公式には存在しない。そのため有志の日本人ユーザーが1つのワールドを使ってチュートリアルを作り、それが実質的な日本人向けチュートリアルとなっている。それが”[JP] Tutorial world“である。フレンドとプレイする場合に初めてVRCをやる人が100%連れていかれる場所であり、そうでない場合でもまず行くべきワールドである。全体風景としてはこんな感じである。
ここで具体的説明をしてもいいのだが、そうすると1記事では足りない量を書くことになるため詳細は割愛する。ここだけでVRCの基本の80%は抑えることができるようになっている。運が良ければ、ベテランVRCユーザーがたまにいて、解説しながら同時に回ってくれる。VRCの日本人ユーザーのアクティブタイムは、一般的社畜生活を考慮すれば20~25時くらいである。その時間が最も人が多くなるとされている。その代わりVRCというプラットフォームの特性から非社畜も多いわけで、平日の昼時間にも割と人がいる。なので、意外と時間は関係ないようである。なお、解説がいる場合には設定についても解説を貰える。設定部分についてはインターネットで検索するか、ベテランユーザーに話を聞くのが一番である。ここが完了した後は、後は好きに探索するだけである。基本は忘れずに。
TIPS: トラストランクとアバター
VRCではセキュリティとコンテンツ保全の観点から、ユーザー毎にトラストランクを設けている。2018/5/5から導入されたシステムであり、このランクによってできることが制限される。VRCを開始した時点ではランクは全員”Visitor”となっていて、この時点ではアバターのアップロードは制限される。アバターのアップロードが可能になるのは”New User”になってからであるが、それに至るまでにはある程度VRCをやる必要がある。また、”New User”以上のランク及び事実上のBAN(Nuisance, ランクとしてはVisitor以下)も存在する2)参照:【必読】トラスト(Trust)システム – VRChat 日本wiki。
Nuisanceについては余程のクソ野郎でない限りはなることはあり得ないので考えない。New Userになった時点でワールドのアップロードも可能になるが、それを公開するためにはUserまでランクを上げ、Community Labsへの登録が可能になる必要がある。よって殆どの場合はUserまでを目指すことになる。なおKnown UserやTrusted Userになっても特典は存在しないが、信頼度の証明にはなる。とはいえそのランクでも「悪者」はいるので、実際の人柄に触れるまでは一応警戒しておくといい。
Visitor→New Userの昇格条件は、内部情報として秘匿され、公開されていない。実際になった人や分析している人の情報では、プレイ時間・ワールドの訪問数・フレンド数・VRC+(所謂課金)の有無に左右されるのではないかという情報が出回っている。が、個人差によるものが多いので何とも言えない。ちなみに昇格した場合、VRCから以下の内容のメールが送信され、昇格したことを知らせてくれる。
ここまでくれば、ようやく「自分」として活動することの準備が整う。だがあくまでも昇格しただけであり、自分のモデルをVRCに適用するには、もう少しやらなければならないことが存在する。それについては先駆者達の知恵と残した情報を頼りにしつつ、その方法についても解説していく。
VRC、脱・初心者~Unity格闘編~
VRCは多くのゲーム・3D作品で使用されるモデリングソフトである、Unityを使用する。そのため導入にはUnityが必須である。しかしこれについては多くの人が「触ったことがないもの」になるはずで、間違いなく苦戦することが予想される。だがいつの時代、いつの分野にも先駆者がいて、情報を詳細に残してくれている。その情報をもとに、アップロードして使用できるまでを書いていく。ここではVRoid Studioから生成したVRMを使用するのを前提として話を進める。
準備の準備:Unityに登録する
何はともあれUnityをインストールする必要がある。これがなければ全てが始まらない。VRCでの運用上の注意として、Unityのバージョンを必ず一致させる必要があり、管理の関係からUnity Hubを使用した方が楽である。ただUnity Hubの使用には「個人として」Unityに登録しなければならないため、その点でまた面倒がある。よって先にUnityに登録することから始める。といっても登録は簡単で、以下の手順に従って行う。
- Unity公式ページにアクセスし、”Create a Unity ID”に行く。ここに必要事項(Email/Password/Username/Full Name)を記入のうえ、チェック項目のうち上2つには必ずチェックをしたのち、reCAPTCHA認証を行ってから”Create a Unity ID”をクリックする。一番下は単にメールマガジンを購読するかどうかであり、要らなければ切っておく。
- Full NameはUnityで金稼ぎをするのでなければ、適当な名前でいい。大半がそういう目的の人のはずである。
- アカウントを作成するとメールが送られてくる。そのメールを開き、”Link to comfilm email”をクリックし、認証するためのページを開く。
- 再度reCAPTCHA認証を行って”verify”をクリックする。
- ログイン画面になれば認証完了となり、アカウント作成は完了となる。ページは一旦閉じてしまっていい。
ここまで行えば、Unity Hubを使用する準備が整う。
準備:Unity Hubのインストールと指定バージョンのインストール
次にUnity Hubのインストールを行う。これはダウンロードページから”Unity Hub をダウンロード”をクリックすることでインストーラをダウンロードする。インストールは簡単なので手順は省略する。ただしインストール後の初回起動時にファイアウォールによるブロックが発生することがあり、この場合はアクセスを許可すればいい。起動後はサインインを行い(ブラウザに遷移してログイン、完了後はUnity Hubに自動で戻る)、その後なんかチュートリアルっぽいのが出てくるのでそれは一旦無視して、次の手順でUnityの指定バージョンをインストールする。なお、現在のVRCは2019.4.31f1を使用しているので、これをインストールする。
- “Installs”を選択し、そのメニュー画面右上の”Install Editor”をクリックする。そこで出てくるウィンドウから”Archive”タブを選択し、そこの”download archive”または”Long-Term Support”をクリックして、旧バージョンが存在するページを開く。今回はLTSページを開いている。ここからブラウザへ遷移する。
- ページで2019.4.31f1を検索して、それのUnity Hubリンクをクリックする。すると確認ダイアログが現れるので「Unity Hub を開く」をクリックする。これを行ったら、Unity Hubに戻る。
- インストールする内容を選択する。基本的にデフォルトで問題ない。言語パッケージはお好みで。
- ダウンロードとインストールが行われる。回線弱者は泣いていい。
- インストールが完了すると”Install Complete”となり、スタートにも新規として指定バージョンのUnityが存在するようになれば完了である。
裏作業:必須データ一式のダウンロード
Unity以外にも必要な物として、アバターアップロードにはVRCから提供されるSDK3が必要で、UnityがVRMをサポートするにはUniVRM, VRM Converter for VRChatも別途必要である。これらも指定Unityバージョンのダウンロードとインストールに並行してダウンロードを行い、いつでも導入できるように準備をしておく。なおUniVRMも更新が行われている影響で、2019.4.31f1に対応する旧バージョン(v0.99.0またはv0.99.1)でなければ使用できないので注意。なおVRM Converter for VRChatは解凍して中身の拡張子unitypackageのファイルを表に出しておくこと。
Unity初期設定:必須パッケージ導入
ここからは先駆者の情報を参照しながらUnityを進めていく。参考とする情報はVRM形式をVRCで使用する場合の解説をしている、MoguLiveのこの記事である。これに従い、以下の手順を行う。
- Unity Hub/Projectsから”New Project”をクリックする。上の“Editor Version”が2019.4.31f1であることを確認してから、プロジェクトテンプレートは3D, プロジェクト名と保存ディレクトリは任意に変更する。このときファイアウォールによるブロックが表示されたら許可する。プロジェクトの生成には少し時間がかかるので待機する。
- Unityが開かれたら、Assets/Import Package/Custom Packageで必須の3つを導入する。参考資料では順番によってエラーが発生する場合があるので、ここはそれに従いVRM Converter for VRChat, VRCSDK, UniVRMの順で導入する。VRMSDKのインポート待ち時間が非常に長いことに注意。
- 3つのインポートが完了したら、Unity画面の下側にあるAssetsに任意のVRMをドラッグ&ドロップする。正常にインポートされれば、パッケージの導入は完了する。
インポート自体は自動で行ってくれるが、これが成功したかどうかは正直分かりにくい。そのため確認には任意のVRMを使用してやれば、正しくインポートできているかが分かる。また、メニューバーにもいくつかのメニューが追加されており、それによってもインポートが成功したかを判断することができる。目安として利用するといい。
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モデルのVRChat用変換、そしてアップロード
VRCで使用できるようにするには、VRMを変換する必要があることは理解しているはずだ。しかし幸いにも変換はそこまで難しいものではない。明確な手順が存在し、それに従えば問題ない。以下の手順で変換を行った後、VRCの自分のアカウントにアップロードする。
- Assetsからインポートした任意のVRMのT立ちになっている画像を選択した(青くなっている)状態でVRM0/”Duplicate and Convert for VRChat”を選択する。
- 特に設定項目は弄らず、右下の「複製して変換」をクリックする。すると名前を付けて保存のエクスプローラーが表示されるので、”[VRM名](VRChat).prefab”を任意の場所に保存する。保存先のデフォルトはプロジェクト内ディレクトリのAsstesになる。変換が完了すると、それを知らせる旨のUnityのウィンドウが表示される。
- 変換したモデルデータファイルを左上の”Hierarchy”タブにドラッグ&ドロップする。これで”Scene”, “Game”タブにそのモデルが表示される。この状態で”VRChat SDK”/”Show Control panel”を選択する。初回はログインが求められるので、自分の垢でログインする。
- ログイン後のAuthenicationタブで”Avater Creator Status: Allowed to publish avaters“であればアップロード権限があることを示す。これを確認した後、Builderタブでアップロードしたいモデルを選択し、下の”Build & Publish for Windows”を選択する。時間がかかるため気長に待つこと。
- 完了するとGameタブに”New Avatar”が現れる。ここに必要事項を入力した後、”Upload”でアップロードされる。
- Avater Name(require): モデル名。必須。
- Description: 説明。任意。
- CW(Content Warnings): 必要に応じてチェックする。ヌードやエロ・流血やゴア表現・リアルな暴力(表現)・その他のNSFWの4つあり、該当するものに適切にチェックすること。該当しない場合は設定しなくていい。
- Sharing: デフォルトでPrivate. 通常はPrivateであり、一般利用の場合は変更する必要がない。
- Crossplatform: 条件を満たしている場合のみチェックできる。
- Upload Image: デフォルトでチェック。プレビューイメージの変更は可能であるようだ。
- 最後のやつ(長いので文省略): チェック必須。訳すと「上記は正確なもので、私はこれをVRCにアップロードする権利を持っている」になる。要するに「嘘はついていません」ということ。
- アップロード中は回線に注意。終了するとダイアログが表示される。確認方法としてVRC(ブラウザ)にログインし、メニューから”Avaters”を開き、そこに”My Avaters”という欄と共にアップロードしたモデルが表示されていれば成功している。これで全行程が完了である。
ここまで色々と長かったであろう。特にインストール作業時のデータダウンロードで多くの人が退屈な時間を過ごすことが多いはずだ。それもアップロードが完了すれば、Unityとの格闘も終了である。もっとも、モデルの修正アップロードや使わなくなったモデルの削除などもUnity(現在は2019.4.31f1)を介して行うことになるうえ、Unity自体も3Dモデリングの機能を有しているので、余力があればその辺の勉強をしてUnity自体を使えるようになるというのも一興である。なお、Unityの他にはBlenderもあるので、そちらと合わせて使おうとすると莫大な時間を必要とするので注意。
なお、アバターの変更はVRCを実際にプレイしているタイミングでのみ行えるため、実際に動くかどうかについては実際にやらないと分からない。また、VRMでは問題なかったものでも変換したことで固有機能が無効になったり、VRCでは何かしらの問題が発生しないとも言い切れないわけで、アップロードができたら人前で使う前にプライベートで鏡のある場所で試すのがいいだろう。
実験:自分のモデルをVRCで試す
アップロードで満足してはいけない。実際に使ってこそ意味があるので、アップロードしたそれが問題なく動くかどうかを試した。ただし検証にあたり、鏡のある部屋かつInvite状態で誰にも邪魔されない状態で行っている。静止画よりも動画の方がわかりやすいはずなので、ダイジェスト版を掲載する。
このダイジェストはあくまでも確認できる範囲でのチェックであるので、この状態で何も問題がなかったとしても、別のタイミングで何かしらの問題が発生することはあり得ることだ。元々はVRM形式のモデルを少し遠回りにVRCに変換・対応させているわけで、変換によって発生する、固有機能の消失や使用不能、バグの原因といった支障については警戒しておく必要があるだろう。
なお、私が自分のモデルで試した段階では、どうにも目の動きに違和感を感じた。動き方のパラメータに、変換のタイミングで何らかの問題が発生こそしているが致命的なエラーではないためにスルーされ、動かせるが変な動き方になっているのであろう。しかし私はこのあたりについて何もわからないので何とも言えない。もしちゃんとしたいなら、せっかくUnityをインストールしたわけなのでUintyを使って補正するのが理想である。補正をしたら必要に応じて元となるVRMに逆にエクスポートして反映させることを行えば、理想のモデルを作ることができる日も近いであろう。
自分のモデルが使えるようになれば脱・初心者だ
これまで事情によりVRCを避けていたわけだが、今後の活動を考えるうえでVRCをやっていることは必須だということを改めて感じた私である。特にVRイベントの一部はVRCでも行われるものが多く、ワールド作成に際して使用できるものも多いので、表現可能な範囲は実に広い。それ故、VRCをやっていなければまず話にならないという事態に遭遇する可能性が高くなり、前提条件によって体験を制限されるのは実に無意味な事なので、やや急ぎ足ながらNew Userとなり、自分のモデルを使えるようにするまでVRCをプレイし、その経過を記録した。
多くにとって、3Dモデリングは難題である。その場合は市販品を購入し、それを利用するという手があることはVR関係記事で何度か書いている。実はVRC内でも販売されているものが多く、その場合はすぐにVRCで使用可能となるが、それ以外のBooth等で販売されているものはVRM形式のものが多い。よってVRCでの使用には変換作業を伴うわけで、上記の手順を行わないと使えないというちょっとした面倒さがある。ただ、このやり方を覚えておけば、いずれ自分のモデルを作ったときにアップロードする方法が分からずに右往左往することもなくなる。
購入したモデルは誰かが作ったものであるため、それを自分のモデルと言うのは微妙であるが、何らかの3Dモデリング可能なソフトウェアで制作した場合には自分のモデルとなる。それをアップロードして実際にVRCで使えたのなら、VRCでは脱・初心者であると言っていい。もちろんまだわからないことは多いはずだが、ここまで出来れば後は好きにやれば大丈夫だ。
以上、”VRChat”やってみた!~脱・初心者までの道のり~であった。次は何の記事で会おうかな?
KIBEKIN at 00:00 Aug. 3rd, 2022
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