この記事の概要を簡単まとめ!
- 2022年に急速に発達したAI
- AIができることは一気に拡大し、その技術は人間すら凌駕することもある
- 創作方面でAIが人間に並ぶ、或いは超えることによる恐怖を感じる人もいた
- 現在最も人気のAIサービスが”ChatGPT“である
- OpenAIに登録することでGPT-3.5ベースが基本無料で使用可能になる
- 回答精度は完璧ではないが、趣味範囲で使うには十分な回答を得られる
- プログラミングのフレームワーク構築や勉強には非常に使いやすい
- やりたいことを言葉で表現し、わからないことを聞き返せばその場で大体の解を得られる
- より高性能なGPT-4はMicrosoft Bingにも搭載されている
- AIとは賢く付き合い、「楽する」技術として使う
人間は愚かな生き物で、醜い生き物であると感じている。特に日本人に対しては強く感じている。日本人とは自分で考える力を持たない馬鹿が多すぎると、観察していてわかる。同族嫌悪というものになるのだろう、しかしどうしても好かない。このようなことを表明すれば自称愛国者様が非国民と罵るわけだが、それもまた日本人嫌いになる要素だ。もはや日本人は存在せず、「ジャップ」しかいないのだろうか。
それはともかく、2022年からいきなりAIが爆発的に成長したと感じている。これまではAIの限界が目に見えてわかっていたことが多く、所詮そんなものだと思って下火になっていた時に、様々な分野においてAIの出来ることが一気に増加し、その完成度は人間と大差ないほどだ。さらに、クリエイティブ方面については人間がやるよりも明らかにスピードもクオリティも高いことがあり、ついに人類は機械に敗北する日が近付いているようだ。
テキスト生成方面についても、人間と大差ないほどに近付いている。現在は様々なサービスが存在するが、その中で最も人気なのがChatGPTである。自然言語処理モデルであるGPT-3ファミリーの言語モデルを基に構築された、教師あり学習と強化学習の両方で転移学習が行われているもので、2022年11月30日のプロトタイプ公開後、一気に注目を浴びて有名になったものである。現在は制限こそあるが基本無料で、一般用途なら十分に使えるものである。今回はChatGPTを題材として、これから私たちはAIをどう使っていくべきなのかということをここで考えていく。
ひとっ飛びできる目次
使い方で、ペンにも殺人の道具にもなる
2022年、AI爆発的成長期
AIの歴史
そもそもである。AI=人工知能は今までどんな歩みをしてきたのか気になるはずだ。調査可能な範囲で、その歩みについて調べることにした。なお、範囲は1940年代からとする1)参照1:人工知能の歴史 – Wikipedia2)参照2:コラム 「人工知能(AI)」の歴史3)参照3:AIの歴史を徹底解説!人工知能ブームを5分で理解 | DXを推進するAIポータルメディア「AIsmiley」。
- 人工知能の概念そのものは、1950年のアラン・チューリングが発表した論文『Computing Machinery and Intelligence(計算する機械と知性)』からである。この論文の中で彼は有名なテストであるチューリング・テストを行っており、この時のテスト内容は「機械が人間と会話し、人間にはそれが人間であると錯覚させる」ものである。チューリングの基準では、「機械が思考したかどうかは、人との会話が成立したかどうかで判断する」ものであった4)参照:チューリング・テスト – Wikipedia。
- 1956年のダートマス会議において、ダートマス大学数学教授ジョン・マッカーシーは「人間の脳に近い機能を持ったコンピュータープログラム」を人工知能(AI)と命名した。
- 第一次AIブーム(1960-1974)~冬の時代(1974-1980):アメリカやイギリスで、コンピュータに推論や探索を行わせ、迷路・パズルやルールが明確なゲームといった特定の問題に対して強い効果を発揮した。しかし最も期待されていた「現実に起きている問題を自分で解決」するまでには至らなかったことで下火になった。
- 第二次AIブーム(1980-1987)~冬の時代(知識獲得のボトルネック、1987-1993):コンピュータが知識を与えられ、それを元に問題解決をする「エキスパートシステム」の研究・開発が盛んとなり、企業でも採用されるようになった。しかし研究者は次第に「手動で知識を(コンピュータに)記述しなければならない」「例外処理や矛盾したルールへの対応が難しい」ことが研究過程で判明し、これにより再び下火となった。
- 第三次AIブーム前夜(1993-2006)~第三次AIブーム(2006-):1997年、チェス専用コンピュータ「ディープブルー」が世界王者に勝利し、初めてAIが人間に勝利した瞬間である。この後で第二次AIブームで考えられていた機械学習(教師なし/教師あり/強化学習)が性能的に実用可能になったこと、2006年にディープラーニングが発明されたことで特徴量をAI自体が抽出できるようになったこと、2010年から機械学習のデータとしてビッグデータを用いるようになったことで、急速に発展することになる。またAIは2012年にはプロ棋士に、2016年にはプロ囲碁棋士に勝利している。
AI自体はコンピュータが登場した当初から考えられていたものであると分かる。しかし当然のことながら、昔のコンピュータは察する通りの性能しかないわけで、できることもたかが知れていたようなものである。そういうわけで、2回のブームと下火、繁栄と衰退の繰り返しがこれまで存在したのである。限定的なことにしか使えないこと、性能限界はどの分野においてもマイナス要素にしかならないわけである。
多くにとってのAIは2010年頃から話を聞いているはずで、これは各種の機械学習とその1つにあたるディープラーニングの登場、データとしてビッグデータを利用することが始まったことがある。ニュースでも取り上げられることがあったので、情報系に疎遠な人でも聞いたことがあるはずだ。その後のAIの活躍としては、将棋や囲碁においてそれぞれプロに勝利していることから、実用的レベルまで性能が向上していることが分かる。
2022年に急速に発達したAI
2022年は様々な世界情勢の急激な変わりように追われる中で、AIにも急激な変わりようがあった。これまでAIが苦手とされてきたことに画像生成がある。以前から画像認識やカメラ補正でソフトウェアに高度なAIが組み込まれることはあったものの、まだ「絵を創る」ということはAIではできないこととされてきた。その流れを打ち消すように、まず2022年4月にOpenAIから画像生成AIの一種であるDALL-Eが公開される。これは自然言語の説明から画像を生成するもので、話し言葉だけの曖昧な説明だけをAIに渡して、その言葉から画像を生成する形になる。仕様上、対応する「呪文」は英語のみであるが、その英語さえわかれば誰でも絵や画像を描かせることができるようになった。見方によっては任意の神絵師に対して言葉だけで描かせるという横暴なことをAIに代行させる形となるが、人間の手で描くよりも明らかに早く、そして試行回数を重ねれば狙ったものを確実に出せるようになったわけで、これが話題にならないはずがなかった。
2022年7月には、Midjourneyのオープンベータ版が公開された。これも英語の「呪文」によって生成するタイプである。条件次第で極めて人間に近い、あるいはそれを上回る水準でのイラスト生成が簡単に可能になることで、またしても話題となった。しかも人間の参加する絵画コンテストでMidjourney製のイラストが優勝したということもあり、技術的向上に喜ぶ声があれば、人間による創作の危機を感じる声も上がったほどだ。
2022年8月にStable Diffusionがオープンソースとして公開される。これもまた「呪文」ベースの生成である。その後で2022年10月にNovelAIの日本風イラストに強い画像生成機能が公開され、利用するユーザーの増加に伴い日本のpixiv、FANZA等が対応するようになる。pixivにおいてはAIによって生成された絵を検索結果に表示または非表示を選択できる機能が追加され、話題をまたもやかっさらっていった。
技術革新によって今までできなかったことができるようになる、というのは通常は喜ばれることだ。しかし創作活動においては、倫理的な問題か、或いは「機械は感情を持たない」ということの前提は未だに有効なのか。あまり受けは良くない印象であった。また、AIにイラストの仕事を奪われる可能性があると危惧した人、つまりアートを「職」とする人が「AIアート」に対して反発を起こし、一時期は論争が絶えなかった。加えてAIが絵を生成する際に参考にする「資料」についても著作権問題が発生したこともあって、人類にとって一生続く問題がまた1つ増えてしまったようだ。AIの急速な発達で誰でも絵を描けるようになった反面で、これまで絵を描けていた人やそれを生業としていた人がAIに反発を起こし、人間とAIを両方巻き込んだ戦争にならないかどうか心配になってきたものである。
テキスト方面にも急速な発達が見られた
創作で話題になっている一方で、テキスト方面でも急速な発達が見られた。テキスト方面はAIの利用先として昔から研究されてきているもので、身近なレベルで言えばiOSのSiriとGoogleのGoogleアシスタントであろう。正確なところは音声アシスタントの分類となるが、結果を返す時は音声と共にテキストやURLで表示するため、テキストを表示できる対話型AIとしても利用することができる。寧ろそっちの方がメインではないだろうか。
実装時点でも回答精度はそれなりであったので、個人的用途には十分であったが、業務用途となればこれが難しいものになる。スマートフォンでの使用が前提で搭載されたそれは長文で返すことや専門的なことは難しく、せいぜい短文で少しだけしか返せない。PCの場合もWindowsはCortanaを搭載しているが、検索補助的な使い方が強く、いずれも業務に使用できるような性能ではない。AIが発達しても人間の代行となるには至らなかったのがこれまでの現実である。
その常識はいよいよ破壊される。OpenAIによって開発された自己回帰型言語モデルGPT-3が2020年に発表され、これが過去に登場したどれよりも「人間らしい」結果を返すことができるとして一部で話題となる。これを2022年に、GPT-3とCodexのAPIに編集と挿入機能を持たせた新しいバージョンとして「text-davinci-003」および「code-davinci-002」という名前で公開した。これらのモデルは11月30日に「GPT-3.5シリーズ」に属するものとして、その後これを微調整した上で新しく登場したのが、現在最も話題となっている最新人工知能チャットボット”ChatGPT“である。OpenAIのWeb上で利用できるサービスの1つであり、登場当初は不安定であったが、現在は非常に高い精度を誇るチャットボットとして多くの人が利用している。
当然その用途は様々であり、多くは「遊び」に使っていた。悪意のある人間は「破壊」に使っていたようである。この手のサービスの必然というべきか、正しく使うことのできない人間が必ず存在する。公開後はそれに対応する制限を設けることや、センシティブなことには返答しないような設定をAIに搭載することによる改善を続けていき、このおかげで非常に実用的なレベルにまで達している。また、これを基にして2023年2月にMicrosoftはBingに検索と連動可能なAIチャット機能を追加し、世界初対話型AI搭載検索エンジンとなった。さらに、有料ではあるがより高性能なGPT-4版のChatGPTも登場するなど、更なる進化を遂げている。今回はChatGPTを題材として、AIに対する付き合い方について考えることとする。
対話型AIの最高峰”ChatGPT”
ここから記載するChatGPTの画面は、執筆時点での情報に基づいて書かれている。そのため一部は古い情報になっていることがあるため注意すること。
準備:使用するために必要な事
ChatGPTはOpenAIが管理するサービスである。したがって利用するにはOpenAIへの登録が必要になる。登録方法は一般的なメールアドレス認証式であるが、OpenAIはMicrosoftとの関連があるため、登録にMicrosoftアカウントを利用できる。また、Googleアカウントも利用できる。私の周囲の利用者を確認したところ、画像アイコンがYouTubeに準拠する名前の書かれ方をしたアイコン(別垢)が多かったことから、Googleで登録している人が多いようである。私も同じである。なので通常の登録手順は行っていないので、その手順は不明である。だが、殆どの場合のものと変わらないであろう。
ChatGPTが置かれている場所
ChatGPTはOpenAI公式サイトのトップページから少し下にスクロールすることで、CHatGPTの紹介が書かれたエリアにすぐ辿り着く。これの”Try ChatGPT”をクリックすることにより、ChatGPTにアクセスすることができる。URLとしては”chat.openai.com”になる。登録ないしログインしていない場合は登録ないし任意の方法でのログインから、既にログイン済みであると次の初期画面になる。

トップ画面はこのようになっており、中央には説明があり、その下にはチャットボックスがあり、ここに任意のテキストを入力して送信することによって、ChatGPTはその内容を読み取って、それに合わせた回答を行う形式である。そして左側にはこれまでの会話ログとその下にはメニューがある。会話ログは最初に送信したテキストの内容に基づいてタイトルが決められ、”New Chat”で新しい会話ログを作成することができる。また、タイトルは後から自由に変更可能になっている。
使用可能なメニュー
左下にあるメニューは、次のことができる。
- Clear conversations: 会話ログを全て消去する。
- Upgrade to Plus: 金を払ってアップグレードする。ChatGPTでGPT-4版が使用可能になる。
- Light Mode/Dark Mode: 背景の色を白ベースまたは黒ベースに変更する。
- Updates & FAQ: アップデート履歴とFAQのページに移動する。
- Log out: ログアウトする。
普通に使っている場合、このあたりのメニューはあまり使うことはないであろう。GPT-4へのアップグレードもここから行うわけだが、現状のGPT-3.5でも機能としては十分である。GPT-4との比較に関しては後述する。
実際にテキストを投げる
実際にチャットボックスに任意のテキストを入力し、それをChatGPTに投げる。ただし、ChatGPTのデータベースは2021年以降の情報は限定的なものになってしまうので、それ以降の出来事についての正確な回答は得られにくくなる。そのため、ここでは例としてフランスのクラシックカー、シトロエン・2CVについて聞いてみることにした。

回答内容は殆どの情報はWikipediaで見れるようなものをまとめた形になる。ただ、ChatGPTの場合はそこから重要な情報を抜き出して、簡潔にまとめたような形になる。この結果から、要約しなさいという課題を与えたとき、人間よりも圧倒的に早く、そして的確に要約できることを意味している。とはいえ、この場合は既に情報が十分存在することに対してChatGPTに書かせたものであり、情報が不十分な場合は全く違う回答をしてしまうこともある。特に(執筆時点で)2021年以降の情報や、情報の少ない特定個人5)検証としてcleaちゃんでやってみたところ、全く違う方が出てきてしまった。「clea」とした場合は1人しかいないのだが、どういうわけか混同してしまっている。についてはこの現象が起きやすい。したがって、ChatGPTの回答に関しては全部を信用せず、趣味の範囲で使用するのが理想的である。
プログラミングとChatGPT
ところで、ChatGPTに聞いたらほぼ何でも返ってくるということは、プログラミングにも利用できるはずだ。一般にコーディングはそれなりの勉強量と時間が必要になるが、ChatGPTでやりたいことと対象言語の2つを添えて投げれば、それに応じた回答を得られることが分かったのである。そのためここからはプログラミングの観点から考えていくこととする。
プログラミングの難点
プログラミングの一般的イメージには、敷居の高さと難易度がある。それはコーディングは原則として英語のみであり、指定した動作を行わせるためには各プログラミング言語によって定められた「関数」を用いる必要があり、一部は特殊な動作をする関数や定数について覚えなければならないなど、「勉強すべきこと」が非常に多い。これが1言語ならまだしも、現在は1人で複数言語使えることが前提のところもあって、それぞれの言語の勉強に充てる時間が増えることになる。しかし仕事でそれらを使うのならともかく、プログラミングが本業ではない人や趣味が多彩な人にはそんな時間の余裕はないとなりがちである。また、それぞれの言語を自分のものにするには何か作ることが最もな近道であるのだが、その言語を全く知らないところから作れと言われても、独学であるとこれが難しいものになる。
そのため、効率的な言語習得を目的としてプログラミングスクールが存在し、これに通う人もいる。ただしこの場合は高額な「勉強代」が必要であり、さらにそこで勉強したからといって就職できるとも限らない。また、勉強代は大きな負担になりがちであり、これに加えて交通費や食費も考慮しなければならないことが多く、この関係で仕事をしながら通う人が一定数存在する。また一部のプログラミングスクールは就職もカリキュラムに含むことが多いので、業種や業界が異なる場合は実質的な転職活動にもなっている。転職を含めないで、単純に言語習得を目的とする場合はこの部分は考えないものになるが、効率がいいかと問われるとそれは人次第であり目的次第でもある、と言わざるを得ない。そもそも業務での習得であるのなら、所属する企業が弱小でもない限りは自社研修という形で勉強することになるはずだ。
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ChatGPTはピンポイントでその場で学べる
それに対してChatGPTでプログラミングを学ぶのはどうだろうか、と考えた。ChatGPTにテキストを投げるとき、その内容が具体的であればそれについて詳細な回答を生成するはずで、これを上手く利用する。この場合に必要な情報は、「やりたいこと」と「言語」である。ということでまず手始めに、”Yes”, “No”のボタンがあるウィンドウを表示し、どちらかをクリックすればそのウィンドウが閉じるという、動作は非常に簡単だが実際に書くのは少々面倒なプログラムをPythonで書かせることにした。まずはコード生成を要求し、返ってきた結果が以下である。

私がやったことは、ChatGPTに「具体的にやりたいこと」と「言語」を投げただけである。その情報だけで、いとも簡単にPythonコードを綺麗に書き上げてくれたのである。しかも解説付きである。これにより、Pythonを触れるのが初めての人でも、どのライブラリを使用し、どのように関数を定義して目的の動作を実現しているかが分かるようになっている。そして生成されたコードを実際に試したときの動作が次である。
仮のPythonスクリプトとして”test.py”を作り、そこに先のコードをコピペして実行しただけであるが、ちゃんと動作していることが分かる。これにより、「具体的にやりたいこと」と「言語」だけで誰でも簡単にコーディング出来てしまうことが明らかとなった。これで余計に勉強時間を配分することなく何かを作れてしまうので、大幅な時間効率の向上が見込めるであろう。
現在主流のGPT-3.5については、文字数制限が存在するために複雑なコードを書かせようとしても、一発で書いてくれない。そのため、具体的にやりたいことを小分けにしたうえでChatGPTに投げることによって該当するコードが記述され、それを1つにまとめれば、最終的にやりたいことのプログラムが書けるようになるはずである。
勉強する場合はChatGPTに質問する
しかしChatGPTに何でもやらせるだけでは、勉強にはならない。なので勉強として使用するなら、ChatGPTに質問する。その方法は簡単で、聞きたいことについて聞けばいい。例えば先のコードであれば、tkinterライブラリはあまり馴染みのないライブラリであるはずだ。これが何が出来て、他に何の機能があるのかが分からないため、聞いてみる。すると次の回答が返ってきた。

ChatGPTによれば、tkinterはPython標準ライブラリの1つで、GUI作成のためのツールキットであることが分かった。これはウィンドウ、ボタン、テキストボックスといったものを作成して配置でき、それらにイベントハンドラを登録して様々な動作ができるようにするものである。この説明の妥当性を検証するために実際に公式ドキュメントのtkinterのページを参照すると、ChatGPTの示した内容が確かに存在し、内容も殆ど正しいと確認できた。あくまでもChatGPTでは(GPT-3.5の文字数制限も含めて)ほんの一部を紹介しただけに過ぎないが、提示されたコードでわからないことがあれば、まずはChatGPTを使って概要を勉強し、その後で公式ドキュメントや先駆者の情報を確認すれば、効率的な勉強が行えるはずだ。
悪用されることへの危惧
確かにこの方法でのプログラミングは便利である。また、一般用途においても実に人間らしく回答するので、それが本当にAIによって生成されたものなのかというのを判定できないほどに精巧になっている。これは喜ばしいことだが、同時に危惧すべきことがある。私は性悪説を前提にものを考えるので、世界は常に悪人だらけで、この技術もやはり、誰かを陥れるために使う人間の姿をした蟲が必ず存在するはずだ。これへの具体的対策は現時点では殆ど存在せず、あるいはどんな対策をしたところで抜け穴を探して突破してくることが多いのでやっても結果的に無意味ということになりやすい。
ではどのような悪用がされるかというと、人間らしく回答することを利用して、所謂「詐欺メール」に悪用されるのは容易に想像できる。作る場合は金をかけてまでもやらないはずなので、実際に作成する場合はGPT-3.5ベースであると思われる。その場合はやや不自然な文面になることが予想されるので、その詐欺師が面倒が嫌いな場合はそのまま投入することであろう、それで微妙におかしいことによって詐欺であることを見抜けるはずだ。ガチな詐欺師の場合はより人間らしく見せるために手直しをすることになるだろう。しかしそこまでするより、質より量で大量に撒いて何人か引っかかった方が効率がいい。何せ日本人は馬鹿が多く、疑うことを知らない。中途半端な詐欺文でさえ信じてしまう間抜けが多いため、そこまで手をかけなくても誰かが必ず引っかかる。そのことを考えたとき、必ずしも手直しは必要ではない。
プログラミングについても悪用される危険が高くなった。それは誰でも高精度なコーディングできるという部分にある。これまで自分でコードを作れないためにクラッキングに手を出すことができなかった初級クラッカーも簡単に破壊行為に参加できるようになってしまったわけで、ChatGPTの制限で直接そのコードを作ることはできなくても、分割してコードを作らせてそれを組み合わせれば、手間は少しかかるが理論上は作れてしまう。そのコードが実際にどれくらいの破壊力があるのかは不明であるが。果たしてそこまでやる価値があるのかと問いたくなるが、新技術は生活を便利にすると同時、悪用する人間の姿をした蟲が必ず存在する。そのことへの対策も今後の発展には考えなければならないことになる。
GPT-4との違いについて
OpenAIではより上位となる言語モデルのGPT-4を、3月14日に公開している。これは教師なし学習によって作成された大規模なニューラルネットワークとなっている。これも自然言語処理にtransformerを使用しており、学習の際にオンライン上の公開データを使用し、その後人間による微調整を経て完成したものとなる。OpenAIはMicrosoftの後ろ盾がある関係で、このモデルの公開前にMicrosoft Bingにこれを搭載しており、一時期Bingアプリが話題になったのはこのためである。
ところで、現在主流のGPT-3.5との違いはどこにあるのかを調査した。すると、次のような結果が得られた。
比較対象 | GPT-3.5 | GPT-4 |
パラメータ(精度) | 約1.75兆個 | 約100兆個(推定であり、OpenAIはこれを否定) |
できること | テキスト入力・テキスト出力のみ可能 | テキスト入力・画像入力が可能になった。より高度なプログラミングが可能になる。将来的には画像・動画・音声の生成も可能になる予定 |
最大トークン数(文字数制限) | 2,048(5000文字) | 32,768(25000文字前後) |
ルール破壊への対策 | 罪悪感を覚えさせるなどで不正な回答を可能にするなどの抜け穴があった | GPT-3.5と比較し不適切なリクエストに応じる可能性が82%減少した |
利用方法 | OpenAIの提供するAPIを利用する、ChatGPTで利用する | OpenAIの提供するAPIを利用する、ChatGPT Plusにアップグレードする、Microsoft Bingで利用する |
おおまかにはこのようになっている。GPT-3.5と比較しても明らかに性能が大幅向上していることがわかる。しかしOpenAIとしては悪用されることは既にGPT-3.5で実証済みということもあり、GPT-4では「安全性のリスク」を考慮して詳細な情報は非公開としている。このことはこれまでOpenAIがオープンソース的方針を取っていたことに反する動きであり、そのことへの批判は大きい。これに対してOpenAIの共同設立者・主任研究員のイリヤ・スツケヴェルの反論は、GPT-4はこれまで以上に高性能であり、しかもそれがさらに性能が向上することが予想されており、そうなれば悪用されて「ターミネーター」のようなことが起きる可能性が高い。そのようなことを想定してオープンにしたくないと語っている6)参照:GPT-4 – Wikipedia。悪用されることを前提に考えれば、そうせざるを得ないのはごく当たり前の動きである。むしろオープンにすることを要求する人間ほど、悪用したがっているように思えてならないが。
ところでGPT-4は、利用には少しだけ準備が必要である。Microsoft Bingの場合はiOS/Androidアプリで、下メニュー中央のBingマークをクリックして「順番待ちリストに参加」した後でアプリを再起動すると有効になる。ChatGPTの場合はPlusへのアップグレードが必要である。現在最も金のかからない方法はBingであり、これはMicrosoftがOpenAIを管理していることに由来するものである。現段階ではアプリをダウンロードすれば誰でも使えるので、GPT-4を体験したいのならこれが一番である。今のところ制限があるような情報はないが、いずれ何らかの制限が設けられるか、或いは新しいGPTシリーズの登場に伴って一般開放されることもあり得るものになるであろう。
AIとは賢く付き合い、「楽する」技術として使う
コンピュータが登場してからというもの、AIの研究は常になされてきた。しかしその研究は前途多難を極めていた。最初は推論や探索をコンピュータに行わせていたが、その場合の主な用途はゲームであって、本当にしたかったことである「現実に起きている問題を自分で解決」するまでには至らなかったこともあって最初のブームは終わった。次に1980年からエキスパートシステムの登場で企業で使用されるになったのだが、これも「手動で知識を(コンピュータに)記述しなければならない」「例外処理や矛盾したルールへの対応が難しい」ことが発覚して第二次ブームも終わった。
AIが十分な発展をするには第三次ブームまで待たなければいけなかったが、この時になって第二次ブームで考えられていた機械学習がようやく実用化され、ディープラーニングによって特徴量をAI自身で抽出できるようになったこと、2010年から機械学習のデータとしてビッグデータを用いるようになったことで、これまで出来なかったことが一気に出来るようになったことで進むようになった。そしてAIは将棋と囲碁で人間に勝利することができるようになった。このことからいずれはAIが人間を超えることもそう遠くない未来のこととして、期待されると同時その状況になることを危惧するようにもなったわけである。
現在はOpenAIが開発した様々なAI技術とサービス、そしてOpenAI以外が開発したAIサービスが2022年から次々に登場して話題となっている状態である。テキスト方面はChatGPT、創作方面はMidjourney, Stable Diffusion, NovelAIが代表的である。これらは多くの人を驚かせ、生活を大きく変えた存在であると同時、当然のことながらこれを悪用する人間も出現した。そして創作方面、特に絵や画像を生成できるAIに、それを生業とする人が反発するようになった。単純に便利になるだけならいいことだが、どうやってもそれに伴う問題を生み出してしまうのはもはや避けられない事象なのであろう。
だからといってAIを否定することはナンセンスである。それは時代に逆行する行為であり、金も武力も権力もない一般市民がどうあがいてもAIの進化は止められず、いずれはAIが人間を超えることについても受け入れなければならないことになるであろう。なので私達ができることは、それらのAIを利用することである。もちろん悪用する場合はその場で締め上げてインターネットからも現実からも隔離すべきである。そうではなく、生活を楽にする、自分が気付かなかった部分の補助に使う、手作業では難しいことを代行させるといったことに使うのなら積極的に使っていき、AIを「楽する」技術として使っていくといい。AIと賢く付き合っていくことこそ、AIが当たり前になる時代での最適解となるであろう。
以上、現代AI評論~AIがもたらす「楽する」技術との付き合い方~であった。次はどんなことをChatGPTに頼んでみようかな?
KIBEKIN at 00:00 Mar. 29th, 2023
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脚注
本文へ1 | 参照1:人工知能の歴史 – Wikipedia |
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本文へ2 | 参照2:コラム 「人工知能(AI)」の歴史 |
本文へ3 | 参照3:AIの歴史を徹底解説!人工知能ブームを5分で理解 | DXを推進するAIポータルメディア「AIsmiley」 |
本文へ4 | 参照:チューリング・テスト – Wikipedia |
本文へ5 | 検証としてcleaちゃんでやってみたところ、全く違う方が出てきてしまった。「clea」とした場合は1人しかいないのだが、どういうわけか混同してしまっている。 |
本文へ6 | 参照:GPT-4 – Wikipedia |